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第五十二話 どっちも気になる。後編
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~~~~~ヴァッシュ~~~~~
ヴァッシュは大陸に到着した。
その場所は…華やかな港町とかではなく、港町からかなり外れにある小さな工場の前だった。
無人島から麻薬草を求めて察知した場所が、この工場だった。
犯罪組織が一網打尽にされていた事で、全ての幹部達は捕まっていた…が、その末端な部下達は捕まる事はなく、ヒッソリと未だに工場内で麻薬草を精製していたのだった。
ヴァッシュは、その工場の排気口から流れてくる麻薬草の匂いを嗅ぎながらニヤリとしていた。
「やはり此処で間違いなかったか…」
1週間も小舟で移動していた為に、麻薬草の毒は抜けていた…と思っていたけど、逆に禁断症状の方が酷くなっていた。
ヴァッシュは今すぐに工場に乗り込んで麻薬草を分けて貰おうと思っていたが、すんなり言って貰えるとは思ってはいない。
工場内に居るのは、犯罪組織に駆り出されて働かされている平民ではなく、犯罪組織の末端なのだから…言った所で素直に渡して貰える訳ではない。
するとヴァッシュは剣を抜いてから、工場内に入って行った。
そして…工場内にいる末端の部下達を皆殺しにし、麻薬草を精製されたドラッグスを口に加えて火を付けた。
久々に吸い込む甘美な味は、ヴァッシュの頭をクラクラさせた。
「これは…麻薬草を紙に包んで吸い込むだけとは違い、かなり純度の高いものだな!」
ヴァッシュはドラッグスを口に咥えながら、ドラッグスの大量の箱を全て収納魔法の中に放り込んだ。
また邪魔が入って、全てを燃やされる事を避ける為だった。
それ以外も、精製される前の麻薬草も次々と収納して行き…
全てを回収し終わると、ヴァッシュは工場に火を付けて燃やし始めた。
結果から見れば…ヴァッシュは末端とはいえ、犯罪組織に関わった者達を全て始末して精製工場を潰した事で正義の行いをした事に…なるのかな?
これでヴァッシュがドラッグスを回収する事なく、一緒に灰にしていれば褒められたものだったが…?
あくまでも私利私欲の為に起こした行動だった為に、ファスティアは複雑な気持ちだった。
「まさか…私の事を警戒して収納魔法に放り込むとは思わなかったなぁ?」
ヴァッシュは吸い終わったドラッグスを吐き捨ててから、新たなドラッグスを口に咥えて火を付けた。
そして…ヘラヘラと笑い出したヴァッシュにどう一矢報いてやろうか…と考えていると、良い事を思い付いた。
私はマーキングロッドで、ヴァッシュとフレマアージュ王国の玉座の間の場所をロックしてから転移させた。
すると…?
ドラッグスを吸い込んでヘラヘラとラリっている姿のヴァッシュが、国王陛下と第一王子のナイヴズ殿下の前に現れると…国王陛下とナイヴズ殿下は、突然現れたヴァッシュに驚きを隠せずにいた。
「ヴァッシュ、今迄に何処にいた⁉︎」
「お前が行方不明と聞いて、捜索願いを出していたというのに…ん?」
「おぉ~ちっちうえ~あっにうえ~ひさしぶりっす~~~!」
ヴァッシュは未だに自分の起きた状況を飲み込めずにいた。
麻薬草やドラッグスを使用する度に幻覚症状があった為に、ヴァッシュには目の前にいる者達が現実とは思ってはおらずに幻覚だと思っていたのだった。
「お前は…酔っているのか?」
「いえ、父上…これは酔っているというより?」
ナイヴズはヴァッシュの持っているドラッグスを奪い取って煙を嗅いだ。
「これは…禁止薬物のドラッグスですね! 何故ヴァッシュがこんな物を⁉︎」
「ドラッグスだと! これを製造していた犯罪組織は全て捕えたはずだが⁉︎」
国王とナイヴズがヴァッシュを睨みながら問い正そうとしたが、ヴァッシュは未だに正常な判断が付かずにいた。
「あ~~~、ぼくはついさっき~奴等の工場を襲ってから全て始末しましたしぃ~、そしてまやくそ~やどらっぐす~もすべておうしゅうしましたよ~~~!」
「まだ配下が残っていたとは…だがそれを全て壊滅させた事は良いのだが、ヴァッシュ! いい加減にしろ‼︎」
「ヴァッシュ、お前が押収したドラッグスは何処にあるんだ⁉︎」
ヴァッシュは新しく火を付けたドラッグスをナイヴズに奪われたので、収納魔法から新しいのを取り出して口に咥えた。
それを見ていた国王とナイヴズは…?
