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第二章
第十三話 フェンリル族のオルシェス登場!(原作ではクイズを出題して来ましたが…?)
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ギルドからの調査依頼で大型の獣型の魔獣が出没するというので、レイリアとクリアベールのいた場所から離れた所に来てみたのだが…?
「サーチを広範囲に広げているけど何も引っ掛からないし、今回はハズレかな?」
大型の獣…中型のモンスターの反応は幾つかあるけど、大型はいない。
グレートホーンブルも大型の部類に入るけど、それならグレートホーンブルと表示されるし、手傷を追わせない限り大人しい魔物だから問題はない筈だろう。
僕は一度レイリアとクリアベールの元に戻った。
すると、2人はまだ訓練を続けていた。
「ベルもリアも頑張っているね…関心関心!」
だけど、集中し過ぎるあまり…疎かになっていないかを確認する為にレイリアの背後に近付いてから、耳に息を吹きかけた。
さすがに2度目は耳が若干反応した位で大した動きは見せなかった。
なので、脇腹を両方の人差し指を突いた。
「もう…その攻撃は反則!」
集中力が途切れて、また鉄が溶けた。
レイリアは地面にしゃがみ込んで脇腹を押さえながら言った。
「敵は正面から来る訳じゃないんだから、後方や側面からの警戒を怠らない事だね。」
「そんな事言われたって、どう対処すれば良いか解らないもん!」
「そうだね…リアにはまだ二種同時発動が出来ないから対処は無理かもしれないけど、今後出来る様になるから…」
「ならお兄ちゃんは出来るの?」
「勿論、目の前の敵に魔法を発動している間は、身体にも防御魔法を発動しているからね。」
「お兄ちゃん…簡単に言っているけど、それって普通出来る人いないわよ!」
僕は体に防御魔法を展開しながら、右手に炎と左手に雷を同時に出現させた。
三種同時発動を見せたのだけど…?
「それこそ出来る人なんてほとんどいないわよ!」
「ここにいますけど、何か?」
「師匠…とんでもない事やっていますね…」
「おや、ベル? 魔力制御はどうしたの?」
「師匠が気になってそれどころじゃありません! 師匠は何種の同時出現が出来るのですか?」
「さぁ? 何種だっけ? 試してみるか…」
ここなら何もないし、派手な魔法をぶっ放しても大丈夫だろうと思った。
テルシア王国で宮廷魔術師のテルセラ様には四種同時の合成魔法を見せてから、それ以上をやろうとしたら怒られたが…ここなら多少地形が変形しても平気だろう。
「炎・水・風・土・雷・氷・光・闇……」
「八種同時出現ですか⁉」
「そ…そんな事出来る人…」
「八種同時合成………えーっと、名前何にしよう? まぁ、いいか!」
僕は八属性を一つに束ねてから放った。
それが地面に当たると、大爆発を起こして周囲に爆風が起きた。
『グワァァァァァァァァァァァァ!!!』
「ん? あ、やっべ! 誰かいたか?」
索敵魔法で人の確認をするが、人は見当たらなかった。
だとしたら、今の声は何?
爆発後に地面に当たった場所をみると、テルシアから旅立ってすぐに落ちた巨大な穴の様なクレーターが出来ていた。
穴の大きさは深さが100mだけど、広さが1km程になっていた。
まぁ、この広大な草原でこの大きさなら大した事は無いだろう。
「なんていう威力ですか⁉」
「お兄ちゃん…これは洒落にならないわよ…」
「テヘッ!」
「テヘッ…じゃないですよ‼ どうするんですか、これ…?」
「師匠、規格外過ぎです…」
僕は2人に呆れられてしまった。
まぁ、今後は控えるとして…そういえば、先程の声は一体何だったんだろう?
……と思っていたら、白い塊が飛んできて穴の方に落ちて行った。
「ありゃ? 何か底の方に落ちて行ったな…」
「白い毛の長い犬?……みたいな感じでしたけど。」
「魔物でしょうか? 結構大きかったですよ…」
魔物で結構大きい…?
もしかして、これが依頼の大型の獣か?
