【完結】全てを後悔しても、もう遅いですのよ。

アノマロカリス

文字の大きさ
上 下
58 / 63

第五十六話 レントグレマール王国の滅亡⁉︎

しおりを挟む
 レントグレマール王国に各国の騎士や冒険者、聖女達が集結した。

 その中には勿論だけど、大聖女クライネート様もいらっしゃいました。

 声の感じからして高齢の女性かとも思ったんだけど、実際にお会いしてみると還暦を迎えたばかりの若さを保っていた。

 若作りが趣味なのかな…?

 その後、聖女会談が設けられた。

 各国の聖女達が意見を申し立てる会議なんだけど、聖女って基本的に国民に寄り添うという思想を持っている。

 その為に、今は離れて行った国民達が再び帰って来る場所を守る保全派と、戦いになれば破壊は免れないという申し立てる派閥に対立した。

 そして大聖女クライネート様も、その保全派の意見に賛成する者だった。

 そこで私は思いました。

 ここにいる保全派の方々は、戦いを経験した事がない方達なのでは無いのかと?

 戦いになれば被害は免れない。

 ましてや星の涙の魔物の軍勢は、レントグレマール王国に落ちて来るという話で…

 建物が破壊されずに残す事なんか出来る訳がない。

 そしてあろう事か、大聖女クライネート様も国王陛下と同様に無理難題を吹っ掛けてきた。

 「聖女レイラ、貴女の結界魔法で魔物の軍勢を退けられる事は可能ですか?」

 …何言っているんだ、この年寄りは?

 どんなに頑丈な板だって、空から軍勢が降って来たら重さには耐えられずに破壊される事は分かりきっているはず?

 「国王陛下にも言いましたが、それはまず不可能です!」

 私は国王陛下に言った事と同じ事を話した。

 すると、他の聖女達の協力を得れば…と話して来た。

 聖女達の中には、私と同じ様に魔力を使える者達もいる。

 だけど、その人達の話を聞くと…?

 作物を栽培する畑などに結界を張る事は出来ていても、国全体に結界を展開するのは不可能だという意見が出た。

 それを聞く限り、私の魔力は異常なのだと実感したのでした。

 「そうですか、全員が協力しても無理ですか…」

 「いやいや…そもそもですよ、仮に結界で王国を守る事が出来たと仮定します。 すると、結界に弾かれた魔物が各方面に散らばるのでは無いのでしょうか?」

 「その為に騎士達や冒険者の方々が…」

 「1人1殺出来るのでしたら騎士や冒険者なら対処は可能でしょうけど、ドラゴンやベヒーモスと1人で対等に相手を出来る人達って何人いらっしゃいますか?」

 「わたくしは…彼等の力を信じます!」

 やっぱり…この年寄りは戦いを経験した事がないんですね。

 並の魔物相手なら対処は可能でしょうけど、大型の魔獣相手に1人で相手が出来ると思っているのかしらね?

 「ならば、どうしたら良いのでしょうか?」

 「いっその事、レントグレマール王国には滅んで貰いましょう。」

 私の意見に保全派の聖女達は勿論、国王陛下も異議を申し立てた。

 「分かっているのかレイラ! お前は故郷を失う事になるんだぞ‼︎」

 「私は別に…レントグレマール王国がどうなろうと知った事ではありません。」

 「何を馬鹿な…」

 国王陛下は憤りながら私に突っかかって来た。

 国王という立場なら、確かに国が滅ぶという意見には賛成出来ないという事はわかる。

 けど、私にはレントグレマール王国に対して、これと言って大した思い入れも無い。

 「だが、お前にとっては…」

 「言っておきますが、私は侯爵家で育てられていた時は不当な扱いを強いられ、妹を溺愛して私を蔑ろにする両親。 聖女になって城に召し抱えられても、カリオスによって仕事を押し付けられて雑用の日々で当人は遊び呆けている毎日、妹に捏造の罪を着せられて婚約者を奪われてから国外追放…そんな私が王国に未練があると思いますか?」

 「そ、それは…」

 「他にも、妹が好き勝手に私が国民に有らぬ暴言を吐いたとかで四面楚歌に遭ったり、その所為で石を投げつけられたこともありましたね…両親に愛されていたとか、城の中でも楽しい思い出があれば、考えは変わっていたかも知れませんが…」

 「むぅ……」

 国王陛下は項垂れてながら、私に対して憐れみの目を送って来た。

 「ならば…聖女レイラはどうなさるおつもりですか?」

 「それについては考えていた事がありまして…多分、私がやろうとしている事を話せば絶対に却下されるのは目に見えておりますので、サッサと実行に移しますね!」

 私は両手を空に向けると、隕石魔法のメテオフォールを放った。

 すると、空から出現した巨大な隕石をレントグレマール王国に落とした。

 その所為でレントグレマール王国にある城や街は木っ端微塵になり、その衝撃で爆風が舞い散った。

 一応…レントグレマール王国の外側にいる人達に被害が出ない様に、王国周囲に結界を張っていたので暴風の影響は最小限で食い止める事が出来た…んだけど、王国の変わり果てた姿を見た国王陛下は、膝を地面に落として嘆いていたのでした。

