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本編
第二話
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数日後…私は城から使いの者が来て呼び出された。
呼び出した者は、国王陛下でも王妃陛下でもなく…
息子で王子のダレードからだそうだった。
正直言って、私はあの男と会話する気は全くない。
罵詈雑言を浴びせてから婚約破棄を謳った相手に、今更何の情も湧く事はなかったからです。
なのですが…ダレード王子は、今迄の態度とは打って変わって頼み込んできたという話でした。
私はダレード王子との関係をスッパリ断つ為に赴きました。
私は応接室に入ると、顔面タコちゅーのダレードが静かに座っていました。
「ソフィア…呼び出しに応じてくれて感謝する!」
確かに…今迄のダレードとは時違う気がした。
今迄のダレードだったら、私の事は…おい!とか、ブサイク!とか言って名前を呼ばれる事はなかったからだった。
そしてダレードは、今迄に私に対する非礼を全て詫び出して来たのでした…が、その素直な謝罪に信じられないというより、この状況を打破する為に演技をしろと王妃陛下に吹き込まれたのでしょう。
さもなければ、万年悪口発生機のダレードがこんなに素直に謝罪をするわけはありません。
恐らくですが…自身の状況を元に戻す為には、私の協力がないといけないという事を吹き込まれたのでしょう。
表面上を上手く取り繕っていてもすぐにバレます。
だって…先程から私を呼ぶ時の声が、名前では無く…おい!とか、ぶ…という言葉を態々言い直しているからです。
「…だからな、今までのことは許して欲しいんだ。」
「それも、母親である王妃陛下からされた話ですか?」
「母上? いや、これは俺の本心だ。」
いやいや、そんな嘘はすぐにバレるって!
なら私は…ダレードを少し試してみる事にした。
「そうですねぇ…それが貴方の本心だったとして、それ自体はすぐには無理ですが…許す事に努力を努めましょう。」
「すぐには無理か…それが分かるまではどれ位待つ必要がある?」
「そうですねぇ、10年か20年か…それくらいに長い時を要するかもしれません。」
「んなっ‼︎」
ダレードにとって、許しにそこまで長い期間が必要だとは思ってはいなかった。
母親である王妃陛下からは、すぐには許しては貰えないとでも聞かされていたんだろうけど…そこまで長いとは予想をしていなかったみたいだった。
するとダレードは身体を震わして叫び出した。
「この俺様がこんなに下手に出て謝罪してやっているというのに、貴様のその態度は何なんだ‼︎」
「やっぱり…演技でしたか。」
「俺は貴様から赦しを得られれば、元の姿に戻って…お前の様な女でも貰ってやろうと譲歩してやったというのに‼︎」
「こんな感じでは、貴方に対して愛と慈しみを持って…というのは夢のまた夢ですね。」
「貴様は何か忘れているみたいだが…俺が元に戻らないとどうなるかわかっているんだろうな?」
「はて…?」
「俺が戻らなければ、父上の代で王国は取り潰されて王国が無くなるんだぞ! それでも良いのか⁉︎」
「そうなった場合は、公爵家はバーミリオン王国を見限って他大陸に移り住むだけですよ。」
「な、何だと⁉︎」
「貴方が婚約発表の場で私に浴びせた罵詈雑言の数々を、私のお父様が聞いて何も思わなかったとお思いですか? それが答えです!」
私は話を終えると立ち上がってから部屋のドアノブに手を掛けた。
すると、先程まで怒り狂っていたダレードが流石に不味いと感じたのか、また潮らしい態度に戻って声を掛けて来た。
「済まなかった、少し頭に血が昇っていたみたいだ。」
「それが本音ですよね? もう…この場に来ることはないと思いますので…」
私は部屋を出ると、思いっきり扉を閉めた。
これでダレードの馬鹿王子も少しは立場を理解したかな?
まぁ、仮に反省をしたところで私はもう許す気は全くないけどね。
これで…もう終わりだと思っていた。
ところが、この数日後…今度は王妃陛下に呼び出される事になる。
呼び出した者は、国王陛下でも王妃陛下でもなく…
息子で王子のダレードからだそうだった。
正直言って、私はあの男と会話する気は全くない。
罵詈雑言を浴びせてから婚約破棄を謳った相手に、今更何の情も湧く事はなかったからです。
なのですが…ダレード王子は、今迄の態度とは打って変わって頼み込んできたという話でした。
私はダレード王子との関係をスッパリ断つ為に赴きました。
私は応接室に入ると、顔面タコちゅーのダレードが静かに座っていました。
「ソフィア…呼び出しに応じてくれて感謝する!」
確かに…今迄のダレードとは時違う気がした。
今迄のダレードだったら、私の事は…おい!とか、ブサイク!とか言って名前を呼ばれる事はなかったからだった。
そしてダレードは、今迄に私に対する非礼を全て詫び出して来たのでした…が、その素直な謝罪に信じられないというより、この状況を打破する為に演技をしろと王妃陛下に吹き込まれたのでしょう。
さもなければ、万年悪口発生機のダレードがこんなに素直に謝罪をするわけはありません。
恐らくですが…自身の状況を元に戻す為には、私の協力がないといけないという事を吹き込まれたのでしょう。
表面上を上手く取り繕っていてもすぐにバレます。
だって…先程から私を呼ぶ時の声が、名前では無く…おい!とか、ぶ…という言葉を態々言い直しているからです。
「…だからな、今までのことは許して欲しいんだ。」
「それも、母親である王妃陛下からされた話ですか?」
「母上? いや、これは俺の本心だ。」
いやいや、そんな嘘はすぐにバレるって!
なら私は…ダレードを少し試してみる事にした。
「そうですねぇ…それが貴方の本心だったとして、それ自体はすぐには無理ですが…許す事に努力を努めましょう。」
「すぐには無理か…それが分かるまではどれ位待つ必要がある?」
「そうですねぇ、10年か20年か…それくらいに長い時を要するかもしれません。」
「んなっ‼︎」
ダレードにとって、許しにそこまで長い期間が必要だとは思ってはいなかった。
母親である王妃陛下からは、すぐには許しては貰えないとでも聞かされていたんだろうけど…そこまで長いとは予想をしていなかったみたいだった。
するとダレードは身体を震わして叫び出した。
「この俺様がこんなに下手に出て謝罪してやっているというのに、貴様のその態度は何なんだ‼︎」
「やっぱり…演技でしたか。」
「俺は貴様から赦しを得られれば、元の姿に戻って…お前の様な女でも貰ってやろうと譲歩してやったというのに‼︎」
「こんな感じでは、貴方に対して愛と慈しみを持って…というのは夢のまた夢ですね。」
「貴様は何か忘れているみたいだが…俺が元に戻らないとどうなるかわかっているんだろうな?」
「はて…?」
「俺が戻らなければ、父上の代で王国は取り潰されて王国が無くなるんだぞ! それでも良いのか⁉︎」
「そうなった場合は、公爵家はバーミリオン王国を見限って他大陸に移り住むだけですよ。」
「な、何だと⁉︎」
「貴方が婚約発表の場で私に浴びせた罵詈雑言の数々を、私のお父様が聞いて何も思わなかったとお思いですか? それが答えです!」
私は話を終えると立ち上がってから部屋のドアノブに手を掛けた。
すると、先程まで怒り狂っていたダレードが流石に不味いと感じたのか、また潮らしい態度に戻って声を掛けて来た。
「済まなかった、少し頭に血が昇っていたみたいだ。」
「それが本音ですよね? もう…この場に来ることはないと思いますので…」
私は部屋を出ると、思いっきり扉を閉めた。
これでダレードの馬鹿王子も少しは立場を理解したかな?
まぁ、仮に反省をしたところで私はもう許す気は全くないけどね。
これで…もう終わりだと思っていた。
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