「2人はここで待っていて、ちょっと見てくるから!」
「「はい…」」
僕は浮遊魔法で穴の底に降りて行った。
上で2人が何か話しているようだが、良く聞こえなかった。
そして穴の底に降りると、白い犬のようなモノが地面に突き刺さっていた。
僕はパワーブーストを発動してから、犬らしきモノの足を掴んで地面から引き抜いた。
『ブファッ! 済まんな…身動きが取れなくて息が出来なかった!』
「いえ、僕の所為でこんな大穴を開けてしまったので、助けるのは当然で…って、犬が喋った⁉」
『我は犬ではない! フェンリルだ‼』
「え? フェンリル⁉︎ 何故寒冷地方の魔物がこんな場所に?」
『我はな…強き者と戦う為にこの地に来たのだ‼』
「そうでしたか…では、強き者とやらに会えるのを祈っております。 では!」
『いや、強き者には出逢えたぞ!』
「それは良かった! では、僕はこれで…」
僕は浮遊魔法で浮き上がろうとすると、フェンリルは止めた。
『強き者…それはお主だ‼』
「僕は強くなんかありませんよ?」
『お主な…この大地にこんな大穴を開けた奴が弱くない訳が無かろう!』
「買い被り過ぎですよ、僕は強くなんかありません。 強くなりたいとは思っていますけどね…」
『謙虚な奴だ! 気に入ったぞ…我と戦え!』
「お断りします。 では、そういう事で…」
僕は飛び立とうとすると、回り込んで威嚇をしてきた。
どうやっても僕と戦いらしい。
「わかりましたよ! その勝負を受けましょう!」
『感謝する! 強き者よ!』
「その前に、ここの広さを把握しないといけませんね。 この穴の広さで大丈夫ですか?」
『問題は無いと思うが、何か不満か?』
「僕の目には、周囲の壁の広さが解りませんので…壁伝いに1周走って貰えませんか?」
『なるほど、我の行動範囲を確認する為だな! 良いだろう…』
フェンリルは壁に向かって走りだした。
僕はその隙に、浮遊魔法を発動して穴から脱出した。
僕には戦う気は全くないし、無駄な戦いはしたくないのでの策だった。
フェンリルは僕がその場を離れた事も知らずに壁伝いに走り回っていた。
「師匠、おかえりなさい! それで、穴の底には何かいたんですか?」
「フェンリルっていう犬がいた。」
「フェンリルって…災害級の魔獣ですよね? お兄ちゃん、大丈夫だったの?」
「僕と戦いたいと言って来たから、奴を騙して逃げて来たから…もしかすると、そろそろ…」
『オイコラーーーーーー逃げやがったなーーーー!!!』
「あ、逃げたのがバレた!」
「追って来たらどうするんですか?」
「大丈夫でしょ、あの穴の高さからは出られないさ…その間にこの場から離れよう。」
僕等はその場から離れようと走った。
すると、フェンリルは壁を駆け上って穴から脱出して目の前に現れた。
『お主…我をおちょくっているのか⁉』
「おぉ! あの壁を登れるとは!」
『我のとってあの高さなど造作もない事だ!』
「どうするんですか、師匠?」
「お兄ちゃん…」
さて、どうするかね…?
災害級の魔獣と言っても、別に大した事が無いように思えている。
適当に誤魔化して逃げたとしても、こんなに早く追い付かれるのでは逃げようもないか…。
「戦うのは構わないけど、自分が死ぬという恐怖はないの?」
『お主…随分と言うではないか! そんなに自信があるのか⁉』
「じゃあ、聞くけど…貴方にこの穴を開ける程の破壊力のある攻撃手段はあるの?」
フェンリルは背後の穴をチラっと見た。
そして眉間にシワを寄せて考えていた。
「これと同じ破壊が出来ないなら、戦っても結果は分かっていると思うけど、それでもやるの?」
『残念ながら、我にはこれ程までの破壊力のある攻撃手段はない!』
「なら帰る? それなら見逃してあげても良いけど…」
『いや、戦うさ! ただし…』
「そうか! じゃあ、消滅魔法…」
『ち…ちょ、ちょっ…ちょっとまて! 話は終わっとらんぞ! ただし…と言うたであろう! それに今…消滅なんとかと聞こえたのだが⁉』
「なんか面倒くさいから、一瞬で消し炭にしてあげようかと思っていたんだけど…」
フェンリルは、焦った表情を見せた。
我を見れば普通は焦った表情をし、畏怖する物だと思うのだが、この人間にはその節が無い。
背後の2人の女子は恐怖しているみたいだが…
「分かったよ…じゃあ、ただし…の後を教えて?」
『ウ…ウム! 魔法を使わずに力と力で戦い合いたいのだ!』
「フェンリルの体系と人間でか?」
『攻撃魔法を使わないのであれば、強化魔法でも良いので…』
「面倒だからやだ! 極大消滅魔法…」
『やめろーーー!!! そんな物騒な魔法を放つな!!!』
「冗談だ!」
『お主の冗談は笑えないし、心臓に悪い…』
フェンリルを見ると、ゼェーゼェーと息を吐いていた。
力と力ねぇ…?
