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第二章
第十五話・最終回 シオンは次の段階へ進む!
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僕が意識を覚めると、そこは見知らぬ天井があった。
僕は起き上がると、隣のベッドに青い髪の女の子が眠っていた。
「確かこの人は…リュカさんの妹さんの聖女候補の人だったかな?」
リュカさんの妹さんの服装と僕の服が寝間着を着ている事を考えると、ここはリュカさんの家になるという事になる。
僕はあの時の出来事を思い返してみる。
確かザッシュさ…いや、ザッシュが仲間の皆を殺して、僕はザッシュに攻撃を仕掛けたけど敗れて…その後は?
「あ、目を覚ましたかシオン!」
「あ、リュカさん…ここは?」
「あそことは別大陸にある僕の生まれた村のカナイ村だよ。」
リュカさんは御粥を持って来てくれた。
リュカさんの話を聞くと、僕はこの村に来てから2週間は眠っていたという話だった。
そしてその後に何が起きたのかを説明された。
「そうですか…ザッシュを倒したんですね。」
「それと、シオンの仲間も弔ってあげたよ。 これはシオンが目覚めてから聞こうと思っていたんだけど、一応仲間の遺品はあるんだけど、親元に帰してあげたいと思うんだけど…と思ってね。」
「それは難しいと思います。 聖女候補のアントワネットさん以外はザッシュが奴隷商会で購入した戦闘奴隷という話ですし、アントワネットさんも没落貴族で家族がバラバラだという話なので…ですので遺品は僕が引き取ります。」
僕はリュカさんから仲間の遺品を受け取った。
僕は遺品を眺めていた。
「これはグレンさんの首に巻いていたバンダナ、これはミーヤさんのイヤリングだ。 これはレグリーさんのブレスレッドで最期のはアントワネットさんの聖女候補の証かぁ…本当に皆は……うぅ…」
僕は遺品を抱きしめながら泣いていると、リュカさんは気を利かせてくれたのか…部屋から出て行った。
そして僕は泣き終わってから部屋を出ると、入り口でリュカさんは待っていてくれた。
「もう大丈夫か?」
「はい、もう大丈夫です。」
そしてリュカさんはザッシュと仲間以外の事を話してくれた。
リュカさんの妹のリッカさんがザッシュの剣によって瀕死の重傷を負った事、ザッシュと魔剣ブラドノーヴァを消滅させた後に回復魔法を掛けたけど意識が覚めない事。
そして、この村の周辺の事を…
「リュカさんはこんな危険な場所で育っていたんですね。」
「僕は村を出るまでは…他の村や街も似た様な環境だと思っていたから、大して苦ではなかったけどね。」
「いやいやいやいや…他の街や村は、外では多少危険はありますが、この村ほど物騒ではないですよ!」
リュカさんの話を聞くと、この村の周辺には自然に囲まれてはいるが…危険生物が数多くいるという。
山にはアースドラゴンにブラッドリーオーガ、沼地にはオーガストリザードやヴェルギィスパイダー、森にはエルダートレントにオチュー、川にはヘルクラブにキングレモラ…って、どれも討伐ランクがAランクやSランクですよ!
「なるほど…興味本位で村の外に出歩くと命の保証は出来ないというのは、そういう事でしたか…」
その後…僕達は色々と話をした。
お互いの呪いについての話や家族の話、リュカさんの旅の目的の話など…
「あ、ウォーリアの事を忘れてた!」
「ウォーリア?」
「僕の獣魔です。 あの時の決戦前に送還したのですが、出してあげないと…ただ、気性が荒いので御迷惑にならないかと…?」
「とりあえず、外に出て見せてくれ!」
「あ、はい!」
僕は外に出ると、ウォーリアを召喚した。
すると巨大な馬が出現したのだった。
《主よ…何かあったのか? 長い事放置されていたので忘れ去られたと思ったぞ!》
《すまない、ウォーリア…色々あってね。 詳しい事は後で話すからとりあえずは大人しくしていてね。》
リュカはウォーリアを見ると、あまりの大きさに驚いている感じ…は無かった。
「シオン、この馬はギガントウォーリアフェーズだろ?」
