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第四章 あれから…
第六話 一方、その頃…前編
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「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~‼︎」
『ほれほれ、逃げてばかりでどうする?』
「契約条件が倒せたらって…そんなの無理に決まっているでしょ‼︎」
『無理だと思っているのは、お前に勝つ意欲が無いからだ!』
僕は現在、バハムートと契約をする為に逃げ回っている。
僕のレベルは、現在では最強クラスに近いレベルなんだけど…?
バハムートのレベルは、僕より3倍以上高かった。
しかも、契約の条件がバハムートに勝利する事。
僕はバハムートのブレスを浴びせられながら、ヒールで癒しながら逃亡を繰り返していた。
「…とは言っても、逃げているだけじゃダメなのは分かっているけど、こうもブレスを連発されると近寄れないしなぁ…?」
バハムートには魔王防御力が高い為に、こちらからの精霊魔法関係は一切効果が無い。
それに加えて召喚獣の攻撃も、バハムートの強固な鱗に弾かれる始末。
バハムートに攻撃が効果があるとすれば、持ち前のベルスマギアの剣なんだけど…?
そもそも、全く近寄れないからなぁ?
何故、こんな事になっているかと言うと、話は勇者組をダンジョンに放り込んだ後の話になる。
~~~~~数時間前~~~~~
勇者達を放り込んだダンジョンの状況も気になる所だけど、僕も僕で色々動かないと行けない。
そう思って、僕は天龍の元にやって来たんだけど…?
相変わらず、訛りが酷くて言葉の理解が難航していた。
『ほぉ~お?そうだがばってん、でば…そらあがゆうよおさ、だっけらかんよ~?』
「んんっ⁉︎」
『しゃばだろうて、そっただ…わんが~はーさでろぎれでっしゃ~』
「言っている事が全く分からん!」
こちらからの話の内容は通じている…とは思う。
だが、それに対しての返答が全く意味不明だった。
天龍が話し終えた後に、僕はある場所に転移をされた。
その場所は、岩場がゴロゴロとある場所で…そこにいた巨大な黒い龍が話し掛けて来た。
『お前が天龍様が話していた人間か…魔王討伐の際に、我の助力を頼みたいと言う話だそうだが?』
「良かった…僕の話は通じていたんだな。」
僕が天龍にお願いした内容はこうだった。
魔王軍との討伐の際に、空を飛べる獣を紹介して欲しいと言う話をした。
…だが、天龍からの答えがアレだったので、この場所に送られるまでは面倒になって飛ばされたのかと思ったくらいだった。
『我の助力…喜んで貸してやろう。』
「ありがとうございます!」
『だが、タダでは助力は出来んな!お前が我に助力を与えても良いという実力を見せられれば…』
「まさか、戦って勝て!…とか言いませんよね?」
黒い龍は、口角が上がっていた。
何も言わずにそういう反応という事は、やはり勝たないと契約を結んでもらえないのだろう。
それにしてもこの龍は巨大だし、鱗には艶があって全身からは覇気を放っている。
こういう龍の場合、絶対に何かしら名のある龍なんだろうなぁ?
『我が名は、バハムート!我が試練をクリアして、見事我の期待に応えよ‼︎』
「バハムート…だと⁉︎ゲームに疎い僕でも、流石にその名前は知っているぞ‼︎」
こうして、僕はバハムートの試練に挑む事になった訳なのだが…?
その後はどうなったかは、冒頭に戻る。
~~~~~一方、勇者組は?~~~~~
「やっとクラウドがレベル100を越えたか…」
「すると、このフロアの敵では物足りなくなるな。」
「それにしても、その装備を身に付けていて…遅れを取るとはな。」
「ホーリー・シャイニングから渡された物を素直に信用出来るわけには…」
「これで私達も次のフロアからは攻撃に参加出来るわね!」
「そうね、私と麗美もまだ200には到達していないからね。」
勇者組は勇者組で、順調な感じにレベル上げに勤しんでいた。
…とは言っても、勇者烈王とエイジとテルミは200を超えているので、次のフロアのダンジョンはまだ手が出せない。
なので、勇者組の本格的なレベル上げは3層目からになるんだろうけど…?
