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第二章
第十話 VIP待遇と新たなる…?(まさか、ここまでしてくれるとは!)
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「これは…夢にまで見たキッチンコンロ(オーブン付)‼」
「おや、さすがダン様です、お目が高い!」
バイトでこの調理台を見ていつも羨ましいと思っていた。
家では一人暮らしだったので、欲しくても需要があまりないと思ってチラシを何度も眺めているだけだったが、実物が目の前にあると、やはりテンションは上がる物だ。
僕は鑑定で見た。
【最新式オーブン付魔導コンロ(大型)】
料理が同時に5つ出来る上に、オーブンで大型肉の調理も可能。
更に流し台付きで、コンロやオーブンや水は魔石でも出力可能。
魔石での威力に納得がいかない場合は、自分の魔力でも起動出来る。
ただし、値段が……?
確かロンバークさんは、ロンベルタイガーを救った際に商会の商品を1つくれると言っていたが、さすがにこれは無理だろうなぁ…?
「ロンバークさん、この魔導コンロなのですが…お値段は幾らになるのですか?」
「これの値段は…正直いうと無いのです。 貴族の厨房や城の厨房用で御作りしましたので、金額が…」
まぁ、そうだろうな…?
僕は財布を取りだして中身を見るが…買えなくはないのだろうけど、財布の中身が一気に吹っ飛びそうだし諦めるしかない。
僕は魔導コンロを撫でてから、後を去ろうとした。
「ダン殿は魔導コンロが欲しいのですか? でしたら、これを差し上げましょう!」
「え? だってこれ…最新式で城の厨房にも使われるという物ですよね?」
「ダン殿には、ロンベルタイガーから救って戴いた恩もありますし、商会から何でも1つプレゼントするという約束でしたので、でしたらこれを…と。」
僕は泣いて喜んだ!
あ…いやいや、ちょっと待て……!
さすがに幾らするか解らない高価な物をタダで貰うのは気が引ける。
「ロンバークさん、僕等がサーディリアンにいる間に作れるだけの調味料を作ってその製法を教え致しますので、この魔導コンロはそれと交換という事でどうでしょうか?」
「いえいえ、それだと私共の方が儲けさせてもらう様な物です。 では、魔導コンロはレシピと交換という事で、ダン殿にはドワーフの技工士が作った調理器具セットをプレゼント致しましょう!」
「僕のレシピと魔導コンロの交換ですか? さすがにそれだと割に合わない気がするのですが…?」
「何を仰いますか! ダン殿の調理法や調味料は、長い目で見ればこの魔導コンロを数十台なんてあっという間に稼げてしまえるくらいに需要があるのです! これを是非に!」
僕はロンバークにお礼を言うと、魔導コンロとドワーフの調理器具を収納魔法で仕舞い込んだ。
それともう1つ、ロンバークに尋ねた。
「ロンバークさん、このカイナンの街で宿を取るにはどこが良いですか?」
「宿…ですか? もし宜しければ、我が商会が経営するホテルに御宿泊されたら如何でしょうか?」
「では、一番安い部屋をお願いします。」
「解りました、このホテルなのですが…会員制なので、この手紙をカウンターにお見せ下さい。」
僕はロンバークから手紙を受け取った。
ロンバークが手紙を渡す時に笑みを浮かべていたのが気になったが…?
