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第十四話 ヒロイン登場! その名は…マミムメモ?
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「どうも、テトです! 僕は現在…冒険者ギルドでギルドカードを受け取って、皆に驚かれています!」
生姜焼き丼の一見以降…
食堂に戻ったドワンゴが僕に手料理を振舞われて、今迄に食べた物の中で最高だったと自慢をして…
翌日の朝に絶対起きる筈のないギム達が僕に…
「「「「ドワンゴに作った飯をワシ等にも作ってくれるよな? な? な? な⁉」」」」
…と詰め寄られまして、僕は仕方なく昨日の屋台の人に無理を言ってお願いして、生姜焼き丼を作らされる羽目になりました。
ですが、見た目通りの胃袋を持つドワーフ族です。
丼1つでは足りる訳がありません。
せっかくドワンゴが買ってくれた米袋が2袋開いてしまいました。
そしてドワーフ5人以外に、材料を提供するからと…エルフの店主と屋台の店主、食材屋の店主の分まで作らされて…お陰で午前中作る羽目になり、午後一番で冒険者ギルドに来る事が出来ました。
ちなみに…足りなくなった米は、エルフの店主が追加用に持って来た米を分けてくれて、僕は昨日買った分以上に米を大量に入手出来て満足です。
そして皆も満足したみたいで…今後も頼むと言われたので、ドワンゴに作り方を教えて僕は回避する道を得ました。
以上、報告終わり!
そして現在は、ギルドカードを作る為に受付前の列に並んでいたのですが…
その辺は並ぶのが面倒だと言って、ギム達がギルドマスターという偉い方に話を付けて、いち早くギルドカードの申請が出来る様になりました。
ちなみに、ギム達…剛壁の英雄の5人は最高ランクのSランクだそうで、文句を言う人は誰もいないようですが…僕は性格からか、申し訳ない気持ちで一杯でした。
「それでは…テト様ですね? このカードに血を1滴戴きますが、宜しいでしょうか?」
「はい、お願いします。」
僕は手を出すと、人差し指の先端に針の様な細長い物を刺されて、血をカードに垂らしました。
そして待つ事数分…カードに情報が映されるまでの間、冒険者ギルド規約というのを教えられました。
そしてカードが完成する…前に受付の人から質問をされました。
「テト様は以前、ギルドカードを作られておられますね? 以前のカード情報がこちらに移行されますが宜しいでしょうか?」
「はい。 以前持っていたカードを紛失してしまいまして…」
「わかりました、もう少々お待ち下さい。」
僕は本当は騎士にカードを奪い取られたんだけど、それを伏せて紛失した事にしていた。
それはギムからの提案だからである。
本来、ギルドカードの紛失は冒険者ギルドの規約違反に当たり、簡単には再発行をさせて貰えないのだけど…ギム達がギルドマスターに掛け合ってくれたお陰で、特例で認められたのである。
「お待たせ致しました。 ではテト様、カードに触れて戴けますか? それでカードに情報が転写されますので…」
「はい!」
僕はカードに触れると、カードに情報が転写されたのだった。
それを受付の人が確認すると…目が飛び出るのではないかと思う位に見開いて僕のカードを見ていた。
なんだろう…何か驚く様な事でも書かれているのだろうか?