「リュカさんはやはり御存知でしたか!」
「触ってみたいが…平気か?」
「気性が荒いので…扱いさえ気を付けてくれれば…」
《君がウォーリアだな。 僕はリュカという。》
《なんと! 我と話せる者が主以外に他にも居たのか⁉》
《話せるというか…この村の牧場には、お前の仲間がいるからな。》
《なんと! 我が同胞がいるのか⁉ それは是非に会ってみたい‼》
《わかった、案内しよう…ただし僕ではなく、シドラの案内になるけど良いか?》
《む? シドラとは?》
「リュカさん、シドラってどなたですか?」
「シドラは僕の従魔だよ。 待っててね…シドラ‼」
僕の右手の紋章が光ると、青い光を纏いながら出現した。
「リュカさんの従魔はドラゴンですか⁉」
《ほぉ…小さいが中々強そうだな!》
「あるじ~お腹減ったョ!」
シドラのいつものフレーズが出ると、シドラはウォーリアを見て言った。
「お前…小さいな!」
《何だと⁉ 我より小さいお主に小さい呼ばわりをされる覚えは…》
《いや、シドラが言う小さいというのは…この村のギガントウォーリアフェーズに比べると小さいっていう意味だよ。》
《我より大きい者がこの村にはいるのか?》
《ギガントウォーリアフェーズはこの村に30匹位いるけど、それに比べると一番小さいかな?》
《ならば案内せよ!》
「という訳でシドラ、ウォーリアを案内してあげてくれ!」
「あるじ~お腹が…」
「今は材料が無いから、ウォーリアと共に狩りをしてきてよ。」
「ではまずは、大きい者達に案内するから、その後は狩りをするョ!」
《楽しみだ‼》
シドラの案内で、ウォーリアは駆けて行った。
「あの…リュカさん、ウォーリアは強者を求めるんですが大丈夫ですか?」
「ギガントウォーリアフェーズの特徴だろ? ギガントウォーリアフェーズは1か所に留まる事は無い…というのは常に強者を求めるからね。 その点、この村では事欠かないよ。」
「なるほど…じゃなければ、ウォーリアの仲間が数多く留まらないですよね?」
リュカさんと僕の従魔が走って行った方向を見ながら僕に尋ねて来た。
「それで…シオンはこれからどうするんだ?」
「僕は…もう頼れる仲間もいませんし、家に帰る事も出来ないので…」
「なら、しばらくの間…この村で過ごさないか?」
「リュカさんが御迷惑でなければ。」
「うちは大歓迎だよ! それにすぐに立ち去ろうとすると、ウォーリアが拗ねるぞ。」
「では、お世話になります!」
僕がそういうと、リュカさんは笑みを浮かべていた。
僕はリュカさんの笑みの意味を知るのは、それほど時間が掛からなかった。
そして僕は夕食に招かれて、久々に自分ではなく他の人が作る料理を食べた。
夕食後にリュカさんは僕の事をちゃんと紹介してくれた。
そして僕の目の前には…本で読んだ【黄昏の夜明け】のメンバーがいる。
これが興奮せずにはいられない…!
「初めまして、シオン・ノート・グラッドと申します、剣聖ジェスター様!」
「ワシは剣聖を引退しているので、もう剣聖は不要…ん? グラッド? お主はカリバリオンの息子か?」
「父を御存知なのですか?」
「カリバリオンはワシの弟子の1人じゃ! なるほど…どことなく雰囲気が奴に似ておるな!」
「似ていますか? 僕はどちらかというと、母や姉に似ているとは良く言われますが…」
父に似てる…そう言われたのは初めてだった。
そして僕は実家から呪いの所為で追い出された事を一通り話した。
「追い出されたとは…? お主はエルドナート大陸の英雄シオンだろう?」
「僕の事を知っていらしたのですか?」
「この村は辺鄙な所だが、新聞は届くのでな。 なるほど、それがカリバリオンの息子とはな。」
「はい、父も僕が英雄になると自分で追い出した癖に家に戻って来いと言われました。」
「あやつ…相変わらずじゃのう。 ならワシがカリバリオン宛に一筆したためておこう。 それを見せれば今迄の様に無下には扱われんぞ!」
「ありがとうございます!」
「それと呪いについてだが…トリシャ!」
「はい、お義父様。」
ジェスター様はトリシャという女性の名前を呼んだ。
リュカさんの母親で、確か…聖女様だった筈?