僕は礼を言うと、レイリアと合流した。
そして、サシャちゃんにまた会いに来るから…と伝えて商会を出た。
「ロンバークさんの地図だと、ここなんだけど…?」
「これ、何階建てなんだろう?」
僕はこの世界のホテルと聞いて高を括っていたが、実際に目にすると高級な造りの7階建てのホテルだった。
入り口から出入りしているのは殆どが貴族で、煌びやかな服を着ていた。
その貴族たちは、僕等を見て笑っていた。
冒険に出る様な格好をしている僕等には場違いな所に見えた。
僕等は入り口から進んでいくと、カウンターにいる男性に声を掛けた。
するとその男性は、先程の商会の受付と同じ様に僕の上から下まで見て言った。
「申し訳ありませんが、当ホテルは会員制です。」
「ベルクドルフ商会のロンバークさんからお手紙を預かっているので御渡し致しますね!」
受付の男性は、手紙を読んでから僕と手紙を交互に見ていた。
「先程は失礼な物言いを大変申し訳ありませんでした! ですが、もう1つだけ…本人確認をしたいのでギルドカードの提示をお願い致します。」
そっか、身分証がなければ手紙を拾って持って来た別人と思われているかもしれないからね。
僕はギルドカードを渡した。
「はい、確認が取れました。 ダン・スーガー様…Sランク冒険者ですか⁉」
「あの、何か?」
「いえ、大変申し訳ありませんでした! おい、そこの者! ダン・スーガー様とレイリア様を最上階のロイヤルスィートに御案内しろ!」
「僕等は安い部屋で良いのですが…」
「いえ、会頭の指示ですと最上階のロイヤルスィートに…という話ですので。」
手紙を渡した時の笑みはそういう意味だったのか。
僕等は近くの案内係に、魔導エレベーターで最上階に案内された。
扉の中に入ると、部屋の中に噴水があり、右手には巨大な風呂が…左には王族が寝る様な巨大なベッドがあった。
あぁ…まぁ…うん、ロイヤルと言われるくらいだから、王族が寝泊まりする様な部屋なのは仕方ないのだが、正直落ち着かなかった。
ところがレイリアはそんな僕の気持ちとは裏腹に、部屋の中を物珍しそうに物色をしていた。
貧乏人気質というのか…この部屋って一泊幾らなんだろうと思った。
その日は、落ち着かないまま部屋で過ごした。
翌日、僕等は食材を購入する為にホテルの入り口まで行った。
すると、昨日の受付の男性に話をした。
「すいません、僕等は出掛けようと思うのですが…部屋はどうしたら良いですか?」
「ダン様のお部屋に関しましては、ダン様がこの街に留まっている間は自由にお使い下さいと会頭より仰せつかっております。」
「…という事は当然タダですか?」
「無論です! ダン様からお金を戴く訳には参りませんので…」
僕は複雑な心境のまま、レイリアと共に街に出た。
その市場街で品物を色々見ていると、様々な物があったのだが…?
「どうしたの? 何か気になる事でもあった?」
「いや、今冒険者ギルドから出て来た、あいつらなんだけど…昨日レイリアに絡んで来た奴等だよね?」
「本当だね! でも1人だけ昨日見なかった子がいるね。」
「うん、その子なんだけど…なんだか目が虚ろでさぁ、レイリア悪いけど今日は…」
「放っておけないんでしょ? どうするの?」
「尾行しよう! 【メイク】」
【メイク】という魔法は、自分の容姿を変化させる魔法だった。
それ以外にも、着ている服を変化させたり…本人限定なら性別も入れ替える事も可能という魔法だった。
僕は黒髪を青髪の長髪に黒いコートに、レイリアは銀髪を赤髪に赤いコートに見た目を変えた。
そして4人を尾行した。
ただ尾行しているだけでは見付かる可能性があるので、気配遮断をしておいた。
そして前の4人の会話を聞いていたのだが…?
