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第三章 新大陸に向けて…

第二話 急造異世界パーティー・前編

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 僕はマクファーレン港街にある冒険者ギルドに赴いた。
 理由は勿論、現在この港街で足止めを喰らっている、勇者達に協力を仰ぐ為だ。
 ただ、問題がある。
 女神に選ばれた勇者は、同じ神から選ばれるということがない為に…ちゃんと協力をしてくれるかどうかが凄く怪しい。
 …と思っていた僕は、勇者達に協力を仰ぐ前に…僕のパーティーメンバーに聞いてみた。
 一応、先程にネレスティスが話していた事を伝えては見たのだが…?

 「私は泳ぐという行為すら、した事がないよ。」
 「アタイは泳げるけど、顔を水につけた事がないし潜った事がないからなぁ。」
 「ドワーフ族は、水に浮く事がないので…そのまま沈んで行きます。事を成しても、海の底から動く事が出来ないので…」

 …という話だった。
 森猫族のラミナは、森猫族の森には一応湖というのはあった。
 だけど、狒狒族に支配されていた為に…風呂でも身体を濡らす程度の水浴びくらいしかした事がないという話だった。
 餓狼族のクリスは、自分で泳げるとは言っていたけど…恐らくその泳ぎも犬掻きみたいな物だろう。
 顔を水につけた事がない…と言った位だから、水の中の獲物を捕まえると言った事はやった事がないんだろう。
 レンデルさんは…まぁ、見た目が物語っている。
 ドワーフを殺したければ川に突き落とせ!…という話がある位に、水に嫌われていると有名な話らしい。
 …なので、この3人に頼んだ所で無理という事は分かったので、勇者達に頼もうと思ったのだった。

 「まぁ、勇者達に頼む為に、ある秘策があるんだけど…果たして上手く乗ってくれるかがなぁ?」

 冒険者ギルドに着くと、テーブル席で飲み物を飲んで座っていた者達を見つけた。
 案の定、便所の…いや、ここは勇者クラウドと言っておいた方が良いか。
 それと手羽先と…この異世界では見ない顔立ちで、絶対に日本人だと分かる男女が居た。
 さて、女神の派閥の違う勇者が協力をしてくれるだろうか?
 僕は…その勇者達の前に来た。

 「お前は、ホーリー・シャイニング⁉︎」
 「何故、君がここに居る⁉︎」
 「君達と一緒で、この海嵐の所為で足止めを喰らっているんだが…僕に解決策があるんだが、皆に出来れば協力をして欲しいんだよ。」
 「お前程の実力がある奴が、俺達の助けが必要なのか?」

 僕の事を知っている、勇者クラウドと勇者テルミはそう言うだろうな。
 これは正直に話すしかないか。

 「僕のギフトは、アンデットには有効な聖属性や光属性のギフトなんだよ。その為に、水属性や火属性には効果が薄くてね…今回の原因の相手は、水属性らしいので…僕だけだと解決が難しくてね。」
 「なるほどな、それで俺達に協力を願おうとしている訳か…って、誰がやるか‼︎」
 「でもさぁ、それって都合良すぎないんじゃないかな?私達の誘いをあんな形で断った癖に…」
 
 その件をツッこまれると、確かにこの2人には酷い扱いをした訳だし…協力に否定的なのは分かる気がする。
 勇者クラウドは、便所のウンコと言って散々貶した訳だし、勇者テルミは…新婚を邪魔されたくはないが為に、身体を要求した上に散々貶していたのだから。
 …となると、残り2人も否定的だったりするのかねぇ?

 「そちらの勇者達はどうでしょうか?協力をお願い出来ませんか?」
 「俺は君の事は知らないし、協力をしても良いとは思うんだけどな…?」
 「でも、異世界の…信仰する神が違っていても同郷の人達を悪く言う人の協力は、正直嫌かなぁ。」
 「一応…僕も元は同郷ですよ。君達と違って転移ではなく、転生という形でこの世界に来ましたが…」
 「そうだったの⁉︎…って、自己紹介がまだだったね、私は紫乃だよぉ。女神レフィリス様の名によりこの世界に来ました。」
 「俺の名はエイジだ。俺は男神グリスガイアから頼まれて勇者になった。」
 「僕の名前は、ホーリー・シャイニング…地球での名前は、聖輝ひじりてるです。」

 紫乃とエイジなら…でも、どうだろうなぁ?
 クラウドとテルミと会う前だったら、説得はスムーズに済みそうだったが…?

 「勇者クラウドと勇者テルミは、あまり乗り気ではなさそうだけど…勇者エイジと勇者紫乃なら協力を頼めないかな?」
 「俺は別に構わないが…」
 「私は……」

 エイジは協力的だが、紫乃もテルミと同様にあまり乗り気では無さそうだな。
 ならば、事前に計画していたをするとしますか!

 「お前達は、確かに神によって勇者となった者達だけど…でも、何か手柄を挙げて知名度を上げたのか?勇者でも無い僕は、魔王の幹部を2人倒しているし、冒険者ランクもSランクになって、それなりに知名度もある。だけど、君達は?」

 僕がそう言うと、4人は苦虫を噛み潰したような表情になった。
 その表情から読み取れる様に、大した功績は挙げられていないのだろう。

 「そんな君達に朗報がある。現在、マクファーレン港街の状況を勇者達が解決に導いたとなれば…知名度も上がるし、名声も得られる筈だ。魔王の幹部の討伐程の賞賛は得られないだろうけど、勇者としての使命を果たした…という噂が広まれば?」
 「なるほど、今後の活動がし易くなるという訳だな!」
 「そう言った理由なら…私も協力をしても良いかも!」
 「勇者エイジと勇者紫乃は賛同してくれたけど、勇者クラウドと勇者テルミはどうする?」

 僕の言葉に、2人の勇者は悩んでいるみたいだった。
 何を悩む必要があるのかねぇ?
 以前にした事を考えると、素直になれないというのは分かる気がするが…?

 「答えが出ないというのであれば、勇者エイジと勇者紫乃で問題を解決に導いてみせるよ。ただ…その場合、勇者クラウドと勇者テルミの扱いはどうなるのかな?」
 「それは、どういう意味だ?」
 「だってそうだろ、この場にいる勇者2人で問題を解決した場合…勇者エイジと勇者紫乃は間違いなく賞賛をされるだろうが、勇者クラウドと勇者テルミの2人の勇者は、勇者とは名ばかりの者達で、知名度は最悪な物になりかねないだろう?」
 「「うっ!」」

 これが、事前に計画していただ。
 絶対に断れない様に…いや、断ったら酷い目を遭うという拒否出来なくするという、意地の悪い持ち掛けだった。

 さて、勇者クラウドと勇者テルミは、これでも拒否をするという選択を選ぶのかなぁ?
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