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本編
第十話
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「何故私が処刑なんですの‼︎」
「何故って…」
私は現在、王妃が入っている牢の前で向かい合っていた。
処刑が決まって最期の面会者に私を指名したと言う話だった。
私は別に…王妃が処刑されようがどうでも構わない。
だって、それだけの事をしたのだから。
「大体…裁判員制度で、何故私を保護しようとする者が居ないのよ⁉︎」
「それは…聖女になって王族に嫁入りした後に散財する為に、市民の税を上げさせて豪遊なんてすれば反感を買うのが目に見えますでしょう。 王妃様は他にも…聖女としての仕事を放棄するだけでは無く、聖女の役割すら果たせていないで市民を無碍な扱いをしていれば…誰も賛同する方なんか居られないと思いますわよ。」
「市民にはいないけど、私の息のかかった貴族すら裏切られて…」
「バーミリオン王国の王妃が超大国のディスガルディア共和国に宣戦布告と捉えた発言をして、バーミリオン王国を危機に瀕した行動をすれば…我が身の可愛い貴族達は簡単に王妃を見限るでしょう。」
私は王妃と話していると頭が痛くなって来た。
王妃は基本的に…いえ、根本的に頭が悪い。
常識を全く知らないし、王妃を見ていると…平民の子の方が常識を知っているからだ。
「それで…本題に入りますが、何故私をお呼ばれになったのですか?」
「私は処刑になんてされたくはないのです‼︎」
「普通…処刑を嬉々して受け入れる人はいないと思いますが?」
「他の者達に期待していましたが無碍にされましたが、現聖女であるソフィアが私の処刑に意を唱えてくれれば…」
「お断り致します!」
「んなっ⁉︎」
この王妃…いえ、この女は何を言っているのだろう?
私が王宮に入った後に散々嫌がらせをしておいて、意見を聞くとでも思っていたのかしら?
「私と貴女は同じ聖女でしょう‼︎」
「私は聖女ですが、王妃は悪女…いえ、邪女でしょう? そんな悪魔を救護して世に放つ様な発言をすると思いますか?」
「私は貴女を散々可愛がってあげたのに‼︎」
「悪い意味で散々可愛がってくれましたけどね。」
私の発言で、普通の方法では私への説得は無理だと思った王妃は…今度は涙ながらに訴えて来た。
「私は死にたくはないの‼︎」
「あれだけの事を仕出かしておいて…処刑される道以外の逃げ道があると思っているんですか? 王妃は頭の中に花壇でもあるのですか?」
「私はダレードの事が心配なのよ‼︎」
今度は息子を持ち出して来ましたか…
これが幼子だったら多少気の毒と思った人も現れるかも知れませんが…?
貴族達の中で聖女に対して罵詈雑言を浴びせまくってから、聖女以外の者を選んで呪いに掛かって姿が変わった馬鹿王子を持ち出したところで…誰も同情はしないと思いますけどね。
「裁判が起きる前までは同じ牢に入っていたのに、裁判後は別々の牢に…」
「ダレード王子は、王妃程の罪にはならなかったのです。 ただ………」
「ただ何よ‼︎」
「ダレード王子は国外追放という事で刑が確定しました。」
「国外追放って…あんな姿のダレードを追放するって言うの⁉︎」
「あ、ただ国外追放って訳ではないですね。 言葉が足りませんでした。」
…そう、ダレード王子の刑は国外追放なのは間違いない。
でも、ただ国外追放する訳ではなかったのです。
「ダレード王子は、王妃が王族に嫁いだ時に散財した借金を精算させる為に…国外にある見世物小屋に売られる事になりました。」
「なっ⁉︎」