「おい、グズ! さっさと着いて来いよ!」
「いつまで経っても最低ランクのお荷物が! 荷物持ちもロクに出来ないの~?」
「おいおい2人共、あまり虐めるなよ。 お荷物でも少しは役に立って貰わないといけないんだからさ!」
「はい、ごめんなさい!」
僕とレイリアは、前の3人の会話を聞いていて腹が立っていた。
昨日の時もそうだったが、やはりいけ好かない連中だった。
しばらくすると、昼食にするみたいだった。
荷物持ちの子は、食事を用意して3人に渡していた。
だが、斥候がこれでは足りないと言って、荷物持ちの子のパンを奪った。
荷物持ちの子は残ったスープを飲もうとすると、ヒーラーに杖で皿を落とされた。
中身のスープは地面に吸い取られて行った。
「ダンお兄ちゃん、許せないね…」
「レイリア、飛び出すなよ! あのやり取りは全て記録しているから…」
「うん、我慢する!」
しばらくすると、3人は立ち上がった。
そして荷物持ちの子が立ち上がって荷物を取ろうとすると、リーダーが突き飛ばした。
荷物持ちの子は地面に倒れた。
「何やってんだよグズが! 早くしろよ!」
「本当にドンクサイわね!」
荷物持ちの子は立ち上がると、服に着いた泥を払って3人に着いて行った。
僕等も後を追った。
リーダーが依頼書を見ながら辺りを見渡した。
すると斥候が後ずさりながら指を指した。
その方向を見ると、その方向から巨大なワニが迫っていた。
4人は一斉に逃げたが、荷物持ちの子が少し遅れているが3人は気にせずに走っていた。
そしてリーダーが追い付かれるのを回避する為に、荷物持ちの子の足を引っかけて転ばせてから言った。
「荷物持ちの役立たずは、最後くらい俺達の役に立って見ろよ!」
「バイバイ、お荷物ちゃん!」
「精々長く喰われて俺達の足止めをしろよ!」
そういうと、3人は走り去って行った。
荷物持ちの子は涙を流しながら3人に手を伸ばした。
僕はこの3人を殴ってやりたかったが、記録には収めてあるのでギルドで対応してもらうとして…レイリアは荷物持ちの子に駆け寄って立ち上がらせた。
僕はワニの前に立ちふさがってから、100本の光の剣でワニを串刺しにした。
「ありがとうございました!」
「最低な奴等ね、何て人達なのかしら…」
荷物持ちの子は泣いてお礼を言っていた。
僕は荷物持ちの子にクリーンの魔法を掛けてから、料理を作ってあげた。
荷物持ちの子はお礼を言いながら料理を夢中で食べていた。
「少しは落ち着いた?」
「はい、それに御飯をありがとうございました。 とても美味しかったです!」
「君に聞きたいんだけど、奴等の依頼内容は何だったの?」
「この付近で出没する大型の魔物の調査でした。 多分、コレの事です。」
荷物持ちの子は、巨大なワニを指さした。
僕はワニを証拠として収納魔法に入れた。
「収納魔法を使えるなんて…貴方は一体?」
「僕はダン・スーガー、Sランクだよ。」
「私はレイリア・エルヴ、Cランクね。 貴女は?」
「私はクリアベール・クリクラと申します。 Fランクです。」
「クリアベールさんはジョブは何?」
「それが、ギルドカードを作った際にジョブが表示されなくて、無能と呼ばれているんです。」
「お兄ちゃん…」
「クリアベールさん、ちょっと失礼!」
僕はクリアベールを鑑定した。
【クリアベール・クリクラ】16歳
人間とサキュバスのデミヒューマン。
ジョブは【アリスウィザード】。
【アリス】と名の付くジョブは、頭の中で描いた物を具現化して放つ事が出来るエクストラジョブ。
この世界には、【アリス】のジョブが他にも2人いる。
「君のジョブが解ったよ! 君のジョブはエクストラジョブだった。」
「エクストラって、この世界に数人しかいないジョブという事ですか?」
「君のジョブ名は、アリスウィザードといって、頭の中で思い描いた物を具現化出来る能力だよ。」
「はぁ、そうなんですね…?」
「解り易く言うと、無属性魔法に近いのかもね。 今はレベルが低いから、属性の無い物しか使えないけど…」
「そうです、私には透明な塊を放つ事しか出来ません。」
そういってクリアベールは、手の平に透明な塊を出現させた。
なるほど、そういう事か…!
