僕は最強の魔法使いかって?いえ、実はこれしか出来ないんです!〜無自覚チートの異世界冒険物語〜

アノマロカリス

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第四章 あれから…

第四話 やる気を起こさせるアイテム・後編

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 僕は現在…物凄く悩んでいた。
 勇者烈王達との話し合いの後に、勇者紫乃と勇者麗美に話を聞きに行った。
 2人の望む物は、僕が予想した通りの物が複数あったので…足りない物は補填して作ってあげた。
 勇者麗美はそれで満足をしてくれたのだけれど、勇者紫乃だけはそれにもう2つの要望を頼まれた。
 その要望した物はと言うと…?

 「まさか…紫乃が欲しい物って、あんな物だとは思わなかった。」

 勇者紫乃の性格だと、フィギアやぬいぐるみと思う者もいるだろう。
 …そう、そんなファンシーな物を作るだけなら、こんなに悩んではいない。
 僕のギフトだったら、その程度の物は簡単に作り出す事が可能だ。
 勇者紫乃から2つの要望の内…1つなら簡単に作り出すことは出来る。
 僕は以前に…ドリース商会でその商品を作り出して、店で販売しているのだから。
 そのアイテムは…結婚初夜に必需品なアイテムなのだからである。
 もう1つの方も、作り出そうと思えば出来ないものでは無いのだが…?
 こればかりは電池が必要となる物なので、形だけなら問題ない物だった。

 「雷の魔石で代用出来るかなぁ?」

 勇者紫乃が要望している物は…量産しても売れるとは思えない。
 電池を作り出せれば、他の物でも代用が効くので問題は無いのだが…?
 電池も作り出せたとは言っても、世界に広がる迄に相当な年月が必要になるだろう。
 そう考えると、要望を叶える物だけを作り出せれば問題は無いのか?

 「ま、まさか…アレとは思わなかった。」

 勇者紫乃は乙女では無かったんだなぁ。
 さて、どうやって作ればいい物だろうか?
 そういえば…男性陣達は、アレの問題はどうやって解決しているんだろうか?
 まぁ、男の問題なら…娼館にでも入れば問題は解決するんだろうけど?
 女の場合はなぁ…?
 ここまで来ると大体の予想が出来ている者達も居るだろう。
 勇者紫乃の要望しているアイテムは、電動デ○○ドだった。
 勇者紫乃が乙女では無い…というのは、そういう理由だったのである。
 僕は勇者紫乃からこの説明をされた時に、思わず唖然とした。
 でも、勇者紫乃は男性経験は無いらしい。
 日々の日課の際に、ふと手にしたゴム製の棒を使用した事により、それにハマったらしいのだった。

 「これは紫乃の名誉の為に、絶対に話せないな…」

 とりあえず…試作品を作ってみようか!
 僕も初めて作る物だし、最初から上手く作れるかは分からないけど。
 そして色々試行錯誤を重ねた結果、僕は完成した試作品を勇者紫乃に渡したのだった。
 勇者紫乃はそれを受け取ると、トイレの中に駆け込んで行ったのだった。
 そして15分後…勇者紫乃は満足げな顔で出て来たのだった。

 「まさか、こんな素晴らしい物を作れるだなんて思わなかったわ。」
 「そ、そうか…僕も初めて作る物だったから、満足して貰って良かったよ。」
 「うんうん、特にここの○○○が×××で▲▲になった感じが…」
 「態々口に出さなくて良い!聞くに耐えない…」

 僕はそう言って、勇者紫乃の言葉に耳を塞いでいた。
 別に聞いていても問題は無いのだが、それを聞いてしまった後に勇者紫乃の事を今後、変な目で見る可能性があったからだ。

 「後は食事に関係する事だな。」

 僕はそういうと、1階に居る男性陣達の元に帰って来た。
 
 「輝…なんか疲れた顔をしていないか?」
 「あぁ、ちょっとな…女性陣達が要望した物が、結構面倒な物が多くてね。」

 女性陣達が要望した物の中には、僕が思っていた物以外に、替えの下着や肌着などの要望も多々あった。
 その中にまさか…あんな物まで要求されるとは思ってはいなかったが…?
 そして最後に、食事の要望とスィーツの要望があったので、僕は厨房で料理をしていた。

 「輝、以前に渡してくれた鍋を返すよ。」
 「あ、ホーリー、俺もいつか鍋を補充してもらう為に洗って残しておいた。」
 「鍋?一体…何の事を言っているんだ?」
 「クラウドは、ガーヴァメンデに来なかったから渡して無かったな。」
 「俺達は輝から、数週間分の食料以外に…カレー鍋と白米鍋を大量に貰ったんだよ。」
 「パーティーが出来る前に食い終わってしまったからな、まぁ…パーティーが出来る前に食い終わってある意味正解かもな。あんな良い匂いの物を隠しながら喰うのは、おそらく無理だろからな。」
 「カレーだと⁉︎お前らだけ狡いぞ‼︎」

