特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス

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第一章

第二話 一方、勇者パーティーは?

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 勇者パーティーはパレードが終わり、ホームに戻ると無造作に服を脱いでから脱ぎ散らかした。
 
 「おいテイト!服を片付けておけ‼」
 「おいおいトールよ、テイトの奴は追い出しただろ?」
 「あ、そういえばそうだったな!…となると、使用人でも雇うかね。」
 「寧ろ、ホームを移らねえか?こんな家みたいなところより、貴族の屋敷の様なホームによ。」
 「そうだな、金はたんまりあるし…勇者になってから国から金も入るしな!」

 翌日、トールは冒険者ギルドから紹介された不動産屋をホームに招いた。
 そこで手頃な屋敷を購入しようと相談したのだった…が?

 「残念ですが、屋敷と言ってもお手持ちの金額では、此処よりは多少広い程度の屋敷しか購入出来ませんよ。」
 「残りの支払いは、討伐した後の金額で支払うというのではダメか?」
 「一括購入ではなく、分割購入ですか…可能ですよ。それに保証人は、必要ありませんね、勇者様ですから!」
 「では、屋敷を見せてくれ!」

 トール達は不動産屋と共に屋敷を見に行った。
 今のホームより若干広い程度の屋敷では満足できずに、男爵家…いや、子爵家と同等の屋敷を契約し、使用人やメイドを多く雇ったのだった。

 「支払いが遅れたら…という心配は必要ありませんね。」
 「あぁ、必要ない。すぐに討伐して、返済を早めに終わらせてやるからよ!」
 「では、今後とも御贔屓に…」

 そう言って不動産屋は帰ると、トール達は早速…今のホームから屋敷に引っ越したのだった。
 そして屋敷でくつろぐトール達だった。
 現在のトール達の所持金のほとんどを頭金で使ってしまった為に、翌日から冒険者ギルドに顔を出して依頼を請ける事にした。

 「これは勇者トール様!今日はどの様な御用でしょうか?」
 「適当に高い報酬の依頼を請けようと思っていてな、何かあるか?」
 「では、こちらの…火竜バーンドレイカーの討伐というのは如何でしょうか?報酬金貨500枚の懸賞金が掛けられております。」
 「ほぉ、ネームドか!」
 「はい、なのでかなり手強いと予想されますが…」
 「問題ないな!すぐに討伐をしてきてやるから報酬を用意しておいてくれ!」

 トールは依頼書を受け取るとギルドを後にした。
 そして勇者専用馬車で半日移動してから、火竜バーンドレイカーが根城にしている山に着いたのだった。

 「そんじゃま…サクッと討伐するとしますか!カルネア、回復薬は持って来ているか?」
 「え? いつもはテイトが用意していたから…」
 「無くても平気だろ。ではいつも通りに行くぜ!」

 リガートは盾を構えて突進していき、その後ろをトール、キリア、カルネアが後を追っていた。
 だが4人は変な違和感を感じていた。
 いつもは体が軽くて、移動も大して問題が無い筈なのに…防具がやたら重く感じていて、速度もそれ程早くはなかった。
 さすがにその状態で気付かないバーンドレイカーでは無かった。
 バーンドレイカーは回転すると同時に尾の攻撃を仕掛けて来たのだった。
 リガートは盾で攻撃を防いでから、キリアの魔法で身動きを止めてから、トールが攻撃をする…これがいつも通りのパターンだったのだが、バーンドレイカーの尾の攻撃にリガートは盾で防ぐ事が出来ずに吹っ飛ばされて、トールとキリアも一緒になって吹っ飛んで行った。
 カルネアは次の攻撃に備える為に結界を張ろうとしたが、結界が発動せずにバーンドレイカーがブレス攻撃を仕掛けてきて、躱そうとしたのに動きが悪くて半分以上を喰らってしまった。

 「カルネア、回復をしろ!キリアは最強氷魔法を!」
 「わかりました!」
 「あぁ!」

 カルネアはパーティー全体にサークルヒールを発動した…が、今迄の様な回復量は無かった。
 キリアも極大氷魔法のアブソリュートを発動しようとしたが、発動が一切出来ずに中級氷魔法のアイストーネードで応戦した。
 だが、そんな攻撃が通じる訳もなく…バーンドレイカーのブレス攻撃を喰らって、戦闘フィールドから弾き飛ばされて行ったのだった。
  
 「カルネア、何をしているんだ…回復がおせぇぞ‼」
 「私はいつも通りにしているのに、回復魔法が上手く発動出来なくて…」
 「キリアも何だあの魔法は‼」
 「ボクの魔法も発動出来なかったんだよ。一体どうなっているんだ⁉」

 トールはリガートを見ると、盾で受けた方の腕が変な方向に曲がっているのを見て、これ以上の戦闘は無理だと判断した。
 一体何が起きているのかが分からなかった。
 4人は馬車に乗り込んでから街に帰ると、ギルドに入って行った。
 ギルド職員は報酬を用意していたが、トールは依頼失敗の報告をすると違約金を払う羽目になった。
 ギルド職員達は、勇者パーティーが依頼を失敗するというのは初めての経験で戸惑いを隠せなかった。
 トール達は屋敷に戻ってから、使用人達に怪我の治療をさせた。

 「今回はたまたま調子が悪かっただけだ!次こそは問題なく依頼を達成出来るさ‼」

 3人は頷くと、トール達はそのまま眠る事にした。
 4人がギルドカードを確認していたら、自分に置かれている状況がどういうものかが分かる筈だったのに、調子が悪かっただけだと思い込んでいたのだった。 
 
 そして半月後に怪我が完治した勇者パーティーは、再びバーンドレイカーに戦いを挑むが、また敗戦するのだった。
 勇者パーティーの不調の原因は、誰が最初に気付くのだろうか?
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