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第十話 高校生達の初の実戦

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 「どうも、クケコです! 私達は現在、初の実戦の最中です!」

 私達は城から出て草原に居ます。
 そこで初の実戦が行われました。
 対戦相手は、ヴォードバジリスクという気性の荒いトカゲだそうです。
 トカゲ…と聞くと、手の平サイズの物を想像するのが異世界人ですが…
 異世界では、体長が3m~5m弱の大きさの物がいます…それも複数。
 そしてトカゲだと思っていましたが、見た目がどう見てもワニにしか見えませんでした。
 
 「まぁ、ワニもトカゲの一種と言えばそうなんだろうけど…」

 私達の後方で騎士団が護衛に着いています。
 ですので、私達は後ろを気にせずに存分に力を奮えるのですが…
 エオの剣戟での攻撃は、ヴォードバジリスクの硬い鱗で弾かれていました。
 なので魔法攻撃に切り替えて、エオは雷魔法でヴォードバジリスクの体を貫いて倒しました。
 セソも水魔法を操って、ヴォードバジリスクの頭を覆うと…窒息させて倒しました。
 見た目がワニ…と言っても水棲生物という訳ではありません。
 ここは、水辺が…無い訳ではないでしょうけど、草原の上ですので見た目がワニであろうと水には弱いみたいです。
 元いた世界の知識は、時に邪魔になるという事が解りました。

 「…と、私だけ見て解説しているだけにはいかないわよね? 聖なる槍よ、かの者達を打ち倒せ! ホーリーランス!」

 私の放った無数の光の矢が、ヴォードバジリスク5体を貫いて倒しました。
 そして皆が無事に討伐を終えると、私達のレベルは1→13になっていました。
 急激なレベルアップを見て思ったのですが、この世界にはヴォードバジリスクよりも弱い魔物はいます。
 ですが、いきなり初心者がこんな強い魔物と戦わされるとは思いませんでした。
 それだけ城側では、私達に早く強くなってほしい…という意図が見えた気がしました。

 「討伐はこれで終わりですか?」
 「はい、お見事です! 次はもう少し強い物でも大丈夫そうですね。」

 私は騎士の1人に声を掛けると、騎士はそう言って笑って居ました。
 私は周囲を見渡して、索敵魔法を掛けましたが…やはりテト君の気配は感じられませんでした。
 
 「クケコ様、今貴女から範囲魔法の効果を感じたのですが…」
 「一応付近を索敵魔法を展開したのです。 訓練とはいえ、ここは城の中ではありませんので、他にも魔物がいたり危険な存在がいないとも限りませんからね。」
 「なるほど、警戒をしていたのですね。 お見事です!」

 危ない危ない…騎士の中にも魔法を探知出来る人がいるんだね?
 私達の目的の第一は、旅をした時にテト君を探す事だった。
 だけど、今のテト君なら恐らくは並みの魔物じゃ歯が立たないでしょう。
 
 「なんでその事を知っているかって?」
 
 それは…黒焦げの誰だか解らない死体の懐にあった、テト君のギルドカード…
 私は形見として持っておきたいと言ったら、王女様は許してくれた。
 私は何度か確認していると、テト君のギルドカードに表示されているレベルが急激に上がったのだ。
 現在のテト君のレベルは49…
 私達より遥かにレベルが高かった。
 私はエオとセソにも見せた。
 するとセソからこう言われた。

 「このテト君のカードは、決して騎士や王女に知られない様にするんだぞ! さもないと、テト君が生きている事がバレて自分等は旅すら出させて貰えなくなる上に、テト君を探す為に捜索隊が動くかもしれないからな。」
 「王女側がテト君を探すって事? もう1度引き入れる為に?」
 「いや、恐らくは暗殺目的の為にだ! 王女側からしてみれば、テト君が生きている事を快く思ってないだろうし、生きていられると自分等の旅にも支障が出ると考えるだろうからね。」
 「支障が出るって?」
 「テト君が生きていたら、魔王討伐をそっちのけでクケコなら探し回るだろ? 王女側からしてみたら、魔王討伐の為に異世界から呼んだ勇者達が他に気を取られるのは良くは思わないだろうからさ。」

 確かに…あんな子供を平気で殺す様な考えを持っている者がテト君が生きている事を知ったら、暗殺の為に兵を差し向けるかもしれない…
 けど、騎士団のレベルがいくつかは解らないけど、レベル50近い相手を倒せる物なのかな?
 そう思ってテト君のカードを見ると、レベルが86に上がっていたのだった。

 「セソ…テト君の存在が仮に発見されても、暗殺は無理じゃないかな?」
 「何でそう言い切れる?」
 「テト君のギルドカードを見てよ! レベル49だったのが86になってる!」
 「はぁ⁉ テト君は今何と戦っているんだ⁉」
 「まさか…魔獣とか魔王の配下と戦っているんじゃないのかな?」
 「この急激なレベルアップだと、ありえなくも無いか…って⁉」
 「どうしたの?」
 「テト君のレベルが107になった…」
 「へ? この世界の人間の最高レベルが87って言う話だよね? という事は、それを遥かに上回っているっていう事?」

 私達…必要あるのかな?
 テト君だけで魔王すら倒せそうな気がする。
 これだけ強くなっていたら、探しやすいのかもしれないわね?
 
 「とりあえず、テト君のレベルに追い付くのは無理だとしても、自分達もそれ相応の強さを手に入れないとな!」
 「そうね…これじゃあ、どっちが足手まといになるか分かった物じゃないからね。」

 待っててねテト君!
 私達も騎士や王女達に認められて、護衛なしで旅が出来る様に頑張るからね!

 ・・・・・・・・・一方、トランドオーケス城では?・・・・・・・・・

 「報告です! 数日前に魔凶大森林に上空に爆発がありましたが、今回もまた爆発がありました。 その威力や規模は前回の比ではありません!」
 「一体、魔凶大森林で何が起きているというのだ⁉」
 「それが全く…魔王軍が侵攻してきているのでしょうか?」
 「影達を魔凶大森林に調査に向かわせろ! 魔王軍の侵攻なら、こちらも早急に対処をせねばならん‼」

 トランドオーケス城では大混乱になっていた。
 話は騎士や魔術師で留めておいているが、いずれは王族たちの耳にも入るだろう。
 そしてトランドオーケス城の者達は気付いていなかった。
 この上空での大爆発を起こした者が、崖から突き落としたテトだという事に!
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