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第二章
第六話 出会っている筈なのに…前編
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間抜けな勇者2人が草原を競う様な形で向かっている頃…テッド達はいつもの通り、夕食用の肉を確保するつもりで来ていたのだが?
ルットが辺りを見渡して言った。
「お肉…なんだけど、冷蔵庫の中に結構入っているよね?」
「あ、まぁ…確かに! 肉だけなら量はあるな…」
「最近は海の魚も久しく食べてないし、魚とかも良いかも…」
「魚か…確かに最近食べてないな。 少し前まで余裕が無かったから、今だと余裕もあるし良いかもね。」
クレーメルの街には、漁師もいる。
なので、魚屋もあるにはあるのだが…漁業があまり盛んではないので、大した量が獲れずに魚の値段は割と高い方だった。
…というのも、この島の周りの海は潮の流れが荒く、船もあまり遠出が出来なかった。
なので、獲れる魚の量も限られるのである。
ちなみに、貝類だけはやたら採れるのだが…貝類はあまり人気が無かった。
というのも、貝類の料理法がそれほど多くなく、焼いて食べる位でそれ以外の料理法がないのであった。
「でも、お兄ちゃんの調味料を使えばバリエーションが増えるんじゃないかな?」
「この間、エクストラ調味料で牛乳を覚えたんだけど、使っていたら…マーベラス調味料でチーズとバターが追加されたんだよ。」
「バターはともかく、チーズは高級品だよね? でも、チーズって調味料になるのかな?」
「僕のスキルで覚えられたんだから、調味料になるんじゃないのかな?」
僕のスキル調味料には、本当にこれは調味料なのかと思う物が多くあった。
調味料鑑定で大体の詳細は分かるんだけど、実際には本当にこの通りに使えるのか不思議な物迄あった。
まぁ、僕は料理人ではないので…本職のリットに任せるだけなんだけどね!
「この辺で魔物は何か枯れているなぁ…? 今回は討伐依頼じゃないし、海の方に行ってみようか?」
「やったー! お魚お魚!」
「お魚…久しぶり!」
妹達がはしゃいでいる姿を見ていると、魚の方が良かったかな?…と思った。
なら、僕に遠慮せずに行ってくれれば良いのに…
それに、これ以上の強い魔物はかなり奥の方に行かないといけなくなる。
そうなると、家にすぐに帰れる訳では無いし、途中で野宿しないと行けなくなるんだ。
妹達に野宿はさせたくない…というのは建前で、本当はキャンプ道具を持ち歩きたくないが正解なんだよね。
あれって…地味に重いからw
そんな事を思っていると、こちらに向かって来る大所帯のパーティーに出会った。
「君達も冒険者なの…って訳は無いか? 子供達だけでこんな所に来ては危ないだろ?」
「そうそう、ガキはさっさと家に帰って寝てろよ!」
言い方が少しきつめの人と、口の悪い人に出会った。
「こんな所にどうかしたんですか?」
「僕達は人を探しているんだけど…君達ではない事は確かだね。」
「そうそう、こんなガキには用はねぇよ‼」
「そうですか…」
誰を探しているのか解らないけど、人に話しかけるには失礼な物言いに感じた。
「実は君達より強そうなパーティーを探しているんだけど、知らないか?」
「ローファスさんの事かな? それだったら、この辺は枯れて獲物が居ないから奥の方に行くって言ってたけど…」
「そうか、ローファスって言うのか‼」
「なら、善は急げだ! 行くぞお前達!」
「ズルいぞ! 抜駆けは無しだぞウィンザー!」
そう言って大所帯のパーティーは僕の指さす方に進んで行ったのだ。
「なんだったんだろ、アレ?」
「さぁ? それよりも海に移動しようよ!」