「テト…様、貴方は今迄何と戦っておられたんですか?」
「何じゃ? おい、小娘…テトのカードがどうかしたのか?」
ギムは受付嬢からカードを受け取ってからカードを見ると、ギルド内に響き渡る様な叫び声と共に驚いていた。
そして他の4人が僕のカードの情報を見ると、他の4人もギルド内の壁が響く位の大きな叫び声を上げた。
「ワシの予想では…テトのレベルは100近くだと思っていたのだが、それを遥かに上回っておる!」
「れ…レベル289って…化け物かお前は⁉」
「289? それって凄いの?」
「「「「「「「はぁ…」」」」」」」
僕がそう言うと、ギルド内から溜息が漏れていた。
僕がテレビゲームとかやっていれば、レベルの凄さも分かったかもしれないけど…ゲームなんてやった事が無いし、289というのが凄いのかが全く解らなかった。
「考えてみれば…テトはワイバーン数十匹を倒してから、ロックバードを数十匹を墜として、ベヒーモスを撃ち抜いて、ハードロッグズ山の赤龍を倒したり、山を半壊させたりしてオーガの集落やアースドラゴンを葬ったりしているからな…それくらい上がる物なのか?」
「え? ハードロッグズ山が半壊したのはテト様が…ですか?」
「あぁ、そこの主の赤龍も倒したぞ。 これが証拠な!」
ギムやギルが収納魔法から鱗や爪を取り出した。
テーブルから零れ落ちる程の鱗が山の様に積まれているのを見て、他の冒険者達は唖然としていた。
するとギルドの職員達が総出で鱗や爪を調べ始めた。
ギルドマスターが受付嬢と交代して、僕のカードの備考欄を見た。
備考欄には、通常の魔物の討伐記録は表示されないが、懸賞金の魔物や魔獣の情報が載っているのだった。
「火炎竜フレマビューラ討伐、ブラッドリーオーガの隻眼のガープ討伐、はぐれベヒーモスのグラドラ討伐、アースドラゴンの三頭龍ギドラス討伐、ディアボロティーガー4体討伐…おい、この手配書を全て剥がせ!」
「皆…名のある懸賞金魔獣じゃな! それをテトが全て倒したのか⁉」
「それじゃあ、レベルがそれだけ上がるのも納得だわい!」
会計係が計算に追われていたので、僕達はまた数時間待つ羽目になった。
この世界の通貨がまだ良く解らなかったのでどれ位の金額かは分からないけど…ギルドでは支払いの金額が無いという事で銀行から引き出せる様になった。
ギルドカードは銀行での手続きが出来る様になっているので、銀行でカードを提示すれば下ろせるという話なのだけど…
「一体幾らになったの?」
「人生を3度遊んで暮らせる程じゃな! 狙われない様に注意せんとな!」
「お前だったら狙うか? レベル289だぞ! ワシなら城の宝物庫に潜入した方が得る確率の方が高いぞ。」
「お金の通貨や価値を…今後も勉強しないといけないね。」
「それで小僧! テトのランクは幾つになるんじゃ?」
ギムが小僧と言ったのは、ギルドマスターの事だった。
ギルドマスターは、かなり悩んでいる感じだった。
「冒険者ギルドカードを受け取った者は、どんな戦歴があったとしてもFランクからスタートなんだが…これだけの討伐数とレベル289の奴をFランクからのスタートでは割に合わんしな…」
「Sランクにするのも遠慮してくれ、テトは先程話した件であまり存在を広めたくは無いんじゃ!」
「そうなると…Aランクでどうでしょうか? Sランクだと各国に報告をしなければなりませんので…」
「Aランクが妥当か! 良かったな、テトよ!」
「Aランクって…凄いの?」
「さっき規約の説明を受けていただろ?」
「あ…Sより下なんだっけ? 国に報告されるのは好まないからそれで良いよ!」
「おい、テト君をAランクで登録しておいてくれ…」
「はい、かしこまりました!」
そういって受付嬢は書類整理に追われる事になった。
