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第十二話

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王都デルキアッシュに向けての移動の休憩中…

馬車内では、こんな話がされておりました。

「旦那様……いえ、元旦那様は阿呆なのでしょうか?」

メイドのキャルーシーがそんな事を口にした。

「阿呆と言えば、阿呆なのでしょうね。大金を得てしまってから、まともな思考が保てなくなったのでしょうから…」

すると、執事のエンデも会話に参加して来た。

「今月は…まだデルード男爵家に収入は入るでしょうけど、来月になったらゼロになる事を元旦那様は分かっておいでなのでしょうか?」

「分かっていたらネフティスを正妻にしても、私を手放す事はしない様に愛人処置をすると思ったけど…まぁ、ネフティスは私の事を毛嫌いしているからね。愛人にするという案は却下して、追い出す方向に話を進めたのでしょう。」

私のアイデア商品は、商業ギルドで商品登録をしております。

私は夫婦の共有財産になるので、デルード男爵家という形で商品登録をする予定だったのですが、ファグリューの蠅の様な小さいプライドが邪魔をしたのか、カーネラの名前で登録をしろと言って来た。

私は嫁いだ身だったので、仮に私の名前で商品登録をしてもデルード男爵家に収入が入る様に設定したのだけれど…?

離婚された挙句、追い出される様な形になったので…デルード男爵家に一切の収入が入らない様に商業ギルドで登録をし直しておいた。

まぁ、今月は権利権を支払ったばかりなので…収入はデルード男爵家に収入は入るでしょうけど、来月になれば収入は一切入らない様になる。

権利権は今まで通りに発行するのは構わないと伝えてあるので、次回からは私の口座に振り込まれる事になっている。

…とは言っても、一回で入る収入が莫大な利益なので当面は生活する分では問題は無いと思うんだけど…?

最近のファグリューの散財癖には目を瞑れない程に加え、散財しまくってフェルサージ男爵家を破産寸前まで追い込んだネフティスがおります。

更には、ネフティスの売れるかどうか…というか、全く売れる気がしないアイデア商品を作る訳ですから、例え莫大な利益とは言っても…すぐに底を尽く事は目に見えております。

しかも…金に銀を用いるだけでは無く、中央には宝石をあしらった物…となると、制作費用だけで幾ら掛かるのかしら?

それを300個発注をするという話なのだから、売れなかった時のことは考えて……いないでしょうね。

基本的に、貴族は他人が持っている物を欲しがろうとはしません。

下級貴族なら、上級貴族程の財源は無いので購入する可能性はあるかも知れませんが…?

なので、売れても10も売れれば御の字とはそういう意味なのです。

「妹様のデザインは私も拝見しましたが、あのデザインは1種類のみですよね?」

「メルリランも気付いた?私の装飾品は数種類を用意していたけど、ネフティスのデザインした物は1種類のみだったから…良くあれでファグリューが許可を出そうと思ったわよね?」

本来のファグリューなら、すぐに気付いて指摘するのだろうけど…?

今のファグリューには、周りが見えていないみたいだから…不良在庫を抱えた時に気付くのでしょうけど。

「破産して泣きを見る道しか見えないですね…」

「あ、だからですね!王都デルキアッシュに向かうと仰った理由が…」

「デルード男爵家のある大陸で商売をしていたら、噂を聞き付けて金の無心に来るでしょうけど、王都デルキアッシュまで離れていたら…来たくても簡単には来れないでしょう。」

「それに、カーネラ様のアイデアノートには…まだまだアイデアがありますよね?」

そう…私のアイデアには、エルザルーバー王国では決して成し得ない商品も考えてあります。

それは海産物を利用した物なんだけど、エルザルーバー王国からは海が遠い為に成し得なかった。

その点、王都デルキアッシュでは海が近い場所にあります。

なので…それが当たれば、今以上の収益が望めるという訳です。

「休憩はそろそろ終わりにして、出発しましょうか!」

私達は、船旅をする為に港に向かうのでした。
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