「ダレード王子はあの様な見た目なので…見世物小屋の中に居る者達の中ではダントツに客を呼べる看板になるでしょうからね。 後はどの位で精算できるかは本人次第ですけど。」
「王族を辱める様な事をして…心が痛まないの‼︎」
「ダレード王子も王妃も…もう王族ではありませんからね。 私は王妃の名前を知らないから王妃と呼んでいるだけですから…」
王妃は柵を掴んで訳のわからない事を喚き散らしていた。
これ以上…話をしていても無駄だろうから、最期に今迄の御礼を差し上げましょうか。
「これ以上…話はないと思いますので、私はこれで失礼致します…が、ダレード王子がこの国から居なくなったので、このままでは後継がいなくなって王国が崩壊する…と言う事にはならないので御安心下さい。」
「はぁ? この国にはダレード以外はいないわよ‼︎」
「貴女の息子の馬鹿王子に嫁ぐ事は真っ平御免でしたが、理解力のある国王陛下になら嫁いでも良いかも知れませんね。 国王陛下は割と好みの男性ですし、私は後釜に入って国王陛下を支えて立派な王国に仕上げて参りますので、王妃は雲の上から…いえ、天国には行けないでしょうから、地獄から見守っていて下さいね!」
私は王妃が良くやっていた…人を蔑んだ表情で見下ろしながら笑みを浮かべる姿を真似した。
すると王妃は、柵が壊れるかも知れないくらいに力を入れて憤怒をしていた。
私は王妃に最期の別れとして、手をヒラヒラと振りながらその場を去って行った。
すると、牢の扉が閉まるまで叫び声が牢屋中に響き渡っていたのだった。
「まぁ、私に国王陛下に嫁ぐ意思なんて全くないけどね。」
若い頃はさぞかし美形だったのかも知れないけど、結婚相手なら同じ年齢の相手を選びたい。
それから二日後に王妃の処刑が行われた。
王妃は最期まで…「この王国を呪ってやる‼︎」と不気味に叫んでいた。
離れた場所ではダレードが母親の処刑を見届けた後に、見世物小屋に売られる為にバーミリオン王国を去って行ったのだった。
ダレードのその後は……?
まぁ、皆様の想像にお任せ致します。
「何故って…」
私は現在、王妃が入っている牢の前で向かい合っていた。
処刑が決まって最期の面会者に私を指名したと言う話だった。
私は別に…王妃が処刑されようがどうでも構わない。
だって、それだけの事をしたのだから。
「大体…裁判員制度で、何故私を保護しようとする者が居ないのよ⁉︎」
「それは…聖女になって王族に嫁入りした後に散財する為に、市民の税を上げさせて豪遊なんてすれば反感を買うのが目に見えますでしょう。 王妃様は他にも…聖女としての仕事を放棄するだけでは無く、聖女の役割すら果たせていないで市民を無碍な扱いをしていれば…誰も賛同する方なんか居られないと思いますわよ。」
「市民にはいないけど、私の息のかかった貴族すら裏切られて…」
「バーミリオン王国の王妃が超大国のディスガルディア共和国に宣戦布告と捉えた発言をして、バーミリオン王国を危機に瀕した行動をすれば…我が身の可愛い貴族達は簡単に王妃を見限るでしょう。」
私は王妃と話していると頭が痛くなって来た。
王妃は基本的に…いえ、根本的に頭が悪い。
常識を全く知らないし、王妃を見ていると…平民の子の方が常識を知っているからだ。
「それで…本題に入りますが、何故私をお呼ばれになったのですか?」
「私は処刑になんてされたくはないのです‼︎」
「普通…処刑を嬉々して受け入れる人はいないと思いますが?」
「他の者達に期待していましたが無碍にされましたが、現聖女であるソフィアが私の処刑に意を唱えてくれれば…」
「お断り致します!」
「んなっ⁉︎」
この王妃…いえ、この女は何を言っているのだろう?
私が王宮に入った後に散々嫌がらせをしておいて、意見を聞くとでも思っていたのかしら?
「私と貴女は同じ聖女でしょう‼︎」
「私は聖女ですが、王妃は悪女…いえ、邪女でしょう? そんな悪魔を救護して世に放つ様な発言をすると思いますか?」
「私は貴女を散々可愛がってあげたのに‼︎」
「悪い意味で散々可愛がってくれましたけどね。」
私の発言で、普通の方法では私への説得は無理だと思った王妃は…今度は涙ながらに訴えて来た。
「私は死にたくはないの‼︎」
「あれだけの事を仕出かしておいて…処刑される道以外の逃げ道があると思っているんですか? 王妃は頭の中に花壇でもあるのですか?」
「私はダレードの事が心配なのよ‼︎」
今度は息子を持ち出して来ましたか…
これが幼子だったら多少気の毒と思った人も現れるかも知れませんが…?
貴族達の中で聖女に対して罵詈雑言を浴びせまくってから、聖女以外の者を選んで呪いに掛かって姿が変わった馬鹿王子を持ち出したところで…誰も同情はしないと思いますけどね。
「裁判が起きる前までは同じ牢に入っていたのに、裁判後は別々の牢に…」
「ダレード王子は、王妃程の罪にはならなかったのです。 ただ………」
「ただ何よ‼︎」
「ダレード王子は国外追放という事で刑が確定しました。」
「国外追放って…あんな姿のダレードを追放するって言うの⁉︎」
「あ、ただ国外追放って訳ではないですね。 言葉が足りませんでした。」
…そう、ダレード王子の刑は国外追放なのは間違いない。
でも、ただ国外追放する訳ではなかったのです。
「ダレード王子は、王妃が王族に嫁いだ時に散財した借金を精算させる為に…国外にある見世物小屋に売られる事になりました。」
「なっ⁉︎」
「ダレード王子はあの様な見た目なので…見世物小屋の中に居る者達の中ではダントツに客を呼べる看板になるでしょうからね。 後はどの位で精算できるかは本人次第ですけど。」
「王族を辱める様な事をして…心が痛まないの‼︎」
「ダレード王子も王妃も…もう王族ではありませんからね。 私は王妃の名前を知らないから王妃と呼んでいるだけですから…」
王妃は柵を掴んで訳のわからない事を喚き散らしていた。
これ以上…話をしていても無駄だろうから、最期に今迄の御礼を差し上げましょうか。
「これ以上…話はないと思いますので、私はこれで失礼致します…が、ダレード王子がこの国から居なくなったので、このままでは後継がいなくなって王国が崩壊する…と言う事にはならないので御安心下さい。」
「はぁ? この国にはダレード以外はいないわよ‼︎」
「貴女の息子の馬鹿王子に嫁ぐ事は真っ平御免でしたが、理解力のある国王陛下になら嫁いでも良いかも知れませんね。 国王陛下は割と好みの男性ですし、私は後釜に入って国王陛下を支えて立派な王国に仕上げて参りますので、王妃は雲の上から…いえ、天国には行けないでしょうから、地獄から見守っていて下さいね!」
私は王妃が良くやっていた…人を蔑んだ表情で見下ろしながら笑みを浮かべる姿を真似した。
すると王妃は、柵が壊れるかも知れないくらいに力を入れて憤怒をしていた。
私は王妃に最期の別れとして、手をヒラヒラと振りながらその場を去って行った。
すると、牢の扉が閉まるまで叫び声が牢屋中に響き渡っていたのだった。
「まぁ、私に国王陛下に嫁ぐ意思なんて全くないけどね。」
若い頃はさぞかし美形だったのかも知れないけど、結婚相手なら同じ年齢の相手を選びたい。
それから二日後に王妃の処刑が行われた。
王妃は最期まで…「この王国を呪ってやる‼︎」と不気味に叫んでいた。
離れた場所ではダレードが母親の処刑を見届けた後に、見世物小屋に売られる為にバーミリオン王国を去って行ったのだった。
ダレードのその後は……?
まぁ、皆様の想像にお任せ致します。
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