僕は最強の魔法使いかって?いえ、実はこれしか出来ないんです!〜無自覚チートの異世界冒険物語〜

アノマロカリス

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第二章 冒険者としての活動

第七話 神獣達が管理する大陸・前編

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 なんで僕だけ…こんな事になっているのだろう?
 僕は現在、神の使いの獣…神獣フェンリルと向かい合っていた。
 一体何故こんな事になっているのかは…それは、この地に来た時に遡る。

 ~~~~~数時間前~~~~~

 僕達は冒険者ギルドのフリークス支部の転移陣から、ティーンフレット大陸のワルーンアイランドに来た。
 すると、目の前には…?
 多種多様な種族達が僕達を歓迎してくれた。
 その歓迎の仕方に、少し大袈裟過ぎる気もしたのだが…?
 人気の観光地という事で、この大袈裟過ぎる歓迎をしてくれているのだろう。
 …そう、最初はそう思っていた。
 クリスとラミナは、案内係に連れられて観光名所の説明をしに、別室に移動。
 そして僕はというと、2人とは別行動で、冒険者ギルドのワルーンアイランド支部に連れて行かれた。
 そして、その場で少し待つ様に言われたので、暫し待っていると…?
 奥から獅子族の男性が、タテガミを揺らしながらやって来たのだった。

 「御主がホーリー・シャイニングか?見た目は確かに幼子に見えるが…人は見た目とは違う物の様だな!」
 「えーっと…?もしかして、ギルドマスターですか?」
 「あぁ、我がここのギルドマスターである、フェヴロンである。」
 「そうですか…それで僕は何故ここに呼ばれたのでしょうか?」
 「ん?それはどういう意味だ?」
 「え…?僕は休暇を満喫する為に、このワルーンアイランドに来たのですが…」
 「それは、連れの2人であって…御主は、我等に協力をしてくれるという…?」
 「は?何ですかそれ…?」
 「いや、フリークス支部のテリア嬢が…」
 「「!?」」

 何だろう…会話が全然噛み合わないぞ?
 僕は休暇を満喫する為に、テリアにこの場所を教えられて…そもそも、協力って何だ?
 僕は何の説明も受けてないんだが…?

 「あの、すいません!ここの転移陣からフリークスに戻る事は出来ますか?」
 「為すべき事を成したら、転移陣を起動はするが…それまでは御主が此度の問題を解決する迄は、起動はしなくても良いと。」

 やってくれたな、あのメス犬…いや、イヌッころ‼︎
 先に依頼内容を話していれば、絶対に断ると言う事で…現地に放り込んで仕舞えば、否が応でも対応せざる負えない状況になるとして、対処に当たらせる気か?
 しかも転移陣の起動は、為すべき事を成したら…なんて話が出ている時点で、解決する迄はワルーンアイランドから出さない気だな?
 本当に…あのメス犬は、帰ったらどうしてくれようか‼︎

 「てっきり我は、テリア嬢から話を聞いて…馳せ参じたと思っていたのだが?」
 「いえ、全くな~んにも聞かされておりません…が、問題を解決するまでは、フリークスには帰れないという事で…事情を話してはくれませんか?」
 「良いのか?」
 「なら、帰してくれるのですか?」
 「いや、出来れば問題の解決を頼みたいのだが…我等獣人族では、問題を解決できぬのでな!」

 このワルーンアイランドには、元々人間族は誰も居ない。
 獣人族だけの住む大陸で、観光の為に人間族が訪れる位だった。
 そして現在はというと?
 とある問題が発生してからは、観光客を全て帰した後に僕達が呼ばれる事になったという事だった。
 その…とある問題というのが?

 「魔王の幹部が呪いを撒き散らしている…ですか。しかし、神の使いの獣が守護する大陸なのでしたら、彼等の力でどうにかなるのでは?」
 「この呪いは、獣人族や神獣に効果のある呪いという話で、人間族の…ある特定の者には然程影響を受ける事はないという話なのだ。」

 あ~…何となく分かったぞ!
 人間族のある特定の者というのは、僕の様に回復魔法や治癒魔法を使用出来る者の事なんだな?
 だから、一般の人間族には影響を受けるのか。

 「でしたら、この場所も少なくとも被害は受けているのではないですか?」
 「いや、この場所は…獣神レグザリオン様と精霊神ルミナス様の結界によって、聖なる結界が展開されている為に、影響は受ける事がないんだ。だが、神獣様達の御あせられる場所は、その結界が…」
 
