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第一部

第十七話 お約束的な…何これ?

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 俺はまず、王都でもならず者の集まりのとおりを通って行くと、とある酒場に着いた。
 俺が入ると、強面の冒険者やチンピラや派手な姿の女が一斉に俺の方を向いた。
 俺は手を握ってから、親指と薬指を上げて手を挙げた。
 すると俺を見ていた者達は、何事もなかった様にまた騒ぎ出した。
 俺はカウンターに行って席に座った。

 「御注文は?」
 「ミード八十六年物を、ここにいる者達にも振る舞ってくれ!」
 「旦那、かなり高く付きますぜ!」
 「気分が良い時は皆に奢るもんだ。」

 皆は騒ぎ出した。
 そして俺がジョッキを掲げてから、「良い夜に!」と叫ぶと…皆も同じ様に叫んだ。
 すると、奥の席に座っていた遊び人風の男が俺の所に寄ってきた。

 「豪気な兄さん、皆に奢りなんて…何かあったのかい?」
 「カジノで儲けたのでな、皆に運を分け与えているところだ。」
 「ほぉ?では…そんなツキまくっている兄さんよ、カード勝負はしないか?」
 「負けて身包み剥がされても恨むなよ!」

 遊び人風の男は、カードを切って来た。
 そしてこちらに五枚渡して来ると、俺は賭け金を用意した。

 「ヒュ~~~!兄さんよ、金貨百枚なんて全部スられても良いのかい?」
 「元は泡銭だ!気にする必要は無い。」
 「なら、オレが全てを戴いてやるよ!」
 
 そして男とポーカーを勝負して、俺は全敗して金貨百枚を持って行かれた。
 男は金貨を手に取ろうとすると、バーテンがその金貨を横取りした。

 「お前さんがツケた分の回収だ。」
 「そりゃねぇよ、おやっさん!」
 「畜生、カジノでツイていても…此処でのツキは無かったか!」
 
 俺は席を立ち上がり、酒場を出た瞬間に酒場は閉店した。
 中の客がいるのにだ。
 此処はならず者が集まるスラム街…俺のやる事は終わったのだった。

 テクトはカジノには一切行っていません。
 普段はケチ臭くて、見知らぬ者に酒を奢る様な真似もしません。
 さて、テクトは酒場に何しに来たのでしょうか?
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