特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス

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第一章

第十二話 双子の初めての実戦

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 少々時間が掛かったが、ダーネリアとルーナリアは、魔導書の初級編は何とかマスターした。
 そして次は実戦に移る訳なのだが…ただの木人形相手なら問題なく魔法を放てるのだが、動く的だとそうもいかなかった。
 魔力持ちが魔法の発動はそれ程難しくはない。
 だが、魔法を狙った的に当てるのはそう簡単にはいかない。
 動いていない的ならともかく、動いている的に当てるには相当練習が必要だからだ。
 
 「今日の日暮れまでに魔物を討伐出来ないと…」
 「「出来ないと?」」
 「晩御飯抜き!」
 「「頑張ります!」」

 頑張ります…と意気込んではいるが、アルミラージに中々当たらなかった。
 木人形の的に当てるイメージが出来ている位だから、アルミラージに当てるイメージは出来ている筈?
 なんだけど、いつも惜しい所で躱されるのだった。

 「魔法を狙いながら聞いてくれ。アルミラージという魔物は、単体でいる事はあまりなく…常に群れで行動する。そして群れのボスは、仲間達を逃す為に一番弱い者を囮に使って逃げるという習性をもつ魔物なんだ。」
 「「!?」」
 「つまり…群れのボスの行動は、お前達を森の中に置き去りにした奴隷商と似ていると思わないか?さらに言えば、買取に来る時は笑顔で来る癖に、買い手が居なくなると豹変する…群れのボスは何となく似ているだろ?」

 僕はそう言うと、2人の魔法の命中率が上がったのだった。
 魔法はイメージ+感情で制度を上げる事が出来る。
 僕はそんな事を話していると、ブレイドが小声で尋ねて来た。

 「アルミラージにそんな特性あったか?」
 「さぁ?中にはそういう個体もいるんじゃないのか?」

 そう…全くの大嘘である。
 アルミラージの討伐で、狩りに慣れている者達はそんな感情など持ち合わせてはいないが…初心者の女性にはその傾向が良く見られたりする。
 アルミラージは、見た目だけは可愛らしい兎だからである。
 接近すれば突進してきて角で突き刺して来るけど…。
 
 「群れのボスを倒しても、次に強いのが群れのボスになる。すると、弱い兎がまた犠牲になる…」
 「そんな悲しい事はさせないわ!」
 「ボスをあの男だと思えば良いのよね‼」

 ダーネリアとルーナリアは、どんどん成長して魔法の威力や精度を上げて行った。
 そして日暮れ前には、37匹のアルミラージを討伐したのだった。

 「さて、今回のノルマは達成…というか、多すぎか!」
 「これで御飯抜きは無いわよね?」
 「あぁ、好きなだけ食べると良い。」

 ダーネリアとルーナリアの2人は地面に座り込んでいたので、ダーネリアを僕が肩を貸して、ルーナリアをブレイドが肩を貸して街に戻って行った。
 そして冒険者ギルドで集計をして貰っている最中に、3人のギルドカードを見せて貰うと?
 またもあり得ない程にレベルが上がっていたのだった。
 ブレイドのレベル33→レベル36まで、ダーネリアとルーナリアのレベルはレベル1→21まで。
 【獲得経験値数〇倍】の効果は、どうやら数百倍の効果があったらしく跳ね上がっていた。
 この【獲得経験値数〇倍】は、ランダムで発動し…多い時は数百倍に、少ない時は数十倍になる。
 まだ数千倍や数万倍の効果が出されたのは見てないが、もしかするとこの先に見る機会があるかもしれない。

 「たかがアルミラージ程度でこんなに上がる物なのか⁉」
 「それが僕の【獲得経験値数〇倍】のスキルなんだよ。戦って行けば、レベル100を超すなんて夢じゃないさ!」
 「そうなったら…クラスチェンジも出来る様になるだろうな。」
 「その前にクラスチェンジが出来る場所を突き止めないとな。」

 僕達は集計が出てから報酬を貰って冒険者ギルドを出て、宿屋に向かった。
 そして宿屋の食堂で食事をしている時に、今後の内容を確認した。

 「次の目的地は、マクファーレン港を目指そうと思うのだが、どうだろうか?」
 「「私達は構いません。」」
 「自分も構わないが…港に行くという事は、この国から離れるのか?」
 「いや、純粋に港に行ってから魚介料理を楽しみたいと思っているだけだ。」
 「そうか…それでその次は?」
 「ここからは私用になるのだが、僕は一度故郷に戻りたいと思っているんだよ。良いかな?」
 「私達を御両親に紹介して下さるのですか⁉」
 「まぁ、仲間としてだけどな。それと以前いたパーティーの報告も兼ねてだ。」
 「テイト君のお父様…」
 「テイト様のお母様…」
 「何を勘違いしているのかは知らないが、嫁とか結婚相手で紹介する訳では無いからな‼」
 「「はぁ~い!」」

 2人はあからさまに落ち込むと、僕は2人の頭を撫でて言った。

 「今はまだ日が浅いからな、付き合いが長くなったら…今はそれで良いか?」
 「「はい!」」

 僕は先に釘を刺しておいた。
 そうしておけば、余計な事を吹き込む事は無いだろうからだ。

 「テイト、乗合馬車で行くのか?」
 「いや、今回は徒歩で向かうとしよう。ダーネリアとルーナリアには、野宿の経験や料理なども学んで欲しいからな。」
 「料理…出来るかな?」
 「私も一生懸命覚えます!」
 「ちなみに僕の好みの女性は、料理が上手く作れる女性…」

 ダーネリアとルーナリア燃え上がっていた。
 その2人を見ながらブレイドは言った。

 「テイトは人を乗せるのが上手いな!」
 「いつか、真にパーティーを組みたいと思う人物が現れた時に、出来る事は増やしておいた方が良いだろう?」
 「2人はテイトから離れる事は無いと思うがな…自分も含めてだが。」

 まぁ、いつかはそういう時があるかもしれない。
 身に付けられる物は、幾つあっても良いと思ったのだった。
 さて、明日から旅が始まるぞ!

 だけどその道中に、厄介な出来事が待ち構えているのだった。
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