僕は最強の魔法使いかって?いえ、実はこれしか出来ないんです!〜無自覚チートの異世界冒険物語〜

アノマロカリス

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第一章 冒険者になる迄の道

第二十八話 ガーネット・グラハムハートの訪問と意外な真実・前編

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 現在、僕の目の前にはグラハムハート公爵家の長女…ガーネット・グラハムハート公爵令嬢がいる。
 グラハムハート公爵家の者達は、ドリース商会との契約を切られて、一切の立ち入れられない事になっている筈なんだけど?
 まぁ、遅かれ早かれ…公爵家の誰かしらが来るとは思っていたんだけど、まさか当主ではなく、元お姉様が来るとは思わなかった。
 来た原因があるとすれば、十中八九…ギフルテッドの街で騒動を起こした、テルマールに関連する事だろう。
 僕は深い溜息を吐きながら、ガーネット元お姉様の相手をする事にした。

 「ようこそ御出で下さいました。今回は如何様な…」
 「そう言った社交辞令は不要です、テクタイト…」
 「いえ、僕の名前はホーリー…」
 「私には貴方が弟のテクタイトだと分かっているんです。ついでに言えば貴方が女神トゥエルティス様の使徒で、転生者という事もです。」
 「⁉︎」

 まさか…誰にも話していない秘密を知っていたとは⁉︎
 鑑定魔法の類…いや、僕のステータスボードには、確かに転生者とは記載されてはいるけど…?
 そこの部分だけは偽装が施されていて、例えラミナであっても見れない筈なのに…⁉︎

 「混乱しているみたいですね?…訳を話します。」
 「はい、お願いします!」
 
 すると、元姉のガーネットは瞼を開けて僕を見つめて来た。
 グラハムハート公爵家で生まれた者は、基本的には銀髪に碧眼なのだが…?
 ガーネットは、まるで血の様に紅い瞳の色をしていた。
 もしかして、この瞳の色をあまり見られたくなくて普段は眼を閉じているのかな?
 前回に来た時に、眼を開いても興味が無かったので、請求書を渡した時は気付かなかったけど。
 そういえば普段から眼を閉じていた…というか、普段から錫杖を使って歩いていたな。
 てっきり、視覚障害とでも思ったくらいだ。

 「私にはテクタイトと同様に、2種類のギフトを授かりました。」
 「2種類の…ですか?」
 「テクタイトと同様…ではありませんね、テクタイトには複数のギフトを授かっていますから…私は一般の者より1つ多いだけです。」
 「それは一体どんな?」
 「それはですね、もう1つは話せませんが…1つは【真実の眼】というギフトです。」
 「真実の眼?鑑定魔法の類ですか…?」
 「鑑定魔法だったら、魔法を発動しなければ見る事は出来ませんが、私の場合は常時発動をしているという物で、余計な物が見えてしまわない様に、普段から誰もいない時以外は眼を閉じて生活をしています。」

 なるほど、鑑定魔法の強力版か…だけど、転生者や女神トゥエルティスの使徒というのが分かるという事は、寧ろ神眼って言っても過言じゃ無いな!
 …だとすると、余計な隠し事は無駄だな…素直に話すとしよう。

 「ガーネット…姉様、どこまで見えているんですか?」
 「貴方は偽装をする為に、髪を緑色に染めているみたいですね?ルビーとトパーズから聞きました。ですが私には元の銀髪にしか見えていないのです。それと、貴方を見た時に宙に浮かぶ文字の事で、転生者と女神トゥエルティス様の使徒という事が表示されておりました。」
 「なるほど、他人のステータスまで見れるギフトですか…?ある意味脅威ですね。」
 「私が初めて生まれたばかりの貴方を見た時には、転生者という文字も、女神トゥエルティス様の使徒という文字は浮かんではおりませんでした。ですが、前回に見た時に…転生者と女神トゥエルティス様の使徒と表示をされておりましたので、一体何の事かと思った位です。」
 
 これは思った以上にヤバいな…?
 第二第三者に漏れない様に、先に始末を…

 「テクタイト、貴方は随分と物騒な考えをお持ちの様ですね?私にはテクタイトの秘密を漏らす様な事は一切致しません。」
 「物騒な事を考えていたのは申し訳ありません。ですが、口頭で言われた所でお姉様を信じる術は僕には無い物で…」

 まさか、亡き者にしようとする事まで見られているなんて…
 どこまで見えているんだ、真実の眼って…?
 僕も鑑定魔法が使えるけど、他人の考えまでは見る事は出来ない。
 どうしたら良いものかなぁ…?

