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第一章 冒険者になる迄の道
第二話 最下級騎士テルマール
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自分の名前はテルマールという。
年齢は21歳で、グラハムハート公爵家に在中する騎士団の中で一番の下っ端である。
本来は物語の中で、名前すら表示されないモブの様な自分が何故名前が貰えたのかというと…?
今回の騒動で一番の重要人物だからだそうだ。
それは何故かって?
ワイルドボアが突然出現していた場所に、俺が気を失って倒れて気絶していた所を発見されたからだ。
…なので、自分は現在…グラハムハート公爵様の執務室で騎士団長のテンゼン団長とグラハムハート公爵様に尋問をされているのだった。
「テルマール、今日起きた事をもう一度話せ。」
「それは…先程説明した通りなのですが?」
「我等は話を聞いてはいるが、今読み始めた読者様には内容を知らないだろうが!だからもう一度1から話すんだ‼︎」
「は、はぁ…?」
この部屋には、グラハムハート公爵様とテンゼン団長と自分しか居ない。
読者様というのは一体誰の事を指す言葉なのだろうか?
考えていても分からないので、自分は1から話し始めた。
「自分は昨夜から牢の見張りの為に待機室におりました。その時までは囚人には特に変化が見ら無いどころか普段と変わりありませんでした。そして給仕から囚人の食事を預かり、その食事を囚人に与えてからその場を去ろうとしていた時に、急に背後から何かに突き飛ばされて壁に激突して、それ以降は気を失って…その後は上官に起こされたという訳です。」
「お前は突き飛ばされた何かを見たのか?」
「いえ、突然の事だったので…チラッとしか見てはいませんが、何か黒い岩の様な塊の物がぶつかって来たという感じがした事くらいです。」
正直言って、自分が気絶していた後の事は良く分からない。
上官に起こされてから屋敷に戻ると、屋敷の中はかなり荒れ果てていた感じだったし、所々にワイルドボアやグレイザングバッファローの死体が転がっていた事くらいだ。
しかも外にはロックバードが数匹横たわっていた。
一体何が起こっていたのか、全く想像が付かなかった。
「先程、御子息の…」
「ゴホン…」
「いえ、囚人の部屋を確認しました所…扉は綺麗さっぱり消えていて、中はもぬけの殻の状態でした。どうやら囚人は、あの騒動で逃げ出した様ですが…」
「むぅ…?」
テンゼン団長の話を聞いて、グラハムハート公爵は苦い顔をしていた。
あの現場に見聞の為に赴いては見た物の…壁に穴が空いていたとか、地面に穴が空いていたということもなかった。
だとすると、牢屋の中から突然現れた…とも思ったのだが、あの牢屋の狭さではワイルドボアは精々2匹くらいしか入らない筈?
階段を警備していた同僚の話からすると、ワイルドボアが10匹位が突然階段を駆け上がって来たという話だった。
「公爵様、御子息…いえ、囚人によるギフトがこの様な事をなされたのでしょうか?」
「いや、あの愚息に神託の儀でそんなギフトは授かられてはいない。あの愚息に与えられたギフトは、戦闘には何も役に立たない生産系のギフトだからだ!」
この世界では、5歳になると神託の儀で様々なギフトを与えられる。
その中には、戦闘系のギフトや魔法系のギフトを与えられる。
だけど生産系のギフトは、職人とかなら役立つ物ではあるのだが、貴族が持つギフトとしては忌み嫌われるという物らしい。
なので、このグラハムハート公爵家の5男であるテクタイト坊っちゃまは、公爵家にそぐわないとされて牢屋に放り込まれる羽目になったのだった。
「我もその現場に赴いたが、魔法が使われている形跡は見られなかった。あれ程の召喚能力を持つ魔法なら、残香があってもおかしくは無い筈なのだが…?」
「ですが、囚人には生産系のギフトで召喚系のギフトは与えられてはいないのですよね?」
「あぁ、ただの生産系のギフトであれば、あの様な扱いをする気はなかったのだが…愚息の与えられたギフトは、ベースとなる物が存在して初めて効果のあるというギフトでな、そのベースが無いギフトだけならギフト無しと変わらないので、あんな扱いになったという訳だ!」
自分とテンゼン団長は、グラハムハート公爵様から与えられたギフトについて聞かされた。
確かに、ベースとなる基盤が揃って効果が発揮されるという物で、それ単体だけでは全く役に立つことがないというギフトだった。
「一体、何がどうなってこんな事が起きたのでしょうな?」
「全ては愚息を捕らえてから尋問をすれば分かることだ!テンゼン、すぐに騎士団を招集し、愚息の捜索に向かえ!あの子供の足では、そう遠くまでは行けない筈だからな‼︎」
「はっ!直ちに…」
自分はテンゼン団長に連れられて執務室を出た。
そして騎士団が招集されて、公爵家を守護する者達以外は皆捜索に駆り出されたのだった。
自分もその捜索隊に配属された訳なのだが、すでに日が暮れつつあるというのに、あんな子供が魔物が徘徊する敷地外で無事に生きていられるのだろうか?