「僕が勝った場合は何かあるの?」
『お主が勝てば、獣魔契約でも何でもしてやろう…』
「それは遠慮するよ、エサ代が掛かりそうだ…」
『お主…獣魔契約をペットを飼うのと勘違いしておらんか?』
「違うの? 僕には獣魔もペットもあまり変わらないと思ったんだけど?」
『お主…我の事を犬だと思っておらんか?』
「フェンリルという名前を聞かなかったら、珍しい喋る犬だと思っていた。」
『我をここまでコケにした人間は初めてだぞ‼』
「じゃあ、僕が勝ったら…生かしておく代わりにその毛を貰う。」
『ほほぅ? 我の毛を何に使うのだ?』
「ギルドの調査依頼で証拠品として提出するんだ。 命を奪わないのは、強くなってからまた挑ませる為にね。」
フェンリルは考えた。
人間は、魔物を倒せば命を奪って経験値を取得する物だと思っていたからだ。
『お主、人間にしては面白い考えを持つな?』
「そう? そうなのかな…」
『よかろう! 我に勝てば毛をやろう…どこの毛が良い?』
「は? 何を言っているの?」
『我の毛の一部では無いのか?』
「風魔法で丸刈りにするに決まっているじゃん! 下手に少しだけだと、また凝りもせずにすぐに挑んでくるだろ? 丸刈りにしておけば、毛が生えるまでの間はすぐには来る事は出来なくなる筈だし、まぁ、その間は他の魔物には笑われると思うけどw」
『お主、本当に人間か⁉ 鬼畜の間違いじゃないのか⁉』
さすがに丸刈りは可哀想か…?
トイプードルのコンテスト犬みたいなカットにするかな?
それとも、頭だけ残して体を全部刈るか…。
想像したら笑いが込み上げてくる…w
『お主…何を笑っておるのか⁉』
「いや、想像したら面白くて…」
『それにお主が確実に勝てるという訳ではないぞ! 攻撃魔法さえ使わなければ…』
確かに、攻撃魔法を使わないで人の姿でフェンリルと戦うには圧倒的な不利ではある。
僕はギルドカードをスクロールして、面白そうなスキルを発見した。
『勝負の前に名を聞こう…我の名は、フェンリル族・オルシェスだ!』
「僕の名前は、ダン・スーガーだ。 行くぞ!」
レイリアとクリアベールは、僕達の戦いに応援をしてくれた。
僕はスキル【獣化】を発動した。
『ウオォォォォォォォォォォォン!!!』
遠吠えと共に、僕は赤いフェンリルに変化した。
フェンリル族のオルシェスは、僕の姿を見て驚愕していた。
『お主からは我と似た同族の気配がしておったが…これで納得した!』
『フェンリルと真のフェンリルの違いを見せてやる!』
『ぬかせ! いくぞ!!』
『ウオォォォォォォォオォォォン!!!』
『ワオォッォォォォォォォォォォォーン!!!』
2匹のフェンリルが遠吠えの後に光を纏って戦闘が始まった。
その動きは、常人には閃光が走った様にしか見えない程の移動速度だった。
「リア…見える?」
「ううん、無理…どっちが優勢なのかな?」
激突して、離れて距離を取ってからまた激突…
何度も繰り返した攻防も、終わりが見え掛けて来た。
『強い…我よりも…』
『どうした? それで終わりなのか、威勢が良いのは最初だけか?』
そして2匹は離れると、フェンリル・オルシェスは風のブレスを放った。
それと同時に、僕は炎のブレスを放ち、2つの属性はぶつかり合った。
だが、僕の威力の方があり、フェンリル・オルシェスは押し負けて行き…?