 「聖女レイラ、貴女は何をしたか分かっているのですか‼︎」

 「分かっていますよ、だから許可を得る前にサッサと実行をしたのです。」

 …とは言っても、私の計画はこれで終わりでは無い。

 現在は巨大な隕石が王国の中心に突き刺さっている状態だった。

 私は突き刺さっている隕石を魔力操作で回転させ始めると、ドリルの様に地面を掘り進めて行った。

 私の考えついた事は、レントグレマール王国に巨大な穴を用意して、星の涙の軍勢を穴に落としてから対処をするという方法だった。

 …のだけれど?

 地面を掘り進んで行った隕石が突然消えたので、地面の穴を確認すると…?

 穴の底に赤い川が流れているのが見えた。

 「あれ…溶岩まで達しちゃったのね?」

 私の近くにいた聖女ベルセラは、私に声を掛けてきた。

 「聖女レイラは魔物の軍勢を穴に落としてから対処するのでは無く、溶岩に落として殲滅させようとしていたのか!」

 聖女ベルセラは感心した様に頷いているんだけど、私には全くの想定外で…?

 言い訳するのも面倒なので、その意見を尊重したのでした。

 「…とは言っても、火山ガスが噴き出すのは問題ですね。」

 私は穴に結界を張り、火山ガスの放出を一時的に封じる事に成功した。

 星の涙が発生する迄、結界を維持しなければならないんだけど…?

 以前と違ってドーム型じゃなく、穴を塞ぐ真っ平な板の様な状態の結界なので、多少は楽が出来た。

 …なんだけどねぇ、この後がちょっと面倒な事が起きたのよねぇ?

 何が起きたかは、予想が出来ますよね?
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた

今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。 二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。 それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。 しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。 調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。

聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~

白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。 王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。 彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。 #表紙絵は、もふ様に描いていただきました。 #エブリスタにて連載しました。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜

白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」  即位したばかりの国王が、宣言した。  真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。  だが、そこには大きな秘密があった。  王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。  この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。  そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。 第一部 貴族学園編  私の名前はレティシア。 政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。  だから、いとこの双子の姉ってことになってる。  この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。  私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。 第二部 魔法学校編  失ってしまったかけがえのない人。  復讐のために精霊王と契約する。  魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。  毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。  修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。 前半は、ほのぼのゆっくり進みます。 後半は、どろどろさくさくです。 小説家になろう様にも投稿してます。

醜い傷ありと蔑まれてきた私の顔に刻まれていたのは、選ばれし者の証である聖痕でした。今更、態度を改められても許せません。

木山楽斗
恋愛
エルーナの顔には、生まれつき大きな痣がある。 その痣のせいで、彼女は醜い傷ありと蔑まれて生きてきた。父親や姉達から嫌われて、婚約者からは婚約破棄されて、彼女は、痣のせいで色々と辛い人生を送っていたのである。 ある時、彼女の痣に関してとある事実が判明した。 彼女の痣は、聖痕と呼ばれる選ばれし者の証だったのだ。 その事実が判明して、彼女の周囲の人々の態度は変わった。父親や姉達からは媚を売られて、元婚約者からは復縁を迫られて、今までの態度とは正反対の態度を取ってきたのだ。 流石に、エルーナもその態度は頭にきた。 今更、態度を改めても許せない。それが彼女の素直な気持ちだったのだ。 ※5話目の投稿で、間違って別の作品の5話を投稿してしまいました。申し訳ありませんでした。既に修正済みです。

【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?

仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。 そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。 「出来の悪い妹で恥ずかしい」 「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」 そう言ってましたよね? ある日、聖王国に神のお告げがあった。 この世界のどこかに聖女が誕生していたと。 「うちの娘のどちらかに違いない」 喜ぶ両親と姉妹。 しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。 因果応報なお話(笑) 今回は、一人称です。

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

今更「結婚しよう」と言われましても…10年以上会っていない人の顔は覚えていません。

ゆずこしょう
恋愛
「5年で帰ってくるから待っていて欲しい。」 書き置きだけを残していなくなった婚約者のニコラウス・イグナ。 今までも何度かいなくなることがあり、今回もその延長だと思っていたが、 5年経っても帰ってくることはなかった。 そして、10年後… 「結婚しよう!」と帰ってきたニコラウスに…

処理中です...