トリシャ様は僕の体に手を触れてから鑑定を行った。
僕も自分自身を鑑定出来るけど、表示されている呪いしか表示されていなかったけど、トリシャ様はそれ以上の事が解っているみたいだった。
「確かに呪いね、それもリュカとはまた違ったタイプの呪いだわ! だけどこの呪いは、一部だけなら解除出来るかも…」
「解除出来るのですか、トリシャ様⁉」
「様は不要ですよ、シオン君。 そうね…魔法に関する攻撃は解呪出来ないけど、武器による攻撃の解呪は出来るかも…」
トリシャ様は聖女魔法をしようして僕の体に触れると、僕の体から歯車の様な物が数十飛び出してきた。
トリシャ様はその歯車を次々とピースをはめるみたいに解除すると、僕の体に変化が起きた。
「これで武器による攻撃は解呪出来たわ! だけど他は厄介な術式だから私では無理みたい。」
「それが本当なら、凄く嬉しいです! 是非とも試してみたい所ですが…」
「リュカよ、相手をしてやれ!」
僕とリュカさんは外に出て木剣を渡された。
僕は試してみたいと言って木剣でリュカさんの体を触れてみた。
すると木剣は弾かれる事が無く、リュカさんの体に触れる事が出来た。
「疑っていた訳ではないですが、本当に触れる事が出来ました!」
「なら、試合形式で相手をしてやれ!」
「シオン、宜しく!」
「はい、リュカさん!」
僕とリュカさんとの戦いが始まった。
リュカさんはさすがジェスター様の孫というだけあって攻撃が多彩だった。
僕も負けずに技を繰り出して行った。
「強い…同世代相手にここまでの相手はいなかった!」
「リュカさんもやりますね! ですが‼」
僕はソニックブームを放った。
リュカさんは僕のソニックブームを受け流すと、5つの刃のソニックブレストを放って来た。
僕の父さんですら、3つの刃のソニックウェーブがやっとだというのに…
僕は刀身にオーラを纏わせて、ソニックブレストの刃を受け流して行き、歩法術でリュカさんに一気に差を縮めると、リュカさんの木剣を巻き技で絡めとってから木剣をリュカさんの首元に当てた。
「それまで! お主…中々の才能じゃな! カリバリオンより遥かに才能があるな!」
「あ…それはどうもです!」
「それに比べてリュカは何と不甲斐ない…旅の間は怠けておったな!」
リュカさんはビク付いて項垂れている所を見ていると…僕は勝って良かったのかと思えて来る。
するとリュカさんはジェスター様に言った。
「とー祖父ちゃん、シオンが村にいる間に色々と教え合いたいんだ、良いかな?」
「まぁ、そういう事なら良いじゃろう!」
ジェスター様の言葉にリュカさんは安心した表情になった。
なるほど…先程の笑顔の意味はこういう事だったのか!
それから2か月間、僕はカナイ村で色んな事を学んだ。
大魔女カーディナル様からの魔法の伝授、ジェスター様からの武器での攻撃の手解き、トリシャ様から回復系魔法の教えなど…
そしてリュカさんからは、自分の意思で覚醒をする方法を習ったのだった。
ただし…奈落の中で。
相手を閉じ込める闇魔法の奈落だったが、まさか自分が入るとは思わなかった。
奈落の空間の設定が出来て、その中だと修業し放題という事なのだが…副作用で記憶が欠損するという話だった。
「リュカさんありがとう! これで自分の意思で覚醒が使えます!」
「シオンはさ…今後はどうするんだ? 実家に帰って暮らして行くのか?」
「いえ…冒険者を続けますよ。 家にいてもやれる事は限られますし、何より退屈ですからね。」
「なら…さ、リッカが目覚めたら聖女候補の修業の旅に着いて来てくれないかな?」
「リュカさん…それって?」
「シオン・ノート、僕は君をチームに加えたいんだ! 一緒に冒険をしてくれないか?」
ザッシュのチーム以降…僕は冒険者を細々と過ごして行く事しか考えてなかった。
確かにリュカさんのチームなら…そう考えたけど、僕は即答は出来なかった。
「とりあえず実家に帰ってから、今迄の旅を見つめ直したいので…少し考えさせてください。」
僕はそう答えた。
そして月日は過ぎて行き…2か月が経ったある日、僕は実家に帰ろうと思って準備をしていた。
「行くのか、シオン?」
「はい、今迄お世話になりました!」
「寂しくなるな…また会えるか?」
「僕の力が必要な時は言って下さい。 微力ながら力になりますので!」
「わかった、元気でな…それとリッカが目を覚ましたら連絡を入れるから。」
「僕もリッカさんが目を覚ませる様に祈っています!」
僕とリュカさんは握手を交わすと、僕は転移魔法でグラッドの街に戻ったのだった。
「久々…いや、半年くらいかな?」
僕は前回この街に来た時は…確か逃亡生活みたいな感じだったな。
だけど今回はフードなしで堂々と歩く事が出来た。
そして屋敷の前に辿り着いたのだけど…正直入りにくかった。
だけど僕は門を開けてから屋敷に入った。
「シオン坊ちゃま、おかえりなさいませ!」
この家の執事のテクラスが僕を向かい入れてくれた。
というか、テクラスに坊ちゃまなんて呼ばれた事は無かったけど?
