僕は最強の魔法使いかって?いえ、実はこれしか出来ないんです!〜無自覚チートの異世界冒険物語〜

アノマロカリス

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第三章 新大陸に向けて…

第三話 急造異世界パーティー・中編

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 さぁ…どうするのかなぁ?
 勇者クラウドは、あれだけ啖呵を切った手前、今更やる…というのには抵抗があるのだろう。
 そして勇者テルミも…都合が良すぎると言った手前、答えを出しかねている感じだった。
 ここは素直に僕に許しを乞えよ~。
 お前等が出来る事は、もうそれしか無いんだからな…と言いたい所だけど、こう切り出したら…どう答えるかなぁ?

 「待っていても答えは出なさそうだな。仕方がない…僕と勇者エイジと勇者紫乃の3人で向かうとするか!僕以外にもう2人居れば事足りる案件だし、お前等2人は留守番をしていれば良いさ。まぁ、この先どんなに勇者を名乗った所で、お前等に協力をしたがろうとする奴らは現れないと思うがな。」

 ほれほれ、さっさと謝罪をして詫びろよ。
 今なら、僕も寛大な心を持って接してやるんだからさぁ。
 …っていうか、ここまで言ってもまだ決めかねているのかよ…?
 
 「はい、時間切れ!では、勇者エイジと勇者紫乃…早速出発をしよう。」
 「すぐにか?何か準備とかは必要ないのか?」
 「そうよ、ダンジョンに入る訳なんだし…」
 「必要な物は、僕のストレージに予め用意してある。時間が惜しいからね、準備に余計な手間を取られるのは時間の無駄だからな。」

 ダンジョンに潜る訳だから、流石に1日で神殿まで辿り着ける保証は無い。
 食料に関しては、100人居ても半世紀は軽く持つ程の食糧はある。
 食料に関しては問題がない訳なのだが、問題は勇者達の武器なんだけど…こっそり鑑定で調べると、1番強力なのは勇者エイジが持つ鋼の剣で、勇者テルミと勇者紫乃は鉄の剣、勇者クラウドは……青銅の剣?
 神の命令に…とか言っていたけど、持っている武器が見窄らしいなぁ?
 普通なら、聖剣とか与えられるかとも思ったんだけど…?
 この辺は、RPG 思考なのだろうか。
 いきなり最強の武器を渡すと、それにかまけて…とか、怠惰を生む事になるから、ある程度の強さになってから与えるとか?
 まぁ、今回のダンジョン攻略を手伝わせる訳だし、武器はこちらで用意してやるか。
 僕も昔は鉄の長剣だったけど、現在ではワルーンアイランドのお土産に入っていた、大量のオリハルコンと創造神のギフトで作成した、オリハルコンの剣を所持している。
 まぁ、戦う機会が滅多にないけどね。
 …そんな事を思っていると、勇者テルミがこんな事を言い出してきた。

 「待ってくれ!私も参加をさせては貰えないだろうか?先程は以前の事を持ち出して意固地になってしまったが、私も現在の状況を覆したいとは思っているので…」
 「分かった、なら勇者テルミもメンバーとして向かい入れよう。」

 これで勇者が3人になった。
 …んで?
 僕と勇者3人が勇者クラウドに視線を向けたが、勇者クラウドは未だに考えているみたいだ。
 ハッキリ言って…僕と勇者クラウドとの過去の蟠りは、僕はあのとき限りのことと思って大して気にはしていないが、勇者クラウドにとっては…?
 あの時は散々けちょんけちょんに貶していたのだから、プライドが高そうなコイツが折れる事は……と思っていたら、案の定というか…思っていた通りのことを言い出した。