果たして、後何日かかるのかねぇ?
~~~~~ホーリーは?~~~~~
「ちくしょう…剣だけじゃなくて、盾も作っておくべきだった。」
あれから半日過ぎたが、バハムートの攻撃は全く緩む気配が無く…ひたすらブレス攻撃を躱しつつ、反撃のチャンスを窺っていた。
名のある有名なドラゴンとはいえ、生物である以上は疲れや疲労が出てくると思っていたのだが、一向にそんな気配にはならなかった。
考えてみれば、相手は人間では無い。
つまり、人間の一般常識は当て嵌まらない訳だ。
その日は、ある程度の距離を逃げて稼いでから、以前に作った石部屋をストレージから出してその中で寝る事にした。
その石部屋は、以前は岩を貼り付けて艤装を施していたが…?
現在では、アダマンタイトで外郭を覆っているので、ドラゴンのブレスでも問題は無かった。
翌日…
僕は石部屋から外に出ると、辺りは草木が全て焼かれていて、剥き出しになっていた岩も溶けていた。
石部屋は完全防音なので、外で何が起きても全く聞こえない。
ただ、この惨状を見る限り…バハムートは一晩中ブレスを吐きまくったみたいだった。
「攻撃が止んだという事は、もしかして疲れたかな?」
僕はチャンスだと思って、バハムートのいた地点にまで出向くと…?
バハムートは焦った表情をしながら、大慌てで叫びまくっていた。
『なんて事だ‼︎天龍様の客人を消滅させてしまった~~~~~‼︎』
消滅…?
あ、そうか…石部屋って、中に入ると外界での僕の気配が遮断されるんだっけ?
だからバハムートは、攻撃によって僕が消滅したと感じた訳なんだな。
普通なら、声でも掛けてやれば良いんだろうけど…?
焦って周りが見えない状態の今なら、隙だらけで初手を施してもバレる事はないな。
「ただ、どう攻撃をしたものか…?僕の背丈では、バハムートの足首くらいまでしかないし、ジャンプをしても腰の辺りまでしか届かないよなぁ?」
頭を殴って…とやるには、バハムートを地面に伏せさせないと届きそうもないしなぁ?
…と思っていたので、僕はバハムートの背後に近付いて…両脚の腱を剣で斬り裂いた。
ただ、この程度では大したダメージではないのか、冷静な判断が出来ないバハムートは突然立っていられずに、膝から崩れ落ちるように地面に手を付いた。
これで頭には届く…が、正面に行って僕の存在を態々バラすような真似をしなくても良いか。
そう思った僕は、飛び上がってからバハムートの背中に着地した。
これで頭の方に向かってから小突けば…とも考えたけど、幾ら身体がバハムートよりも小さいからと言って、背中を移動をしていたら流石にバレるか。
そう思って、僕は辺りを見渡していると…丁度目についた場所に、バハムートの尾があった。
バハムートとの契約の条件は、勝利をする事。
だけど、どう勝利をするかという話までは決めてはいなかった。
「尻尾をぶった斬れば、流石にこれ以上の戦闘は無くなるよな?」
僕は尾の付け根の所に行ってから、剣でぶった斬った。
すると、バハムートの巨大な尻尾は…そのまま地面に落ちて、ビチビチと動いていた。
ただ…僕を消滅させたと思っていた事から一変、バハムートは悲痛な声を上げていた。
『わ…我の尾が、一体…⁉︎』
「腱を斬っても気付かなかったが、流石に尻尾を斬り落とされたら気付くか。」
僕は地面に降りてから、バハムートの尻尾をストレージに放り込んだ。
僕の回復魔法は、生き物を復元出来る能力がある。
なので、この尻尾は新たに生え変わる為に…貰っておいても問題はない訳だ。
バハムートは立ち上がろうとした…が、急に尻尾を失った為に、思うように動けずにいた。
尻尾のある生物は、尻尾が身体の重心を取っていると言っても過言では無い。
そんな場所を失えば、まともに動けない筈なのだから。