『グワァァァァァァァァァ!!』
炎のブレスをモロに浴びて炎に包まれていた。
僕は獣化を解除してから、水魔法で消化をしたのだが…
「ぶふっ…!」
『ぬ? なんだ??』
白くて綺麗な毛は、黒く焦げていた。
まるで黒いトイプードルの様な姿になっていた。
それを見たフェンリル族のオルシェスは…?
『なんだこりゃーーーーー!!?』
「あーっはっははっはははははは!」
フェンリル・オルシェスが自分の体を見て奇声を発していると同時に、僕は大爆笑した。
レイリアとクリアベールも、声に出さなかったけど笑いを堪えずに吹き出していた。
「これで僕の勝ちで良いよね?」
『あぁ…お主の勝ちだ! だから、早くこの毛を刈ってくれ!』
「いや、このままで良い! この状態でも、丸刈りと同じ様な辱めになるからw」
『この様な姿なら、まだ丸刈りにされていた方がマシだ!!!』
「いや、このままで行こう! では、次の勝負は毛が完全に戻ってからという事で…」
『おい、待て! お主、頼む…』
フェンリル・オルシェスは、必死に頼み込んでいた。
だが、僕等はそれを無視して街に帰ろうとすると、回り込まれた。
何度向きを変えてもしつこく回り込むので、面倒になって極大豪風魔法で遥か彼方に吹っ飛ばした。
「どこまで飛んで行ったの?」
「結構遠くまで飛んで行っちゃいましたよね?」
「街とは反対方向だし、大丈夫だろ?」
そして僕達は、カイナンの街に戻って行った。
明日はいよいよ、SSランクになる為に城に赴く日だ!
僕等は岐路に着いたのだった。
そして、フェンリル族・オルシェスは?
テルシア領内の僕が落ちた穴の底に突き刺さっていた。
彼と再び会える日は…いつになるのだろうか?
「サーチを広範囲に広げているけど何も引っ掛からないし、今回はハズレかな?」
大型の獣…中型のモンスターの反応は幾つかあるけど、大型はいない。
グレートホーンブルも大型の部類に入るけど、それならグレートホーンブルと表示されるし、手傷を追わせない限り大人しい魔物だから問題はない筈だろう。
僕は一度レイリアとクリアベールの元に戻った。
すると、2人はまだ訓練を続けていた。
「ベルもリアも頑張っているね…関心関心!」
だけど、集中し過ぎるあまり…疎かになっていないかを確認する為にレイリアの背後に近付いてから、耳に息を吹きかけた。
さすがに2度目は耳が若干反応した位で大した動きは見せなかった。
なので、脇腹を両方の人差し指を突いた。
「もう…その攻撃は反則!」
集中力が途切れて、また鉄が溶けた。
レイリアは地面にしゃがみ込んで脇腹を押さえながら言った。
「敵は正面から来る訳じゃないんだから、後方や側面からの警戒を怠らない事だね。」
「そんな事言われたって、どう対処すれば良いか解らないもん!」
「そうだね…リアにはまだ二種同時発動が出来ないから対処は無理かもしれないけど、今後出来る様になるから…」
「ならお兄ちゃんは出来るの?」
「勿論、目の前の敵に魔法を発動している間は、身体にも防御魔法を発動しているからね。」
「お兄ちゃん…簡単に言っているけど、それって普通出来る人いないわよ!」
僕は体に防御魔法を展開しながら、右手に炎と左手に雷を同時に出現させた。
三種同時発動を見せたのだけど…?