「おっさかな~おっさかな~!」
僕達は海に向かって移動した。
海と言ってもクレーメルの街の港では無く、草原から森を抜けた場所にある海岸だった。
そして…目的の人物に会っていた筈の勇者2人は、こんな事を話していた。
「それにしても辺境の田舎じゃ、子供が街の外を出るのか…っていうか、門番は何で止めないんだ?」
「あのガキどもは孤児なんだろ? 俺もそうだったからわかるが、街の中の店では食い物は高くて買えないから、ゴミを漁るか…最悪は街の外に行って冒険者の狩りの残しを持って帰るとかしていたからな。 冒険者によっては、討伐証明だけ手に入れれば、解体とか面倒でそのまま放置するしな。」
「君は孤児だったのか…通りで育ちと口が悪いと思ったよ。」
「ジーニアス…お前、俺に喧嘩を売っているのか?」
すると、ジーニアスのパーティメンバーはある事に気付いた。
《あの子達の装備って、孤児が身に付けるには良い装備だったと思うけど…?》
勇者2人のパーティーは見当違いの方向を目指して行った。
・・・・・・・・・テッド達は?・・・・・・・・・
テッド達は海に着いていた。
「さて、魚を獲るんだけど…」
「海に潜るのね?」
「ブブー!」
「潜って獲るの?」
「それは一緒だよ。 大人の体じゃないのに海に潜って魔物に出くわしたら戦えないだろ?」
「怪我しても回復魔法使えるけど?」
「怪我を前提で話をするんじゃない! ルットがいるだろ?」
「え? 私⁉」
僕は遠くの海の方を指して言った。
「ルット、あの位置辺りにこの間のフェルスリーヴァの時みたく、竜巻の魔法を使えるかな?」
「トルネード…だと、威力が強過ぎて魚が細切れになっちゃうから…サイクロンかな?」
「ならそれで…海の底の方から風魔法で…あ、無理か! 水魔法で竜巻系ってある?」
「ちょっと待っててね。」
ルットは黒の本を取り出してからページを捲った。
そしてその中に適した魔法がある事を言ってくれた。
「使った事は無いけど、メイルストロームという魔法があるね。 それをどうするの?」
「僕の指を指した所に海底から巻き上げる様に僕達の方に持って来て欲しいんだ。 そうすれば、水魔法で巻き込んだ魚がこの場所に打ち上がるからね。」
「なるほど! やってみるね!」
「リットも万が一の場合を想定して警戒してね。」
「解った!」
ルットは黒の本を構えると、詠唱を唱えた。
「大いなる渦よ! かの場所を巻き上げよ! メイルストローム‼」
僕の指定した場所に小さな渦が発生した…と思ったら、急に大きくなっていった。
そして僕の誘導通りにこちらに渦を持って来ると、ルットは勢いを付けて水の渦を上空に飛ばしたのだった。
「魚は…多いな! だけど…? ロット、守護結界!」
「はい!」
ロットの守護結界が、僕達を包むと…落ちて来た魚が結界に弾かれて地面で跳ねていた。
…と思っていたら、ひと際大きいダイオウイカも振って来たのだった。
「リット…頼む!」
「は~い!」
僕はミドルソードの峰でリットを乗せてから、上空に向かって投げた。
するとリットは、上空でダイオウイカにトドメを刺してから、足や頭を切断して行った。
「お見事!」
「ありがとう…でも、聖剣グランマルスが魚屋さんみたいな匂いがする。」
「剣を構えてて、エクストラ調味料・水!」
僕はエクストラ調味料の水を出現させると、リットの聖剣グランマルスの刀身を洗い流した。
リットは聖剣グランマルスの水を切ってから鞘に納めると、僕は魚を持ち上げて…?
「このままマジックバッグに入れても平気だろうか?」
「凍らせちゃえば?」
「その手があったか!」
僕は魚に手を触れてから、ネイチャー調味料の氷を放った。
すると、魚は氷に覆われて行った…のだが?