『先程から何が起きていたのか分からなかったが…お前の仕業か⁉︎』
「僕が消滅したと勘違いして取り乱してくれたお陰で、隙だらけで行動を起こしていても問題が無かったからね。動き易くて助かったが……まだやる?」
『当然だ!我が尾を失った所で、我には大した問題では無い‼︎』
「いや、大した問題だろ?その証拠に、手を地面に付いている状態で動けないじゃ無いか…」
『これは…いや、そんな事よりも…我の尾をどうするつもりだ⁉︎』
「尻尾?尻尾は後で調理をして食べてみるつもりだよ。この世界に来て、色々と肉類は食べて来たけど…ドラゴンの肉は食べた事がなかったからね。」
『お前は、我を喰うつもりなのか⁉︎』
「尻尾が美味ければ…」
バハムートの表情が、一気に血の気が引いた表情になった。
そして慌てながら言ってきた。
『確かに条件としては、我に勝利をせよと申したが…』
「その勝利条件が分からないからね、命を取る様な真似はしないけど…動けなくすれば良いのかな?」
僕はそう言い終わった後に、バハムートの左腕を斬り飛ばした。
そして素早くストレージの中に放り込んだ。
「あ、頭と核さえ残っていれば、僕の回復魔法で完全に復元出来るから安心してくれていいよ。ただ…それ以外の箇所は、回収をする為に全て斬り飛ばすけど…」
『それは何の為にだ⁉︎』
「勝利条件が分からないからね、他にも…興味としては尻尾肉だけじゃ無くて、他の部位も食べてみたいので…頭と核以外はぶった斬るけど良いよね?安心してよ、君が負けを認めてくれたら、回復魔法で全て復元してあげるから…」
僕は剣を構えながら不敵な笑みを浮かべて、バハムートに近寄った。
バハムートは狼狽えながらも、ゆっくりと移動をしようとしていたのだが…?
脚の腱を斬られていて立ち上がる事はできず、右腕だけでは大した移動も出来ず、何より身体の重心である尻尾を斬り落とされているので、大した移動が出来なかった。
「負けを認めるかい?」
『我にはまだ翼がある!』
「でも、その状態で飛んだりしたら…安定しなくて地面に落ちると思うけど?」
『ぐっ…それを見越しての行動だったのか‼︎』
僕はそう言い終わった瞬間に、バハムートの右腕も斬り飛ばした。
両腕を失ったバハムートは、そのまま地面に倒れ込んだのだった。
「早く負けを認めなよ、じゃ無いと…次は両脚を失う事になるよ。」
『お前…容赦無いな!本当に頭と核以外は…』
「だから言っているじゃん!流石に頭や核を失ったら、生物的に生存は出来ないだろうけど…それ以外は無くなった所で問題はないでしょ?」
『お前は、幾ら回復魔法で復元出来るからと言って…』
僕は剣先をバハムートの目に近付けた。
すると、バハムートの表情は一気に恐怖に変わっていた。
「目を失っても…いや、そういえば龍種ってさぁ、頭の中にカーバンクルがあるっていう話は本当?」
『なんだ、その話は⁉︎』
「いやぁ~以前に元いた世界で読んだ本の中に、ドラゴンの頭の中にはどんな宝石よりも価値の高い紅玉があって、それを売りに出して城を建てたという話を聞いた事があったからね。」
『個体によっては、そういうのもいるかも知れないが…我の頭にはそんなものは無い‼︎』
「怪しいなぁ~?何か焦っている感じがするんだけど…」
『そんな事よりもだ!我は敗北を宣言するし、契約もするから…』
「宣言しちゃうのか…まぁ、それが目的だったし、回復してあげるよ。ただ、回復する前に…確認してみても良いかな?」
『だから辞めれ‼︎契約はしてやるし、お前が生きている限り…その契約は続けてやるから‼︎』
バハムートは狼狽えながらもそう言った。
ここまで狼狽えていると、逆に気にもなるんだけど…?
僕は回復魔法を施すと、バハムートは両腕も尻尾も復元した。
そして、僕と契約をする事になったんだけど?