「伯爵…いえ、父さんはいる?」
「はい、執務室の方に…」
僕は案内を断って執務室に行き、扉をノックした。
そして扉を開けると、久々に父と再会した。
「シオンか…良く帰って来てくれた。」
「久しぶりですね父さん。」
「ファークラウド大陸での出来事は聞いた。 だがそれ以降は消息不明と言われたので心配をしていたのだが、どこにいた?」
「ゴルディシア大陸のカナイ村という場所です。」
「は? どこだって?」
「ですから、カナイ村という場所でお世話になっていました。」
すると父は突然顔が青くなり、小刻みに震えていた。
「シオン…お前、カナイ村にいたのか⁉」
「はい…あ、剣聖ジェスター様より父さん宛ての手紙を預かっております。」
僕は父にジェスター様からの手紙を渡すと、受け取ってから手紙を読んでいた。
すると父の顔が拍車をかけて真っ青になっていた。
「父さん…何が書かれていたんですか?」
「う…それは、言えん! そうだ、シオンよ! 今回はゆっくりしていくのか?」
「そうしたい所ですが、僕の部屋はもう無いでしょうから、近くの宿にでも行こうかと…」
「いや、お前の部屋は残してある! 少々散らかっていると思うので居間で待っておれ! テクラス、大至急メイド達と共にシオンの部屋を整えろ!」
「はっ!」
僕は執務室を出ると、「申し訳ありません、ジェスター様!」という父の叫び声が聞こえた。
本当にあの手紙には何が書かれていたんだろう?
あの父があそこまで取り乱す姿を見た事は無かった。
僕はしばらく居間で待っていると、テクラスが来て僕の部屋を整えたという報告があった。
僕は部屋に行くと、見違える程広くなっていた。
「僕の部屋ってこんなに広かったんだ?」
あの頃は、家族に邪魔者扱いされていて…ベッドとテーブル以外は荷物や木箱が積まれていて、まるで倉庫という感じだったけど、今はそれらが取っ払われていた。
そしてあの頃に使用していたボロボロのシングルベッドは無く、ダブルの天幕付きのベッドが用意されていた。
あの頃とは違い過ぎて、自分の部屋という感じがしなくて落ち着かなかった。
僕はベッドに横になっていると、いつの間にか眠ってしまった。
「シオン坊ちゃま、食事の時間で御座います!」
僕はそう言われて起き上がると、テクラスに聞いた。
「あぁ…食事ね。 冷めたクズ野菜のスープに硬いパンかな?」
「いえ…皆様が御待ちですので、食堂の方にと。」
「おや? 僕はこの家では家族とは認められずに、1人で食事をするものだと思っていたけど?」
「い…いえ、その様な事は!」
テクラスの態度が今までと違ったが、僕はテクラスに連れられて食堂に行った。
すると、家族が全員そろっていたのだった。
僕はテクラスに案内されて席に着いた。
そして運ばれて来た食事を食べながら時間は過ぎていく…
すると父から話をされた。
「シオンはこれからどうするんだ? ずっと家に居てくれるのか?」
「しばらくは家でお世話になりたいと思います。 そして、時期が来たら旅に出ようと思います。」
「旅にって…お前が以前いたチームはもう無いのだろう?」
「はい…ですが、僕をチームに誘ってくれるという話なので連絡が来たら加わろうと思っています。」
「それはどんな人物なんだ?」
「リュカさんという僕と年が近い人です。」
父は腕を組んで考えると、僕に言って来た。
「お前と年が近いって、大した年齢ではないではないか! その様な者からの誘いなら断っても…」
「いえ、僕がリュカさんの力になりたいんです! あの人は僕の恩人だから…」
「だがな…何処の馬の骨とも解らない者に…」
「リュカさんは、剣聖ジェスター様のお孫様ですよ?」
「な…なんだと⁉」
あれ?
この事はジェスター様からの手紙に書かれていなかったのかな?
僕は父を見ると、顔を真っ青にしながら頭を抱えていた。
こんなに取り乱した父を見るのは初めてで、母様も兄妹達も唖然としていた。
「そうか…ジェスター様のお孫様でリュカ殿というのか…って、リュカ殿とは第四の魔王を倒した者か⁉」
「そのリュカさんですが…大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ない! そうか…英雄リュカ殿のチームに参加か。 シオンよ、しっかりとサポートするのだぞ!」
「はい、そのつもりです。」
僕は娯楽室に行くと、久々に兄妹達と楽しく話をした。
それからの1か月は、僕はグラッド家で楽しく暮らしていた。
そしてリュカさんから念話で連絡が来た…のだけど、少し様子が変だった。
僕は気になってカナイ村に転移をすると、あの時の女の子のリッカさんに会った。
だけど、あの時の女の子とは少し雰囲気が違っている感じがした。
「原因が究明出来たら、リッカの旅を再開させたいと思う。 シオンはそれまでに準備をしてくれないか?」
「わかりました。」
僕はそう言ってから準備を始めた。
そしてしばらくしてから僕はリュカさんの旅に同行する事になる。
僕の旅は…リュカさんのチームに参加するという事で始まるのだった。
そして僕の今後の物語は…
リュカさんの世界にお邪魔する事になります!
