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第十四話

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あれから更に1ヶ月が経過しました。

デルード男爵家で商品登録をしたアイデア商品ですが、噂が噂を呼んで更に売れ行きが上がっているみたいで…

購入者が増えている為に、当初の2、3倍の売り上げ記録を叩き出しました。

でも…これ以上の売り上げは恐らく見込めないでしょう。

ベストセラーは、永遠に続くというわけではありませんから。

なにわともあれ…これで私達の商売が始められます。

軍資金はたっぷりあります…が、仕入れの段階で少し減るでしょうけど、それを見返せられる程の売り上げは見込めるでしょう。

仕入れの交渉はメルリランが上手く働いてくれたおかげで、通常価格よりもかなり抑えて取引が出来るようになりました。

立地の条件も、ある老夫婦がお店を引退するという事で譲ってもらえる事になりました。

ただし、条件付きで…ですが。

でも、その条件がほんの些細なお願い程度なので、こちらは全く損は致しません。

新商品の味見を真っ先にさせて欲しいという事だったので、心良くお引き受け致しました。

そして…唯一の食用油入手問題でしたが、これもオリーブから油を搾り取る方法を職人さんからのアイデアでたっぷり確保することができました。

この地方のオリーブの使い道は、ピクルスの様に漬けることでしか使い道が無いみたいで…在庫は問題無く量を仕入れることが出来ました。

そして、肝心の販売する商品ですが…?

デルード男爵家で販売したアイデア商品の他に、魚や肉を燻製にして長期保存に適した物を製造したり、砂糖を高熱で熱して雲(わたあめ)を作るといった商品を開発致しました。

肉の燻製に関しては干し肉と非常に似てはおりますので、ステーキを好む上位貴族達には見向きもされない為に、一般家庭に出回る事が出来ます。

まぁ、干し肉の類は…上級貴族からしてみたら、金のない奴が喰うものという事で敬遠されるみたいです。

カラカラに乾燥した干し肉とは違い、燻製肉の場合は…火で炙る事により旨味が溢れる仕上げになっております。

魚の燻製も長期保存ができるということで、王都デルキアッシュから旅立つ際の保存食として重宝するのではないかと睨んでおります。

そして商売を始めたところ…燻製物は、平民の一般家庭や冒険者や旅人に人気のある物として売れました。

平民の一般家庭には通常料金でしたが、冒険者や旅人には…ほぼぼったくりの金額で販売する事が出来ましたので、かなりの売り上げになりました。

そして砂糖を高熱で熱した雲は、平民から噂が広まって…貴族にも売れる様になりました。

平民には通常料金で、貴族にはぼったくり料金で販売しているのに…貴族達は金に糸目を付けずに料金を競り合う様に値段を釣り上げておりました。

原価が幾らか知ったら…多分返金を求められるかも知れないですね。

そして…芋を使った商品も大人気商品になりました。

当分はこれで稼げそうですが、いつまでも稼げられる保証はありませんので、次のアイデア商品を生み出さなければなりませんね。

私のアイデアは、まだまだありますので!

一方、デルード男爵家のファグリューとネフティスは…?

どうやら…とんでも無い状況に陥っているみたいです。
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