「それこそ出来る人なんてほとんどいないわよ!」
「ここにいますけど、何か?」
「師匠…とんでもない事やっていますね…」
「おや、ベル? 魔力制御はどうしたの?」
「師匠が気になってそれどころじゃありません! 師匠は何種の同時出現が出来るのですか?」
「さぁ? 何種だっけ? 試してみるか…」
ここなら何もないし、派手な魔法をぶっ放しても大丈夫だろうと思った。
テルシア王国で宮廷魔術師のテルセラ様には四種同時の合成魔法を見せてから、それ以上をやろうとしたら怒られたが…ここなら多少地形が変形しても平気だろう。
「炎・水・風・土・雷・氷・光・闇……」
「八種同時出現ですか⁉」
「そ…そんな事出来る人…」
「八種同時合成………えーっと、名前何にしよう? まぁ、いいか!」
僕は八属性を一つに束ねてから放った。
それが地面に当たると、大爆発を起こして周囲に爆風が起きた。
『グワァァァァァァァァァァァァ!!!』
「ん? あ、やっべ! 誰かいたか?」
索敵魔法で人の確認をするが、人は見当たらなかった。
だとしたら、今の声は何?
爆発後に地面に当たった場所をみると、テルシアから旅立ってすぐに落ちた巨大な穴の様なクレーターが出来ていた。
穴の大きさは深さが100mだけど、広さが1km程になっていた。
まぁ、この広大な草原でこの大きさなら大した事は無いだろう。
「なんていう威力ですか⁉」
「お兄ちゃん…これは洒落にならないわよ…」
「テヘッ!」
「テヘッ…じゃないですよ‼ どうするんですか、これ…?」
「師匠、規格外過ぎです…」
僕は2人に呆れられてしまった。
まぁ、今後は控えるとして…そういえば、先程の声は一体何だったんだろう?
……と思っていたら、白い塊が飛んできて穴の方に落ちて行った。
「ありゃ? 何か底の方に落ちて行ったな…」
「白い毛の長い犬?……みたいな感じでしたけど。」
「魔物でしょうか? 結構大きかったですよ…」
魔物で結構大きい…?
もしかして、これが依頼の大型の獣か?
「2人はここで待っていて、ちょっと見てくるから!」
「「はい…」」
僕は浮遊魔法で穴の底に降りて行った。
上で2人が何か話しているようだが、良く聞こえなかった。
そして穴の底に降りると、白い犬のようなモノが地面に突き刺さっていた。
僕はパワーブーストを発動してから、犬らしきモノの足を掴んで地面から引き抜いた。
『ブファッ! 済まんな…身動きが取れなくて息が出来なかった!』
「いえ、僕の所為でこんな大穴を開けてしまったので、助けるのは当然で…って、犬が喋った⁉」
『我は犬ではない! フェンリルだ‼』
「え? フェンリル⁉︎ 何故寒冷地方の魔物がこんな場所に?」
『我はな…強き者と戦う為にこの地に来たのだ‼』
「そうでしたか…では、強き者とやらに会えるのを祈っております。 では!」
『いや、強き者には出逢えたぞ!』
「それは良かった! では、僕はこれで…」
僕は浮遊魔法で浮き上がろうとすると、フェンリルは止めた。
『強き者…それはお主だ‼』
「僕は強くなんかありませんよ?」
『お主な…この大地にこんな大穴を開けた奴が弱くない訳が無かろう!』
「買い被り過ぎですよ、僕は強くなんかありません。 強くなりたいとは思っていますけどね…」
『謙虚な奴だ! 気に入ったぞ…我と戦え!』
「お断りします。 では、そういう事で…」
僕は飛び立とうとすると、回り込んで威嚇をしてきた。
どうやっても僕と戦いらしい。
「わかりましたよ! その勝負を受けましょう!」
『感謝する! 強き者よ!』
「その前に、ここの広さを把握しないといけませんね。 この穴の広さで大丈夫ですか?」
『問題は無いと思うが、何か不満か?』
「僕の目には、周囲の壁の広さが解りませんので…壁伝いに1周走って貰えませんか?」
『なるほど、我の行動範囲を確認する為だな! 良いだろう…』
フェンリルは壁に向かって走りだした。
僕はその隙に、浮遊魔法を発動して穴から脱出した。
僕には戦う気は全くないし、無駄な戦いはしたくないのでの策だった。
フェンリルは僕がその場を離れた事も知らずに壁伝いに走り回っていた。
「師匠、おかえりなさい! それで、穴の底には何かいたんですか?」
「フェンリルっていう犬がいた。」
「フェンリルって…災害級の魔獣ですよね? お兄ちゃん、大丈夫だったの?」
「僕と戦いたいと言って来たから、奴を騙して逃げて来たから…もしかすると、そろそろ…」
『オイコラーーーーーー逃げやがったなーーーー!!!』
「あ、逃げたのがバレた!」
「追って来たらどうするんですか?」
「大丈夫でしょ、あの穴の高さからは出られないさ…その間にこの場から離れよう。」
僕等はその場から離れようと走った。
すると、フェンリルは壁を駆け上って穴から脱出して目の前に現れた。
『お主…我をおちょくっているのか⁉』
「おぉ! あの壁を登れるとは!」
『我のとってあの高さなど造作もない事だ!』
「どうするんですか、師匠?」
「お兄ちゃん…」
さて、どうするかね…?
