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第十八話
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この日…フェルサージ男爵がデルード男爵家に乗り込んで来た。
理由は勿論、ネフティスとの離婚をし…引き取って貰う事だった。
「どういう事なのかね、ファグリュー殿!これでは話が違うでは無いか‼︎」
ネフティスは父親の影で潮らしく泣いたフリをして悲しそうな表情を浮かべていた。
「これでも結構な情状酌量を与えての離婚なんですがねぇ…」
「こんな一方的な物言いで情状酌量の余地等と…ふざけている‼︎ならばこちらは、慰謝料を要求するぞ‼︎」
「その考えは変わりませんか?」
俺の言葉に、フェルサージ男爵は無言で頷いた。
「そうですか…穏便に事を済ませようと思っていたのですが、それならば仕方がありませんね。」
「穏便に?何を馬鹿な事を…」
俺はあらかじめ用意をしていた書類を取り出した。
「では、こちらも慰謝料を請求したいと思いますので…良いですか?」
「はぁ‼︎」
「ネフティスのアイデアで創り出した装飾品の300品の内の250品は、一切売れる事がなくて倉庫に寝かしている状態。更に高価な金や銀や宝石類を使用している為に、一般の倉庫に保管できる訳ではなく、警備を配置しなければならない為に維持費に1日銀貨1枚の金額が掛かり、更にそれが112日分の銀貨112枚、自分が気に入らずに上級職人を勝手に解雇した損害賠償金1人当たりの銀貨50枚×8人の銀貨400枚、こんな状況になった原因にも関わらず、何度注意しても散財をしまくった分の損出の金貨20枚、更には我が商会の若者との不貞行為による慰謝料…」
フェルサージ男爵は、書類に書かれている情報を読み上げられる度に徐々に顔が青くなって大量の汗を掻いていた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ‼︎」
「何でしょうか?」
「そんな金額を支払いでもしたら、我がフェルサージ男爵家はお終いだ‼︎」
「ですが、フェルサージ男爵は俺に慰謝料を請求するという事だから、なら俺も慰謝料を請求出来ると思いましてね。」
「先程の話だと、娘を引き取れば不問にするという話だったよな?」
「そうですね、金食い虫の穀潰しを引き取って下さるのであれば、こちらからはこれらの金額を請求する事はありません。」
「その話を信じても?」
「はい、不服なら…弁護士の元で書面を交わしますが?」
フェルサージ男爵は目を閉じて頷くと、立ち上がってからネフティスの首根っこを掴んで…
「分かりました、娘は引き取らさせて頂きます。」
「ちょっと、パパ‼︎」
ネフティスは不満なのか、ブーブーと文句を言っていたが…
フェルサージ男爵はネフティスを拳で殴って黙らせると、すぐにその場から去っていった。
「これで終わったか…少しは請求しても良いとは思ったが、カーネラさえ戻って来れば、この損失以上の売り上げが確保出来るしな!」
…そう、ファグリューはそんな事を甘く考えていた。
だけど、その考えは…?
理由は勿論、ネフティスとの離婚をし…引き取って貰う事だった。
「どういう事なのかね、ファグリュー殿!これでは話が違うでは無いか‼︎」
ネフティスは父親の影で潮らしく泣いたフリをして悲しそうな表情を浮かべていた。
「これでも結構な情状酌量を与えての離婚なんですがねぇ…」
「こんな一方的な物言いで情状酌量の余地等と…ふざけている‼︎ならばこちらは、慰謝料を要求するぞ‼︎」
「その考えは変わりませんか?」
俺の言葉に、フェルサージ男爵は無言で頷いた。
「そうですか…穏便に事を済ませようと思っていたのですが、それならば仕方がありませんね。」
「穏便に?何を馬鹿な事を…」
俺はあらかじめ用意をしていた書類を取り出した。
「では、こちらも慰謝料を請求したいと思いますので…良いですか?」
「はぁ‼︎」
「ネフティスのアイデアで創り出した装飾品の300品の内の250品は、一切売れる事がなくて倉庫に寝かしている状態。更に高価な金や銀や宝石類を使用している為に、一般の倉庫に保管できる訳ではなく、警備を配置しなければならない為に維持費に1日銀貨1枚の金額が掛かり、更にそれが112日分の銀貨112枚、自分が気に入らずに上級職人を勝手に解雇した損害賠償金1人当たりの銀貨50枚×8人の銀貨400枚、こんな状況になった原因にも関わらず、何度注意しても散財をしまくった分の損出の金貨20枚、更には我が商会の若者との不貞行為による慰謝料…」
フェルサージ男爵は、書類に書かれている情報を読み上げられる度に徐々に顔が青くなって大量の汗を掻いていた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ‼︎」
「何でしょうか?」
「そんな金額を支払いでもしたら、我がフェルサージ男爵家はお終いだ‼︎」
「ですが、フェルサージ男爵は俺に慰謝料を請求するという事だから、なら俺も慰謝料を請求出来ると思いましてね。」
「先程の話だと、娘を引き取れば不問にするという話だったよな?」
「そうですね、金食い虫の穀潰しを引き取って下さるのであれば、こちらからはこれらの金額を請求する事はありません。」
「その話を信じても?」
「はい、不服なら…弁護士の元で書面を交わしますが?」
フェルサージ男爵は目を閉じて頷くと、立ち上がってからネフティスの首根っこを掴んで…
「分かりました、娘は引き取らさせて頂きます。」
「ちょっと、パパ‼︎」
ネフティスは不満なのか、ブーブーと文句を言っていたが…
フェルサージ男爵はネフティスを拳で殴って黙らせると、すぐにその場から去っていった。
「これで終わったか…少しは請求しても良いとは思ったが、カーネラさえ戻って来れば、この損失以上の売り上げが確保出来るしな!」
…そう、ファグリューはそんな事を甘く考えていた。
だけど、その考えは…?
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