私を手放して、後悔は致しませんね?

アノマロカリス

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第五話

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 ファグリューの商いは、商品の販売が主な物でした。

 商品を作り出す職人が複数おり、発注をして作らせるという感じに…。

 そして、販売相手は平民や下級商人などに卸すという事をしていた。

 勿論、貴族相手に嗜好品を販売するというのもあるのだけれど…?

 上位貴族にはあまり好まれない物が多くて、下級貴族がちょっとした見栄で手に入れるという物だった。

 上級貴族の中にはマニアックの様な者も居なくは無かったが…?

 「一通り商品リストに目を通して来ましたが…」

 「ここ最近の売り上げがあまり芳しくなくてな!」

 「それは、平民向けにしては値段が高過ぎるのかと思います。 彼等は貴族程の財源はありませんので…」

 「なら、カーネラはどんな物なら売れると思う?」

 「私なら…」

 カーネラはノートにアイデアを描いてみた。

 ファグリューの平民向けに販売している装飾品には、何かしらの金属でコーティングされている物が多くて値段もそれ相応にする為に、あまり受けないと感じていた。

 カーネラは、フェルサージ男爵家では小遣いを貰っていたが…?

 ネフティス程の金額を貰えていた訳ではなかったので、好きな物を何でも購入出来る程の物ではなかった。

 カーネラの小遣いは、貴族令嬢のそれには当てはまらず…どちらかと言うと、平民と変わりない金額だったので、買える物はあまり無い状態で手頃な物で妥協するしか無かった。

 目的の物を入手する為には、金を貯めるか…さもなくば諦めるかという選択を常に迫られている状態だった。

 「私なら、こういった物が欲しかったですね。」

 「これは…金属コーティングが全くされてはおらんが?」

 「確かに…金属でコーティングされていれば、それなりの高級感はあるかも知れません。 ですが、購入される方々は平民ですので…安価で手に入れられる物が良いかと思います。」

 カーネラの描いた装飾品は、鳥や小動物などをモチーフにした髪留めやブローチだった。

 それには一切の金属コーティングがされていない物だったので、ファグリューには売れると思われなかったみたいだった。

 「これらはあくまでも平民用で、金属コーティングをされる物は貴族用として販売するのも良いかも知れません。」

 「平民用はシンプルなデザインで、貴族用には精密なデザインで…か?」
 
 カーネラは、次々とアイデアを描いて行った。

 そこに描かれていた物は、のちにデルード男爵家の莫大な利益になる事になるとは…
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