バハムートとの契約はこれで終了をしたんだけど、バハムートの話を聞くと…天龍はバハムート以外に別の者も用意しているという話だった。
ただ、その別の者と言うのが…バハムート以上に厄介な存在だった。
『ほれほれ、逃げてばかりでどうする?』
「契約条件が倒せたらって…そんなの無理に決まっているでしょ‼︎」
『無理だと思っているのは、お前に勝つ意欲が無いからだ!』
僕は現在、バハムートと契約をする為に逃げ回っている。
僕のレベルは、現在では最強クラスに近いレベルなんだけど…?
バハムートのレベルは、僕より3倍以上高かった。
しかも、契約の条件がバハムートに勝利する事。
僕はバハムートのブレスを浴びせられながら、ヒールで癒しながら逃亡を繰り返していた。
「…とは言っても、逃げているだけじゃダメなのは分かっているけど、こうもブレスを連発されると近寄れないしなぁ…?」
バハムートには魔王防御力が高い為に、こちらからの精霊魔法関係は一切効果が無い。
それに加えて召喚獣の攻撃も、バハムートの強固な鱗に弾かれる始末。
バハムートに攻撃が効果があるとすれば、持ち前のベルスマギアの剣なんだけど…?
そもそも、全く近寄れないからなぁ?
何故、こんな事になっているかと言うと、話は勇者組をダンジョンに放り込んだ後の話になる。
~~~~~数時間前~~~~~
勇者達を放り込んだダンジョンの状況も気になる所だけど、僕も僕で色々動かないと行けない。
そう思って、僕は天龍の元にやって来たんだけど…?
相変わらず、訛りが酷くて言葉の理解が難航していた。
『ほぉ~お?そうだがばってん、でば…そらあがゆうよおさ、だっけらかんよ~?』
「んんっ⁉︎」
『しゃばだろうて、そっただ…わんが~はーさでろぎれでっしゃ~』
「言っている事が全く分からん!」
こちらからの話の内容は通じている…とは思う。
だが、それに対しての返答が全く意味不明だった。
天龍が話し終えた後に、僕はある場所に転移をされた。
その場所は、岩場がゴロゴロとある場所で…そこにいた巨大な黒い龍が話し掛けて来た。
『お前が天龍様が話していた人間か…魔王討伐の際に、我の助力を頼みたいと言う話だそうだが?』
「良かった…僕の話は通じていたんだな。」
僕が天龍にお願いした内容はこうだった。
魔王軍との討伐の際に、空を飛べる獣を紹介して欲しいと言う話をした。
…だが、天龍からの答えがアレだったので、この場所に送られるまでは面倒になって飛ばされたのかと思ったくらいだった。
『我の助力…喜んで貸してやろう。』
「ありがとうございます!」
『だが、タダでは助力は出来んな!お前が我に助力を与えても良いという実力を見せられれば…』
「まさか、戦って勝て!…とか言いませんよね?」
黒い龍は、口角が上がっていた。
何も言わずにそういう反応という事は、やはり勝たないと契約を結んでもらえないのだろう。
それにしてもこの龍は巨大だし、鱗には艶があって全身からは覇気を放っている。
こういう龍の場合、絶対に何かしら名のある龍なんだろうなぁ?
『我が名は、バハムート!我が試練をクリアして、見事我の期待に応えよ‼︎』
「バハムート…だと⁉︎ゲームに疎い僕でも、流石にその名前は知っているぞ‼︎」
こうして、僕はバハムートの試練に挑む事になった訳なのだが…?
その後はどうなったかは、冒頭に戻る。
~~~~~一方、勇者組は?~~~~~
「やっとクラウドがレベル100を越えたか…」
「すると、このフロアの敵では物足りなくなるな。」
「それにしても、その装備を身に付けていて…遅れを取るとはな。」
「ホーリー・シャイニングから渡された物を素直に信用出来るわけには…」
「これで私達も次のフロアからは攻撃に参加出来るわね!」
「そうね、私と麗美もまだ200には到達していないからね。」
勇者組は勇者組で、順調な感じにレベル上げに勤しんでいた。
…とは言っても、勇者烈王とエイジとテルミは200を超えているので、次のフロアのダンジョンはまだ手が出せない。
なので、勇者組の本格的なレベル上げは3層目からになるんだろうけど…?
