僕は最強の魔法使いかって？いえ、実はこれしか出来ないんです！〜無自覚チートの異世界冒険物語〜

第四章 あれから…

第五話 放り込まれたダンジョンは…？

　ワルーンアイランドのダンジョンは、全部で11階層のダンジョンである。
　作りは迷宮タイプのダンジョンなのだが、階層毎に敵の強さが異なるのである。
　本来の設定では、1階層ではレベル1～10迄の敵が現れるのだけれど、今回の鬼畜モードの設定では、1階層にはレベル90～100前後の敵が出現するという事になっている。
　まぁ、他の5人の勇者達なら然程問題は無いのだが、勇者クラウドだけはレベルが2桁なので、相当にキツいだろうな。
　まぁ、それを補うようにアダマンタイト製の武具を渡してあるので、それで立ち回る事が出来ない場合は、勇者クラウドの技量不足という事になるだろう。
　そしてこのダンジョンは、2階層レベル101～200迄の敵が…3階層にはレベル201～300迄の敵が出現する。
　そうなってくると、10階層の敵は当然レベル901～1000迄の敵が出現し、11階層にはダンジョンマスターが阻んでいる。
　このダンジョンから出られる方法は2つあり、1つは11階層のダンジョンマスターを倒してダンジョンの脱出。
　もう1つは、制限時間で強制退出されるのだった。

　「僕的には、ダンジョンマスターを倒して脱出する方法を選んで欲しいところだが…？」

　これは読者さんも知っているとは思うけど、ゲームで自分より高いレベルの敵を倒した所で、それなりの経験値は入るが、いきなりレベルが爆上がりする事はない。
　現在のレベルで、レベル1000の敵を倒す事ができれば…いきなりレベルが上がる事はあるかも知れないけど、いきなり10や20も上がる事はない。
　中に入って行った者達は、その事に気付かずに無茶して進まなければ良いんだけど…？

　「僕も最初は、レベルが倍以上の敵を倒せば、レベルが爆上がりすると思っていたんだよねぇ？」

　僕は途中でその事に気付けたんだけど、そういう事に鈍感な勇者烈王や…せっかちな勇者エイジは気付かないで無茶をしないでくれるとなぁ？
　僕はこのダンジョンに入る為の条件は2つ言ってある。
　1つはレベルを300以上に上げる事と、もう1つは勇者同士の連携を行う事。
　無茶をして進み過ぎたりすると、その連携が疎かにならないかが危惧している。
　
　「勇者達の性格って、皆極端だからなぁ？唯一真面目で冷静な判断が出来る烈王が居れば、問題は無いと思いたいんだけどね。」

　まぁ、とりあえず…僕の用事の傍らに、ちょくちょくと進行状況を確認するとしよう。
　このダンジョンには、入った者達の情報が表示されるからな。
　以前にこのダンジョンは、一般の冒険者に人気のスポットだった訳なのだが？
　ここ最近では、冒険者の利用があまりないらしい。
　それを狙ってのダンジョン放り込み作戦だったんだけど、果たして上手くやっていけるのかなぁ？
　まぁ、良いや。
　とりあえずは、生暖かい目で見送るとしよう。

　…と思ったんだけれど、物事はそう上手くは事が運ばないらしい。