ギルドマスターは溜息を吐くと、再び僕達に聞いてい来た。
「ところで、このテト君は…何者なんですか?」
「「「「「テトはワシ等の息子じゃあ!!!」」」」」
5人に圧倒されて、ギルドマスターはそれ以上言えなかった。
考えてみれば、ドワーフの子供が人間というのは明らかに変だと思う者もいるだろうが、ギム達5人は皆に対して意志を貫いたのだった。
そして長かった時間が終わり、僕はドワンゴと共に他にも必要な食材が無いかと市場を見て回っていた。
ギム達4人は、腹が減ったと言って昨日の食堂に行って、後で合流する手筈になっている。
僕は手当たり次第の店で野菜などを全て購入した。
支払いは…レッドドラゴンの鱗の売ったお金をドワンゴが支払った。
買った野菜はドワンゴの収納魔法に入れたのだった。
「テトよ、他にも欲しい物はあるか?」
「海産物とかも欲しいかな? 貝や魚は手に入るかな?」
「それだと漁港市場じゃな! 魚類をここで売ると匂いが酷いのでな!」
僕達は漁港市場に移動をしていた。
すると数人の声がして、それに追われている僕と同じ年位の女の子が僕達の元に来て言った。
「助けて下さい! 追われているんです!」
「お主は…」
「ドワンゴ父さんの知り合い?」
「いたぞ‼ あそこだ‼」
6人の強面の人達が目の前に来た。
そして女の子を指さして言った。
「おい、お前達! そこの女を引き渡せ‼」
「この子、怯えているよ。」
「知った事か! 良いからこっちへ来い‼」
「ドワンゴ父さん、どうすれば良いの?」
「本来なら関わり合いにならない方が良いが…」
男の1人が女の子の腕を掴んで連れて行こうとしていた。
だが僕は、近くの石を1回だけリフティングしてから男に向かってシュートした。
すると、男は遠くまで吹っ飛んで行った。
「あれ? これでも威力が高いのか?」
「くっ…小僧! 何をした⁉」
「君はこっちにきて、守ってあげる。」
「はい…」
僕は女の子を背中に隠した。
すると男は僕に向かって言った。
「お前等には関係ない女だろう! こっちへ寄越せ‼」
「関係ある!」
「何の関係があるんだ!」
「彼女は、僕の…僕の…おヨメさんだ‼」
僕はその場の勢いで言った。
すると男達とドワンゴは口を開けて呆けていた。
僕は振り返って彼女を見ると、顔を赤くして俯いていた。
男達は我に返ると…
「小僧がふざけた事を抜かしてんじゃねーぞ‼」
「テト、アレを見せてやれ!」
ドワンゴはそう言って僕に石を放って来た。
僕は胸で受け取ってからリフティングを開始して5回を過ぎると、炎を纏う様になった。
「今回はやけに早いな?」
僕はその炎の塊を空に向かって蹴り上げると、上空で大爆発を起こして暴風が巻き起こった。
そして男達の数人が飛ばされて行った。
「おい、お主等…あまりしつこいと、コイツは次はお前達に向かってこれを放つぞ!」
「じょ…冗談じゃねえぞ!」
「彼女はもう狙わないよね?」
「そんな女はいらん! お前達で好きにしろ‼」
そう言って男達は去って行った。
僕とドワンゴは彼女を連れて、近くにある店に入った。
そこで料理を食べながら彼女の話を聞いた。
「私までご馳走になって申し訳ありません。」
「お主は、ハーフリングじゃな?」
「はい。 私はマーミム族・ワーヲンの娘のメーモと申します。」
「マーミム族というと、北方の森林に住む一族じゃな? そのお主が何故こんな所に?」
「私の故郷であるマーミム族の国は、人族によって滅ぼされました。 私はいち早く危険を察した臣下達に連れられて国から離れたのですが、人族の追っ手に臣下達は殺されて…そして逃げている内にここまで来たのです。」
結構ヘビーな話だった。
ドワンゴは口髭を撫でながら黙って聞いていた。
