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第一章

第一話 金を作って街を離れよう!

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 この冒険者ギルドのルールには面白いルールが存在する。
 採集などの依頼は、ランクに合った物しか請ける事が出来ず、それ以上のランクの物を受ける事は出来ないが…
 討伐クエストに関しては、ランク以上の物を請けても問題はないという事だった。
 ただし、依頼として受けたからには達成しないと違約金が発生するのだが…完遂すれば問題は無かった。

 「これをお願いします!」
 「これは…Eランクでは達成は難しいと思いますよ?」
 「失敗したら違約金は払いますので。」
 「わかりました。Eランクのテイト様、ワイバーンの討伐をお願い致します。」

 僕は討伐依頼を請けると、ギルドを後にした。
 中に入ってから解ったけど、僕が勇者パーティーを抜けたという話は伝わっているみたいだった。
 まぁ、ホームにいた見知らぬ2名がギルド職員なら当たり前か。
 僕は討伐対象のゼイランド山頂を目指した。
 本来なら馬車や馬などを借りたい所だが、そこまでの資金に余裕が無かった。
 なので走って移動するしかないのだが、レベルが上がった所為か風の様に早くなっていた為に、目的地に昼過ぎには着いたのだった。

 「さて、ワイバーンだけど?何か多いな。」

 山頂に辿り着くと、そこには少なくとも30匹以上のワイバーンが空を埋め尽くしていた。
 ワイバーンというだけあって空を飛ぶ敵である。
 なので対空手段のない僕はどうすれば良いのか解らなかった…が、空にいるワイバーンに有効な手段が無いかと考えていると、魔法のイメージが頭に閃いたのだった。

 「サイクロン!」

 巨大な竜巻が空を埋め尽くすほどに飛んでいるワイバーンを吸い込むと、纏めて地面に落としたのだった。
 僕は剣を抜いて素早くワイバーンの首を落としていくと、ワイバーンの死体の山が出来上がっていた。

 「そういえば、ワイバーンの討伐証明部位ってどこだ?」

 依頼書を見ると、ワイバーンの頭と書かれていた。
 更に追加で、体を持ち帰れるのなら追加料金で買い取るという物だった。

 「そういえば、ワイバーンって高級食材だっけ?…とはいっても、全て持って帰りたいけど、どうしよう?」

 すると、頭の中で空間魔法のイメージが閃いて、ワイバーンの死体を全て収納した。
 確認をすると、ストレージにワイバーンの頭×32と胴×32と表示されていた。
 その他に見慣れないアイテムなどが数十種類入っていた。
 ドロップアイテムの類だろうか?
 後は山を下りて帰るだけなんだけど、素早く移動が出来ると言っても少々距離があって面倒くさかった。
 するとまた頭の中に空間魔法のイメージが閃いて、転移魔法というのが使える様になっていた。
 僕は転移魔法で街の入り口に行くと、そこでは勇者誕生の勇者パーティーのパレードが行われていた。
 僕は見付からない様に素早く移動してギルドに入ると、受付に討伐依頼成功の報告をした。

 「討伐成功って…討伐証明部位は何処にあるのですか?」
 「それなら、今だしますので!」

 僕は空間魔法からワイバーンを30匹排出した。
 ギルドホールには、ワイバーンの死体の山で占拠している状態だった。
 ちなみに残り2匹は自分の食料用に確保しているのだった。
 …とはいえ、ワイバーンの体長は8m以上ある物が30匹もいるので…

 「テイト様、いま空間魔法を使用しませんでしたか?」
 「はい、群れで飛んでいたのを全て捕まえて来たので全て空間魔法に収納して来たんです。 査定をお願いします。」
 「皆、確認をお願いします!」

 ギルド職員総出でワイバーンを調べ始めた。
 竜巻魔法で翼を損傷してはいるが、基本的には綺麗な状態らしく、値は高値が付いた。
 
 「ワイバーン30体を確認しました。1匹につき金貨2枚ですので、合計で金貨60枚になります。」
 「おぉ、結構儲かったね。」
 「それと、ランクアップも出来ますがどう致しますか?」
 「1ランクですか?」
 「いえ、2ランクアップです。」
 「という事は、Cランクか…なら、それでお願いします。」
 
 僕は金とギルドカードを受け取ると、その場を去ろうとした。
 だが、受付嬢に呼び止められた。

 「それだけの実力があるのでしたら、他の依頼も請けて欲しいのですが?」
 「いえ、遠慮します。僕が勇者パーティーから追い出された話はギルド内では伝わっていると思いますし、何よりあいつ等の拠点が此処にありますからね、いつまでもこの街に居たら奴等と顔を鉢合わせると思いますので。」
 「という事は、テイト様は他の街に移られるのですか?」
 「どこにするかはまだ決まってはいませんが、これからすぐに立つつもりです。」
 「そうですか…」

 僕はギルドを出ると、なるべく遠くの街に行く乗合馬車を選んでから乗り込んだ。
 金額は銀貨20枚を取られたが、かなりしっかりした作りでそれなりに豪華な馬車だった。
 
 「これでひと段落…あとは次の街に着くまでゆっくりとしよう。」

 この馬車には有能な護衛がいる。
 僕は久々に旅を楽しみながら次の街までのんびりと過ごしたのだった。
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