「クリアベールの…長いのでベルって呼んでも良いかな?」
「はい、母にもそう呼ばれていましたので…」
「ベルのその塊は、明確なイメージが出来てないからその形何だと思うよ。 そうだな…こんな事出来るかな?」
僕はクリアベールの前でショートソードを無属性魔法で具現化してみせた。
クリアベールはショートソードを見て同じものを作りだした。
「出来た…何で⁉」
「アリスという名前の付くジョブは、頭の中のイメージを具現化出来る事が出来る物らしくて、そのイメージはより鮮明であればあるほどなんだ。 だから、使いこなして行けば下手すると全属性魔法も夢じゃないのかもね!」
「私にそんな能力があったなんて…」
クリアベールは両手を見て、まだ信じられないという感じだった。
僕はレイリアに相談すると、レイリアは頷いた。
「クリアベール・クリクラ! 僕のパーティに入ってくれないか?」
「えぇっ⁉ 私がSランクのパーティに…ですか?」
「ベルのジョブの能力を伸ばす為…というのもあるけど、僕とレイリアもね、エクストラジョブなんだよ。」
「私のは【魔人】でダンお兄ちゃんは【ヴェリエスマスター】っていうジョブなの。」
「どちらも聞いた事がありません…ですが、こんな私で良いのですか?」
「勿論、ね…お兄ちゃん!」
「あぁ! それとベルに言っておく事がある」
「あ、はい!」
「僕のパーティに入れば、食事の問題は無くなる上に宿も問題ない。 それに、仲間は絶対に見捨てない!」
クリアベールは涙を流して顔を手で覆った。
レイリアはクリアベールを抱きしめて背中をポンポンと叩いた。
クリアベールは泣き止むと、立ち上がった。
「さてと、冒険者ギルドに行くとしますか…あいつ等の始末をつけてやる!」
僕が怒りでオーラを出していると、2人は後ずさりした。
僕等はカイナンの街を目指して歩いた。
そして、あの3人組の運命は…?
次回に続く…
「おや、さすがダン様です、お目が高い!」
バイトでこの調理台を見ていつも羨ましいと思っていた。
家では一人暮らしだったので、欲しくても需要があまりないと思ってチラシを何度も眺めているだけだったが、実物が目の前にあると、やはりテンションは上がる物だ。
僕は鑑定で見た。
【最新式オーブン付魔導コンロ(大型)】
料理が同時に5つ出来る上に、オーブンで大型肉の調理も可能。
更に流し台付きで、コンロやオーブンや水は魔石でも出力可能。
魔石での威力に納得がいかない場合は、自分の魔力でも起動出来る。
ただし、値段が……?
確かロンバークさんは、ロンベルタイガーを救った際に商会の商品を1つくれると言っていたが、さすがにこれは無理だろうなぁ…?
「ロンバークさん、この魔導コンロなのですが…お値段は幾らになるのですか?」
「これの値段は…正直いうと無いのです。 貴族の厨房や城の厨房用で御作りしましたので、金額が…」
まぁ、そうだろうな…?
僕は財布を取りだして中身を見るが…買えなくはないのだろうけど、財布の中身が一気に吹っ飛びそうだし諦めるしかない。
僕は魔導コンロを撫でてから、後を去ろうとした。
「ダン殿は魔導コンロが欲しいのですか? でしたら、これを差し上げましょう!」
「え? だってこれ…最新式で城の厨房にも使われるという物ですよね?」
「ダン殿には、ロンベルタイガーから救って戴いた恩もありますし、商会から何でも1つプレゼントするという約束でしたので、でしたらこれを…と。」
僕は泣いて喜んだ!
あ…いやいや、ちょっと待て……!