「助けて下さったこと、誠にありがとうございます!」
「それは構わないが、お主はこれからどうするんじゃ?」
「マーミム族の国はもうありません。 私は…もう頼る相手がおりません。」
「テトはどうする? さっきは勢いでこの子をおヨメさんと言っていたが…」
「う…う~~~ん?」
「助けて戴いて、これ以上厄介事に巻き込む訳には…」
「メーモが嫌じゃなければ、僕達の所に来ない? 僕も君達の国を滅ぼした人族だけど…」
「テト様は、あの者達とは違います!」
「じゃあ!」
「こんな私で良ければ…今一度名乗らせて下さい。 私はメーモ…マーミム族の国王ワーヲンの娘、メーモと申します。」
「国王の娘という事は…王女様?」
「はい、そうです。」
僕は勢いで王女様に対しておヨメさん宣言をしてしまったのか…
まぁ、ハーフリングという種族の事は良く解らないけど、メーモは凄く可愛いし…いっか。
「僕は10歳だけど、メーモは今幾つ?」
「私も10歳です、テト様…」
「テトで良いよ!…って、ドワンゴ父さん、何をにニヤニヤしているの⁉」
「息子にヨメが出来たなんて…あいつ等に聞かせたらどうなるかと考えてな!」
僕達は漁港市場で魚を買った後に、食堂に向かった。
そして食堂内では、昨日に引き続き宴会が行われていた。
すると扉から入って来た僕に、ギムや皆がメーモに注目した。
「のぉ、ドワンゴ…その子は誰じゃ?」
「テトの嫁だそうだ。 ワシ等に息子以外に娘も出来たぞぉ~~~!」
「「「「な…なにぃ~~~⁉」」」」
「宜しくお願いします!」
これで宴会はまた盛り上がり、皆は酔い潰れるまで飲み明かして食堂の酒を飲み干したのだった。
そして翌日…あれだけ飲んでもケロっとしているギム達と一緒に集落に向かって行くのだった。
・・・・・・・・・一方、昨日の男達は?・・・・・・・・・
「あの女は懸賞金が掛かっているんだ! 易々と逃がしてなる物か!」
「だが…あのガキの爆裂魔法を見ただろ? あの規模の威力を出せる奴に勝てると思っているのか?」
「奴等にも隙は必ずある筈、隙を見て女を掻っ攫うぞ‼」
この騒動はこれで終わりという訳では無かった。
そしてこの男達は、テトを魔道士か何かと勘違いをしていた。
次回、この男達が再び襲ってくるのだが…?
・・・・・・・・・作者の質問・・・・・・・・・
どうも、アノマロカリスです。
本作品をお楽しみ頂いておられる方に質問があります!
この作品は…面白いですか?
コメントに書き込みはありますが…誰1人として面白いとは書いていないので、面白くて読んでいるのか不安になりましたので…(;^_^A
良かったら、感想をお願いします!
生姜焼き丼の一見以降…
食堂に戻ったドワンゴが僕に手料理を振舞われて、今迄に食べた物の中で最高だったと自慢をして…
翌日の朝に絶対起きる筈のないギム達が僕に…
「「「「ドワンゴに作った飯をワシ等にも作ってくれるよな? な? な? な⁉」」」」
…と詰め寄られまして、僕は仕方なく昨日の屋台の人に無理を言ってお願いして、生姜焼き丼を作らされる羽目になりました。
ですが、見た目通りの胃袋を持つドワーフ族です。
丼1つでは足りる訳がありません。
せっかくドワンゴが買ってくれた米袋が2袋開いてしまいました。
そしてドワーフ5人以外に、材料を提供するからと…エルフの店主と屋台の店主、食材屋の店主の分まで作らされて…お陰で午前中作る羽目になり、午後一番で冒険者ギルドに来る事が出来ました。
ちなみに…足りなくなった米は、エルフの店主が追加用に持って来た米を分けてくれて、僕は昨日買った分以上に米を大量に入手出来て満足です。
そして皆も満足したみたいで…今後も頼むと言われたので、ドワンゴに作り方を教えて僕は回避する道を得ました。
以上、報告終わり!