 「お前がどうしても…俺の力を頼りたいと言うのだったら、仕方ないから力を貸してやる!だが、過去にお前が俺にした事を謝罪するのであれば…」
 「いや、結構!別に勇者3人いれば事足りるし、勇者クラウドは特に必要はない。」
 「なっ!俺は別に…お前の力を使わなくても、ここにいる勇者達だけで問題を解決する事だって…」
 「あのなぁ…先程の僕の説明を聞いていたのか?今回の原因である場所は、海底にある神殿なんだぞ。お前達4人で、どうやって海底に行く方法があるんだ?仮に…お前達だけで問題が解決しているんだったら、マクファーレン港街の問題はとっくに解決しているだろう?」
 「まぁ、確かに…」
 「それに、勇者テルミは僕との過去の蟠りを水に流して参加すると言ってくれたが、それに対してお前の…」
 「いや、水に流すとは言ってはいないが…」
 「あ、そうなの?でも、歩み寄ろうと言う意志を感じたけど?」
 「水に流す事は…出来るかどうかはわからないが、今のこの現状を打破したいと考えているのは確かだ。」
 「まぁ…勇者テルミは歩み寄っていると言うのに、勇者クラウド…お前の対応は一体何なんだ?」

 勇者クラウドは僕との過去の事に対して、どうやら僕から謝罪をさせてマウントを取りたがっているみたいだが…?
 こういう短絡思考な奴って、次の行動を予測すると、恐らく…?

 「俺はお前が仕切っているのが気に入らないんだよ‼︎俺と戦……」
 「サモン・イクシオン‼︎イクシオン…ライトニングランス‼︎」
 「ギャァァァァァァァ‼︎」

 こう言ってくるのは予想ができたので、以前と同じ方法で勇者クラウドに痛い目を遭わせた。
 ただ、前回と威力は違うので…勇者クラウドは全身焦げた状態で、口からは煙を吐いていた。
 まぁ、前回よりも威力が高いとはいえ…この程度では死ぬ事はないだろう。
 僕達は倒れている勇者クラウドをそのまま放置し、先程の海に向かったのだった。
 そこで僕は、再び神獣ネレスティスと…玄帝を召喚した。

 「来る時に話をした通り、ネレスティスが海底神殿までの海を穏やかにし、玄帝の力で海の中で呼吸が出来る様になる訳なんだけど…お前達は泳げるよな?」
 「あぁ、泳ぎには問題は無い。」
 「俺も実家は漁師だし、子供の頃から海で遊んでいたから問題は無い!」
 「え、えーっと…」
 「まさか、勇者紫乃は泳げない…とか?」
 『ホーリーよ、少し良いか?』
 「何?ネレスティス…」
 『もしもの事を予想して、部下を呼び出しておいたので…それに掴まって海底ダンジョンに向かえば如何だろうか?』
 「それは、大変有り難いが…」

 ネレスティスは部下を呼び出した。
 その部下とは……まぁ、部下と呼ぶくらいだから危害を加えたりする危険な事はないとは思うのだが、その部下は巨大なホオジロサメだった。
 勇者紫乃と勇者テルミは、恐怖の表情を浮かべていて…勇者エイジは、明らかに威嚇をする表情を浮かべていた。
 まぁ、地球出身者はホオジロサメの恐怖は…実際に見ていなくても、映画などで良く知っている。
 僕は何とか皆を宥めてから、ホオジロサメに掴まって、海底ダンジョンを目指した。

 「さて、この世界で初のダンジョンだけど…一体何が待ち受けているのかな?」

 僕は少しワクワクしていた。
 だが、そのワクワクも…後悔をする羽目になるとは、この時の僕は思っても見なかった。

 ~~~~~その暫く後~~~~~

 勇者クラウドの意識が覚めると、辺りを見渡した。
 だが、そこには先程いた4人は既にいなかった。

 「あいつ等…もう向かったのか⁉︎」

 勇者クラウドは冒険者ギルドを飛び出して、堤防に向かったのだが…?
 海は荒れるに荒れて、とてもじゃないが…後を追う事は不可能に思えた。

 「女神よ!俺に力を‼︎」

 勇者クラウドは女神に祈ると、海に飛び込んだ。
 …が、当然だけど女神の加護を受ける事はできずに、勇者クラウドは波に攫われて流されて行った。
 …それもその筈、勇者クラウドが飛び込んだ海は…ホーリー達が飛び込んだ海と全く真逆の方だった。
 ホーリーと同じ海から飛び込んでいたら、波もまだ穏やかだったのだろうに…
 勇者クラウドは、一体どこまで流されて行ったのだろうか?
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