皆様、短い間でしたが…僕の物語を読んで頂き有り難う御座いました!
僕は起き上がると、隣のベッドに青い髪の女の子が眠っていた。
「確かこの人は…リュカさんの妹さんの聖女候補の人だったかな?」
リュカさんの妹さんの服装と僕の服が寝間着を着ている事を考えると、ここはリュカさんの家になるという事になる。
僕はあの時の出来事を思い返してみる。
確かザッシュさ…いや、ザッシュが仲間の皆を殺して、僕はザッシュに攻撃を仕掛けたけど敗れて…その後は?
「あ、目を覚ましたかシオン!」
「あ、リュカさん…ここは?」
「あそことは別大陸にある僕の生まれた村のカナイ村だよ。」
リュカさんは御粥を持って来てくれた。
リュカさんの話を聞くと、僕はこの村に来てから2週間は眠っていたという話だった。
そしてその後に何が起きたのかを説明された。
「そうですか…ザッシュを倒したんですね。」
「それと、シオンの仲間も弔ってあげたよ。 これはシオンが目覚めてから聞こうと思っていたんだけど、一応仲間の遺品はあるんだけど、親元に帰してあげたいと思うんだけど…と思ってね。」
「それは難しいと思います。 聖女候補のアントワネットさん以外はザッシュが奴隷商会で購入した戦闘奴隷という話ですし、アントワネットさんも没落貴族で家族がバラバラだという話なので…ですので遺品は僕が引き取ります。」
僕はリュカさんから仲間の遺品を受け取った。
僕は遺品を眺めていた。
「これはグレンさんの首に巻いていたバンダナ、これはミーヤさんのイヤリングだ。 これはレグリーさんのブレスレッドで最期のはアントワネットさんの聖女候補の証かぁ…本当に皆は……うぅ…」
僕は遺品を抱きしめながら泣いていると、リュカさんは気を利かせてくれたのか…部屋から出て行った。
そして僕は泣き終わってから部屋を出ると、入り口でリュカさんは待っていてくれた。
「もう大丈夫か?」
「はい、もう大丈夫です。」
そしてリュカさんはザッシュと仲間以外の事を話してくれた。
リュカさんの妹のリッカさんがザッシュの剣によって瀕死の重傷を負った事、ザッシュと魔剣ブラドノーヴァを消滅させた後に回復魔法を掛けたけど意識が覚めない事。
そして、この村の周辺の事を…
「リュカさんはこんな危険な場所で育っていたんですね。」
「僕は村を出るまでは…他の村や街も似た様な環境だと思っていたから、大して苦ではなかったけどね。」
「いやいやいやいや…他の街や村は、外では多少危険はありますが、この村ほど物騒ではないですよ!」
リュカさんの話を聞くと、この村の周辺には自然に囲まれてはいるが…危険生物が数多くいるという。
山にはアースドラゴンにブラッドリーオーガ、沼地にはオーガストリザードやヴェルギィスパイダー、森にはエルダートレントにオチュー、川にはヘルクラブにキングレモラ…って、どれも討伐ランクがAランクやSランクですよ!
