21 / 55
下章
第二話 ルレット王女の企み
しおりを挟む
「どうも、クケコです! 私達は戦う術が既にあるのに、相変わらず城から出させて貰えていません!」
どうやら…私の持っていたテト君のカードの情報が移行されたことに気付かれて警戒されているような感じです。
テト君のカードの情報が消えて焦って行動してしまった私に落ち度があったのかもしれません。
その件以降に…私の持っているテト君のカードを渡してくれと騎士から催促があるからです。
私はテト君の形見だからと言って拒んでいましたが…気付いた時には無くなっている事に気付きました。
誰が取ったのか…それはこの際置いておいて、城側にテト君が生きているという事がバレてしまった可能性があります。
そして、それが…数日後に最悪な形でテト君と再会する事になります。
・・・・・・・・・王女の部屋・・・・・・・・・
《王女よ…少し宜しいでしょうか?》
「影ですか? 入りなさい。」
「失礼致します!」
黒装束を見に纏った女が王女の前に姿を現した。
「聖女クケコより、テトという少年のカードを手に入れました。」
「御苦労です、やはり?」
「はい、テトという少年は…冒険者ギルドでギルドカードを再発行した模様です。」
「何処の冒険者ギルドで更新手続きをしたかは分かりませんか?」
「幾つかの目星は付いてはいるのですが…可能性的には、自由都市フレミングの可能性が大だと…」
「自由都市フレミングですか…」
あの場所は、例え王国であっても迂闊に手を出せない場所…
仮にあの少年がフレミングで更新の手続きをしたとして、王家が圧力を掛けたとしても情報は漏らさないでしょう。
厄介な国で更新したものですね。
「それと王女…そろそろ勇者達の足止めの理由も限界かと思います。」
「テトという少年の居場所は分かりましたか?」
「それは暗部からの報告で、魔凶大森林の…」
「それは分かります。 詳しい場所が何処かと聞いているのです!」
「剛壁の英雄の住む集落に身を寄せているようで…あと、ハーフリングの王女もそこにいると。」
「忌々しい蛮族どもの英雄とですか…しかも、滅ぼした筈の王女までそこに居るのでしたら都合が良いですね。」
ルレット王女は、悪どい顔をしてニヤけた笑顔をした。
「暗部の精鋭部隊を差し向けなさい! 蛮族どもは皆殺しにして、王女の身柄を確保して私の前に連れて来るのです!」
「ですが王女…暗部の精鋭部隊とて、剛壁の英雄相手には苦戦を強いられる…もしくは敗北する可能性もあります。」
「それなら上手くあのテトという少年を利用しなさい! 蛮族どもは義理堅い種族なのでしょう? 人質を取れば…大人しく従うわ!」
「なら、ハーフリングの王女も共に始末された方が宜しいのでは?」
「あの王女は、公爵が奴隷にしたいと言っていましたからね。 エルフは飽きて殺してしまったようなので、次はハーフリングの王女をペットにしたいと言っていましたし、引き渡せば公爵家の支援もより強固になりますし、此方としては得する事ばかりですわ!」
影は王女の顔を見て畏怖を覚えた。
王女とはいえ、ここまで悪どい計画を思い付く思考が常軌を逸しているからだ。
「それと…魔王に関しては如何致しましょうか?」
「蛮族達の王を魔王に仕立てて勇者に倒させる…既に勇者達には刷り込みが終わっています。 後は事通りに動けば良し、逆らえば始末なさい! 代わりはまた呼べば良いのですから…」
「亜人種を魔王に仕立てるなんて…王女は亜人が本当に嫌いなんですね?」
「私達人間より優れた種族なんて、この世界には必要ありません! あんな者達は、さっさと絶滅してくれれば良いのです!」
「恐ろしい人だ…」
そう言って影は闇の中に消えて行った。
「もうすぐです! もうすぐ…私の計画が達成されます! 蛮族どもを滅ぼしたら、蛮族どもと共存している自由都市フレミングも壊滅させましょう! 私達人間以外は不要ですし、それに与する者も不要なのですから‼︎」
この世界に魔王は存在していなかった。
ルレット王女がそこまで他種族を憎む理由とは、なんなのだろうか?