 勇者クラウドは、憤りながら叫んだ。
 この世界でカレーは、絶対に巡り会えない商品だ。
 この世界にもシチューは存在するんだけど、地球の様なビーフシチューやクリームシチューの様な洗礼された物では無い為に、カレーの様な大量のスパイスを使用する物は、考えつく者が現れないだろう。
 まぁ、それ以前に…店の食堂にある料理ですら、我慢をすれば喰えるという程に酷いものだからな。

 「なぁ、ホーリー・シャイニング!カレーも喰いたいが…ラーメンは作れるか⁉︎」
 「ラーメン?まぁ、作れなくは無いけど…」
 「俺は豚骨ラーメンが喰いたい‼︎」
 「それなら輝、俺は味噌ラーメンが…」
 「俺は塩ラーメンを…」
 「作れなくは無いが、どれかに妥協して統一してくれ‼︎」

 僕はそう言いながら厨房で料理を始めると、男性陣達はラーメン談義を始めるのだった。
 ラーメンは作ろうと思えば作れないことは無い。
 この世界に来てから、ドリース商会で働き始めた際に…味噌や醤油を作りだしたことがあるからだ。
 ただ、醤油の完成度は満足がいくものに出来たんだけど、味噌だけがどうしても満足する物に完成しなくて、何度も試行錯誤を重ねた事があった。
 そんな苦労した物を、ただ喰いたいという理由だけで渡したいとは思えない。
 まぁ…納得の行く味噌を開発して、ストレージで増やしまくったので…値段によっては提供しても良いとは思っているんだが…?
 先程からの話している内容を聞いていると、頼めば話が通ると勘違いしている節が見えるので、ここは意地でも断る事にしよう。

 「あら、この匂いは…カレーよね?」
 「カレー…久しぶりだわ!」

 そんな事を言いながら女性陣達も降りて来た。
 僕は完成したカレーをテーブルの上に並べてから、皆に振る舞った。

 「とりあえず、話は一旦保留だ!」
 「そうだな、話はカレーを食い終わった後にだな…って、シーフードカレーでは無いのか⁉︎」
 「一般のポークカレーだよ。喰いたくないのなら、別に喰わなくてもいいぞ。」
 「いや………」

 なんだかんだと文句を言いながらも、ペロリと平らげた挙げ句におかわりまでしやがった。
 男性陣は2回もおかわりをしやがった。
 そしてデザートにプリンを出してやった訳なのだが…?
 カヌレが喰いたいだの、マカロンが食べたかっただの、ショートケーキが食べたいだのと文句ばっかり言っていたので、無言で没収をすると泣き付いて来た。
 こっちは金も取らずに提供をしているのに、文句を言い過ぎなんだよ。
 次からは金を取ってやろうか?
 そんな事を思いながらも、食後のお茶として緑茶を出してやった。

 「さて、腹が落ち着いたところで…決戦迄の2週間は、勇者組には…とあるダンジョンに入って貰う。」
 「また、魔王と戦わないといけないのね…」
 「私、ヤダなぁ。」
 「さっき男性陣と話をしたんだけど、今回の魔王討伐作戦には僕も参加をする…が、お前達はレベルがバラバラな上に、連携なんてしてこなかっただろ?そのダンジョンではレベル上げも重要だが、連携も学んで欲しいんだよ。」
 「連携か…確かに、それぞれの勇者パーティーでの戦いはしたが、連携が取れていたかと言われると微妙だな。」
 「だが、勇者同士とのパーティーともなると…?」
 「まずは全員レベルを300まで上げる事だ。達成出来た後に連携を学んでくれよ。」
 「俺達は…まぁ、問題は無いが…問題があるとすれば、クラウドだよな?」
 「うっ……」
 「そうだよな、クラウドだけレベルが2桁だからな。」
 「まぁ、その辺は協力してやってくれ。…と言っても、レベル300でも僕の足元にも及ばないんだけどな。」
 「何だとホーリー・シャイニング‼︎お前のレベルは一体幾つなんだ⁉︎」
 「僕のレベルを知りたいのか?僕は現在、レベル642だよ。」
 「「「「「「はぁ~?」」」」」」

 僕の発言に、皆は一斉に声を荒げた。
 この2年間は、特にこれと言ってレベル上げ云々はして来なかった訳なんだけど、まぁ…神達に遊戯品を渡した際に、お礼として経験値を贈られた時があった。
 その経験値量が半端じゃ無い数値で、一気にレベルが300近く上がった物だから、上がったその日は身体に大きな負担が生じて、暫く起きる事が出来なかった。
 レベルが急激に上がると、人体に支障が出るのかと…この時初めて知ったのだった。
 この世界では間違い無くダントツで1番のレベルかとも思ったんだけど、過去の人物ではレベル1000越えという人物がいたらしい。
 しかも、それが長命種族という話なので…今でも生きている可能性があるかも知れない。