さすがに幾らするか解らない高価な物をタダで貰うのは気が引ける。
「ロンバークさん、僕等がサーディリアンにいる間に作れるだけの調味料を作ってその製法を教え致しますので、この魔導コンロはそれと交換という事でどうでしょうか?」
「いえいえ、それだと私共の方が儲けさせてもらう様な物です。 では、魔導コンロはレシピと交換という事で、ダン殿にはドワーフの技工士が作った調理器具セットをプレゼント致しましょう!」
「僕のレシピと魔導コンロの交換ですか? さすがにそれだと割に合わない気がするのですが…?」
「何を仰いますか! ダン殿の調理法や調味料は、長い目で見ればこの魔導コンロを数十台なんてあっという間に稼げてしまえるくらいに需要があるのです! これを是非に!」
僕はロンバークにお礼を言うと、魔導コンロとドワーフの調理器具を収納魔法で仕舞い込んだ。
それともう1つ、ロンバークに尋ねた。
「ロンバークさん、このカイナンの街で宿を取るにはどこが良いですか?」
「宿…ですか? もし宜しければ、我が商会が経営するホテルに御宿泊されたら如何でしょうか?」
「では、一番安い部屋をお願いします。」
「解りました、このホテルなのですが…会員制なので、この手紙をカウンターにお見せ下さい。」
僕はロンバークから手紙を受け取った。
ロンバークが手紙を渡す時に笑みを浮かべていたのが気になったが…?
僕は礼を言うと、レイリアと合流した。
そして、サシャちゃんにまた会いに来るから…と伝えて商会を出た。
「ロンバークさんの地図だと、ここなんだけど…?」
「これ、何階建てなんだろう?」
僕はこの世界のホテルと聞いて高を括っていたが、実際に目にすると高級な造りの7階建てのホテルだった。
入り口から出入りしているのは殆どが貴族で、煌びやかな服を着ていた。
その貴族たちは、僕等を見て笑っていた。
冒険に出る様な格好をしている僕等には場違いな所に見えた。
僕等は入り口から進んでいくと、カウンターにいる男性に声を掛けた。
するとその男性は、先程の商会の受付と同じ様に僕の上から下まで見て言った。
「申し訳ありませんが、当ホテルは会員制です。」
「ベルクドルフ商会のロンバークさんからお手紙を預かっているので御渡し致しますね!」
受付の男性は、手紙を読んでから僕と手紙を交互に見ていた。
「先程は失礼な物言いを大変申し訳ありませんでした! ですが、もう1つだけ…本人確認をしたいのでギルドカードの提示をお願い致します。」
そっか、身分証がなければ手紙を拾って持って来た別人と思われているかもしれないからね。
僕はギルドカードを渡した。
「はい、確認が取れました。 ダン・スーガー様…Sランク冒険者ですか⁉」
「あの、何か?」
「いえ、大変申し訳ありませんでした! おい、そこの者! ダン・スーガー様とレイリア様を最上階のロイヤルスィートに御案内しろ!」
「僕等は安い部屋で良いのですが…」
「いえ、会頭の指示ですと最上階のロイヤルスィートに…という話ですので。」
手紙を渡した時の笑みはそういう意味だったのか。
僕等は近くの案内係に、魔導エレベーターで最上階に案内された。
扉の中に入ると、部屋の中に噴水があり、右手には巨大な風呂が…左には王族が寝る様な巨大なベッドがあった。
あぁ…まぁ…うん、ロイヤルと言われるくらいだから、王族が寝泊まりする様な部屋なのは仕方ないのだが、正直落ち着かなかった。
ところがレイリアはそんな僕の気持ちとは裏腹に、部屋の中を物珍しそうに物色をしていた。
貧乏人気質というのか…この部屋って一泊幾らなんだろうと思った。
その日は、落ち着かないまま部屋で過ごした。
翌日、僕等は食材を購入する為にホテルの入り口まで行った。
すると、昨日の受付の男性に話をした。
「すいません、僕等は出掛けようと思うのですが…部屋はどうしたら良いですか?」
「ダン様のお部屋に関しましては、ダン様がこの街に留まっている間は自由にお使い下さいと会頭より仰せつかっております。」
「…という事は当然タダですか?」
「無論です! ダン様からお金を戴く訳には参りませんので…」
僕は複雑な心境のまま、レイリアと共に街に出た。
その市場街で品物を色々見ていると、様々な物があったのだが…?