そして現在は、ギルドカードを作る為に受付前の列に並んでいたのですが…
その辺は並ぶのが面倒だと言って、ギム達がギルドマスターという偉い方に話を付けて、いち早くギルドカードの申請が出来る様になりました。
ちなみに、ギム達…剛壁の英雄の5人は最高ランクのSランクだそうで、文句を言う人は誰もいないようですが…僕は性格からか、申し訳ない気持ちで一杯でした。
「それでは…テト様ですね? このカードに血を1滴戴きますが、宜しいでしょうか?」
「はい、お願いします。」
僕は手を出すと、人差し指の先端に針の様な細長い物を刺されて、血をカードに垂らしました。
そして待つ事数分…カードに情報が映されるまでの間、冒険者ギルド規約というのを教えられました。
そしてカードが完成する…前に受付の人から質問をされました。
「テト様は以前、ギルドカードを作られておられますね? 以前のカード情報がこちらに移行されますが宜しいでしょうか?」
「はい。 以前持っていたカードを紛失してしまいまして…」
「わかりました、もう少々お待ち下さい。」
僕は本当は騎士にカードを奪い取られたんだけど、それを伏せて紛失した事にしていた。
それはギムからの提案だからである。
本来、ギルドカードの紛失は冒険者ギルドの規約違反に当たり、簡単には再発行をさせて貰えないのだけど…ギム達がギルドマスターに掛け合ってくれたお陰で、特例で認められたのである。
「お待たせ致しました。 ではテト様、カードに触れて戴けますか? それでカードに情報が転写されますので…」
「はい!」
僕はカードに触れると、カードに情報が転写されたのだった。
それを受付の人が確認すると…目が飛び出るのではないかと思う位に見開いて僕のカードを見ていた。
なんだろう…何か驚く様な事でも書かれているのだろうか?
「テト…様、貴方は今迄何と戦っておられたんですか?」
「何じゃ? おい、小娘…テトのカードがどうかしたのか?」
ギムは受付嬢からカードを受け取ってからカードを見ると、ギルド内に響き渡る様な叫び声と共に驚いていた。
そして他の4人が僕のカードの情報を見ると、他の4人もギルド内の壁が響く位の大きな叫び声を上げた。
「ワシの予想では…テトのレベルは100近くだと思っていたのだが、それを遥かに上回っておる!」
「れ…レベル289って…化け物かお前は⁉」
「289? それって凄いの?」
「「「「「「「はぁ…」」」」」」」
僕がそう言うと、ギルド内から溜息が漏れていた。
僕がテレビゲームとかやっていれば、レベルの凄さも分かったかもしれないけど…ゲームなんてやった事が無いし、289というのが凄いのかが全く解らなかった。
「考えてみれば…テトはワイバーン数十匹を倒してから、ロックバードを数十匹を墜として、ベヒーモスを撃ち抜いて、ハードロッグズ山の赤龍を倒したり、山を半壊させたりしてオーガの集落やアースドラゴンを葬ったりしているからな…それくらい上がる物なのか?」
「え? ハードロッグズ山が半壊したのはテト様が…ですか?」
「あぁ、そこの主の赤龍も倒したぞ。 これが証拠な!」
ギムやギルが収納魔法から鱗や爪を取り出した。
テーブルから零れ落ちる程の鱗が山の様に積まれているのを見て、他の冒険者達は唖然としていた。
するとギルドの職員達が総出で鱗や爪を調べ始めた。
ギルドマスターが受付嬢と交代して、僕のカードの備考欄を見た。
備考欄には、通常の魔物の討伐記録は表示されないが、懸賞金の魔物や魔獣の情報が載っているのだった。
「火炎竜フレマビューラ討伐、ブラッドリーオーガの隻眼のガープ討伐、はぐれベヒーモスのグラドラ討伐、アースドラゴンの三頭龍ギドラス討伐、ディアボロティーガー4体討伐…おい、この手配書を全て剥がせ!」
「皆…名のある懸賞金魔獣じゃな! それをテトが全て倒したのか⁉」
「それじゃあ、レベルがそれだけ上がるのも納得だわい!」
会計係が計算に追われていたので、僕達はまた数時間待つ羽目になった。
この世界の通貨がまだ良く解らなかったのでどれ位の金額かは分からないけど…ギルドでは支払いの金額が無いという事で銀行から引き出せる様になった。