災害級の魔獣と言っても、別に大した事が無いように思えている。
適当に誤魔化して逃げたとしても、こんなに早く追い付かれるのでは逃げようもないか…。
「戦うのは構わないけど、自分が死ぬという恐怖はないの?」
『お主…随分と言うではないか! そんなに自信があるのか⁉』
「じゃあ、聞くけど…貴方にこの穴を開ける程の破壊力のある攻撃手段はあるの?」
フェンリルは背後の穴をチラっと見た。
そして眉間にシワを寄せて考えていた。
「これと同じ破壊が出来ないなら、戦っても結果は分かっていると思うけど、それでもやるの?」
『残念ながら、我にはこれ程までの破壊力のある攻撃手段はない!』
「なら帰る? それなら見逃してあげても良いけど…」
『いや、戦うさ! ただし…』
「そうか! じゃあ、消滅魔法…」
『ち…ちょ、ちょっ…ちょっとまて! 話は終わっとらんぞ! ただし…と言うたであろう! それに今…消滅なんとかと聞こえたのだが⁉』
「なんか面倒くさいから、一瞬で消し炭にしてあげようかと思っていたんだけど…」
フェンリルは、焦った表情を見せた。
我を見れば普通は焦った表情をし、畏怖する物だと思うのだが、この人間にはその節が無い。
背後の2人の女子は恐怖しているみたいだが…
「分かったよ…じゃあ、ただし…の後を教えて?」
『ウ…ウム! 魔法を使わずに力と力で戦い合いたいのだ!』
「フェンリルの体系と人間でか?」
『攻撃魔法を使わないのであれば、強化魔法でも良いので…』
「面倒だからやだ! 極大消滅魔法…」
『やめろーーー!!! そんな物騒な魔法を放つな!!!』
「冗談だ!」
『お主の冗談は笑えないし、心臓に悪い…』
フェンリルを見ると、ゼェーゼェーと息を吐いていた。
力と力ねぇ…?
「僕が勝った場合は何かあるの?」
『お主が勝てば、獣魔契約でも何でもしてやろう…』
「それは遠慮するよ、エサ代が掛かりそうだ…」
『お主…獣魔契約をペットを飼うのと勘違いしておらんか?』
「違うの? 僕には獣魔もペットもあまり変わらないと思ったんだけど?」
『お主…我の事を犬だと思っておらんか?』
「フェンリルという名前を聞かなかったら、珍しい喋る犬だと思っていた。」
『我をここまでコケにした人間は初めてだぞ‼』
「じゃあ、僕が勝ったら…生かしておく代わりにその毛を貰う。」
『ほほぅ? 我の毛を何に使うのだ?』
「ギルドの調査依頼で証拠品として提出するんだ。 命を奪わないのは、強くなってからまた挑ませる為にね。」
フェンリルは考えた。
人間は、魔物を倒せば命を奪って経験値を取得する物だと思っていたからだ。
『お主、人間にしては面白い考えを持つな?』
「そう? そうなのかな…」
『よかろう! 我に勝てば毛をやろう…どこの毛が良い?』
「は? 何を言っているの?」
『我の毛の一部では無いのか?』
「風魔法で丸刈りにするに決まっているじゃん! 下手に少しだけだと、また凝りもせずにすぐに挑んでくるだろ? 丸刈りにしておけば、毛が生えるまでの間はすぐには来る事は出来なくなる筈だし、まぁ、その間は他の魔物には笑われると思うけどw」
『お主、本当に人間か⁉ 鬼畜の間違いじゃないのか⁉』
さすがに丸刈りは可哀想か…?
