僕は最強の魔法使いかって?いえ、実はこれしか出来ないんです!〜無自覚チートの異世界冒険物語〜

アノマロカリス

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第二章 冒険者としての活動

第一話 あれから3ヶ月

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 僕が最年少冒険者になってから、3ヶ月の月日が流れた。
 そして僕は本日、7歳の誕生日を迎える事となった。
 マルザリィからは、冒険者の必需品を…
 従業員達からは、様々なプレゼントを…
 冒険者達からも、普段から診療所で世話になっている事を含めて、プレゼントを貰った。
 更に、グラハムハート公爵家からもプレゼントが届いた。
 グラハムハートの刻印がされてはいるが、送り主はガーネットだろう。
 僕はこの大量のプレゼントを部屋で開けていたのだが、全て同じものを持っていた。
 まぁ…プレゼントなのだから、文句を言うわけには行かないが?
 いや、ここは敢えて感謝をする事にしよう。

 「念願の冒険者になったので、冒険は…」

 全く出来ていなかった。
 だって、診療所や店での対応が忙し過ぎて…冒険者活動をする暇がないんだもの。
 …と言う訳で、普段とあまり変わらない生活を送るだけの日々だった。
 そんな時に、冒険者ギルドからこんな物が届いた。
 そこには手紙で…

 【ランクの更新日が近付いております。期日までに更新をして頂かないと、ランクが下がる事になってしまいます。】

 …と、書かれてあった。
 冒険者の更新日とは、長期の依頼で街を離れている場合以外は、GランクとFランクは、2週間に1度。
 EランクとDランクは、1ヶ月に1度、CランクとBランクは3ヶ月に1度の割合で更新日が設けられている。
 更新日に関しては、更新するには二種類ある、
 1つは、依頼達成によって入る報酬以外にポイントがあり、そのポイントを特定数集めるという物。
 もう1つは、特定の魔物を指定数を討伐するという物だった。
 普段から真面目に依頼を達成している者達は、ポイントを稼ぐ事によって更新日をクリア出来るのだが?
 僕の様に冒険者になっても、1度も依頼を達成していない者は、特定の魔物を指定数を討伐するしか無かった。

 「んで、ここに書かれている魔物は…ロックバード?…しかも100体?」

 ロックバードって、Cランク冒険者が相手にする相手だっけ?
 あんな弱い魔物を集めて来るだけで、更新が通るなんて…いや、こっちとしては有り難いけど。
 ストレージの中に900匹近く入っているし…?

 ※…と、ホーリーはこんな事を言っていますが、ロックバードは本来…Dランク冒険者がパーティーを組んで相手をするほどの強敵です。
 Cランク冒険者でも、ソロで倒せられる者は余り多くないんじゃないかな?
 
 僕は午後のシャイニング診療所(仮)を休診にして、冒険者ギルドに赴いた。
 そして受付を済ませてから、資材置き場にロックバード100匹を納品したんだけど?
 そこで騒ぎになったことは言うまでもない。
 本来なら、討伐証明部位として…ロックバードの鶏冠を100個納品すれば良いだけの事だったのが、まさか実物を100匹を納品する必要がなかった事をその日に知った。
 冒険者なら、知っていて当たり前の知識なのだが…?
 僕には、初めての経験だったので、そんな事も知らずに納品してしまった。
 そして、ギルドカードを見事に更新を果たし、シャイニング診療所(仮)に戻って来たのだった。

 「やっぱり…普段から冒険者ギルドの依頼をこなした方が良さそうだなぁ?」
 「それだと、診療所は暫くお休みをしないといけないよね?」
 「何の依頼を受けるかにもよるけど、依頼によっては…その可能性があるかもね。」
 
 現在のシャイニング診療所(仮)では、ほぼ毎日の様にかなりの数の患者が押し寄せて来る。
 それ自体はありがたい事なんだけど、休みを取リたくても、休みが取れないのが悩みだった
 そんな状態で、依頼の為に長期間休んでも平気だろうか?

