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第一章

第四話 親方からの依頼

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 翌日…鍛冶職人の親方からの依頼は、鉄鉱石・魔鉱石・その他の適当な純度の高い鉱石という話だった。
 鉄鉱石と魔鉱石は何となく分かるが、その他の適当なって…?
 ポトフ君が居なければ僕には見分けられる物ではない。
 僕は修理をして貰った鉄の剣を携えて、ポトフ君の案内で鉱山に来た。

 「それにしても、鉄の剣が見事に輝いているね!最初はあんな飲んだくれの親父に剣を預けるのは物凄い不安だったんだけど。」
 「親方は仕事はちゃんと出来る人ですよ!あの酒で酔っぱらっている姿を見ると、信用はありませんけど…」
 「苦労しているんだね、ポトフ君。」
 
 地下に行く鉱山の入り口と、山の上にある洞窟の入り口の2か所があった。
 どちらに行くのかと思ったら、ポトフ君は地下に降りる鉱山の方に向かって行った

 「鉄鉱石や魔鉱石は地下の方にある鉱山で採るのかい?」
 「いえ、鉄鉱石も魔鉱石も上の洞窟で入手可能なんですが、親方のやらかし事件の所為で上の洞窟は立ち入り禁止を喰らっているんです。なので、魔物が多く出現しますが地下に行く鉱山しかないのです。」
 「なるほどね。ちなみに地下の採掘量はどの程度?」
 「上の洞窟よりも純度の高いのを発見出来ますが、何分魔物が現れて危険な場所なので、冒険者の護衛が無いと入れないんです。」
 「そういう事なら、ポトフ君は採集に専念していて良いよ。魔物は僕が引き受けるから。」

 僕とポトフ君は鉱山に入って行った。
 その背後に数人いる者達に気付かぬまま。

 「ところでポトフ君、魔鉱石という位だから採れるのは相当下の階層とかだよね?」
 「そうですね。浅い階では不純物が混ざった物や質の悪い物しか手に入りません。」
 「なら下の階層を目指すけど、道は大丈夫だよね?」
 「大丈夫です、任せて下さい‼」

 洞窟内の魔物の代表格と言えば、モグラとワームがメインで後は蜘蛛や蛙といった湿気をこのむ魔物が多い。
 特に鉱山となると、モグラの類は数が少ない…というか、個体数が少ない所為かあまり見かけない。
 だが、ワームは数多くいる。
 ワームの主な役割は、石や鉱石を喰らってから排出するのだが…物によってはその排出物が体内で精製されて純度が高い者に生まれ変わる事があるので重宝している場合もある。
 そしてそのワームだが、砂漠や草原に現れる様な巨大な物ではなく、洞窟や鉱山に合わせた体格の大きさが主なのだが?
 厄介な事が1つあり、洞窟や鉱山のワームは土魔法を使ってくる個体もいる。

 「ポトフ君、ワームはあまり殺してはいけないんだよね?」
 「はい、ワームは精製に役立つ魔物なので数匹なら構いませんが、全滅はさせないで下さい!」
 「という事で…睡眠魔法スリープ!」

 攻撃手段を止める為の魔法として、睡眠魔法を閃いた。
 これで寝かしている隙に下の階層に行く為だった。
 僕とポトフ君は、ワームの密集している場所を抜けて下の階層に向かって行ったのだった。
 一方、僕等の後を付いて来ている者達は…僕等と同じ様にワームの発生場所を抜けようとして、うっかりワームの胴体を踏んでしまった為にワームたちが起きて一斉に土魔法を喰らって逃げたという。
 そんな事があったとは知らずに最下層に降りてきた僕達は、周りの煌びやかな景色に圧倒された。
 土の中から突き出た様々な鉱石が光り輝いていたのだった。

 「これは圧巻だけど…この階層まで凝れる冒険者も多いだろう?」
 「そうなんですが、純度の高い魔鉱石や魔鉱塊はワームの大好物なんですよ。だからここから持ち帰ろうとすると、上のワームたちに狙われて…地上に出る頃にはあまり数が少ない状態になっているとか。」
 「猛獣の魔物の前に肉をぶら下げて歩く様な物なのか…なら、何故ワームたちはこの階層まで降りてこないんだ?」
 「この階層の地盤が上とは違って硬いからなんです。ワームは土の中を移動しますので、固い地盤では移動が出来なくて。」
 
 ポトフ君は話し終えると、早速掘削作業に入った。
 掘り出した魔鉱石を用意した袋に詰めると、別な場所を掘り起こしてからその魔鉱石も袋に詰めて行ったのだった。
 僕は周囲を警戒しながらポトフ君の作業を見守っていると、奥から「フシュルルルル…」という声が聞こえたので振り向いた。

 「テイトさん、ロックリザードです!」
 「本当にロックリザードなのか?体が緑色に発光しているけど?」
 「体が緑色って、まさかミスリルリザード⁉」

 ロックリザードなら鉄の剣でも対処は出来ただろうけど、ミスリルリザードともなると鉄の剣では刃が通らないと思った。
 だが、手を出さなければ素通りされないかと思っていたら、ポトフ君に注意されたのだった。

 「ロックリザードは縄張り意識が強いんです! 何もしなければ素通りとかはされませんよ‼」
 「なら…倒すしかないけど、鉄の剣でミスリルの皮膚を傷付けられるかな?」
 「難しいでしょうね。ミスリルリザードに限らず、ミスリルは魔法耐性が強いので生半可な魔法では効果がありませんよ!」
 「魔法耐性が強い奴に魔法は効果が無い…か?」

 僕の頭の中に水魔法が閃いた。
 僕はミスリルリザードに水魔法の水球で囲んでから溺死させるように仕向けた。
 攻撃魔法の全てが相手を傷つけるだけの魔法では無かったのだ。
 溺死させるという行為もある意味、攻撃魔法としては有効なのだが?
 ちょっとえげつないと感じたのだった。
 そうしている内にミスリルリザードは大量の空気を吐き出すと、そのまま水を飲みこんでから溺れたのか暴れ出してから仰向けになった。

 「これで倒せたと思うんだけど?」
 「はい、完全に死んでますね!」

 僕とポトフ君は溜息を吐いてから座り込んでいた。
 しばらく休んでから、ミスリルリザードを捌くと…中からとんでもない物が出て来たのだった。
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