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第二章

第四話 クルシェスラーファの教え(様々な事を学びます)

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 グラットの街から出発して、2日経った。
 街道から少し外れた場所に馬車を停車した。
 ウォーリアを少し休ませるという理由もあるが、魔物を討伐して備蓄をするという事で…ザッシュとミーヤとグレン、それにウォーリアで魔物討伐に出て行った。
 レグリーとアントワネットは外にいる。
 そして僕は馬車の中を魔法で更に拡張する為に試行錯誤していた。
 この馬車は少し特殊で、設置している魔石に触れて魔力を流す事により…約9畳ある馬車の内部が3倍から5倍に拡張できるという物なのだ。
 なので、ベッドルーム、食堂、調理場、鍛冶スペース、更にはバスルームの拡張をしたい所なのだが…?

 「さすがにバスルームまでの拡張は無理か…」
 《魔石に魔力を流す際に、明確なイメージが欠けているのよ。 自分の思い描く設計図を明確なイメージで合わせれば拡張は可能よ!》

 そうはいっても、実家の屋敷の中は1つ1つの部屋ごとに分かれていたので参考にはならない。
 宿屋も主に、バッドルームとトイレくらいしかないので、バスルームなんていう物は無かった。
 というより、バスルームがある様な宿屋は、高級宿やホテルの類なので…僕の様な低ランクの冒険者に泊まる事なんて無いからイメージが付かないのだ。
 シオンが平民の出ならば、イメージも付くだろう。
 だが、ザッシュのチームは…?
 ザッシュ・子爵家、シオン・伯爵家、アントワネット・伯爵家、グレン・ミーヤ・レグリーは奴隷という…平民の家を知っている者が居ないのだ。

 「魔石の力で車内を拡張は出来ても、貴族の家の様に各部屋を作る訳にもいかないしな…?」

 そういえば、ザッシュがカイナートという街にいた時は、チーム専用のギルドハウスという家に住んでいたと聞いていた。
 その内装を聞きたい所だが、あいにくザッシュはいない。
 戻ってから話を聞くとして、僕は他に出来る事を考えた。

 《いま、暇を持て余しているのなら…私が色々教えるわ! そうね、まずは思念話のやり方を教えましょう。》
 「誰もいないこの状況なら、口に出して話していても問題はないだろうけど…普段は誰かがいるから思念話は重要だね。」

 僕はクルシェスラーファから習った魔力同調という物を以前習った。
 だが、魔力同調というのは…そもそもやった事すらないので、上手く行かなかった。
 相手から発せられる魔力の痕跡を辿り、見事辿り着く事により同調が可能になるという物なのだが…これは目隠ししながら間違える事なく目的地に辿り着けという位に難しい物だった。」
 
 「ちなみに、一番早く同調出来た人の中では、今迄で誰が早かった?」
 《英雄ダンね。 彼はすぐに同調を出来たわよ。 時間で物の数分だったかしら?》
 「物の数分って…僕は2日経っても出来ないのに…?」
 《それは仕方ない事だわ! だってシオンは生まれ付き魔力を制御出来ていた訳じゃなかったんでしょ?》
 「そうだね、僕が魔法を本格的に使える様になったのは…1年くらいだしね。」
 《たった1年弱でここまで使いこなせる人は殆どいないわよ? それが出来るとしたら、シオンは才能があるという事なのかもね!》
  
 そうなのかな…?
 僕が主に使っていた魔法って、サポーターとしての能力で魔法を組み合わせられないかな?
 …そう思いながら試行錯誤で身に付けた物だから、才能とは別な物だと思う。

 《さて、無駄話はこの辺にして…まずは最初に言った通りに私の体から発せられる魔力を感じ取って、それに意識を同調させて…》

 シオンは目を閉じてからクルシェスラーファの魔力を感じ取った。
 ここまでは出来るのだが、同調するという意味が良く解らずにここで何度も躓くのである。
 そして4時間が経過するけど、一向に出来る気配が無かった。

 「魔力を感じる事は出来るんだけど、魔力を同調するというのがイマイチ解らない。」
 《男女の関係なら、肌を重ね合う…という感覚に近い物なんだけどね?》
 「ごめん、僕にそういった経験はないです。」
 《私も言っただけよ。 見れば貴方に女性の経験が無い事くらいすぐに解るわ!》
 
 さて困ったな…?
 余計にこんがらがって来たぞ?
 色々試行錯誤をしていると、クルシェスラーファから言って来た。

 《シオンは念話は使える?》
 「念話…頭の中の言葉を魔力に乗せて相手に伝えるもの…と認識はしているけど?」
 《実は、貴方がウォーリアとの会話で使用しているのも念話なのよ。》
 「え? あれ…念話だったの? てっきり言語魔法だとばかり思っていた。」
 
 考えてみると、僕とグレンが会話している時にザッシュがグレンの言葉が良く解るな…と言っていた事があったっけ?
 あれは言語魔法を使用していた訳ではなく、言語魔法だと思って使っていたのが念話だった…?
 それなら、周りに聞こえる筈はないしな…?
 どういう事なんだろう?

 《試しに、私に向かって念話を使ってみて。 それでも会話が可能だと思うから…》
 「えっと…《こんな感じ?》かな?」
 《そうそう、出来ているわよ! 最初から念話を使えば良かったわね! そして徐々に同調をして思念話が出来れば問題ないわよ!》
 
 とりあえずはこれでしばらくの間は他者に聞かれずに会話出来る事が可能になった。
 その後、クルシェスラーファから様々な魔法や知識を学んで行った。
 だけど相変わらず、攻撃魔法に関する物は会得出来なかった。

 「一体僕の呪いって何なんだろう? 特別な力…ではないか。」

 シオンの呪いとは一体⁉
 それが解き明かされるのはまだ先の話であった。
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