 「とりあえず、今日は午後から休診にしているから、冒険者ギルドに行って来るよ。」
 「行ってらっしゃ~い。」

 僕はラミナに後を任せてから、冒険者ギルドに赴いた。
 そして、依頼用のクエストボードを見ていると、受付嬢の犬人族のテリアが僕に声を掛けて来た。

 「ホーリー君は、何か依頼を受けるつもりですか?」
 「はい。何か良い依頼はないかと思いまして…」
 「では、このグリーンドラゴンの討なんかは如何でしょうか?」
 「はい?聞き間違えたかなぁ…ドラゴンと聞こえたんだけど?」
 「はい、グリーンドラゴンです。ドラゴン族の中で最弱なのですが、討伐対象がCランク以上となっておりますので…」
 「いやいや、仮にもドラゴンですよね?」
 「ですが、ベヒーモスを討伐出来るほどの腕を持つ、ホーリー君でしたら…?」
 「流石に無理っしょ。」
 「ベヒーモスは討伐ランクがA以上、それに比べて…グリーンドラゴンはCランクからです。」

 流石にドラゴン相手だと、話が違って来る。
 なので、テリアが必死に進めて来た、グリーンドラゴンの討伐の紙を返し、他の依頼を探していた。

 「お、これなんかが良いかな?」
 「え?どれですか…?」
 「墓場のアンデットの大量発生の…」
 「いえいえ、ホーリー君はソロで活動していますから…この依頼は難しいと思います。ですので、このグリーンドラゴンの討伐は如何でしょうか?」

 この受付嬢のテリアは、やけに僕にグリーンドラゴンの討伐を推して来るなぁ?
 僕は依頼書のテリアが持っている場所が気になって、依頼書を奪ってみた。
 すると、テリアが持って隠していた場所には…?
 緊急討伐案件と書かれていたのだった。

 「………テリアさん?」
 「は、はい⁉︎」
 「これは一体…どういう事ですか?」
 「あ、あはは~~~」
 「あはは~じゃなくて!」

 これが執拗に勧めてくる理由か。
 僕がドラゴン族とあまり戦いたくない理由は、オーバーヒールの問題だった。
 ベヒーモスの場合は、地肌に直接触れられるから問題は無かったのだけれど、ドラゴン族は鱗に覆われている為に、直接肌を触るには鱗を剥がすしか無い。
 更に、ベヒーモスと同じくらいの大きさ…かは分からないけど、ブレスを吐いてくる可能性があるので、かなり戦い難いだろう。
 ブレスの火力が…ルビーの炎魔法と同等なら対策も取れるが、それ以上の炎のブレスだと、ヒールを身体に覆ってもダメージを受ける場合がある。
 まぁ、単純に…ソロで挑まなければ良いだけの話なんだが…?

 「僕以外に、Cランクだってかなりこの街にいるんだし、そっちにお願いしたらどうなんですか?」
 「現在では、近くに出現したダンジョン攻略で出払っておりまして…」
 
 そうだった。
 近くにダンジョンがあったっけ?
 まだ最下層にまで到達していないという話だから、ドラゴン退治に時間を割く訳には行かないんだろうなぁ?

 「やっぱり、僕だけでは…荷が重いですね。僕的には、こちらのアンデットの大量発生の方が…?僕の魔法は、アンデット向きですし…」
 「そうですかぁ~、こちらも無理強いは出来ませんので…御本人の主張にお任せ致しますが。」
 「御免なさいね、テリアさん。」

 僕は墓場のアンデットの大量発生の依頼書を取って、テリアさんに渡した。
 すると、テリアさんは受理してくれた…のだが?

 「ホーリー君、これらの依頼を受理致します。依頼を拒否したり、失敗したりすると、違約金が発生する事になりますので…御注意下さい。」
 「分かりました。」

 僕は依頼書を持って、その場を立ち去ろうとした。
 すると、依頼書が2枚に重なっていて…2枚目にグリーンドラゴンの討伐の依頼書があり、それが受理された状態になっていた。
 僕はすぐさまテリアの元に戻り、グリーンドラゴンの依頼書を見せて詰め寄った。

 「テリアさん、これが重なっていたんですけど?」
 「さて、何の事でしょう?」
 「そう言えばさっき、依頼書の受理をする時に…って言っていたよね?さらに依頼を拒否したりすると、違約金が発生するって…?」
 
 テリアは、僕から視線を逸らして澄ました顔をしていた。
 このメス犬め…謀ったな~‼︎
 でも、内容を見ると…どこかの村みたいだし、緊急討伐依頼という事は、相当困っているんだろうが…?
 仕方ない、受けてやるか!

 「分かりました、受けますよ。」
 「本当ですか⁉︎ホーリー君が受けてくれるのでしたら、本当に助かります‼︎」
 「ちなみに聞きますけど、1匹ですよね?」
 「ドラゴン族は番いではない限り、群れを好みませんので…恐らく1匹だけだと思います。」

 それを確認してから、僕はその村に行く事になるんだけど…?
 ここでまたテリアの策略に嵌ってしまった。
 確かに、番いでは無かったが…?
 兄弟という事は予想していなかった。

 あのメス犬め…グリーンドラゴンをストレージに丸ごと持って帰って、冒険者ギルドに全て提出してやる‼︎
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