僕は最強の魔法使いかって？いえ、実はこれしか出来ないんです！〜無自覚チートの異世界冒険物語〜

第二章 冒険者としての活動

第十六話 ラミナの結婚⁉︎・中編

　「それが森猫族の結婚内容ですか…」
　「そうなんです。何か別の良い案はありませんか？」

　僕は現在、マルザリィに…子が宿ったら結婚という以外に、何か考えがないかを聞いてみた。
　マルザリィは僕とラミナを見た後に悩んでいた。

　「森猫族は、成人が早いとは聞いておりましたが…まさか10歳になる前に出産をするという話になっていたとは…」
　「未成熟の身体で子を宿した場合、死亡率や未熟児が高い…というのは、どの種族も共通だと思っていたのですが…」
　「そうですねぇ…？他の手があるとすれば、森猫族が崇める神の元でなら、婚姻の儀…結婚が認められる可能性はありますね。」
　「森猫族の神…神獣フェンリルですか？」
　「いえ、それは…犬人族や犬狼族、餓狼族などの種族の神ですね。森猫族と言った猫人族の神は、確か…白帝びゃくてい様では無かったでしたっけ？」
　「はい、そうです。獣人族の神となれば、神獣フェンリル様でも間違いはないのですが、猫人族の神は白帝様になります。」
　「白帝？」
　「白き大きな虎の様な感じですね。神獣様と違い、聖獣様に分類されます。」
　「あぁ、白虎か。」

　そう言えば…空の神獣様の天龍様には、配下に四聖獣というのがいると言っていたな？
　地球で言う四聖獣というと、白虎と朱雀と青龍と玄武だっけか？
　この異世界もそれと同じなら、天龍様の役目は黄金龍になるのかな。

　「…という事は、また…ワルーンアイランドに出向かないと行けない訳か。」
　「そうですね、結婚を回避したい場合でしたら、その方が手っ取り早いでしょう。」
　
　僕はラミナを見ると、なんか落ち込んでいる様に見えた。
　結婚を回避と聞いたので、変な考えを巡らせたのかな？

　「ラミナ、僕は別に…ラミナとの結婚自体を回避したいと言っている場合ではないんだ。子を宿したら結婚という事が、僕には納得出来ないだけなのであって…」
　「うん、分かってる。ホーリー君は、私の身体の事を想ってくれているんだよね？」

　少し生々しい言い方をすると、中出しさえしなければ…子が出来る訳では無いので、行為自体はヤリたい‼︎
　だけど、万が一を考えると…踏み込むには、かなり勇気がいる。
　避妊具とか作れないかなぁ？
　コンビニで働いている時に、コン○ームを陳列する為に補充をしていた時に潰れた箱があって、商品としては成り立たないので廃棄をしようとした時に…気になって中身を開封した事があった。
　その時の形状や材質を覚えているので、創造神のギフトなら作れなくも無い。
　ただ、この世界って…ゴム材質ってあるのかな？

　「ところで、ホーリー君…神獣フェンリル様なら、以前に冒険者ギルドで召喚をしたという話を聞いたのですが…」
　「あ～、あれは魔力無償で1度だけ呼び出せられる権利を与えられまして…」
　「現在のレベルが120越えでも無理なのですか？」
　「…そういえば、魔力が50万以上ありますからね。いけるかなぁ？」

　あの時は魔力が25万位だったから、魔力的に呼び出すには無理だと思っていたんだけど…？
　今の魔力量なら…どうかな？

　「我が召喚に応じよ、サモン・フェリス‼︎」
　
　う………一気に魔力がゴッソリ持って行かれる。
　やっぱり、経験が不足しているから…呼び出すには早かったかなぁ？
　…と思っていたら、地面に召喚陣が現れて…フェンリルのフェリスが出現した。

　『む？ホーリーよ、今のお主の魔力で良く我を呼び出せたな！特に…敵の気配は感じぬし、どんな用か？』
　
　僕はステータスボードを見ると、魔力が30万減っていた。
　だから、身体が物凄く脱力感があるのか。
　
　「今回、フェリスを呼び出したのは…天龍様の配下の四聖獣についてなんだけど、白帝って…知ってる？」
　『あぁ…勿論知っている。…というか、お前は契約したでは無いか！』
　「え…？」
　
　ワルーンアイランドにいた時に、フェリスの元で様々な魔物達と契約を結んでいた。
　僕が契約をしたという事は、あの中に居たのかな？

　「でも、僕はホワイトタイガー…の様な物と契約した記憶はないんだけど？」
　『あぁ、四聖は普段は擬態をしているからな…ブラストルタイガーが白帝だ。』
　「ブラストルタイガーって…確か黒い獅子だった記憶が？」
　『そう、そいつだ。それで…白帝に何の用事がある？』

　僕は現在の森猫族の状況ついて話をした。
　だけど、フェリスは…種族の摂理にまで口を出す気はないみたいだった。

　「いや、まぁ…僕も今迄の森猫族の行いに口を出すつもりはないんだけど…」
　『なら、それで良いのではないか？』
　「だけどねぇ？未成熟の身体で子を宿すとなると…生まれて一年も経たない獣が、子供を作る様な物だよ？」
　『うむ…確かに、どの獣も1年で成人になるからな。その前に子を宿すにはリスクがあるが…』
　「僕はね、ここに居るラミナとは結ばれたいと思っているんだけど、結婚の条件が妊娠…子を宿すのが条件となるとね。」
　『ふむ…それで、白帝を呼んでどうするんだ？』
　「子を宿す以外の婚姻を覆すには、森猫族の神である…白帝様が立ち会えば、問題は解消されると思うんだけど…？」
　『なら、白帝を呼び出せ、我が事情を説明してやるから…』
　「え？一度に複数って呼び出せるの⁉︎」
　『ホーリーの召喚魔法は、神々から頂いた物だよな？人間が神託でギフトを貰った場合なら、複数召喚は無理だとは思うが…』
　「分かった、やってみる…召喚に応じよ、四聖獣…サモン・白帝‼︎」

　僕が召喚魔法を使うと、フェリスの隣に召喚陣が現れて…白き大きな虎が出現した。

　「出来た！無理だと思っていたのに…」
　『む？お前は…あの時の人間の子供か？我に何用………って、神獣様⁉︎』
　『白帝よ、お主に頼みたい事があってな…』

　僕が事情を説明し、次にフェリスが説明をしてくれた。
　それを聞いていた白帝は、気難しそうな顔をしていた。
　
　『分かった…とりあえず、族長とは話をしてみよう。またその場所に着いたら、我を呼び出せ…』
　「分かりました。」
　『その時は我も呼び出すと良い…と言いたい所だが、ホーリーは大丈夫か？』
　「結構キツイけど…何とかやってみるよ。」

　僕はフェリスと白帝を送還した後に、ぶっ倒れた。
　神獣と聖獣の呼び出しは、魔力が限界近くまで持って行かれる。
　でも、これで役者は揃った！
　後は、森猫族の族長が理解してくれれば…良いんだけどなぁ？