「お兄ちゃん…氷魔法も使えたの?」
「これも調味料の一種らしい…? 氷も調味料に使えるって初めて知ったけど。」
僕とルットは、僕がやった様に氷魔法で凍らせていった。
そしてその魚をマジックバックに収めて行った。
「これで美味い魚料理が食べれるかな? リットのレシピには何かある?」
「ちょっと待っててね! クックレシピ!」
リットは言葉を唱えると、宙に本が出現した。
これはリットの料理人の固定スキルらしく、この中にはリットが作った料理以外に素材に触れれば新たなレシピが出現するという物だった。
「えっとね…鍋っていうスープ料理なのかな?が適しているみたい…なんだけど、ラビットの肉を一緒に煮込むと味が上がるって書いてある。」
「ラビット肉か…確か冷蔵庫には、ブル肉とボア肉しか無かったな…それで代用は出来ないのかな?」
「ボア肉だと臭みが出て、ブル肉は適さないみたい。」
「…となると、また草原に戻らないといけないのか。」
「さっき、ボアやブルはいなかったけど、ラビットは何匹か見たよ!」
「なら、面倒だけど獲りに行くか!」
僕達は再び草原を目指して行った。
・・・・・・・・・その頃、勇者2人はというと…?・・・・・・・・・
テッドの言った通りのローファスという冒険者に会えた。
「お前が英雄…ではないな、女が居ない。」
「あぁ、ハズレだね。」
「何だテメーらは? 人の顔を見てハズレとか言いやがって‼」
「あぁ、失礼! 件の英雄様を探していたのですが、先程…子供達に聞いたらこちらの方に向かったという話を聞きまして…」
「ガキだったが、女の方は…あと数年たてば俺好みになりそうなガキだったな!」
「子供達? あぁ…」
ローファスは考えた。
この口調からして、コイツ等は碌でもない奴等だと…
なので、ローファスは懲らしめるつもりで嘘の情報を教えた。
「英雄様達は多分…バーゲストの巣に向かって行ったな。 確か…あっちの方に向かったと思うが。」
「なるほど、行き違いでしたか…」
「また戻るのか…」
それだけ聞くと、勇者2人のパーティーは指定した方向に歩き出して行った。
「ローファス、あそこにバーゲストの巣なんてないぞ?」
「寧ろ…あそこにある巣は、長期睡眠中のキングディライノスの巣だろ?」
「あの野郎たちは、俺を見てハズレとか抜かしやがったんだ! それにテッド達を狙うとか言っていたみたいだし、丁度良いだろ?」
「確かに、何か偉そうな奴だったな。」
「まぁ、さすがに起こすような真似はしないだろうが…」
勇者2人のパーティーは、キングディライノスの巣に向かって行った。
キングディライノスとは?
災害級…いや、天災級クラスの魔獣で、一度眠りに就くと滅多な事では起きない草食獣である。
大型で鱗に覆われたサイの魔獣で、睡眠を妨害されると激怒して周囲を薙ぎ払うという。
だが、自分のテリトリーからは決して出る事は無い為に、余程の事が無い限りは冒険者ギルドでも手を出さない事にしている。
さて…?
勇者達はどうなるのだろうか?
物語は後半へと続きます。
ルットが辺りを見渡して言った。
「お肉…なんだけど、冷蔵庫の中に結構入っているよね?」
「あ、まぁ…確かに! 肉だけなら量はあるな…」
「最近は海の魚も久しく食べてないし、魚とかも良いかも…」
「魚か…確かに最近食べてないな。 少し前まで余裕が無かったから、今だと余裕もあるし良いかもね。」
クレーメルの街には、漁師もいる。
なので、魚屋もあるにはあるのだが…漁業があまり盛んではないので、大した量が獲れずに魚の値段は割と高い方だった。
…というのも、この島の周りの海は潮の流れが荒く、船もあまり遠出が出来なかった。
なので、獲れる魚の量も限られるのである。
ちなみに、貝類だけはやたら採れるのだが…貝類はあまり人気が無かった。
というのも、貝類の料理法がそれほど多くなく、焼いて食べる位でそれ以外の料理法がないのであった。
「でも、お兄ちゃんの調味料を使えばバリエーションが増えるんじゃないかな?」
「この間、エクストラ調味料で牛乳を覚えたんだけど、使っていたら…マーベラス調味料でチーズとバターが追加されたんだよ。」
「バターはともかく、チーズは高級品だよね? でも、チーズって調味料になるのかな?」
「僕のスキルで覚えられたんだから、調味料になるんじゃないのかな?」
僕のスキル調味料には、本当にこれは調味料なのかと思う物が多くあった。
調味料鑑定で大体の詳細は分かるんだけど、実際には本当にこの通りに使えるのか不思議な物迄あった。
まぁ、僕は料理人ではないので…本職のリットに任せるだけなんだけどね!