トイプードルのコンテスト犬みたいなカットにするかな?
それとも、頭だけ残して体を全部刈るか…。
想像したら笑いが込み上げてくる…w
『お主…何を笑っておるのか⁉』
「いや、想像したら面白くて…」
『それにお主が確実に勝てるという訳ではないぞ! 攻撃魔法さえ使わなければ…』
確かに、攻撃魔法を使わないで人の姿でフェンリルと戦うには圧倒的な不利ではある。
僕はギルドカードをスクロールして、面白そうなスキルを発見した。
『勝負の前に名を聞こう…我の名は、フェンリル族・オルシェスだ!』
「僕の名前は、ダン・スーガーだ。 行くぞ!」
レイリアとクリアベールは、僕達の戦いに応援をしてくれた。
僕はスキル【獣化】を発動した。
『ウオォォォォォォォォォォォン!!!』
遠吠えと共に、僕は赤いフェンリルに変化した。
フェンリル族のオルシェスは、僕の姿を見て驚愕していた。
『お主からは我と似た同族の気配がしておったが…これで納得した!』
『フェンリルと真のフェンリルの違いを見せてやる!』
『ぬかせ! いくぞ!!』
『ウオォォォォォォォオォォォン!!!』
『ワオォッォォォォォォォォォォォーン!!!』
2匹のフェンリルが遠吠えの後に光を纏って戦闘が始まった。
その動きは、常人には閃光が走った様にしか見えない程の移動速度だった。
「リア…見える?」
「ううん、無理…どっちが優勢なのかな?」
激突して、離れて距離を取ってからまた激突…
何度も繰り返した攻防も、終わりが見え掛けて来た。
『強い…我よりも…』
『どうした? それで終わりなのか、威勢が良いのは最初だけか?』
そして2匹は離れると、フェンリル・オルシェスは風のブレスを放った。
それと同時に、僕は炎のブレスを放ち、2つの属性はぶつかり合った。
だが、僕の威力の方があり、フェンリル・オルシェスは押し負けて行き…?
『グワァァァァァァァァァ!!』
炎のブレスをモロに浴びて炎に包まれていた。
僕は獣化を解除してから、水魔法で消化をしたのだが…
「ぶふっ…!」
『ぬ? なんだ??』
白くて綺麗な毛は、黒く焦げていた。
まるで黒いトイプードルの様な姿になっていた。
それを見たフェンリル族のオルシェスは…?
『なんだこりゃーーーーー!!?』
「あーっはっははっはははははは!」
フェンリル・オルシェスが自分の体を見て奇声を発していると同時に、僕は大爆笑した。
レイリアとクリアベールも、声に出さなかったけど笑いを堪えずに吹き出していた。
「これで僕の勝ちで良いよね?」
『あぁ…お主の勝ちだ! だから、早くこの毛を刈ってくれ!』
「いや、このままで良い! この状態でも、丸刈りと同じ様な辱めになるからw」
『この様な姿なら、まだ丸刈りにされていた方がマシだ!!!』
「いや、このままで行こう! では、次の勝負は毛が完全に戻ってからという事で…」
『おい、待て! お主、頼む…』
フェンリル・オルシェスは、必死に頼み込んでいた。
だが、僕等はそれを無視して街に帰ろうとすると、回り込まれた。
何度向きを変えてもしつこく回り込むので、面倒になって極大豪風魔法で遥か彼方に吹っ飛ばした。
「どこまで飛んで行ったの?」
「結構遠くまで飛んで行っちゃいましたよね?」
「街とは反対方向だし、大丈夫だろ?」
そして僕達は、カイナンの街に戻って行った。
明日はいよいよ、SSランクになる為に城に赴く日だ!
僕等は岐路に着いたのだった。
そして、フェンリル族・オルシェスは?
テルシア領内の僕が落ちた穴の底に突き刺さっていた。
彼と再び会える日は…いつになるのだろうか?
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テルパは果たして、教え子達と打ち解けてから、立派に育つのだろうか?
【題名通りの女の子達は、第二章から登場します。】
今回もHOTランキングは、最高6位でした。
皆様、有り難う御座います。
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【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
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少年テッドには、両親がいない。
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両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
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このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
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見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
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王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
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「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
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俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
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そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
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