私を手放して、後悔は致しませんね?

アノマロカリス

文字の大きさ
上 下
9 / 29

第八話

しおりを挟む
 「これが…あの男爵の芋なのか?」

 「平民なら、形や味ですぐにわかると思いますが…上位貴族ではどうでしょうかね。」

 上位貴族も男爵の芋は食べます。

 ですが、マッシュポテトの様に潰されて他の食材と混ぜて料理として出される為に、原型を知る者はあまりいません。

 今回フェルサージに食べさせた男爵の芋は、薄くスライスしてから油で揚げて塩を振りかけた…ポテトチップスの様なものでした。

 「他にも、男爵の芋を使った料理があります。」

 「これは…皮付きをそのまま切って油で揚げたものなのか?」

 皮付きフライドポテトです。

 この世界の男爵の芋は、平民が食べる場合は塩茹でなので、油で揚げるといった調理法は思い付かない様です。

 「そして最後に、こちらも用意しました。」

 「これは、パンにチーズを乗せた物か…ん?このパンは焼きたてなのか?」

 「いえ、切ったパンを焼いてからチーズを乗せた物です。」

 「わざわざ焼くのか⁉︎」

 この世界のパンは、主にフランスパンの様な形状をしております。

 一度焼いたパンは、もう一度焼こうと思う者がいない為に…輪切りにしてから火に掛けるという発想は思いつかない様です。

 「しかし…デンコロモシといい、男爵の芋といい、パンといい…元手があまり掛からなくて安上がりだな?しかも、これなら間違い無く売れる物ばかりじゃないか‼︎」

 「これなら露店で調理器具さえあれば簡単に調理出来ますし、安価で平民に提供して…更に噂で貴族の目に止まりでもしたら?」

 「間違い無く大儲けが出来るな!しかも元手があまり掛からないし…」

 「それ以外にも、今迄は食材が余って廃棄していた物が逆に足りなくなる恐れもありますしね。」

 フェルサージは顎に手を当てて、うんうんと頷くと…早速執事を呼び寄せてから、調理器具の発注を手配した。

 「これで当分の間は…時を稼ぐ事ができますね。そして、これらが飽き始めたら…次の商品開発をするとしましょうか!」

 「な、何だ…まだあるというのか⁉︎」

 カーネラのとりあえずで販売した食品は、大ヒットする事になり…それは当分の間では無くて、生涯愛される物となったのでした。

 でも、これがいけなかったのです。

 ふとした事で大金が舞い込んだファグリューは、この事で性格がおかしくなり始めました。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

てめぇの所為だよ

章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

彼が愛した王女はもういない

黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。 どちらも叶わない恋をした――はずだった。 ※関連作がありますが、これのみで読めます。 ※全11話です。

【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!

宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。 そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。 慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。 貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。 しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。 〰️ 〰️ 〰️ 中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。 完結しました。いつもありがとうございます!

もう、終わった話ですし

志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。 その知らせを聞いても、私には関係の無い事。 だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥ ‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの 少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?

王侯貴族、結婚相手の条件知ってますか?

時見 靜
恋愛
病弱な妹を虐げる悪女プリシア・セノン・リューゲルト、リューゲルト公爵家の至宝マリーアン・セノン・リューゲルト姉妹の評価は真っ二つに別れていたけど、王太子の婚約者に選ばれたのは姉だった。 どうして悪評に塗れた姉が選ばれたのか、、、 その理由は今夜の夜会にて

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!

つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。 他サイトにも公開中。

みんながまるくおさまった

しゃーりん
恋愛
カレンは侯爵家の次女でもうすぐ婚約が結ばれるはずだった。 婚約者となるネイドを姉ナタリーに会わせなければ。 姉は侯爵家の跡継ぎで婚約者のアーサーもいる。 それなのに、姉はネイドに一目惚れをしてしまった。そしてネイドも。 もう好きにして。投げやりな気持ちで父が正しい判断をしてくれるのを期待した。 カレン、ナタリー、アーサー、ネイドがみんな満足する結果となったお話です。

処理中です...