果たして、後何日かかるのかねぇ?
~~~~~ホーリーは?~~~~~
「ちくしょう…剣だけじゃなくて、盾も作っておくべきだった。」
あれから半日過ぎたが、バハムートの攻撃は全く緩む気配が無く…ひたすらブレス攻撃を躱しつつ、反撃のチャンスを窺っていた。
名のある有名なドラゴンとはいえ、生物である以上は疲れや疲労が出てくると思っていたのだが、一向にそんな気配にはならなかった。
考えてみれば、相手は人間では無い。
つまり、人間の一般常識は当て嵌まらない訳だ。
その日は、ある程度の距離を逃げて稼いでから、以前に作った石部屋をストレージから出してその中で寝る事にした。
その石部屋は、以前は岩を貼り付けて艤装を施していたが…?
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ただ、この惨状を見る限り…バハムートは一晩中ブレスを吐きまくったみたいだった。
「攻撃が止んだという事は、もしかして疲れたかな?」
僕はチャンスだと思って、バハムートのいた地点にまで出向くと…?
バハムートは焦った表情をしながら、大慌てで叫びまくっていた。
『なんて事だ‼︎天龍様の客人を消滅させてしまった~~~~~‼︎』
消滅…?
あ、そうか…石部屋って、中に入ると外界での僕の気配が遮断されるんだっけ?
だからバハムートは、攻撃によって僕が消滅したと感じた訳なんだな。
普通なら、声でも掛けてやれば良いんだろうけど…?
焦って周りが見えない状態の今なら、隙だらけで初手を施してもバレる事はないな。
「ただ、どう攻撃をしたものか…?僕の背丈では、バハムートの足首くらいまでしかないし、ジャンプをしても腰の辺りまでしか届かないよなぁ?」
頭を殴って…とやるには、バハムートを地面に伏せさせないと届きそうもないしなぁ?
…と思っていたので、僕はバハムートの背後に近付いて…両脚の腱を剣で斬り裂いた。
ただ、この程度では大したダメージではないのか、冷静な判断が出来ないバハムートは突然立っていられずに、膝から崩れ落ちるように地面に手を付いた。
これで頭には届く…が、正面に行って僕の存在を態々バラすような真似をしなくても良いか。
そう思った僕は、飛び上がってからバハムートの背中に着地した。
これで頭の方に向かってから小突けば…とも考えたけど、幾ら身体がバハムートよりも小さいからと言って、背中を移動をしていたら流石にバレるか。
そう思って、僕は辺りを見渡していると…丁度目についた場所に、バハムートの尾があった。
バハムートとの契約の条件は、勝利をする事。
だけど、どう勝利をするかという話までは決めてはいなかった。
「尻尾をぶった斬れば、流石にこれ以上の戦闘は無くなるよな?」
僕は尾の付け根の所に行ってから、剣でぶった斬った。
すると、バハムートの巨大な尻尾は…そのまま地面に落ちて、ビチビチと動いていた。
ただ…僕を消滅させたと思っていた事から一変、バハムートは悲痛な声を上げていた。
『わ…我の尾が、一体…⁉︎』
「腱を斬っても気付かなかったが、流石に尻尾を斬り落とされたら気付くか。」
僕は地面に降りてから、バハムートの尻尾をストレージに放り込んだ。
僕の回復魔法は、生き物を復元出来る能力がある。
なので、この尻尾は新たに生え変わる為に…貰っておいても問題はない訳だ。
バハムートは立ち上がろうとした…が、急に尻尾を失った為に、思うように動けずにいた。
尻尾のある生物は、尻尾が身体の重心を取っていると言っても過言では無い。
そんな場所を失えば、まともに動けない筈なのだから。
『先程から何が起きていたのか分からなかったが…お前の仕業か⁉︎』
「僕が消滅したと勘違いして取り乱してくれたお陰で、隙だらけで行動を起こしていても問題が無かったからね。動き易くて助かったが……まだやる?」
『当然だ!我が尾を失った所で、我には大した問題では無い‼︎』
「いや、大した問題だろ?その証拠に、手を地面に付いている状態で動けないじゃ無いか…」
『これは…いや、そんな事よりも…我の尾をどうするつもりだ⁉︎』
「尻尾?尻尾は後で調理をして食べてみるつもりだよ。この世界に来て、色々と肉類は食べて来たけど…ドラゴンの肉は食べた事がなかったからね。」
『お前は、我を喰うつもりなのか⁉︎』
「尻尾が美味ければ…」
バハムートの表情が、一気に血の気が引いた表情になった。
そして慌てながら言ってきた。
『確かに条件としては、我に勝利をせよと申したが…』
「その勝利条件が分からないからね、命を取る様な真似はしないけど…動けなくすれば良いのかな?」