「どうしたの? 何か気になる事でもあった?」
「いや、今冒険者ギルドから出て来た、あいつらなんだけど…昨日レイリアに絡んで来た奴等だよね?」
「本当だね! でも1人だけ昨日見なかった子がいるね。」
「うん、その子なんだけど…なんだか目が虚ろでさぁ、レイリア悪いけど今日は…」
「放っておけないんでしょ? どうするの?」
「尾行しよう! 【メイク】」
【メイク】という魔法は、自分の容姿を変化させる魔法だった。
それ以外にも、着ている服を変化させたり…本人限定なら性別も入れ替える事も可能という魔法だった。
僕は黒髪を青髪の長髪に黒いコートに、レイリアは銀髪を赤髪に赤いコートに見た目を変えた。
そして4人を尾行した。
ただ尾行しているだけでは見付かる可能性があるので、気配遮断をしておいた。
そして前の4人の会話を聞いていたのだが…?
「おい、グズ! さっさと着いて来いよ!」
「いつまで経っても最低ランクのお荷物が! 荷物持ちもロクに出来ないの~?」
「おいおい2人共、あまり虐めるなよ。 お荷物でも少しは役に立って貰わないといけないんだからさ!」
「はい、ごめんなさい!」
僕とレイリアは、前の3人の会話を聞いていて腹が立っていた。
昨日の時もそうだったが、やはりいけ好かない連中だった。
しばらくすると、昼食にするみたいだった。
荷物持ちの子は、食事を用意して3人に渡していた。
だが、斥候がこれでは足りないと言って、荷物持ちの子のパンを奪った。
荷物持ちの子は残ったスープを飲もうとすると、ヒーラーに杖で皿を落とされた。
中身のスープは地面に吸い取られて行った。
「ダンお兄ちゃん、許せないね…」
「レイリア、飛び出すなよ! あのやり取りは全て記録しているから…」
「うん、我慢する!」
しばらくすると、3人は立ち上がった。
そして荷物持ちの子が立ち上がって荷物を取ろうとすると、リーダーが突き飛ばした。
荷物持ちの子は地面に倒れた。
「何やってんだよグズが! 早くしろよ!」
「本当にドンクサイわね!」
荷物持ちの子は立ち上がると、服に着いた泥を払って3人に着いて行った。
僕等も後を追った。
リーダーが依頼書を見ながら辺りを見渡した。
すると斥候が後ずさりながら指を指した。
その方向を見ると、その方向から巨大なワニが迫っていた。
4人は一斉に逃げたが、荷物持ちの子が少し遅れているが3人は気にせずに走っていた。
そしてリーダーが追い付かれるのを回避する為に、荷物持ちの子の足を引っかけて転ばせてから言った。
「荷物持ちの役立たずは、最後くらい俺達の役に立って見ろよ!」
「バイバイ、お荷物ちゃん!」
「精々長く喰われて俺達の足止めをしろよ!」
そういうと、3人は走り去って行った。
荷物持ちの子は涙を流しながら3人に手を伸ばした。
僕はこの3人を殴ってやりたかったが、記録には収めてあるのでギルドで対応してもらうとして…レイリアは荷物持ちの子に駆け寄って立ち上がらせた。
僕はワニの前に立ちふさがってから、100本の光の剣でワニを串刺しにした。
「ありがとうございました!」
「最低な奴等ね、何て人達なのかしら…」
荷物持ちの子は泣いてお礼を言っていた。
僕は荷物持ちの子にクリーンの魔法を掛けてから、料理を作ってあげた。
荷物持ちの子はお礼を言いながら料理を夢中で食べていた。
「少しは落ち着いた?」
「はい、それに御飯をありがとうございました。 とても美味しかったです!」
「君に聞きたいんだけど、奴等の依頼内容は何だったの?」
「この付近で出没する大型の魔物の調査でした。 多分、コレの事です。」
荷物持ちの子は、巨大なワニを指さした。
僕はワニを証拠として収納魔法に入れた。
「収納魔法を使えるなんて…貴方は一体?」
「僕はダン・スーガー、Sランクだよ。」
「私はレイリア・エルヴ、Cランクね。 貴女は?」
「私はクリアベール・クリクラと申します。 Fランクです。」
「クリアベールさんはジョブは何?」
「それが、ギルドカードを作った際にジョブが表示されなくて、無能と呼ばれているんです。」
「お兄ちゃん…」
「クリアベールさん、ちょっと失礼!」
僕はクリアベールを鑑定した。
【クリアベール・クリクラ】16歳
人間とサキュバスのデミヒューマン。
ジョブは【アリスウィザード】。
