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第二章

序章

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 「ザッシュ! いい加減にしろよ‼」
 「五月蠅い! 俺に指図をするな‼」
 「ザッシュさんの言っていた憎む相手というのがあの人だったのか…」
 
 ザッシュは剣を抜いてから、僕と年齢が近い人に斬り掛かって行った。
 だけど、相手の方が優勢でザッシュは圧されていた。
 そしてザッシュは、相手の少年の攻撃により怪我を負わされて倒れた。

 「ザッシュさんの援護をしないと…闇鎖、相手を捕縛しろ!」
 
 すると、相手の少年は僕の魔法を躱してから剣で切り裂いた。

 「そんな…僕の闇魔法が斬られるなんて…」
 「闇魔法…だと?」

 僕はもう1度…あの少年を拘束しようと闇鎖を放った。
 だが、僕の魔法を横に飛んで躱すと、少年の方も闇鎖を放って僕の体を拘束した。
 僕は闇魔法を使える者が他にもいるとは思わなくて混乱した。

 「なんで⁉ 君も闇魔法が使えるの⁉」
 「闇魔法が使えるのが自分だけだと思ったの? というか、僕以外の使い手には初めて会ったけどね…」

 少年は僕に攻撃をしようと近付いてきた。
 僕は魔法の解除が出来ずに覚悟を決めた。
 すると、クルシェスラーファが思念波を放った。

 《兄さんやめて‼》
 《やはりその気配…クルシェスラーファか⁉》
 《なんであなたがここに?》

 僕の持っているクルシェスラーファと少年の持つ魔剣とミーヤさんが相手にしている女性の持っている剣が共鳴を始めた。
 すると、クルシェスラーファの力で僕の拘束は解かれたので、僕は立ち上がって距離を取った。
 他の人達は、グレンが拳闘士の人と、ミーヤがアントワネットさんの知り合いの女性剣士の相手をしていた。
 非戦闘員のアントワネットとレグリーは、2人の美少女に立ち塞がれていた。
 僕はザッシュに回復魔法を放った。
 するとザッシュは回復して立ち上がった。

 「ザッシュは大して脅威ではないけど、あの少年は厄介だな…」
 「何だと⁉ 俺様よりもシオンの方が厄介だと⁉ リュカの癖に舐めやがって…」
 
 ザッシュは、リュカと呼んでいた少年に斬り掛かろうとしていた。
 僕はザッシュにバフ魔法を掛けた。
 ザッシュの攻撃は、リュカに圧している感じだった。
 ところがリュカは剣を受け流してから距離を取ると、ザッシュに掛かっていた僕の魔法を解除魔法で打ち消した。
 
 「僕の魔法が無効化された⁉ そんな事…今迄一度もなかったのに…?」
 「シオン、コイツ相手に手助けは必要ない! お前は他の者達のサポートに行け!」
 
 ザッシュはそう言っているけど、明らかに実力差が違い過ぎる様に見えた。
 なので僕は、ザッシュに発言したのだが…

 「だけど…この人は強敵ですよ!」
 「良いから行け‼」

 リーダーの命令はチームでは絶対だった。
 僕は不安を感じつつもその場を後にして、他のメンバーのサポートに徹する事にした。
 僕はまず、グレンの元に行った。

 {グレンさん、手助けに来ました!}
 {すまんが、必要ない! 久々の強敵に喜びを感じている所だ!}

 グレンは大丈夫だと感じると、僕はミーヤの元に行った。
 ミーヤは女性剣士の攻撃によって体に切り傷が複数あった。
 僕は回復魔法でミーヤを癒すと、僕に感謝して再び女性剣士と対峙した。

 《あなたが目覚めていたのは驚きだったけど、契約者がいるというのはもっと驚きだったわ!》
 《私はね、あの戦いの後に姉さん達と一緒に眠りについたんだけど、早い内に目覚めたのよ。》
 《もしかして…姉妹なの?》
 《私の姉さんで、名前はシャンゼリオンよ。》
 《シャンゼリオンって…魔王との戦いで勇者が持っていた聖剣だよね? という事は、その所有者は勇者なの?》
 《私の事を言っているのかな? 私は聖女候補よ、そこにいるアントワネットの同期のね。》
 《魔王との戦いでの伝説の武器が2本も…あれ? クルシェスラーファはさっき魔剣に兄さんって言ってなかったっけ?》
 《そうよ、兄のエグゼンリオン…いまはアトランティカだったっけ?》
 《ここに伝説の武器が揃ったなんて…》