「なるほど…興味本位で村の外に出歩くと命の保証は出来ないというのは、そういう事でしたか…」
その後…僕達は色々と話をした。
お互いの呪いについての話や家族の話、リュカさんの旅の目的の話など…
「あ、ウォーリアの事を忘れてた!」
「ウォーリア?」
「僕の獣魔です。 あの時の決戦前に送還したのですが、出してあげないと…ただ、気性が荒いので御迷惑にならないかと…?」
「とりあえず、外に出て見せてくれ!」
「あ、はい!」
僕は外に出ると、ウォーリアを召喚した。
すると巨大な馬が出現したのだった。
《主よ…何かあったのか? 長い事放置されていたので忘れ去られたと思ったぞ!》
《すまない、ウォーリア…色々あってね。 詳しい事は後で話すからとりあえずは大人しくしていてね。》
リュカはウォーリアを見ると、あまりの大きさに驚いている感じ…は無かった。
「シオン、この馬はギガントウォーリアフェーズだろ?」
「リュカさんはやはり御存知でしたか!」
「触ってみたいが…平気か?」
「気性が荒いので…扱いさえ気を付けてくれれば…」
《君がウォーリアだな。 僕はリュカという。》
《なんと! 我と話せる者が主以外に他にも居たのか⁉》
《話せるというか…この村の牧場には、お前の仲間がいるからな。》
《なんと! 我が同胞がいるのか⁉ それは是非に会ってみたい‼》
《わかった、案内しよう…ただし僕ではなく、シドラの案内になるけど良いか?》
《む? シドラとは?》
「リュカさん、シドラってどなたですか?」
「シドラは僕の従魔だよ。 待っててね…シドラ‼」
僕の右手の紋章が光ると、青い光を纏いながら出現した。
「リュカさんの従魔はドラゴンですか⁉」
《ほぉ…小さいが中々強そうだな!》
「あるじ~お腹減ったョ!」
シドラのいつものフレーズが出ると、シドラはウォーリアを見て言った。
「お前…小さいな!」
《何だと⁉ 我より小さいお主に小さい呼ばわりをされる覚えは…》
《いや、シドラが言う小さいというのは…この村のギガントウォーリアフェーズに比べると小さいっていう意味だよ。》
《我より大きい者がこの村にはいるのか?》
《ギガントウォーリアフェーズはこの村に30匹位いるけど、それに比べると一番小さいかな?》
《ならば案内せよ!》
「という訳でシドラ、ウォーリアを案内してあげてくれ!」
「あるじ~お腹が…」
「今は材料が無いから、ウォーリアと共に狩りをしてきてよ。」
「ではまずは、大きい者達に案内するから、その後は狩りをするョ!」
《楽しみだ‼》
シドラの案内で、ウォーリアは駆けて行った。
「あの…リュカさん、ウォーリアは強者を求めるんですが大丈夫ですか?」
「ギガントウォーリアフェーズの特徴だろ? ギガントウォーリアフェーズは1か所に留まる事は無い…というのは常に強者を求めるからね。 その点、この村では事欠かないよ。」
「なるほど…じゃなければ、ウォーリアの仲間が数多く留まらないですよね?」
リュカさんと僕の従魔が走って行った方向を見ながら僕に尋ねて来た。
「それで…シオンはこれからどうするんだ?」
「僕は…もう頼れる仲間もいませんし、家に帰る事も出来ないので…」
「なら、しばらくの間…この村で過ごさないか?」
「リュカさんが御迷惑でなければ。」
「うちは大歓迎だよ! それにすぐに立ち去ろうとすると、ウォーリアが拗ねるぞ。」
「では、お世話になります!」
僕がそういうと、リュカさんは笑みを浮かべていた。
僕はリュカさんの笑みの意味を知るのは、それほど時間が掛からなかった。
そして僕は夕食に招かれて、久々に自分ではなく他の人が作る料理を食べた。
夕食後にリュカさんは僕の事をちゃんと紹介してくれた。
そして僕の目の前には…本で読んだ【黄昏の夜明け】のメンバーがいる。
これが興奮せずにはいられない…!
「初めまして、シオン・ノート・グラッドと申します、剣聖ジェスター様!」
「ワシは剣聖を引退しているので、もう剣聖は不要…ん? グラッド? お主はカリバリオンの息子か?」
「父を御存知なのですか?」
「カリバリオンはワシの弟子の1人じゃ! なるほど…どことなく雰囲気が奴に似ておるな!」
「似ていますか? 僕はどちらかというと、母や姉に似ているとは良く言われますが…」
父に似てる…そう言われたのは初めてだった。
そして僕は実家から呪いの所為で追い出された事を一通り話した。
「追い出されたとは…? お主はエルドナート大陸の英雄シオンだろう?」
「僕の事を知っていらしたのですか?」
「この村は辺鄙な所だが、新聞は届くのでな。 なるほど、それがカリバリオンの息子とはな。」
「はい、父も僕が英雄になると自分で追い出した癖に家に戻って来いと言われました。」
「あやつ…相変わらずじゃのう。 ならワシがカリバリオン宛に一筆したためておこう。 それを見せれば今迄の様に無下には扱われんぞ!」
「ありがとうございます!」
「それと呪いについてだが…トリシャ!」
「はい、お義父様。」
ジェスター様はトリシャという女性の名前を呼んだ。
リュカさんの母親で、確か…聖女様だった筈?