僕はそう言い終わった後に、バハムートの左腕を斬り飛ばした。
そして素早くストレージの中に放り込んだ。
「あ、頭と核さえ残っていれば、僕の回復魔法で完全に復元出来るから安心してくれていいよ。ただ…それ以外の箇所は、回収をする為に全て斬り飛ばすけど…」
『それは何の為にだ⁉︎』
「勝利条件が分からないからね、他にも…興味としては尻尾肉だけじゃ無くて、他の部位も食べてみたいので…頭と核以外はぶった斬るけど良いよね?安心してよ、君が負けを認めてくれたら、回復魔法で全て復元してあげるから…」
僕は剣を構えながら不敵な笑みを浮かべて、バハムートに近寄った。
バハムートは狼狽えながらも、ゆっくりと移動をしようとしていたのだが…?
脚の腱を斬られていて立ち上がる事はできず、右腕だけでは大した移動も出来ず、何より身体の重心である尻尾を斬り落とされているので、大した移動が出来なかった。
「負けを認めるかい?」
『我にはまだ翼がある!』
「でも、その状態で飛んだりしたら…安定しなくて地面に落ちると思うけど?」
『ぐっ…それを見越しての行動だったのか‼︎』
僕はそう言い終わった瞬間に、バハムートの右腕も斬り飛ばした。
両腕を失ったバハムートは、そのまま地面に倒れ込んだのだった。
「早く負けを認めなよ、じゃ無いと…次は両脚を失う事になるよ。」
『お前…容赦無いな!本当に頭と核以外は…』
「だから言っているじゃん!流石に頭や核を失ったら、生物的に生存は出来ないだろうけど…それ以外は無くなった所で問題はないでしょ?」
『お前は、幾ら回復魔法で復元出来るからと言って…』
僕は剣先をバハムートの目に近付けた。
すると、バハムートの表情は一気に恐怖に変わっていた。
「目を失っても…いや、そういえば龍種ってさぁ、頭の中にカーバンクルがあるっていう話は本当?」
『なんだ、その話は⁉︎』
「いやぁ~以前に元いた世界で読んだ本の中に、ドラゴンの頭の中にはどんな宝石よりも価値の高い紅玉があって、それを売りに出して城を建てたという話を聞いた事があったからね。」
『個体によっては、そういうのもいるかも知れないが…我の頭にはそんなものは無い‼︎』
「怪しいなぁ~?何か焦っている感じがするんだけど…」
『そんな事よりもだ!我は敗北を宣言するし、契約もするから…』
「宣言しちゃうのか…まぁ、それが目的だったし、回復してあげるよ。ただ、回復する前に…確認してみても良いかな?」
『だから辞めれ‼︎契約はしてやるし、お前が生きている限り…その契約は続けてやるから‼︎』
バハムートは狼狽えながらもそう言った。
ここまで狼狽えていると、逆に気にもなるんだけど…?
僕は回復魔法を施すと、バハムートは両腕も尻尾も復元した。
そして、僕と契約をする事になったんだけど?
バハムートとの契約はこれで終了をしたんだけど、バハムートの話を聞くと…天龍はバハムート以外に別の者も用意しているという話だった。
ただ、その別の者と言うのが…バハムート以上に厄介な存在だった。
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ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん)
いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ?
王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。
だけど、夢にみた迄の異世界…
慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。
自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
現在書籍化されている…
「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」
の100年前の物語です。
リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。
そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。
その作品の【改訂版】です。
全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。
今回のHOTランキングでは最高5位かな?
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