「そうか、収納魔法の中にあるのか!」
「宮廷魔法師、ヴァッシュの収納魔法の中にある物を全て回収せよ‼︎」
すると、フレマアージュ王国の宮廷魔法師達がヴァッシュの収納魔法を魔道具で開いて見せた。
《へぇ~? あんな魔道具もあるのねぇ~?》
だがヴァッシュは、宮廷魔法師が収納魔法に収納しているドラッグスを触れた瞬間に、逆上して剣を抜いて襲い掛かろうとした。
だが、それにいち早く気付いたナイヴズがヴァッシュを取り押さえると、ヴァッシュはジタバタと暴れたがなす術もなく全て押収されて行った。
「ヴァッシュは何を考えているんだ!」
「恐らく…ドラッグスの使用により、正常な判断が付いていないのでしょう。 その証拠にヴァッシュは、未だに自分が何処にいるのか把握していないような感じですしね。」
「それにしても…何故ヴァッシュはいきなり目の前に⁉︎」
「それは、薬が抜けてから本人に聞くとしましょう。 憲兵、ヴァッシュを暫く牢に放り込んでおけ!」
ヴァッシュは魔封じの手枷を付けられてから、憲兵に連れて行かれて行った。
フレマアージュ王国の治療技術は、他国よりも高い。
だが、それでも…ドラッグスが完全に抜ける迄には相当な日数が必要となる。
カリオスとライラがレントグレマール王国に到着するのと同等位の時間は要するだろう。
ファスティアは暫く日数が必要な三人の事を放っておき、旅を続ける事に専念しようとした。
…のだけれど?
それから暫くして、また厄介事が起きる事になるとは夢にも思わなかったファスティアだった。
ヴァッシュは大陸に到着した。
その場所は…華やかな港町とかではなく、港町からかなり外れにある小さな工場の前だった。
無人島から麻薬草を求めて察知した場所が、この工場だった。
犯罪組織が一網打尽にされていた事で、全ての幹部達は捕まっていた…が、その末端な部下達は捕まる事はなく、ヒッソリと未だに工場内で麻薬草を精製していたのだった。
ヴァッシュは、その工場の排気口から流れてくる麻薬草の匂いを嗅ぎながらニヤリとしていた。
「やはり此処で間違いなかったか…」
1週間も小舟で移動していた為に、麻薬草の毒は抜けていた…と思っていたけど、逆に禁断症状の方が酷くなっていた。
ヴァッシュは今すぐに工場に乗り込んで麻薬草を分けて貰おうと思っていたが、すんなり言って貰えるとは思ってはいない。
工場内に居るのは、犯罪組織に駆り出されて働かされている平民ではなく、犯罪組織の末端なのだから…言った所で素直に渡して貰える訳ではない。
するとヴァッシュは剣を抜いてから、工場内に入って行った。
そして…工場内にいる末端の部下達を皆殺しにし、麻薬草を精製されたドラッグスを口に加えて火を付けた。
久々に吸い込む甘美な味は、ヴァッシュの頭をクラクラさせた。
「これは…麻薬草を紙に包んで吸い込むだけとは違い、かなり純度の高いものだな!」
ヴァッシュはドラッグスを口に咥えながら、ドラッグスの大量の箱を全て収納魔法の中に放り込んだ。
また邪魔が入って、全てを燃やされる事を避ける為だった。
それ以外も、精製される前の麻薬草も次々と収納して行き…
全てを回収し終わると、ヴァッシュは工場に火を付けて燃やし始めた。
結果から見れば…ヴァッシュは末端とはいえ、犯罪組織に関わった者達を全て始末して精製工場を潰した事で正義の行いをした事に…なるのかな?
これでヴァッシュがドラッグスを回収する事なく、一緒に灰にしていれば褒められたものだったが…?
