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第四十九話 ライラの噛み合わない言動…

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 「カリオス殿下、お迎えに参りましたわ!」

 「お前は…ライラか⁉︎」

 ライラは現在、ノースファティルガルドに来ていた。

 「カリオス殿下ったら、連絡を入れて差し上げてからと言う物…中々戻って来られずに心配して、こうして迎えに来た所存ですのよ。」

 「そうかそうか…って、船は到着していないのに…どうやって来たんだ?」

 「ヴァッシュ殿下より、転移魔法なる物で送って頂きました。」

 「なるほど、だからか! 船が到着していない筈なのに、ライラが此処に居るのは…」

 カリオスは、久々に見たライラの顔を見て嬉しそうに頷いて見せた。

 「ところで…レントグレマール王国の様子はどうなっている?」

 「ヴァッシュ殿下と協力して捕縛したレイラを地下牢に幽閉した後に、少し痛い目を遭わせてから結界を張らせました。」

 「なら…今は王国は元の王国に戻ったのだな?」

 「最初はレイラも酷く抵抗して見せましたが、レイラの魔力を上回る私とヴァッシュ殿下の協力により、今は従順な奴隷の様に言う事を聞かせております。」

 「そうか…」

 カリオスは目を細めて故郷のレントグレマール王国を懐かしんでいた。

 それ程までにカリオスは、この地に留まって辛い生活を強いられていた。

 「王国から金貨を預かっておりますので、これで次の船が到着したらレントグレマール王国に帰れますよ。」

 「…とは言っても、次の船が到着する迄には1週間は掛かるな…」

 「金貨も余裕はありますし、少しくらいの贅沢なら然程問題はありません。」

 「なら…船が到着する迄の間は、久々に豪遊でもするか!」

 そう言ってカリオスは、ライラの手を引いて高級宿に向かう事にした。

 …皆さんはお気付きでしょうか?

 ライラのこの言動はおかしいと思いませんか?

 何故、ライラはこんな事を言い出したのか…?

 それは、数時間前に遡ります。

 ~~~~~数時間前~~~~~

 私は目の前にいるライラにどんなお仕置きをしようか考えていた。

 別に姉妹の情なんてものはないので、炎魔法で灰にしてやろうか…なんて考えたりもしたけど、今迄にやられた仕返しが一瞬で終わらせるだなんて気が済まなかった。

 ヴァッシュの様に、大陸から離れた無人島に飛ばす…とも考えたけど、大した魔法も使えずに無人島になんか放り込んだら、ライラだと3日も持たない。

 カリオスと同じ様に別な大陸…とも考えたんだけど、カリオスの様に使命感が無い者を他の大陸に送った所でその土地に馴染んで暮らすだけだろう。

 そこで思い付いたのが、レントグレマール王国の冒険者ギルドの手配所だった。

 カリオスの手配書が大体的に目立って貼られていたが…?

 実はライラもカリオスが懸賞金を掛けて指名手配になっていた。

 王国から逃げ出したライラは、まさか王国で自分が指名手配されているとは思ってはいないだろう。

 王国から逃げたライラは、王国内には留まらずに真っ先にダルンデス港に逃げ込んだから…

 私は遠視魔法をノースファティルガルド方面に向けて放った。

 すると、定期船は残り1週間前後で到着するだろうという感じだった。

 しかも…その定期船の中には、私がレントグレマール王国の冒険者ギルドでカリオスの事をチクった話を聞いた騎士団が乗り込んでいる。

 このままでは、定期船が到着すれば…カリオスだけ囚われる事になるのだけれど、それでは何か面白くない。

 目の前にはライラがいる訳だし、現か元かは知らないけど…?

 婚約者が揃って囚われる事になるのも…また美味しいかもw

 そう思って私は早速実行に移す事にした。

 …とは言っても、このまますぐにライラをノースファティルガルドに送るという事をしても面白くもない。

 私は睡眠魔法の応用魔法のまどろみの魔法をライラに使用した。

 まどろみの魔法は、一種の催眠に用いる魔法である。

 魔力量が一定値以上高い者だと効果は薄いけど、ライラは多少の魔力があっても私に争う事は出来ない。

 なので簡単に催眠を施して洗脳をし、少しばかりの金貨を持たせた後に、ノースファティルガルドに魔法で飛ばしたのでした。

 「本来なら、定期船代のお金だけで良いんだけど…何も知らない二人の行く末を考えると、最後の贅沢くらいは味合わせてあげないとね!」

 レントグレマール王国に帰れる嬉しさにウキウキしているカリオスが、到着した定期船の中から騎士団に捕縛される…気分を盛り上げてから一気に落とされる所を直に見れないのは残念だけどね。

 残り1週間…何も知らないカリオスとライラは、どんなリアクションをしてくれるのかしらね?
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