 「輝………本当にお前1人だけで魔王を倒せるんじゃ無いか?」
 「魔王だけが相手なら、その可能性は…」
 「そっか、魔王以外に四天王がまだ残っているんだっけ?」
 「いや、勇者連合で挑んで勝てなかったんだろ?僕がレベル600越えでも、流石に分からないな。そもそも僕は、魔王の強さを直に見たわけでは無いからな。」
 「なら、俺達がダンジョンに入る…で、ホーリーはその間はどうするんだ?」
 「僕も戦力の増強の為に、ダンジョンでは無いが同じ場所に行くよ。四天王の中には、空を飛ぶ奴がいるんだろ?僕の召喚獣の中には、空を飛べる召喚獣は…いなくは無いんだけど、魔力消費量が激しいから四天王を相手にした途端に倒れて動けなくなる可能性があるからな。」
 「…という事は、輝は空を飛べる召喚獣を手に入れる為に?」
 「そういう事。ただ…空を飛ぶ召喚獣との契約って、結構面倒なんだよなぁ。無駄に時間ばっかり取られるし、へそ曲げると契約以前の問題になるからな。」

 召喚獣によっては、契約がすんなり通る場合もあるんだけど…?
 そういう奴は本当に稀で、大体は戦いに勝利をしないと契約をしてくれない。
 四天王の1匹の内の空を飛ぶ奴が邪龍という事なので、それと同等の力を持つ奴を契約しなければならないんだけど?
 すんなり契約に応じてくれると有り難いんだけどなぁ。

 「それと今回、お前達に渡す武具は…全部アダマンタイト製の武具だ。本来なら魔王との決戦の時に渡そうかとも思ったんだけど、現在渡しているオリハルコン製の武具も劣化しているし、ダンジョン内で有利にレベル上げをするのにも必要だと思ってな。」
 「ブッ…最強金属の武具かよ‼︎」
 「ん…?アダマンタイトは、別に最強金属では無いよ。」
 「は?」
 「この世界には、アダマンタイトより強い金属は他にもある。アダマンタイトは…この世界では4番目位かな?」
 「ゲームとかでは最強の金属だとばかり思っていたんだが…?」

 …そう、僕が以前にワルーンアイランドの問題を解決した際に、渡された金属の中での最強金属は確かにアダマンタイトだった。
 神達に贈る遊戯品の中に、アダマンタイトを使ったコマを提供したんだけど…?
 遊戯品で白熱した神達がアダマンタイトのコマを破壊してしまい、もっと強い金属で作り直してくれと言われて、贈られて来た金属はアダマンタイトよりも強い金属だったのだった。
 それを鑑定で調べてみると、アダマンタイトよりも強い金属が他に3つもある事が分かったのだった。
 …というか、神達にとっては…アダマンタイトですら破壊出来る程に脆い金属なのか。
 そして、僕はそれらの金属を用いてコマを作成し、神達に贈る事が出来たのだった。
 まぁ、コマを作り直すだけだったので、神達からは少量しか送られて来なかったんだけど、当然…ストレージの中で複製を使って大量に増やしておいたのだった。
 なので当然、アダマンタイトよりも強い武具を作り出せる事ができる訳なんだけど。

 「なら、アダマンタイトよりも強い武器を寄越してくれないか?」
 「いや、今のお前達ならアダマンタイトで充分だろう。まぁ、僕の武具はアダマンタイト製では無いけどな。」
 
 僕の武具はベルスマギアという、アダマンタイトに比べて倍の強度を誇る金属製だった。
 ベルスマギアよりも強い金属はあるにはあるんだけど、小石程度でやたらと重量があって、剣にしても使いこなせるとは思えないので、ベルスマギアを主に使っている。
 
 「お前だけズルくないか?」
 「文句があるなら、僕と同じレベルになってから言って欲しいな!今のお前達のレベルだったら、アダマンタイト製でも分不相応の代物だよ。」

 この言葉に皆は一斉に黙った。
 僕は皆に手を取ってから、転移魔法でワルーンアイランドに転移をした訳なんだけど…?
 転移魔法のリスクを忘れていた僕達は、ワルーンアイランドに到着した瞬間に気持ち悪くなって暫く動けなかった。
 そして暫くしてから、僕達はダンジョンの前に勇者組達を連れて行った。
 僕はダンジョンの設定を操作したんだけど…?
 思いっ切り激ムズの鬼畜モードに設定をしておいた。
 生温い方法では、レベルなんか簡単には上がらない。
 なので、鬼畜モードは最適じゃないかと思ったんだけど…?
 
 果たして、勇者組は無事に課題をクリアして戻って来れるのかねぇ?
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