 だから、影響を受けているのか。
 ん?そう言えば…

 「あの、神獣様って…ひとりではないのですか?」
 「この大陸は大きく分けて、空の神獣様、海の神獣様、大地の成獣様に加え、精霊王達が天候を管理しておられるのだ。」
 「ちなみに、どの神獣様が呪いの影響を受けておられるのですか?」
 「ほぼ、全員と思ってくれた方が良い!」

 えーっと…?
 これはかなりの無理ゲーでは?
 
 「これは…僕の手に余るかもしれませんね。」
 「御謙遜を…ホーリー殿は、大量のアンデットに勝利し、魔王の幹部の1人であるエルダーリッチの討伐、更に三匹の部下である…デュラハンとヴァンパイアとドラゴンゾンビを葬ったという実績があると。」

 えーっと…?
 あの墓場のアンデット軍団の総括のエルダーリッチって、魔王の幹部だったんだ?
 更に、デュラハンとヴァンパイアとドラゴンゾンビも大して強くなかった気がしたけど…?
 あの時は、ターンアンデットと呪いの解除魔法のアンチカーズを放ちまくっていたからなぁ?
 呪い…なら、アンチカーズを掛ければ問題はな……

 「神獣様達は呪いの影響の所為か、正気を失っていて、各地で暴れ回っていてな…」
 
 アンチカーズを掛ける以前に、近付く事すら困難な気がするんだが?
 まぁ、どの程度…暴れているかにもよるのと、後3人?の神獣様というのが何の種族なのか…?
 空の神獣様というのは…恐らくだが、ドラゴンだろうな?
 あ…いや、フェニックスという可能性もあるか。
 海の神獣様というのは、リヴァイアサンか、クラーケン?
 大地の神獣様というのは、亀か何かかな?
 …と思っていたんだけど、聞いてみると?
 空の神獣様は確かにドラゴン族だった。
 ただし、翔龍という…7つの球を集めて合言葉を言うと出て来る、あのタイプのドラゴンだった。
 海の神獣様というのは、リヴァイアサンでは無くて、ポセイネス…という、ギリシャ神話のポセイドンの女性版という話だった。
 そして大地の神獣様は亀では無く、フェンリルという狼だった。

 「すいませんが、帰っても良いですか?」
 「何故だ⁉︎」
 「いえ、どう考えても…人間族がそんな神獣様達を相手にするのは、無謀というか…無理があるかと。それに、そんな方々達が呪いの所為で暴れ回っているのですよね?」
 「我等が止められるなら、命を持ってでも全力で止めて見せる‼︎だが、我等獣族には…神獣様達に矛を向ける事も、逆らう事が出来ぬのだ!」
 「だから、人間族である僕の力が必要というわけですか…ですが、ドラゴンとポセイド…ポセイネスと、フェンリルですよ?どう足掻いても勝てる見込みは……」
 「無理を承知で頼みたいのだ…頼む‼︎」
 「まぁ、能力的な事を考えるとですね…」
 「はぁ~こういう手は使いたくは無かったが………グダグダと言ったところで、状況は変わらないし、帰還する事もままならん!もしも、御主が断ると申すなら…仲間の2人がどうなっても良いというのだな?」
 「んなっ⁉︎」

 まさか、そういう手に出て来たか!
 だから、僕と2人は分けられて案内をされたのか。
 こうなると、ここで出来ないという話を持ち出そうとすれば、2人は……恐らく殺されはしないとは思うけど?

 「わか…りまし…た。ですが、約束だけはして貰えませんか?あの2人には絶対に手を出さないと…」
 「御主が約束を果たす間は、あの者達はゲストとして扱おう。だが、御主が約束を果たさぬ場合は、2度と会う事は叶わぬと知れ‼︎」

 フェヴロンの言い方に腹が立った。
 まさか、こんな交渉をして来るとは思わなかった……が、それだけ切羽詰まっていると取れるので、ここは敢えて言う事を聞こう。
 それにしても、どうやって対処をすれば良いのだろうか?
 僕と同じサイズなら…と言う事はまずあるまい。
 後はどれだけの大きさで、呪いというのがどれだけの物か…?

 「まずは、大地の神獣様の所に案内をする。ついて参れ…」

 そしてたどり着いた場所には、大地の神獣様であるフェンリルが居たんだけど…?
 僕なんかが豆粒に見える位に巨大なフェンリルだった。
 まぁ、大陸を管理するという神獣様が、小さい筈はないと思っていたが…ここまで大きいとは⁉︎
 帰りたい。
 そして2人は犠牲になって貰って………と。
 それ位に僕は、絶望をしていたのだった。
 
 「あんなのに、どうやって立ち向かえと言うんじゃい‼︎」
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