年齢は21歳で、グラハムハート公爵家に在中する騎士団の中で一番の下っ端である。
本来は物語の中で、名前すら表示されないモブの様な自分が何故名前が貰えたのかというと…?
今回の騒動で一番の重要人物だからだそうだ。
それは何故かって?
ワイルドボアが突然出現していた場所に、俺が気を失って倒れて気絶していた所を発見されたからだ。
…なので、自分は現在…グラハムハート公爵様の執務室で騎士団長のテンゼン団長とグラハムハート公爵様に尋問をされているのだった。
「テルマール、今日起きた事をもう一度話せ。」
「それは…先程説明した通りなのですが?」
「我等は話を聞いてはいるが、今読み始めた読者様には内容を知らないだろうが!だからもう一度1から話すんだ‼︎」
「は、はぁ…?」
この部屋には、グラハムハート公爵様とテンゼン団長と自分しか居ない。
読者様というのは一体誰の事を指す言葉なのだろうか?
考えていても分からないので、自分は1から話し始めた。
「自分は昨夜から牢の見張りの為に待機室におりました。その時までは囚人には特に変化が見ら無いどころか普段と変わりありませんでした。そして給仕から囚人の食事を預かり、その食事を囚人に与えてからその場を去ろうとしていた時に、急に背後から何かに突き飛ばされて壁に激突して、それ以降は気を失って…その後は上官に起こされたという訳です。」
「お前は突き飛ばされた何かを見たのか?」
「いえ、突然の事だったので…チラッとしか見てはいませんが、何か黒い岩の様な塊の物がぶつかって来たという感じがした事くらいです。」
正直言って、自分が気絶していた後の事は良く分からない。
上官に起こされてから屋敷に戻ると、屋敷の中はかなり荒れ果てていた感じだったし、所々にワイルドボアやグレイザングバッファローの死体が転がっていた事くらいだ。
しかも外にはロックバードが数匹横たわっていた。
一体何が起こっていたのか、全く想像が付かなかった。
「先程、御子息の…」
「ゴホン…」
「いえ、囚人の部屋を確認しました所…扉は綺麗さっぱり消えていて、中はもぬけの殻の状態でした。どうやら囚人は、あの騒動で逃げ出した様ですが…」
「むぅ…?」
テンゼン団長の話を聞いて、グラハムハート公爵は苦い顔をしていた。
あの現場に見聞の為に赴いては見た物の…壁に穴が空いていたとか、地面に穴が空いていたということもなかった。
だとすると、牢屋の中から突然現れた…とも思ったのだが、あの牢屋の狭さではワイルドボアは精々2匹くらいしか入らない筈?
階段を警備していた同僚の話からすると、ワイルドボアが10匹位が突然階段を駆け上がって来たという話だった。
「公爵様、御子息…いえ、囚人によるギフトがこの様な事をなされたのでしょうか?」
「いや、あの愚息に神託の儀でそんなギフトは授かられてはいない。あの愚息に与えられたギフトは、戦闘には何も役に立たない生産系のギフトだからだ!」
この世界では、5歳になると神託の儀で様々なギフトを与えられる。
その中には、戦闘系のギフトや魔法系のギフトを与えられる。
だけど生産系のギフトは、職人とかなら役立つ物ではあるのだが、貴族が持つギフトとしては忌み嫌われるという物らしい。
なので、このグラハムハート公爵家の5男であるテクタイト坊っちゃまは、公爵家にそぐわないとされて牢屋に放り込まれる羽目になったのだった。
「我もその現場に赴いたが、魔法が使われている形跡は見られなかった。あれ程の召喚能力を持つ魔法なら、残香があってもおかしくは無い筈なのだが…?」
「ですが、囚人には生産系のギフトで召喚系のギフトは与えられてはいないのですよね?」
「あぁ、ただの生産系のギフトであれば、あの様な扱いをする気はなかったのだが…愚息の与えられたギフトは、ベースとなる物が存在して初めて効果のあるというギフトでな、そのベースが無いギフトだけならギフト無しと変わらないので、あんな扱いになったという訳だ!」
自分とテンゼン団長は、グラハムハート公爵様から与えられたギフトについて聞かされた。
確かに、ベースとなる基盤が揃って効果が発揮されるという物で、それ単体だけでは全く役に立つことがないというギフトだった。
「一体、何がどうなってこんな事が起きたのでしょうな?」
「全ては愚息を捕らえてから尋問をすれば分かることだ!テンゼン、すぐに騎士団を招集し、愚息の捜索に向かえ!あの子供の足では、そう遠くまでは行けない筈だからな‼︎」
「はっ!直ちに…」
自分はテンゼン団長に連れられて執務室を出た。
そして騎士団が招集されて、公爵家を守護する者達以外は皆捜索に駆り出されたのだった。
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