【完結】学校帰りに石蹴りしながら帰っていたら異世界召喚! 貧乏なので異世界の知識はありませんよ?

アノマロカリス

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第二話 ルレット王女の企み

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 「どうも、クケコです! 私達は戦う術が既にあるのに、相変わらず城から出させて貰えていません!」

 どうやら…私の持っていたテト君のカードの情報が移行されたことに気付かれて警戒されているような感じです。
 テト君のカードの情報が消えて焦って行動してしまった私に落ち度があったのかもしれません。
 その件以降に…私の持っているテト君のカードを渡してくれと騎士から催促があるからです。
 私はテト君の形見だからと言って拒んでいましたが…気付いた時には無くなっている事に気付きました。
 誰が取ったのか…それはこの際置いておいて、城側にテト君が生きているという事がバレてしまった可能性があります。
 そして、それが…数日後に最悪な形でテト君と再会する事になります。

 ・・・・・・・・・王女の部屋・・・・・・・・・

 《王女よ…少し宜しいでしょうか?》
 「影ですか? 入りなさい。」
 「失礼致します!」

 黒装束を見に纏った女が王女の前に姿を現した。

 「聖女クケコより、テトという少年のカードを手に入れました。」
 「御苦労です、やはり?」
 「はい、テトという少年は…冒険者ギルドでギルドカードを再発行した模様です。」
 「何処の冒険者ギルドで更新手続きをしたかは分かりませんか?」
 「幾つかの目星は付いてはいるのですが…可能性的には、自由都市フレミングの可能性が大だと…」
 「自由都市フレミングですか…」

 あの場所は、例え王国であっても迂闊に手を出せない場所…
 仮にあの少年がフレミングで更新の手続きをしたとして、王家が圧力を掛けたとしても情報は漏らさないでしょう。
 厄介な国で更新したものですね。

 「それと王女…そろそろ勇者達の足止めの理由も限界かと思います。」
 「テトという少年の居場所は分かりましたか?」
 「それは暗部からの報告で、魔凶大森林の…」
 「それは分かります。 詳しい場所が何処かと聞いているのです!」
 「剛壁の英雄の住む集落に身を寄せているようで…あと、ハーフリングの王女もそこにいると。」
 「忌々しい蛮族どもの英雄とですか…しかも、滅ぼした筈の王女までそこに居るのでしたら都合が良いですね。」
 
 ルレット王女は、悪どい顔をしてニヤけた笑顔をした。

 「暗部の精鋭部隊を差し向けなさい! 蛮族どもは皆殺しにして、王女の身柄を確保して私の前に連れて来るのです!」
 「ですが王女…暗部の精鋭部隊とて、剛壁の英雄相手には苦戦を強いられる…もしくは敗北する可能性もあります。」
 「それなら上手くあのテトという少年を利用しなさい! 蛮族どもは義理堅い種族なのでしょう? 人質を取れば…大人しく従うわ!」
 「なら、ハーフリングの王女も共に始末された方が宜しいのでは?」
 「あの王女は、公爵が奴隷にしたいと言っていましたからね。 エルフは飽きて殺してしまったようなので、次はハーフリングの王女をペットにしたいと言っていましたし、引き渡せば公爵家の支援もより強固になりますし、此方としては得する事ばかりですわ!」

 影は王女の顔を見て畏怖を覚えた。
 王女とはいえ、ここまで悪どい計画を思い付く思考が常軌を逸しているからだ。
 
 「それと…魔王に関しては如何致しましょうか?」
 「蛮族達の王を魔王に仕立てて勇者に倒させる…既に勇者達には刷り込みが終わっています。 後は事通りに動けば良し、逆らえば始末なさい! 代わりはまた呼べば良いのですから…」
 「亜人種を魔王に仕立てるなんて…王女は亜人が本当に嫌いなんですね?」
 「私達人間より優れた種族なんて、この世界には必要ありません! あんな者達は、さっさと絶滅してくれれば良いのです!」
 「恐ろしい人だ…」

 そう言って影は闇の中に消えて行った。

 「もうすぐです! もうすぐ…私の計画が達成されます! 蛮族どもを滅ぼしたら、蛮族どもと共存している自由都市フレミングも壊滅させましょう! 私達人間以外は不要ですし、それに与する者も不要なのですから‼︎」

 この世界に魔王は存在していなかった。
 ルレット王女がそこまで他種族を憎む理由とは、なんなのだろうか?
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