どうやら…私の持っていたテト君のカードの情報が移行されたことに気付かれて警戒されているような感じです。
テト君のカードの情報が消えて焦って行動してしまった私に落ち度があったのかもしれません。
その件以降に…私の持っているテト君のカードを渡してくれと騎士から催促があるからです。
私はテト君の形見だからと言って拒んでいましたが…気付いた時には無くなっている事に気付きました。
誰が取ったのか…それはこの際置いておいて、城側にテト君が生きているという事がバレてしまった可能性があります。
そして、それが…数日後に最悪な形でテト君と再会する事になります。
・・・・・・・・・王女の部屋・・・・・・・・・
《王女よ…少し宜しいでしょうか?》
「影ですか? 入りなさい。」
「失礼致します!」
黒装束を見に纏った女が王女の前に姿を現した。
「聖女クケコより、テトという少年のカードを手に入れました。」
「御苦労です、やはり?」
「はい、テトという少年は…冒険者ギルドでギルドカードを再発行した模様です。」
「何処の冒険者ギルドで更新手続きをしたかは分かりませんか?」
「幾つかの目星は付いてはいるのですが…可能性的には、自由都市フレミングの可能性が大だと…」
「自由都市フレミングですか…」
あの場所は、例え王国であっても迂闊に手を出せない場所…
仮にあの少年がフレミングで更新の手続きをしたとして、王家が圧力を掛けたとしても情報は漏らさないでしょう。
厄介な国で更新したものですね。
「それと王女…そろそろ勇者達の足止めの理由も限界かと思います。」
「テトという少年の居場所は分かりましたか?」
「それは暗部からの報告で、魔凶大森林の…」
「それは分かります。 詳しい場所が何処かと聞いているのです!」
「剛壁の英雄の住む集落に身を寄せているようで…あと、ハーフリングの王女もそこにいると。」
「忌々しい蛮族どもの英雄とですか…しかも、滅ぼした筈の王女までそこに居るのでしたら都合が良いですね。」
ルレット王女は、悪どい顔をしてニヤけた笑顔をした。
「暗部の精鋭部隊を差し向けなさい! 蛮族どもは皆殺しにして、王女の身柄を確保して私の前に連れて来るのです!」
「ですが王女…暗部の精鋭部隊とて、剛壁の英雄相手には苦戦を強いられる…もしくは敗北する可能性もあります。」
「それなら上手くあのテトという少年を利用しなさい! 蛮族どもは義理堅い種族なのでしょう? 人質を取れば…大人しく従うわ!」
「なら、ハーフリングの王女も共に始末された方が宜しいのでは?」
「あの王女は、公爵が奴隷にしたいと言っていましたからね。 エルフは飽きて殺してしまったようなので、次はハーフリングの王女をペットにしたいと言っていましたし、引き渡せば公爵家の支援もより強固になりますし、此方としては得する事ばかりですわ!」
影は王女の顔を見て畏怖を覚えた。
王女とはいえ、ここまで悪どい計画を思い付く思考が常軌を逸しているからだ。
「それと…魔王に関しては如何致しましょうか?」
「蛮族達の王を魔王に仕立てて勇者に倒させる…既に勇者達には刷り込みが終わっています。 後は事通りに動けば良し、逆らえば始末なさい! 代わりはまた呼べば良いのですから…」
「亜人種を魔王に仕立てるなんて…王女は亜人が本当に嫌いなんですね?」
「私達人間より優れた種族なんて、この世界には必要ありません! あんな者達は、さっさと絶滅してくれれば良いのです!」
「恐ろしい人だ…」
そう言って影は闇の中に消えて行った。
「もうすぐです! もうすぐ…私の計画が達成されます! 蛮族どもを滅ぼしたら、蛮族どもと共存している自由都市フレミングも壊滅させましょう! 私達人間以外は不要ですし、それに与する者も不要なのですから‼︎」
この世界に魔王は存在していなかった。
ルレット王女がそこまで他種族を憎む理由とは、なんなのだろうか?
1
お気に入りに追加
554
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
辺境の鍛治職人は、契約期日迄に鍛治技術を極めたい。
アノマロカリス
ファンタジー
俺の名前は、テルヤ=ザイエンジ30歳。
名前から分かる通り、地球出身の日本人だ。
テルヤ=ザイエンジは、あくまでもこの異世界での名前であり…
在園路 瑛夜が日本での名前である。
そんな俺が、何故異世界にいるのかというと…?
このフェフスガルドという異世界の天界に召喚されたのだ。
…と言っても、ラノベでよくある異世界召喚や異世界転移で城に呼び出されたのでは無い。
まずは神々が集う天界に呼ばれ、そこの老神に先人達である同郷の日本人達が魔王ディグスランゼスと呼ばれる魔王を討伐する為の武器を製作して欲しいという話だった。
…というか、こう言った異世界召喚の場合…神々達から聖剣を与えられるものでは無いのか…普通は?
ところが、この世界に魔王が出現したのは今回が初めてでは無い。
大体300年周期で出現すると言う話だった。
以前までは、異世界召喚で呼ばれた異世界人の勇者には、神々から与えられた聖剣を渡していたのだが…?
神から与えられた聖剣も万能では無い。
八代目の魔王迄には効果があったのだが、対抗策を身に付けたのか…九代目からは聖剣の効果が薄くなり、今後の対策として、十代目の魔王からは地上の鍛治職人が創り出した技術の武器でなんとか撃退をして貰っていた。
だが、時代の流れの所為なのか…?
現在の鍛治職人達が創り出した武器では、とても魔王討伐が可能とは思えない程に衰退してしまっていて、ならば…勇者以外に新たに鍛治職人を地球から呼び出そうとして、瑛夜が召喚されたのだった。
神々達も魔王を倒してくれる者達の選考は、疎かにはしていない。
勇者達は正義感の強い若者達が選ばれた。
そして鍛治職人には厳選なる選考の末に、在園路家第二十七代刀工士の瑛夜が呼び出されたのだった…のだが?
この辺は神の誤算的部分があった。
瑛斗は刀鍛冶士の家系だけど、刀匠ではなく、刀工である。
※この世界では、刀工は刀匠より下の立場という意味である。
刀造りの技術は有してはいるが、まだ師匠から認められた訳では無い。
瑛夜よりも上の刀匠を呼びたかったが、その刀匠の年齢が年配過ぎて耐えられないと思っての瑛斗だったのだった。
果たして瑛夜は、魔王を倒せられる様な武器を作り出す事は出来るのだろうか?

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる