30 / 36
第二章
第十話 船旅と新大陸上陸(船旅は…色々辛いです。)
しおりを挟む
ダレオリア港から出発した船は、2週間の航路の果てにファークラウド大陸に着くという話だった。
出発した初日は、穏やかな陽気で揺れも少なく、快適な旅だったのだが…
翌日は、時化が近付いていた所為か…波は荒れていて船が凄く揺れていた。
【漆黒の残響】のメンバー内にも船酔いをする者達がいた。
狼獣人のグレンとドワーフのレグリー…そしてシオンだった。
ザッシュとアントワネットは、貴族の旅行で船旅に慣れている為に問題はなく…ミーヤも全く問題が無かった。
だがグレンは、三半規管がそれ程丈夫ではないらしく、レグリーも大地の民であるドワーフ族にとっては地面以外の場所には不慣れだった。
そして驚く事にシオンも…船なんかに乗る事が無かったので、船の揺れに対して酷く酔ったのだった。
「初日は全く揺れなかったのに、翌日には全く違うなんて…船を甘く見てた。」
「お前は馬車は平気で、船が駄目なんてな…変わっている奴だな?」
「仕方ないにゃ! シオンは初めて船にのりゅんでしょ?」
シオンは状態異常御回復のキュアリフレッシュを自分に掛けた。
一瞬だけ吐き気が収まったが、強い揺れにまた酔ったのだった。
「僕は…うっぷ! これを最後に2度と船には乗りたくないです!」
「だとすると、次の大陸でお別れという事になるぞ?」
「え? 何でですか⁉」
「だって、大陸間の移動は全て船で移動だからな…」
「うぅ…慣れる方法はないのかな?」
《クルシェスラーファ…酔いを止める魔法って無い?》
《無いわよ、そんな魔法…あ!》
《何かあるの?》
《短時間有効な魔法はあるにはあるけど…これからの旅を考えるのなら体に慣れる様に勤めなさい。》
《その魔法を教えてよ!》
《駄目です、克服なさい!》
《教えてくれないのなら…》
《何ですか?》
《クルシェスラーファに吐くよ…胃の内容物。》
《や…やめなさい! やったら許さないわよ!》
《あ…もう限界!》
僕は海に向かって吐いた。
グレンとレグリーも続いて海に吐いたのだった。
そしてあらかた吐き続けた為に、胃の中は空っぽになり…僕等3人は客室のベッドに寝かされて苦しむのだった。
「うぅ…これが後12日間も続くのか…」
この日は、苦しみながらベッドで死んでいるシオンだった。
翌日、波は穏やかになり…シオンはベッドから起き上がったのだが、ベッドから降りると揺れてはいないのに揺れている様な感覚が起きたのだった。
「あれ? 今は船が揺れてないですよね?」
「お前…昨日から何も喰ってないだろ? 表面炙りのモレン掛け料理だ。 これでも腹に入れて置け…」
「あれ? 2人は?」
「あいつらは食堂に走って行った。 揺れてないのを機に腹に入れて来るそうだ。」
僕はザッシュの行為に甘えて、料理を口に入れた。
食べやすい上に、モレン風味で吐き気が起きる事は無く平らげる事が出来た。
「ありがとうございました! これで少しはましになりました。」
「シオンでも苦手な物があったんだな…」
僕は食堂に行って料理を腹に詰めた。
それから3日間は、それ程揺れはなかったが…
4日後にまた2日目の揺れと同じ物が起きたのだった。
グレンとレグリーは揺れを克服したが…僕だけ克服出来ずにベッドに伏していた。
それが3日ほど続き…全く動けずに衰弱して行った。
僕が揺れに対応出来る様になったのは12日目で、それ以降に強い揺れでも対応出来る様になっていた。
だが、嵐の様な揺れが起きたら…そう思うと自信はなかった。
そして2週間後にファークラウド大陸のサンデリアの港街に着くと、僕とグレンとレグリーは…揺れない地面にありがたみを感じて感謝していた。
「お前等辞めろ! 恥ずかしいだろうが、周りの眼を気にしろよ!」
「え?」
僕等は3人で地面に土下座して地面に頬ずりしていた。
確かに周りから奇怪な目で見られていたので、僕等は慌てて立ち上がった。
「お前等3人とも、揺れは克服したんだろ?」
「克服はしましたが、揺れない地面に感動して…」
「はぁ…アントワネット、穢れの方向はどっちだ?」
「この方角の…かなり遠い所から反応がありますね。」
僕は地図を取り出した。
アントワネットの指を指した方角を見ると、クラウディア王国の方面だった。
「なら、この港街で食事をしてから旅立つとしよう。 皆はそれで良いか?」
「「「はい!」」」
僕等はこの街の食堂に行く事にした。
すると、ザッシュが遠くの方を見て首を傾げていた。
「どうかしたのですか、ザッシュさん?」
「いや、あいつがいた様な気がしてな!」
「知り合いですか?」
「いや、気の所為だろう。 あいつがこんな所にいる訳がないしな…」
ザッシュがみたアイツとは⁉
ザッシュとシオンは、皆の後を追って食堂に行ったのだった。
………お知らせ………
恋愛小説で「鱈場は、花咲を求めて旅をする!」という作品を書きました。
どうか、お気に入りに登録をお願いしますm(_ _)m
出発した初日は、穏やかな陽気で揺れも少なく、快適な旅だったのだが…
翌日は、時化が近付いていた所為か…波は荒れていて船が凄く揺れていた。
【漆黒の残響】のメンバー内にも船酔いをする者達がいた。
狼獣人のグレンとドワーフのレグリー…そしてシオンだった。
ザッシュとアントワネットは、貴族の旅行で船旅に慣れている為に問題はなく…ミーヤも全く問題が無かった。
だがグレンは、三半規管がそれ程丈夫ではないらしく、レグリーも大地の民であるドワーフ族にとっては地面以外の場所には不慣れだった。
そして驚く事にシオンも…船なんかに乗る事が無かったので、船の揺れに対して酷く酔ったのだった。
「初日は全く揺れなかったのに、翌日には全く違うなんて…船を甘く見てた。」
「お前は馬車は平気で、船が駄目なんてな…変わっている奴だな?」
「仕方ないにゃ! シオンは初めて船にのりゅんでしょ?」
シオンは状態異常御回復のキュアリフレッシュを自分に掛けた。
一瞬だけ吐き気が収まったが、強い揺れにまた酔ったのだった。
「僕は…うっぷ! これを最後に2度と船には乗りたくないです!」
「だとすると、次の大陸でお別れという事になるぞ?」
「え? 何でですか⁉」
「だって、大陸間の移動は全て船で移動だからな…」
「うぅ…慣れる方法はないのかな?」
《クルシェスラーファ…酔いを止める魔法って無い?》
《無いわよ、そんな魔法…あ!》
《何かあるの?》
《短時間有効な魔法はあるにはあるけど…これからの旅を考えるのなら体に慣れる様に勤めなさい。》
《その魔法を教えてよ!》
《駄目です、克服なさい!》
《教えてくれないのなら…》
《何ですか?》
《クルシェスラーファに吐くよ…胃の内容物。》
《や…やめなさい! やったら許さないわよ!》
《あ…もう限界!》
僕は海に向かって吐いた。
グレンとレグリーも続いて海に吐いたのだった。
そしてあらかた吐き続けた為に、胃の中は空っぽになり…僕等3人は客室のベッドに寝かされて苦しむのだった。
「うぅ…これが後12日間も続くのか…」
この日は、苦しみながらベッドで死んでいるシオンだった。
翌日、波は穏やかになり…シオンはベッドから起き上がったのだが、ベッドから降りると揺れてはいないのに揺れている様な感覚が起きたのだった。
「あれ? 今は船が揺れてないですよね?」
「お前…昨日から何も喰ってないだろ? 表面炙りのモレン掛け料理だ。 これでも腹に入れて置け…」
「あれ? 2人は?」
「あいつらは食堂に走って行った。 揺れてないのを機に腹に入れて来るそうだ。」
僕はザッシュの行為に甘えて、料理を口に入れた。
食べやすい上に、モレン風味で吐き気が起きる事は無く平らげる事が出来た。
「ありがとうございました! これで少しはましになりました。」
「シオンでも苦手な物があったんだな…」
僕は食堂に行って料理を腹に詰めた。
それから3日間は、それ程揺れはなかったが…
4日後にまた2日目の揺れと同じ物が起きたのだった。
グレンとレグリーは揺れを克服したが…僕だけ克服出来ずにベッドに伏していた。
それが3日ほど続き…全く動けずに衰弱して行った。
僕が揺れに対応出来る様になったのは12日目で、それ以降に強い揺れでも対応出来る様になっていた。
だが、嵐の様な揺れが起きたら…そう思うと自信はなかった。
そして2週間後にファークラウド大陸のサンデリアの港街に着くと、僕とグレンとレグリーは…揺れない地面にありがたみを感じて感謝していた。
「お前等辞めろ! 恥ずかしいだろうが、周りの眼を気にしろよ!」
「え?」
僕等は3人で地面に土下座して地面に頬ずりしていた。
確かに周りから奇怪な目で見られていたので、僕等は慌てて立ち上がった。
「お前等3人とも、揺れは克服したんだろ?」
「克服はしましたが、揺れない地面に感動して…」
「はぁ…アントワネット、穢れの方向はどっちだ?」
「この方角の…かなり遠い所から反応がありますね。」
僕は地図を取り出した。
アントワネットの指を指した方角を見ると、クラウディア王国の方面だった。
「なら、この港街で食事をしてから旅立つとしよう。 皆はそれで良いか?」
「「「はい!」」」
僕等はこの街の食堂に行く事にした。
すると、ザッシュが遠くの方を見て首を傾げていた。
「どうかしたのですか、ザッシュさん?」
「いや、あいつがいた様な気がしてな!」
「知り合いですか?」
「いや、気の所為だろう。 あいつがこんな所にいる訳がないしな…」
ザッシュがみたアイツとは⁉
ザッシュとシオンは、皆の後を追って食堂に行ったのだった。
………お知らせ………
恋愛小説で「鱈場は、花咲を求めて旅をする!」という作品を書きました。
どうか、お気に入りに登録をお願いしますm(_ _)m
0
お気に入りに追加
1,276
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる