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第三十二話 嘘吐きオンパレード

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 「お前は一体何者だ⁉︎」

 私はその質問をされた時、カリオスにある不信感を抱いていた。

 私との婚約破棄を告げた際に、あれだけ私の妹と見せつける様にベタベタと一緒にいたライラが今回の旅に同行していない事を…

 カリオスの性格上、私を迎えに行くにしたって絶対にライラが同行すると思っていたのに居なかった点に不信感を抱いていた。

 カリオスはお世辞でも頭が良いとは思えない。

 考えも浅はかで…私にレントグレマール王国へ連れ戻させる為に、妹を利用して同情を訴えるとばかり思っていたのに…

 …となると、ライラとの関係に亀裂の入る何かが起きたのかと思った方が正解なのかな?

 そこで私はこう名乗る事にしました。

 【私はライラです!】

 「な! お前は…ライラだったのか⁉︎」

 【カリオス様が姉に未練があるみたいなので、目を覚ましてあげようかと…】

 「それがか! 使えない女だ、こんな事ならレイラと婚約破棄をするんじゃなかった…と言った後に行方を眩ましたと思えば、俺に対してこんな仕打ちを企てるとはな‼︎」

 …なるほど、それが今回ライラが同行していない理由なのね?

 確かに、プライドの高いあの子にそんな事を話したらヘソ曲げて逃亡するわね。 

 多分逃げた先は大体予想が付くけど…

 私はまたカリオスを海に叩き落としてから、岸に上がった所に設定温度55℃の熱湯をぶっ掛けた。

 今迄とは設定温度が段違いに高い熱湯をぶっ掛けられたカリオスは、熱さのあまり地面でのたうち回っていた。

 私はその姿を見て大爆笑していた。

 「ライラ! 俺が国に帰ったら覚えておけよ‼︎」

 【…カリオス様って、馬鹿ですか?】

 「な、何だと⁉︎」

 【あの姉が追っ手を差し向けられると知って、態々逃亡先を明かすと思っているのですか?】

 「そ、それはどういう意味だ⁉︎」

 【姉がノースファティルガルドに居るなんて…嘘に決まっているじゃないですか!】

 「何故、そう言い切れる?」

 【だって、私の拘束魔法で捕らわている姉が目の前にいますから…】

 「な、何だと⁉︎」

 私が素直にレイラの名前を出してレントグレマール王国にいると話していても、カリオスの性格だと恐らく信じはしないだろうけど、ライラが言うのなら頭の悪いカリオスなら信じる筈?

 後は、追加でこんな話をすれば…?

 【カリオス様も知っての通り、私の魔力量は姉よりも高いのです。 カリオス様が居ないのは本当に残念ですわ、捕らえられている姉が私から開放して欲しくて、泣いて懇願している姿を見れないのですから…】

 「な、何だと⁉︎」

 【私はこのまま姉を城に連れて行き、魔力封じの枷を付けて城の地下牢に放り込んでおきますので…カリオス様は一刻も早くレントグレマール王国に戻って下さいませ!】

 「わ、分かった…が、1つ疑問があるんだが?」

 【どう致しました?】

 「ライラはどうやってレイラの居場所を特定出来たんだ?」

 私は予想外の質問に一瞬戸惑った。

 カリオスの頭でこんな質問が飛んで来るとは夢にも思わなかったからだ。

 私は…ふと頭に浮かんだ、無人島に飛ばしたヴァッシュ殿下を思い出した。

 【ヴァッシュ殿下の協力により、姉の位置を特定する事が出来たのです。 ヴァッシュ殿下の話によりますと…姉からの手紙に対してずっと不信感を抱いていたそうなんです。 レントグレマール王国から一番離れたノースファティルガルドに向かわせて、寒冷期で足止めをさせるのが目的では無いのかと。】

 「何だと?」

 【ただ、明確な確証が無くて…仮に姉が逃亡をするのなら、敢えて遠方の地に居る事にして向かわせてから足止めをさせている間に、自国である程度稼いでから逃亡を図るのでは無いかと思っていたみたいです。 そして案の定、姉はレントグレマール王国で稼いでいる所を発見し、拘束する事が出来ました。 灯台下暗しですね。】

 「それでか! ヴァッシュ殿下が思い詰めた表情をして、突然自国に帰ると言い出したのは!」

 なるほど、カリオスにはそう話していたのね?

 そりゃそうよね、仮にヴァッシュ殿下が私の正体に気付いていたのなら、あの時に船に乗り込んでいた時はカリオスも一緒に居ただろうし…

 恐らく確証があやふやだったから、私に揺さぶりをかける為に姿を消して接触して来たのね。

 「俺は今すぐに王国行きの船に乗り帰還する! お前のやった事に関しては到底許すことは出来ないが…今回だけはレイラを捕らえた褒美として無かった事にしてやる!」

 【感謝致します。】

 カリオスはそう言って、宿に戻り着替えてから王国行きの船に乗り込んだ。

 私はカリオスが無事に船に乗り込んだ事を確認すると、お手紙作戦第二弾を決行する事にしました。

 「カリオスには、もう少し手の平で踊って貰う事にして貰いましょうか!」

 
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