あくまでも私利私欲の為に起こした行動だった為に、ファスティアは複雑な気持ちだった。
「まさか…私の事を警戒して収納魔法に放り込むとは思わなかったなぁ?」
ヴァッシュは吸い終わったドラッグスを吐き捨ててから、新たなドラッグスを口に咥えて火を付けた。
そして…ヘラヘラと笑い出したヴァッシュにどう一矢報いてやろうか…と考えていると、良い事を思い付いた。
私はマーキングロッドで、ヴァッシュとフレマアージュ王国の玉座の間の場所をロックしてから転移させた。
すると…?
ドラッグスを吸い込んでヘラヘラとラリっている姿のヴァッシュが、国王陛下と第一王子のナイヴズ殿下の前に現れると…国王陛下とナイヴズ殿下は、突然現れたヴァッシュに驚きを隠せずにいた。
「ヴァッシュ、今迄に何処にいた⁉︎」
「お前が行方不明と聞いて、捜索願いを出していたというのに…ん?」
「おぉ~ちっちうえ~あっにうえ~ひさしぶりっす~~~!」
ヴァッシュは未だに自分の起きた状況を飲み込めずにいた。
麻薬草やドラッグスを使用する度に幻覚症状があった為に、ヴァッシュには目の前にいる者達が現実とは思ってはおらずに幻覚だと思っていたのだった。
「お前は…酔っているのか?」
「いえ、父上…これは酔っているというより?」
ナイヴズはヴァッシュの持っているドラッグスを奪い取って煙を嗅いだ。
「これは…禁止薬物のドラッグスですね! 何故ヴァッシュがこんな物を⁉︎」
「ドラッグスだと! これを製造していた犯罪組織は全て捕えたはずだが⁉︎」
国王とナイヴズがヴァッシュを睨みながら問い正そうとしたが、ヴァッシュは未だに正常な判断が付かずにいた。
「あ~~~、ぼくはついさっき~奴等の工場を襲ってから全て始末しましたしぃ~、そしてまやくそ~やどらっぐす~もすべておうしゅうしましたよ~~~!」
「まだ配下が残っていたとは…だがそれを全て壊滅させた事は良いのだが、ヴァッシュ! いい加減にしろ‼︎」
「ヴァッシュ、お前が押収したドラッグスは何処にあるんだ⁉︎」
ヴァッシュは新しく火を付けたドラッグスをナイヴズに奪われたので、収納魔法から新しいのを取り出して口に咥えた。
それを見ていた国王とナイヴズは…?
「そうか、収納魔法の中にあるのか!」
「宮廷魔法師、ヴァッシュの収納魔法の中にある物を全て回収せよ‼︎」
すると、フレマアージュ王国の宮廷魔法師達がヴァッシュの収納魔法を魔道具で開いて見せた。
《へぇ~? あんな魔道具もあるのねぇ~?》
だがヴァッシュは、宮廷魔法師が収納魔法に収納しているドラッグスを触れた瞬間に、逆上して剣を抜いて襲い掛かろうとした。
だが、それにいち早く気付いたナイヴズがヴァッシュを取り押さえると、ヴァッシュはジタバタと暴れたがなす術もなく全て押収されて行った。
「ヴァッシュは何を考えているんだ!」
「恐らく…ドラッグスの使用により、正常な判断が付いていないのでしょう。 その証拠にヴァッシュは、未だに自分が何処にいるのか把握していないような感じですしね。」
「それにしても…何故ヴァッシュはいきなり目の前に⁉︎」
「それは、薬が抜けてから本人に聞くとしましょう。 憲兵、ヴァッシュを暫く牢に放り込んでおけ!」
ヴァッシュは魔封じの手枷を付けられてから、憲兵に連れて行かれて行った。
フレマアージュ王国の治療技術は、他国よりも高い。
だが、それでも…ドラッグスが完全に抜ける迄には相当な日数が必要となる。
カリオスとライラがレントグレマール王国に到着するのと同等位の時間は要するだろう。
ファスティアは暫く日数が必要な三人の事を放っておき、旅を続ける事に専念しようとした。
…のだけれど?
それから暫くして、また厄介事が起きる事になるとは夢にも思わなかったファスティアだった。
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