ギルドカードは銀行での手続きが出来る様になっているので、銀行でカードを提示すれば下ろせるという話なのだけど…
「一体幾らになったの?」
「人生を3度遊んで暮らせる程じゃな! 狙われない様に注意せんとな!」
「お前だったら狙うか? レベル289だぞ! ワシなら城の宝物庫に潜入した方が得る確率の方が高いぞ。」
「お金の通貨や価値を…今後も勉強しないといけないね。」
「それで小僧! テトのランクは幾つになるんじゃ?」
ギムが小僧と言ったのは、ギルドマスターの事だった。
ギルドマスターは、かなり悩んでいる感じだった。
「冒険者ギルドカードを受け取った者は、どんな戦歴があったとしてもFランクからスタートなんだが…これだけの討伐数とレベル289の奴をFランクからのスタートでは割に合わんしな…」
「Sランクにするのも遠慮してくれ、テトは先程話した件であまり存在を広めたくは無いんじゃ!」
「そうなると…Aランクでどうでしょうか? Sランクだと各国に報告をしなければなりませんので…」
「Aランクが妥当か! 良かったな、テトよ!」
「Aランクって…凄いの?」
「さっき規約の説明を受けていただろ?」
「あ…Sより下なんだっけ? 国に報告されるのは好まないからそれで良いよ!」
「おい、テト君をAランクで登録しておいてくれ…」
「はい、かしこまりました!」
そういって受付嬢は書類整理に追われる事になった。
ギルドマスターは溜息を吐くと、再び僕達に聞いてい来た。
「ところで、このテト君は…何者なんですか?」
「「「「「テトはワシ等の息子じゃあ!!!」」」」」
5人に圧倒されて、ギルドマスターはそれ以上言えなかった。
考えてみれば、ドワーフの子供が人間というのは明らかに変だと思う者もいるだろうが、ギム達5人は皆に対して意志を貫いたのだった。
そして長かった時間が終わり、僕はドワンゴと共に他にも必要な食材が無いかと市場を見て回っていた。
ギム達4人は、腹が減ったと言って昨日の食堂に行って、後で合流する手筈になっている。
僕は手当たり次第の店で野菜などを全て購入した。
支払いは…レッドドラゴンの鱗の売ったお金をドワンゴが支払った。
買った野菜はドワンゴの収納魔法に入れたのだった。
「テトよ、他にも欲しい物はあるか?」
「海産物とかも欲しいかな? 貝や魚は手に入るかな?」
「それだと漁港市場じゃな! 魚類をここで売ると匂いが酷いのでな!」
僕達は漁港市場に移動をしていた。
すると数人の声がして、それに追われている僕と同じ年位の女の子が僕達の元に来て言った。
「助けて下さい! 追われているんです!」
「お主は…」
「ドワンゴ父さんの知り合い?」
「いたぞ‼ あそこだ‼」
6人の強面の人達が目の前に来た。
そして女の子を指さして言った。
「おい、お前達! そこの女を引き渡せ‼」
「この子、怯えているよ。」
「知った事か! 良いからこっちへ来い‼」
「ドワンゴ父さん、どうすれば良いの?」
「本来なら関わり合いにならない方が良いが…」
男の1人が女の子の腕を掴んで連れて行こうとしていた。
だが僕は、近くの石を1回だけリフティングしてから男に向かってシュートした。
すると、男は遠くまで吹っ飛んで行った。
「あれ? これでも威力が高いのか?」
「くっ…小僧! 何をした⁉」
「君はこっちにきて、守ってあげる。」
「はい…」
僕は女の子を背中に隠した。
すると男は僕に向かって言った。
「お前等には関係ない女だろう! こっちへ寄越せ‼」
「関係ある!」
「何の関係があるんだ!」
「彼女は、僕の…僕の…おヨメさんだ‼」
僕はその場の勢いで言った。
すると男達とドワンゴは口を開けて呆けていた。
僕は振り返って彼女を見ると、顔を赤くして俯いていた。
男達は我に返ると…
「小僧がふざけた事を抜かしてんじゃねーぞ‼」
「テト、アレを見せてやれ!」
ドワンゴはそう言って僕に石を放って来た。
僕は胸で受け取ってからリフティングを開始して5回を過ぎると、炎を纏う様になった。
「今回はやけに早いな?」
僕はその炎の塊を空に向かって蹴り上げると、上空で大爆発を起こして暴風が巻き起こった。
