私の最悪な婚【厄】者様!

アノマロカリス

文字の大きさ
上 下
10 / 13
本編

第八話

しおりを挟む
 私とリテットはバーミリオン王国の城門で騎士に理由を告げた。

 「現聖女ソフィア・デリランシェスです。 ディスガルディア共和国の使者である、リテット・テンガーロット様と共に国王陛下にお目通りをさせて欲しいのですが…」

 「聖女ソフィア様、大変申し訳ありませんが…王妃陛下により、聖女ソフィア様の入城は許可が出ておりません。」

 「普段ならそれも仕方がないと諦めますが、今回は話が別です! 急ぎ国王陛下の耳に入れなければならない緊急な案件です。」

 「で、ですが…」

 「事の重大さが分かっておられないみたいですね、このままではバーミリオン王国は世界から消えるくらいの大事なのです! 大至急に国王陛下にお取次ぎ下さい‼」

 私の表情は決して噓を言っている状態では無い事が騎士には伝わっていた。

 騎士は急いで私とリテットを連れて王の間に連れて行った。 

 そして王の間に入ると、国王陛下が玉座に腰掛けていた。

 私の伝言を国王陛下に伝えると、私は国王陛下から質問を受けた。

 「ソフィアよ、久しいな…それで火急な要件とは一体何なのだ?」

 「その前に…陛下、人払いをお願い出来ませんか?」

 国王陛下は人払いをすると、私たち以外の者達を王の間から出した。

 そして私は話し始めた。

 「まずは…私の隣にいる方を紹介致します!」

 「初めましてバーミリオン国王、私はディスガルディア共和国プリズムナイツの序列9位のリテット・テンガーロットです。 今回はディスガルディア共和国大統領・グランマリー・バーンシュタット様の命を受けて参った次第で御座います。」

 「そのお姿はプリズムナイツの正装…書物にあった通りのお姿ですな。」

 「国王陛下、半年ほど前に…王妃陛下がディスガルディア共和国に書簡を送った話は御存じですよね?」

 「あぁ、ダレードを元に戻せるかもしれない可能性があるという事で許可を出したが?」

 「実は今回リテット様が…王妃からの書簡の内容を確認する為に、王族と関りを持つ私に会いに来られまして書簡の内容を確認して欲しいと言われたのですが…」

 「ふむ?」

 「書かれている内容があまりにも酷くて…王妃様はディスガルディア共和国に宣戦布告を吹っ掛けているのではないかという内容になっているのです。 詳しくはこの書簡をお読みください。」

 私は国王陛下に書簡を渡すと、国王陛下は書簡を開いて内容を読み始めた。

 そして全てに目を通し終わった後に国王陛下は玉座から立ち上がってから、リテットの前に土下座をして謝罪をしていた。

 「これは王妃の独断であり、バーミリオン王国の総意ではないと思っても宜しいですね?」

 「左様で御座います! ソフィアよ、見せてくれて感謝をする!」

 「私もこれを読んだ時は正直焦りました。 大統領は緑園の魔女と呼ばれ、魔女協会を保護する立場の御方に対して…世界から駆逐しろなんて書き記したのです。 リテット様からもお聞きしましたが、王妃様の手紙の内容で大統領のグランマリー様は大層御立腹のようで…バーミリオン王国はディスガルディア共和国に喧嘩を吹っ掛けているのではないかと言われたらしいのです。」

 「この文章の内容では、確かにそう思われても仕方のない内容だな。」

 私と国王陛下は深い溜息を吐いた。

 「リテット様にお聞きしたいのですが、今回のマーテルリア様にご訪問の件は当然ですが…」

 「勿論許可は出来ないという結論になりました。」

 「まぁ、そうなりますよね…」

 私は国王陛下に向かって進言をした。

 「国王陛下、王妃様を今後どの様な扱いになさりますか?」

 「無論、王妃は王族地位を剥奪し国外追放とする事にする。」

 「少し甘い処罰に感じますが…」

 「従者を付けることなく、小銭程度の金を渡して追放だからな。 聖女の実力がほとんどないフランソワーズなら、国外追放は処刑をするのと大差が無いだろう…リテット殿もそれで納得をして貰えませぬか?」

 「他国に亡命をする可能性はないですか?」

 「王妃様は元は準男爵で、聖女の力を振りかざして王子妃教育を蹴った人でもあります。 他国にも親族くらいはいるかもしれませんが…勉強という勉強はほとんどやって来なかった上に、聖女修行もして来なかったので…王国の外に放り出されたら何処にも行けないでしょうね。」

 「確かに…あんな書簡の内容ならそうでしょうね。」

 そんな話をしている最中に王の間の扉が勢い良く開かれた。

 私達は振り返ると、そこには怒り心頭な王妃が立っていた。

 そして王妃は…好き放題な事を喚き散らすのだけれど?
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?

Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」 私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。 さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。 ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

【4話完結】聖女に陥れられ婚約破棄・国外追放となりましたので出て行きます~そして私はほくそ笑む

リオール
恋愛
言いがかりともとれる事で王太子から婚約破棄・国外追放を言い渡された公爵令嬢。 悔しさを胸に立ち去ろうとした令嬢に聖女が言葉をかけるのだった。 そのとんでもない発言に、ショックを受ける公爵令嬢。 果たして最後にほくそ笑むのは誰なのか── ※全4話

【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜

彩華(あやはな)
恋愛
 一つの密約を交わし聖女になったわたし。  わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。  王太子はわたしの大事な人をー。  わたしは、大事な人の側にいきます。  そして、この国不幸になる事を祈ります。  *わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。  *ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。 ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。

「次点の聖女」

手嶋ゆき
恋愛
 何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。  私は「次点の聖女」と呼ばれていた。  約一万文字強で完結します。  小説家になろう様にも掲載しています。

帰還した聖女と王子の婚約破棄騒動

しがついつか
恋愛
聖女は激怒した。 国中の瘴気を中和する偉業を成し遂げた聖女を労うパーティで、王子が婚約破棄をしたからだ。 「あなた、婚約者がいたの?」 「あ、あぁ。だが、婚約は破棄するし…」 「最っ低!」

自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?

長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。 王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、 「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」 あることないこと言われて、我慢の限界! 絶対にあなたなんかに王子様は渡さない! これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー! *旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。 *小説家になろうでも掲載しています。

婚約者の不倫相手は妹で?

岡暁舟
恋愛
 公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。

処理中です...