「この辺で魔物は何か枯れているなぁ…? 今回は討伐依頼じゃないし、海の方に行ってみようか?」
「やったー! お魚お魚!」
「お魚…久しぶり!」
妹達がはしゃいでいる姿を見ていると、魚の方が良かったかな?…と思った。
なら、僕に遠慮せずに行ってくれれば良いのに…
それに、これ以上の強い魔物はかなり奥の方に行かないといけなくなる。
そうなると、家にすぐに帰れる訳では無いし、途中で野宿しないと行けなくなるんだ。
妹達に野宿はさせたくない…というのは建前で、本当はキャンプ道具を持ち歩きたくないが正解なんだよね。
あれって…地味に重いからw
そんな事を思っていると、こちらに向かって来る大所帯のパーティーに出会った。
「君達も冒険者なの…って訳は無いか? 子供達だけでこんな所に来ては危ないだろ?」
「そうそう、ガキはさっさと家に帰って寝てろよ!」
言い方が少しきつめの人と、口の悪い人に出会った。
「こんな所にどうかしたんですか?」
「僕達は人を探しているんだけど…君達ではない事は確かだね。」
「そうそう、こんなガキには用はねぇよ‼」
「そうですか…」
誰を探しているのか解らないけど、人に話しかけるには失礼な物言いに感じた。
「実は君達より強そうなパーティーを探しているんだけど、知らないか?」
「ローファスさんの事かな? それだったら、この辺は枯れて獲物が居ないから奥の方に行くって言ってたけど…」
「そうか、ローファスって言うのか‼」
「なら、善は急げだ! 行くぞお前達!」
「ズルいぞ! 抜駆けは無しだぞウィンザー!」
そう言って大所帯のパーティーは僕の指さす方に進んで行ったのだ。
「なんだったんだろ、アレ?」
「さぁ? それよりも海に移動しようよ!」
「おっさかな~おっさかな~!」
僕達は海に向かって移動した。
海と言ってもクレーメルの街の港では無く、草原から森を抜けた場所にある海岸だった。
そして…目的の人物に会っていた筈の勇者2人は、こんな事を話していた。
「それにしても辺境の田舎じゃ、子供が街の外を出るのか…っていうか、門番は何で止めないんだ?」
「あのガキどもは孤児なんだろ? 俺もそうだったからわかるが、街の中の店では食い物は高くて買えないから、ゴミを漁るか…最悪は街の外に行って冒険者の狩りの残しを持って帰るとかしていたからな。 冒険者によっては、討伐証明だけ手に入れれば、解体とか面倒でそのまま放置するしな。」
「君は孤児だったのか…通りで育ちと口が悪いと思ったよ。」
「ジーニアス…お前、俺に喧嘩を売っているのか?」
すると、ジーニアスのパーティメンバーはある事に気付いた。
《あの子達の装備って、孤児が身に付けるには良い装備だったと思うけど…?》
勇者2人のパーティーは見当違いの方向を目指して行った。
・・・・・・・・・テッド達は?・・・・・・・・・
テッド達は海に着いていた。
「さて、魚を獲るんだけど…」
「海に潜るのね?」
「ブブー!」
「潜って獲るの?」
「それは一緒だよ。 大人の体じゃないのに海に潜って魔物に出くわしたら戦えないだろ?」
「怪我しても回復魔法使えるけど?」
「怪我を前提で話をするんじゃない! ルットがいるだろ?」
「え? 私⁉」
僕は遠くの海の方を指して言った。
「ルット、あの位置辺りにこの間のフェルスリーヴァの時みたく、竜巻の魔法を使えるかな?」
「トルネード…だと、威力が強過ぎて魚が細切れになっちゃうから…サイクロンかな?」
「ならそれで…海の底の方から風魔法で…あ、無理か! 水魔法で竜巻系ってある?」
「ちょっと待っててね。」
ルットは黒の本を取り出してからページを捲った。
そしてその中に適した魔法がある事を言ってくれた。
「使った事は無いけど、メイルストロームという魔法があるね。 それをどうするの?」
「僕の指を指した所に海底から巻き上げる様に僕達の方に持って来て欲しいんだ。 そうすれば、水魔法で巻き込んだ魚がこの場所に打ち上がるからね。」
「なるほど! やってみるね!」
「リットも万が一の場合を想定して警戒してね。」
「解った!」
ルットは黒の本を構えると、詠唱を唱えた。
「大いなる渦よ! かの場所を巻き上げよ! メイルストローム‼」
僕の指定した場所に小さな渦が発生した…と思ったら、急に大きくなっていった。
そして僕の誘導通りにこちらに渦を持って来ると、ルットは勢いを付けて水の渦を上空に飛ばしたのだった。
「魚は…多いな! だけど…? ロット、守護結界!」
「はい!」
ロットの守護結界が、僕達を包むと…落ちて来た魚が結界に弾かれて地面で跳ねていた。
…と思っていたら、ひと際大きいダイオウイカも振って来たのだった。
「リット…頼む!」
「は~い!」
僕はミドルソードの峰でリットを乗せてから、上空に向かって投げた。
するとリットは、上空でダイオウイカにトドメを刺してから、足や頭を切断して行った。
「お見事!」
「ありがとう…でも、聖剣グランマルスが魚屋さんみたいな匂いがする。」
「剣を構えてて、エクストラ調味料・水!」
僕はエクストラ調味料の水を出現させると、リットの聖剣グランマルスの刀身を洗い流した。
リットは聖剣グランマルスの水を切ってから鞘に納めると、僕は魚を持ち上げて…?
