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第六話 交渉?

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 ボクはテレシア嬢たちを連れ去った奴等のアジトである廃工場跡地の屋上に来ていた。

 そこから侵入して天井の梁を伝って下を覗き込むと…5人の令嬢達はまだ生きていた。

 「光の魔力の力を持つ者がまだ生きているという事は、最終的には始末するのだろうけど…誰かに引き渡す為か?」

 5人共ロープで体を拘束されており、泣いてこそいなかったが…数人は震えている感じだった。

 捕まった令嬢達のほとんどは凌辱される物だと思っていたが、考えてみれば初等部の女達で入学したてだと12歳か13歳位か。

 さすがにコレに手を出す程の外道ではないが、後は令嬢達の誰かが余計な事を吐かなければ?

 「貴方達! 今すぐ私達を開放しなさい‼ そうすれば今回の事は目をつぶりますわ…」

 公爵令嬢は毅然とした態度で発したが、言い終わる前に奴等の1人に顔を殴られて血を吐いていた。

 出血の量からして…恐らく歯が折れただろう。

 「お前等よぉ…一体何様のつもりだ? こちらが初めは弱いフリで返り討ち出来た事に良い気になって、2度目も自信を持って向かってきやがってよ…お前ら程度の実力で本気に俺達に勝てると思っていたのかよ?」

 「相手の油断を誘うには、1度目は態と勝たせてから…というのが常套手段だというのに、まんまと罠に引っ掛かってくれてよ…これだから世間知らずのお嬢様は騙し概があるよな!」

 それに関しての意見は盗賊達と同意見だった。

 確かに面白い位に引っ掛かってくれるよね。

 「それにこちらの調べでは…その光の魔力を持つ女以外は、それなりに王国に力を持つ親達みたいだし…娘を盾に身代金の要求をしても儲けられそうだしな!」

 やはり…その辺の調べはしていたか。

 光の魔力を持つテレシア嬢の親から身代金の要求をするという話が無い所を見ると、やはり誰かに引き渡すか…その場で始末されるのか?

 黒幕が誰か迄を突き止めたい所だけど、とりあえずテレシア嬢は回収しておきますか!

 ボクはスレッドスライムを呼び出してからテレシア嬢にロープを巻き付けると、奴等の前に姿を現してからテルシア嬢を引き寄せた。

 「誰だ!」

 「この令嬢は返して貰いますよ。 それが仕事なので…」

 「残念だったな! こちらにはまだ4人の令嬢が残っているんだが?」

 「そうだ! その女をこちらに寄越すのなら、こちらの4人の女は開放するが?」

 「君達の強気な態度は…そちらにいる4人の令嬢がいるからかい?」

 「そうだ、こっちには人質がいるからな!」

 ボクの仕事内容が…女学園の女生徒達を守れというの物なら有効的な手段だろう。

 さすがのボクも一度に5人は運べないし守る事も出来ないだろうからね。

 「御幣の無い様に言っておくけど…ボクにとってはその4人に人質の価値はないよ。 知ってる? 人質とは価値ある物でしか成り立たないんだよ…なので、ボクにとってはその子達が生きていようが死んでいようがどうでも良いのさ。」

 「強がりか? ならばこうしたら…?」

 奴等の1人が侯爵令嬢の足に剣で突き刺した。

 侯爵令嬢は溜まらずに叫び声を上げた。

 「どうだ!」

 「どうだって何が?」

 「この女の悲鳴を聞いても何も感じないのか?」

 「さっきも言ったけど、人質は価値ある物でしか成り立たないと…っていう話を聞いていなかった?」

 「何てガキだ‼」

 「君達の話に付き合いたい所だけど、ボクもさっさと退散しなければならないのでここで失礼するよ。」

 僕はメタルスライムに廃工場の扉を食べさせてから抜け出す準備をした。

 「お待ちになって下さい! 私達も助けては貰えませんか?」

 「何で?」

 「何でって…」

 「君達はボクの事をあれだけ散々罵っておいて、その相手に助けに求める訳? それはちょっとムシが良すぎるんじゃないかな? それにさ、君達の家の人達が優秀なら今頃こちらに救助に向かっていると思うし、それまで待っていたら?」

 「その必要はない! お前にこの女達が人質の価値が無いのなら生かしておく必要が無いと解ったからな!」

 「あれ? 身代金は良いの?」

 「お前の持つ光の魔力を持つ女以外はゴミみたいな物だからな…その女をある方に引き渡せば、この女達の身代金よりも多くの報酬が待っているからな!」

 「なるほど! だけどそれを聞いて手放す真似をするとは思うかい?」

 「そっちは1人で此方は20人いるが?」

 ボクはスレッドスライムにテレシア嬢を預けると、メタルにソードウィップに変化して貰った。

 そして奴等が10人位で一斉に掛かって来た所に一瞬で細切れにした。

 テレシア嬢は細切れにされた血飛沫を見て気を失った。

 「何だと⁉ 貴様…一体何者だ‼」

 「君達には闇に属する者…といえば分かるかな?」

 「見た目からは想像できないが…その手腕を見ればそういう事なのだろうな。」

 「見逃してくれるのなら…これ以上の手出しはしないけど、どうします?」

 「辞めておこう…相手が悪すぎる!」

 「ではそういう事で…」

 ボクはスレッドスライムからテレシア嬢を受け取ってから廃工場を後にした。

 残った令嬢達がどうなったかは…別にどうでも良かった。

 ボクは奴等の追手がない事を確認してから、適当な場所でテレシア嬢を降ろした。

 さて、テレシア嬢が目を覚ましたら何ていうのだろうね?
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