トリシャ様は僕の体に手を触れてから鑑定を行った。
僕も自分自身を鑑定出来るけど、表示されている呪いしか表示されていなかったけど、トリシャ様はそれ以上の事が解っているみたいだった。
「確かに呪いね、それもリュカとはまた違ったタイプの呪いだわ! だけどこの呪いは、一部だけなら解除出来るかも…」
「解除出来るのですか、トリシャ様⁉」
「様は不要ですよ、シオン君。 そうね…魔法に関する攻撃は解呪出来ないけど、武器による攻撃の解呪は出来るかも…」
トリシャ様は聖女魔法をしようして僕の体に触れると、僕の体から歯車の様な物が数十飛び出してきた。
トリシャ様はその歯車を次々とピースをはめるみたいに解除すると、僕の体に変化が起きた。
「これで武器による攻撃は解呪出来たわ! だけど他は厄介な術式だから私では無理みたい。」
「それが本当なら、凄く嬉しいです! 是非とも試してみたい所ですが…」
「リュカよ、相手をしてやれ!」
僕とリュカさんは外に出て木剣を渡された。
僕は試してみたいと言って木剣でリュカさんの体を触れてみた。
すると木剣は弾かれる事が無く、リュカさんの体に触れる事が出来た。
「疑っていた訳ではないですが、本当に触れる事が出来ました!」
「なら、試合形式で相手をしてやれ!」
「シオン、宜しく!」
「はい、リュカさん!」
僕とリュカさんとの戦いが始まった。
リュカさんはさすがジェスター様の孫というだけあって攻撃が多彩だった。
僕も負けずに技を繰り出して行った。
「強い…同世代相手にここまでの相手はいなかった!」
「リュカさんもやりますね! ですが‼」
僕はソニックブームを放った。
リュカさんは僕のソニックブームを受け流すと、5つの刃のソニックブレストを放って来た。
僕の父さんですら、3つの刃のソニックウェーブがやっとだというのに…
僕は刀身にオーラを纏わせて、ソニックブレストの刃を受け流して行き、歩法術でリュカさんに一気に差を縮めると、リュカさんの木剣を巻き技で絡めとってから木剣をリュカさんの首元に当てた。
「それまで! お主…中々の才能じゃな! カリバリオンより遥かに才能があるな!」
「あ…それはどうもです!」
「それに比べてリュカは何と不甲斐ない…旅の間は怠けておったな!」
リュカさんはビク付いて項垂れている所を見ていると…僕は勝って良かったのかと思えて来る。
するとリュカさんはジェスター様に言った。
「とー祖父ちゃん、シオンが村にいる間に色々と教え合いたいんだ、良いかな?」
「まぁ、そういう事なら良いじゃろう!」
ジェスター様の言葉にリュカさんは安心した表情になった。
なるほど…先程の笑顔の意味はこういう事だったのか!
それから2か月間、僕はカナイ村で色んな事を学んだ。
大魔女カーディナル様からの魔法の伝授、ジェスター様からの武器での攻撃の手解き、トリシャ様から回復系魔法の教えなど…
そしてリュカさんからは、自分の意思で覚醒をする方法を習ったのだった。
ただし…奈落の中で。
相手を閉じ込める闇魔法の奈落だったが、まさか自分が入るとは思わなかった。
奈落の空間の設定が出来て、その中だと修業し放題という事なのだが…副作用で記憶が欠損するという話だった。
「リュカさんありがとう! これで自分の意思で覚醒が使えます!」
「シオンはさ…今後はどうするんだ? 実家に帰って暮らして行くのか?」
「いえ…冒険者を続けますよ。 家にいてもやれる事は限られますし、何より退屈ですからね。」
「なら…さ、リッカが目覚めたら聖女候補の修業の旅に着いて来てくれないかな?」
「リュカさん…それって?」
「シオン・ノート、僕は君をチームに加えたいんだ! 一緒に冒険をしてくれないか?」
ザッシュのチーム以降…僕は冒険者を細々と過ごして行く事しか考えてなかった。
確かにリュカさんのチームなら…そう考えたけど、僕は即答は出来なかった。
「とりあえず実家に帰ってから、今迄の旅を見つめ直したいので…少し考えさせてください。」
僕はそう答えた。
そして月日は過ぎて行き…2か月が経ったある日、僕は実家に帰ろうと思って準備をしていた。
「行くのか、シオン?」
「はい、今迄お世話になりました!」
「寂しくなるな…また会えるか?」
「僕の力が必要な時は言って下さい。 微力ながら力になりますので!」
「わかった、元気でな…それとリッカが目を覚ましたら連絡を入れるから。」
「僕もリッカさんが目を覚ませる様に祈っています!」
僕とリュカさんは握手を交わすと、僕は転移魔法でグラッドの街に戻ったのだった。
「久々…いや、半年くらいかな?」
僕は前回この街に来た時は…確か逃亡生活みたいな感じだったな。
だけど今回はフードなしで堂々と歩く事が出来た。
そして屋敷の前に辿り着いたのだけど…正直入りにくかった。
だけど僕は門を開けてから屋敷に入った。
「シオン坊ちゃま、おかえりなさいませ!」
この家の執事のテクラスが僕を向かい入れてくれた。
というか、テクラスに坊ちゃまなんて呼ばれた事は無かったけど?