 すると、ザッシュとリュカが戦っている場所から禍々しい力が発せられているのを感じた。
 ザッシュの方をみると、赤い鎧を身に付けていた。

 《あれは…まさか、ブラドノーヴァ⁉》
 《厄災の魔器の1つが何故ここに⁉》
 《厄災の魔器? どういうことなの、クルシェスラーファ…》
 《ザッシュの持っている魔剣は、元は悪魔の使用していた武器の1つなの。 その9個の魔器の内、4つは破壊したんだけど…この世界にはもう存在していないと思っていたのに…》
 《あの魔器を人間が使用し続けると、精神が病んで通常の思考能力がどんどん失われると…あ!》

 僕はザッシュの方向を見ると、リュカが剣先を首に当ててトドメを刺そうとしている所だった。
 僕は急いでザッシュの元に駆け寄って行ったが間に合わないと思っていた。

 「これで終わりだ! ザッシュ‼」
 「やめろーーーーー!!!」

 僕は激しい感情により、再び覚醒状態になった。
 そして僕はリュカを衝撃波で弾き飛ばしてから、ザッシュに回復魔法を施した。
 だが、ザッシュは怪我は治ったのだが意識が目覚めずに気を失ったままだった。
 僕はリュカの前に立ち、こう叫んだ。

 「これからは僕が相手だ‼」
 「相手をする…と言っても、先程から攻撃手段がないじゃないか! それでどうやって僕の相手をするんだよ?」
 《安心してシオン、貴方自身には攻撃魔法は無いけど、覚醒になった今の状態では私の固有魔法は貴方にも使えるから…》 

 僕は光りの槍をイメージすると、右手を出してから発射させた。
 リュカはそれを次々と斬って行ったが、数本を体に喰らっていた。
 僕は初めて使う事が出来た攻撃魔法に感動を覚えた。
 そして自信がついてきた感じだった。

 「どう? 君も魔法の使い手みたいだけど、僕に勝てるかな?」
 「覚醒か…厄介な物だね。」
 「僕は呪いの所為で攻撃に関する事が一切出来なかったんだよ。 だけど、覚醒の状態ではクルシェスラーファのお陰で攻撃魔法が使えるんだよ。」
 「なるほどね…それで追撃しないのは、余裕の表れなのかな?」

 リュカも回復魔法を使えるのは知っていた。
 僕はリュカが怪我を回復するのを待ってあげた。
 どうせなら、全力で攻撃したいと思っていたからだ。

 「舐められた物だね…攻撃はして来ないんだ?」
 「攻撃はいつでも出来るからね…では、仲間を怪我させた分を償って貰うよ!」

 僕は覚醒と魔力を融合させて魔力を吹き上がらせた。
 リュカも相当な魔力の持ち主だとは思うけど、覚醒した僕の魔力の方が遥かに上回っている…

 「なるほどね…強大な力を手に入れると、人って油断するのが良く解ったよ…」
 「これだけの力の差を見せ付けられて余裕あるね…それともただの強がりなのかな?」
 
 僕の勝ちは揺るがない物だと思っていた。
 リュカがその言葉をいうまでは…

 「闇魔法の時もそうだったけど、まさか…覚醒が使えるのが自分だけだと思ってないかな?」
 「え? ま、まさか…⁉」
 「見せてあげるよ…僕の力を…」

 僕はハッタリだと思っていた。
 ところが、僕に向かって浮かべた笑みを見ると、ハッタリには思えなかった。
 そしてリュカは、魔力を放出すると同時に白い光に変化して…僕の覚醒と同じ状態になっていた。
 リュカは僕と違って感情の変化で覚醒する訳じゃなく、自分の意思で覚醒が出来ていた。

 「さてと…第二ラウンド行ってみますか!」
 「くっ…」
 
 シオンとリュカの想像の越えた戦いが始まろうとしていた。
 この戦いに勝利するのは、シオンなのか…それとも、リュカなのか…?

 この戦いの行方は、もう少し先の回で話される事になるだろう。

 もう1つの作品である…
 「冒険者に登録したばかりの僕を勝手にチームに入れた癖に必要なくなったと言って追い出された…僕の需要が解ったからって戻って来いだと?知るか‼」
 …では、リュカの視点で描かれています。
 この章の中盤では、度々今回と同じ展開で話が更新されて行きますので、御覧下さいね!
 恐らく…こんな方法で物語を更新している人って多分いないでしょう…よね?
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