【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス

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第九話 テッド…キレる?

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 テッドは妹達の声がする方に急いで向かう為に、階段を駆け上がった。
 
 すると…長女のリットが双子の妹を庇う為に背中に隠していた。

 その目の前には、ヘルハウンドがいた。

 リットは妹達を庇いながら、ヘルハウンドに向けて包丁を構えている。

 その背後にいるルットは問題無かったが、ロットからは出血していてぐったりしているようだった。

 「父さん達にもしもの事があれば、お前が妹達を護るんだぞ!」

 僕は父さんとの約束を…約束を…

 そしてヘルハウンドはリットに襲い掛かる為に飛び上がった。

 「やめろーーー!!!」

 僕は剣を抜いて、ヘルハウンドの脇腹を貫いていた。

 そして剣を抜いてから、瀕死になっているヘルハウンドの首を落とした。

 「お兄ちゃん、ロットが…」

 僕は回復水をロットに掛けた。

 傷は塞がった…が、まだ顔色が悪く危険な状態だった。

 僕はロットの頬に手を当てた。

 ロットの体温は徐々に下がっているのを感じた。

 「ロット! ロット! 目を覚ますんだ! ロットーーー!!!」

 ロットは意識が無いまま…呼吸が浅くなって行き、そして…

 「ロット!」「ロット⁉︎」

 ロットは眠る様に息を…

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 テッドは叫び出すと、全身からありえない量の魔力が噴き出して、その光は家の天井を突き破って…空に伸びて行った。

 そしてテッドは、ロットに手をかざすと…ロットは光に包まれて、息を吹き返したのだった。

 ここにいるのは危険と判断したテッドは、妹達を連れて冒険者ギルドに向かおうと家を出た。

 すると、そこに偶然通り掛かった貴族の馬車が停まった。

 どうやら貴族達も住民の避難に一役かっている様だった。

 テッドは貴族に言った。

 「すいません、妹達を冒険者ギルドに運んで貰えませんか?」

 「それは構わないが…君はどうするんだ?」

 「僕は冒険者なので!」

 「待ってよ、お兄ちゃん! 一緒に行こうよ!」

 「ゴメンなリット、お兄ちゃんは他にも逃げ遅れた人が居ないか確認しないとだから…」

 「なら…絶対に迎えに来てよ! 死んだりしたら許さないんだからね‼︎」

 「お兄ちゃんが約束を破った事があったか?」

 「何度もあった。」

 「私のおやつを食べた事をリットお姉ちゃんの所為にした…」

 「私の髪飾りを踏んで壊した事をスッとボケた。」

 妹達のツッコミに、テッドは焦った表情をした。

 「安心してくれ、無茶な事はしないから…行って下さい!」

 「君も気を付けて!」

 そう言って馬車は走り去って行った。

 その馬車を見ながら、テッドは…

 「ゴメンな! お兄ちゃんは、また嘘を付いた…」
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