【アリス】と名の付くジョブは、頭の中で描いた物を具現化して放つ事が出来るエクストラジョブ。
この世界には、【アリス】のジョブが他にも2人いる。
「君のジョブが解ったよ! 君のジョブはエクストラジョブだった。」
「エクストラって、この世界に数人しかいないジョブという事ですか?」
「君のジョブ名は、アリスウィザードといって、頭の中で思い描いた物を具現化出来る能力だよ。」
「はぁ、そうなんですね…?」
「解り易く言うと、無属性魔法に近いのかもね。 今はレベルが低いから、属性の無い物しか使えないけど…」
「そうです、私には透明な塊を放つ事しか出来ません。」
そういってクリアベールは、手の平に透明な塊を出現させた。
なるほど、そういう事か…!
「クリアベールの…長いのでベルって呼んでも良いかな?」
「はい、母にもそう呼ばれていましたので…」
「ベルのその塊は、明確なイメージが出来てないからその形何だと思うよ。 そうだな…こんな事出来るかな?」
僕はクリアベールの前でショートソードを無属性魔法で具現化してみせた。
クリアベールはショートソードを見て同じものを作りだした。
「出来た…何で⁉」
「アリスという名前の付くジョブは、頭の中のイメージを具現化出来る事が出来る物らしくて、そのイメージはより鮮明であればあるほどなんだ。 だから、使いこなして行けば下手すると全属性魔法も夢じゃないのかもね!」
「私にそんな能力があったなんて…」
クリアベールは両手を見て、まだ信じられないという感じだった。
僕はレイリアに相談すると、レイリアは頷いた。
「クリアベール・クリクラ! 僕のパーティに入ってくれないか?」
「えぇっ⁉ 私がSランクのパーティに…ですか?」
「ベルのジョブの能力を伸ばす為…というのもあるけど、僕とレイリアもね、エクストラジョブなんだよ。」
「私のは【魔人】でダンお兄ちゃんは【ヴェリエスマスター】っていうジョブなの。」
「どちらも聞いた事がありません…ですが、こんな私で良いのですか?」
「勿論、ね…お兄ちゃん!」
「あぁ! それとベルに言っておく事がある」
「あ、はい!」
「僕のパーティに入れば、食事の問題は無くなる上に宿も問題ない。 それに、仲間は絶対に見捨てない!」
クリアベールは涙を流して顔を手で覆った。
レイリアはクリアベールを抱きしめて背中をポンポンと叩いた。
クリアベールは泣き止むと、立ち上がった。
「さてと、冒険者ギルドに行くとしますか…あいつ等の始末をつけてやる!」
僕が怒りでオーラを出していると、2人は後ずさりした。
僕等はカイナンの街を目指して歩いた。
そして、あの3人組の運命は…?
次回に続く…
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転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
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この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
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Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
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「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
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そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
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勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
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