そして男達の数人が飛ばされて行った。
「おい、お主等…あまりしつこいと、コイツは次はお前達に向かってこれを放つぞ!」
「じょ…冗談じゃねえぞ!」
「彼女はもう狙わないよね?」
「そんな女はいらん! お前達で好きにしろ‼」
そう言って男達は去って行った。
僕とドワンゴは彼女を連れて、近くにある店に入った。
そこで料理を食べながら彼女の話を聞いた。
「私までご馳走になって申し訳ありません。」
「お主は、ハーフリングじゃな?」
「はい。 私はマーミム族・ワーヲンの娘のメーモと申します。」
「マーミム族というと、北方の森林に住む一族じゃな? そのお主が何故こんな所に?」
「私の故郷であるマーミム族の国は、人族によって滅ぼされました。 私はいち早く危険を察した臣下達に連れられて国から離れたのですが、人族の追っ手に臣下達は殺されて…そして逃げている内にここまで来たのです。」
結構ヘビーな話だった。
ドワンゴは口髭を撫でながら黙って聞いていた。
「助けて下さったこと、誠にありがとうございます!」
「それは構わないが、お主はこれからどうするんじゃ?」
「マーミム族の国はもうありません。 私は…もう頼る相手がおりません。」
「テトはどうする? さっきは勢いでこの子をおヨメさんと言っていたが…」
「う…う~~~ん?」
「助けて戴いて、これ以上厄介事に巻き込む訳には…」
「メーモが嫌じゃなければ、僕達の所に来ない? 僕も君達の国を滅ぼした人族だけど…」
「テト様は、あの者達とは違います!」
「じゃあ!」
「こんな私で良ければ…今一度名乗らせて下さい。 私はメーモ…マーミム族の国王ワーヲンの娘、メーモと申します。」
「国王の娘という事は…王女様?」
「はい、そうです。」
僕は勢いで王女様に対しておヨメさん宣言をしてしまったのか…
まぁ、ハーフリングという種族の事は良く解らないけど、メーモは凄く可愛いし…いっか。
「僕は10歳だけど、メーモは今幾つ?」
「私も10歳です、テト様…」
「テトで良いよ!…って、ドワンゴ父さん、何をにニヤニヤしているの⁉」
「息子にヨメが出来たなんて…あいつ等に聞かせたらどうなるかと考えてな!」
僕達は漁港市場で魚を買った後に、食堂に向かった。
そして食堂内では、昨日に引き続き宴会が行われていた。
すると扉から入って来た僕に、ギムや皆がメーモに注目した。
「のぉ、ドワンゴ…その子は誰じゃ?」
「テトの嫁だそうだ。 ワシ等に息子以外に娘も出来たぞぉ~~~!」
「「「「な…なにぃ~~~⁉」」」」
「宜しくお願いします!」
これで宴会はまた盛り上がり、皆は酔い潰れるまで飲み明かして食堂の酒を飲み干したのだった。
そして翌日…あれだけ飲んでもケロっとしているギム達と一緒に集落に向かって行くのだった。
・・・・・・・・・一方、昨日の男達は?・・・・・・・・・
「あの女は懸賞金が掛かっているんだ! 易々と逃がしてなる物か!」
「だが…あのガキの爆裂魔法を見ただろ? あの規模の威力を出せる奴に勝てると思っているのか?」
「奴等にも隙は必ずある筈、隙を見て女を掻っ攫うぞ‼」
この騒動はこれで終わりという訳では無かった。
そしてこの男達は、テトを魔道士か何かと勘違いをしていた。
次回、この男達が再び襲ってくるのだが…?
・・・・・・・・・作者の質問・・・・・・・・・
どうも、アノマロカリスです。
本作品をお楽しみ頂いておられる方に質問があります!
この作品は…面白いですか?
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そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
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完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
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