「伯爵…いえ、父さんはいる?」
「はい、執務室の方に…」
僕は案内を断って執務室に行き、扉をノックした。
そして扉を開けると、久々に父と再会した。
「シオンか…良く帰って来てくれた。」
「久しぶりですね父さん。」
「ファークラウド大陸での出来事は聞いた。 だがそれ以降は消息不明と言われたので心配をしていたのだが、どこにいた?」
「ゴルディシア大陸のカナイ村という場所です。」
「は? どこだって?」
「ですから、カナイ村という場所でお世話になっていました。」
すると父は突然顔が青くなり、小刻みに震えていた。
「シオン…お前、カナイ村にいたのか⁉」
「はい…あ、剣聖ジェスター様より父さん宛ての手紙を預かっております。」
僕は父にジェスター様からの手紙を渡すと、受け取ってから手紙を読んでいた。
すると父の顔が拍車をかけて真っ青になっていた。
「父さん…何が書かれていたんですか?」
「う…それは、言えん! そうだ、シオンよ! 今回はゆっくりしていくのか?」
「そうしたい所ですが、僕の部屋はもう無いでしょうから、近くの宿にでも行こうかと…」
「いや、お前の部屋は残してある! 少々散らかっていると思うので居間で待っておれ! テクラス、大至急メイド達と共にシオンの部屋を整えろ!」
「はっ!」
僕は執務室を出ると、「申し訳ありません、ジェスター様!」という父の叫び声が聞こえた。
本当にあの手紙には何が書かれていたんだろう?
あの父があそこまで取り乱す姿を見た事は無かった。
僕はしばらく居間で待っていると、テクラスが来て僕の部屋を整えたという報告があった。
僕は部屋に行くと、見違える程広くなっていた。
「僕の部屋ってこんなに広かったんだ?」
あの頃は、家族に邪魔者扱いされていて…ベッドとテーブル以外は荷物や木箱が積まれていて、まるで倉庫という感じだったけど、今はそれらが取っ払われていた。
そしてあの頃に使用していたボロボロのシングルベッドは無く、ダブルの天幕付きのベッドが用意されていた。
あの頃とは違い過ぎて、自分の部屋という感じがしなくて落ち着かなかった。
僕はベッドに横になっていると、いつの間にか眠ってしまった。
「シオン坊ちゃま、食事の時間で御座います!」
僕はそう言われて起き上がると、テクラスに聞いた。
「あぁ…食事ね。 冷めたクズ野菜のスープに硬いパンかな?」
「いえ…皆様が御待ちですので、食堂の方にと。」
「おや? 僕はこの家では家族とは認められずに、1人で食事をするものだと思っていたけど?」
「い…いえ、その様な事は!」
テクラスの態度が今までと違ったが、僕はテクラスに連れられて食堂に行った。
すると、家族が全員そろっていたのだった。
僕はテクラスに案内されて席に着いた。
そして運ばれて来た食事を食べながら時間は過ぎていく…
すると父から話をされた。
「シオンはこれからどうするんだ? ずっと家に居てくれるのか?」
「しばらくは家でお世話になりたいと思います。 そして、時期が来たら旅に出ようと思います。」
「旅にって…お前が以前いたチームはもう無いのだろう?」
「はい…ですが、僕をチームに誘ってくれるという話なので連絡が来たら加わろうと思っています。」
「それはどんな人物なんだ?」
「リュカさんという僕と年が近い人です。」
父は腕を組んで考えると、僕に言って来た。
「お前と年が近いって、大した年齢ではないではないか! その様な者からの誘いなら断っても…」
「いえ、僕がリュカさんの力になりたいんです! あの人は僕の恩人だから…」
「だがな…何処の馬の骨とも解らない者に…」
「リュカさんは、剣聖ジェスター様のお孫様ですよ?」
「な…なんだと⁉」
あれ?
この事はジェスター様からの手紙に書かれていなかったのかな?
僕は父を見ると、顔を真っ青にしながら頭を抱えていた。
こんなに取り乱した父を見るのは初めてで、母様も兄妹達も唖然としていた。
「そうか…ジェスター様のお孫様でリュカ殿というのか…って、リュカ殿とは第四の魔王を倒した者か⁉」
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「あぁ、問題ない! そうか…英雄リュカ殿のチームに参加か。 シオンよ、しっかりとサポートするのだぞ!」
「はい、そのつもりです。」
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だけど、あの時の女の子とは少し雰囲気が違っている感じがした。
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「わかりました。」
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そしてしばらくしてから僕はリュカさんの旅に同行する事になる。
僕の旅は…リュカさんのチームに参加するという事で始まるのだった。
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