 「やはり…信じてはくれないみたいですね?」
 「ガーネット姉様は、他のグラハムハート公爵家の方々とは違う事はわかりました。…だからと言って、その言葉を鵜呑みに出来る訳ではなりません。」
 「そうしますと、どうしたら信じて下さいますか?」
 「…先程から気になったのですが、ガーネット姉様は何故僕対して敬語を使われるんですか?」
 「そんな事ですか。それはテクタイトが転生者という事は、貴方の大人びた口調や行動を考えますと、転生前の…お亡くなりになられた年齢は、私よりも上だと思いまして…」
 「そこまで見えているんですか?」
 「いえ、これは私の勘です。流石に転生前に亡くなった時の年齢までは分かりかねますからね…」

 それは良かった!
 転生前に何故死んだのかという事までバレたら、恥ずかしい事この上ないからなぁ。
 確かに転生前の年齢は、ガーネットよりも上だけど…?
 でも、たった5歳くらいしか変わらないし、それ程離れているわけではなんだけどなぁ?

 「それで…テクタイト、どうしたら信じて貰えますか?」
 「どうしたらって…」

 どこまで信じられるか…という話なら、別にガーネットなら信じても構わないかと思っている。
 だけど、その為の証が欲しいという事なら…何を要求したら良いものかなぁ?
 倉庫に連れ込んでから服を脱がせてから、蜂蜜を塗りたくってペロペロ舐める。
 なんていう辱めを望んでも良…

 「良いわけないでしょう‼︎…テクタイト、貴方は変態なんですか⁉︎」
 「まさか、この考えまで詠まれるのか⁉︎」
 「卑猥な物以外でお願いします。」
 「ですが、口約束だけでは信頼が叶わないのであれば、他にあまり手がなくてですねぇ?魔法契約書は魔力が高い者には、契約を無効に出来る力がありますし…?だとすると、他に思い付く方法としては、辱める行為…が有効なのかと。」
 「それ以外でお願いします…」

 それ以外ってなると、正直言って他の案があるとは思えない。
 後は、ガーネットに公爵家の権限がどれだけあるなら、どの程度の支援を…

 「私のギフトに関しては、お父様にも一目を置かれております。それこそ、グラハムハート公爵家の半分以上の権限を保有していると言っても過言ではありません。」
 「だとすると、僕が協力や支援をお願いしたい時は…?」
 「可能な限りの範囲内なら、その願いは叶えても良いでしょう。」
 「なら、約束を破ったら…僕はグラハムハート公爵家に乗り込んで、ガーネット姉様を孕ませます!良いですか?」

 その問いに、ガーネットは困惑した表情を浮かべていた。
 
 「えーっと…?それは……そもそも貴方は姉に対して、そう言った行為に及んでも…」
 「僕が転生者と分かっているのなら、僕の心や記憶は5歳の時にテクタイトという人格が消えて、転生前の記憶を引き継いで覚醒しています。なので、僕には…身体はグラハムハート公爵家の物ですが、父親や母親に兄妹達を見ても、親兄妹という感情は無くて赤の他人という感覚しかありません。」
 「そうなのですね…なら、テクタイトの本来の人格はどうなってしまったのでしょう?」
 「神託の儀により…父親に見捨てられ、母親に見放され、姉弟達には散々な目に遭わされましたからね。テクタイトという人格は、元々は心優しい性格だったという記憶はありますが…そのあまりの心の優しさに対して、あの仕打ちをされてから…恐らく心が壊れて、人格が破壊され…いや死んだのでしょうね。その後に僕が目醒めましたから…」
 「そうですか、本来のテクタイトは、もういないのですね…」

 ガーネットが僕を見る視線は、失って本当に悲しんでいる様に見えた。
 他の親兄妹達は全く信用は出来ないが、ガーネットになら信じても良いだろう。
 
 「わかりました、今後はテクタイトが…いえ、現在の名前を教えては貰えませんか?」
 「僕は現在では、ホーリー・シャイニング時に名乗っております。」
 「では、ホーリー…私は貴方が望む限りの支援を御助力致しますね。」
 「まぁ、基本的に自分の力で解決する事が出来ますので、あまり頼る事はないとは思うのですがねぇ…」

 これで、話が済ん………?
 いや、そもそもガーネットは…僕が転生者や女神トゥエルティスの使徒と知って確認する為に近付いて来たのか?

 「ガーネット姉様は、こちらに一体何をしに来られたのでしょうか?」
 「そうでしたね、話がだいぶ逸れましたが…今回用事があるのは、貴方に関する事ではありません。元下級騎士のテルマールが冒険者達によって連行されて来た事についてです。」
 「あぁ…やっぱりその事か!」
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