「このままマジックバッグに入れても平気だろうか?」
「凍らせちゃえば?」
「その手があったか!」
僕は魚に手を触れてから、ネイチャー調味料の氷を放った。
すると、魚は氷に覆われて行った…のだが?
「お兄ちゃん…氷魔法も使えたの?」
「これも調味料の一種らしい…? 氷も調味料に使えるって初めて知ったけど。」
僕とルットは、僕がやった様に氷魔法で凍らせていった。
そしてその魚をマジックバックに収めて行った。
「これで美味い魚料理が食べれるかな? リットのレシピには何かある?」
「ちょっと待っててね! クックレシピ!」
リットは言葉を唱えると、宙に本が出現した。
これはリットの料理人の固定スキルらしく、この中にはリットが作った料理以外に素材に触れれば新たなレシピが出現するという物だった。
「えっとね…鍋っていうスープ料理なのかな?が適しているみたい…なんだけど、ラビットの肉を一緒に煮込むと味が上がるって書いてある。」
「ラビット肉か…確か冷蔵庫には、ブル肉とボア肉しか無かったな…それで代用は出来ないのかな?」
「ボア肉だと臭みが出て、ブル肉は適さないみたい。」
「…となると、また草原に戻らないといけないのか。」
「さっき、ボアやブルはいなかったけど、ラビットは何匹か見たよ!」
「なら、面倒だけど獲りに行くか!」
僕達は再び草原を目指して行った。
・・・・・・・・・その頃、勇者2人はというと…?・・・・・・・・・
テッドの言った通りのローファスという冒険者に会えた。
「お前が英雄…ではないな、女が居ない。」
「あぁ、ハズレだね。」
「何だテメーらは? 人の顔を見てハズレとか言いやがって‼」
「あぁ、失礼! 件の英雄様を探していたのですが、先程…子供達に聞いたらこちらの方に向かったという話を聞きまして…」
「ガキだったが、女の方は…あと数年たてば俺好みになりそうなガキだったな!」
「子供達? あぁ…」
ローファスは考えた。
この口調からして、コイツ等は碌でもない奴等だと…
なので、ローファスは懲らしめるつもりで嘘の情報を教えた。
「英雄様達は多分…バーゲストの巣に向かって行ったな。 確か…あっちの方に向かったと思うが。」
「なるほど、行き違いでしたか…」
「また戻るのか…」
それだけ聞くと、勇者2人のパーティーは指定した方向に歩き出して行った。
「ローファス、あそこにバーゲストの巣なんてないぞ?」
「寧ろ…あそこにある巣は、長期睡眠中のキングディライノスの巣だろ?」
「あの野郎たちは、俺を見てハズレとか抜かしやがったんだ! それにテッド達を狙うとか言っていたみたいだし、丁度良いだろ?」
「確かに、何か偉そうな奴だったな。」
「まぁ、さすがに起こすような真似はしないだろうが…」
勇者2人のパーティーは、キングディライノスの巣に向かって行った。
キングディライノスとは?
災害級…いや、天災級クラスの魔獣で、一度眠りに就くと滅多な事では起きない草食獣である。
大型で鱗に覆われたサイの魔獣で、睡眠を妨害されると激怒して周囲を薙ぎ払うという。
だが、自分のテリトリーからは決して出る事は無い為に、余程の事が無い限りは冒険者ギルドでも手を出さない事にしている。
さて…?
勇者達はどうなるのだろうか?
物語は後半へと続きます。
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◇
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