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最終章・ノワール、貴女は幸せになれましたか?

第十六話 真の覚醒! その名は黒きノワール⁉︎

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 ノワール達は、女子高生の私に触れながら1人ずつ話しかけて来た。
 まず最初にメイドのノワールが私に言ったのだった。
 
 「何かおかしな感覚よね? 私にも女子高生だった時の記憶、魔女の記憶、剣士の記憶、聖女の記憶と…今まで転生してきた記憶があるのに、貴女とはまるで別人の様な感覚に陥っているわ。」
 「混乱しているのは私も一緒! 貴女は私でもあるのに…貴女には自我がある。」
 「でも、それは一時の物よ。 私が貴女になれば…うん、黒樹…私が貴女に与えられるのはメイドの時の能力ね。 貴女ならその意味は分かるわよね?」
 「勿論、私もその人生を歩んで来たのだから…」

 メイドのノワールは、黒樹と重なって1つに戻った。
 次に聖女のノワールが黒樹に語りかけた。

 「言いたい事をメイドに言われちゃったわ! 私も色々言いたい事があったんだけどね…でも、私の言いたい事は1つになれば共有出来るから、言わなくても分かるわよね?」
 「私も時間があれば色々話したかったな…」
 「皆を待たせちゃいけないから、私は貴女に戻るわね。 それと、勇者のノワールの時に使用出来なかった聖女の残りの力を解放させておくから、頑張ってね♪」

 聖女のノワールは、黒樹の中に入って行った。
 次は騎士のノワールが語りかけて来た。

 「言いたい事は2人に言われたから、私からは特に無いけど…エルティナスの時に使えなかった騎士の能力の全てを解放しておくから、上手く立ち振る舞ってくれよ。」
 「ありがとう!」

 騎士のノワールは、黒樹の中に入って行った。
 次は勇者のノワールが話しかけて来た。

 「私の番になったけど、何を話せば良いのやら…」
 「さっきは私を助けてくれてありがとう!」
 「勇者として、姫を守るのは当然の事です!」
 「勇者様、感謝致します。」

 黒樹は、制服のスカートを掴んでから膝を少し曲げて挨拶をした。
 その後に、黒樹と勇者のノワールは2人で笑い合った。

 「勇者の全ての能力を黒樹に…」
 「ありがとう!」

 勇者ノワールは、黒樹の中に入って行った。
 そして最後は、魔女のノワールが黒樹に話し掛けて来た。

 「封印された書物を見たのよね?」
 「魔王アンノウン…いえ、ダークマターの作り方が載っていたけど…」
 「何をすれば良いのかは、もう分かっているわよね?」
 「勿論よ! ただ、あれを実行したら…」
 「言わなくても良いわ。 それにしても…本当に彼氏とか男に縁の無い無い人生だったわね。」
 「全ての転生で男と無縁だったからね。」
 「聖女の時くらいじゃ無いかな、同じ歳の幼馴染が居たのって…」
 「ルベイン? あれは論外でしょ!」
 「あれが彼氏とは思いたくは無いわね。 頭は抜けているし、周りに流されやすいし…」
 「でも…あんなのでも、彼氏の居ない人生だったらって思った事は?」
 「無いわね、世界で男がアイツだけでも選ばなかったわ。」

 この人生は、本当に良い男に巡り合わなかった。
 私はこれも呪いの一環だと思っていたのだった。

 「魔女の全ての能力を貴女に解放するわね。」
 「ありがとう…そして、ありがとう!」

 魔女ノワールは、黒樹の中に入って行くと…黒樹は全てのノワールの力を得たのだった。
 そして黒樹は、体から眩い光を放つと…体が大きく成長したのだった。
 低かった身長は高くなり、体も成長をし…3人に引けを取らないプロポーションを手に入れたのだ。

 「私はノワール…黒きノワールよ! 皆、待たせてゴメンね。」
 「ノワール…なのか⁉ その姿は…」
 「姉様…それが本当の?」
 「ノワァ?」
 『ママ! 本当にママなのかい?』

 私は魔王アンノウンの攻撃で傷ついた3人を回復魔法で治療してから言った。

 「皆は休んでいて…ここからは私1人で相手をするから。」
 「ノワール…何を言って⁉」
 「来なさい、アンノウン!」
 『ママ…ママ…今度こそ、ママはボクの物に‼』

 魔王アンノウンは無数の触手を伸ばしてきた。
 ノワールは目を閉じると、こう叫んだ。

 「モード・イクティノス…剣聖・連撃斬光剣‼」

 聖剣に纏った光で目にも止まらない連撃で、アンノウンの無数の触手を消滅させた。
 
 『まだだ…まだだーーーーー!!!』
 
 魔王アンノウンは体当たりをしてきた。
 だが、ノワールはまた新たに叫んだ。

 「モード・オルティラン…フレクシリルバスター‼」

 ノワール・オルティラン…伝説のメイドと呼ばれた彼女は、様々な魔道具を生み出していた。
 その中には魔物との討伐時に使用した銃もあった。
 ノワールは巨大な大砲を向けると、エネルギー砲をぶっ放したのだ。
 魔王アンノウンは、その衝撃で後方に弾き飛ばされた。

 『な…なんで、ママ⁉』

 魔王アンノウンは巨大な魔力吹き上がらせるとを、それを放って来た。

 「モード・ウルティラス…極光結界!」

 ノワールの前に巨大な光の壁が現れると、魔王アンノウンの魔力を消滅させた。
 続けてノワールは、「モード・アルフォンスを起動させると、炎と氷の複合統一魔法で魔王アンノウンの体を破壊していった。

 「なんだ…あの巨大な塊は?」
 「水晶! いえ…別の何か?」
 「禍々じい力を感じる…」
 「あれが…魔王アンノウンのコアよ。」

 魔王アンノウンのコアが剥き出しになっている。
 だが、周りに散らばった破片が元に戻ろうと集まって来ていた。

 「モード・エルティナス…勇者の加護を発動! ブレイブフォース‼」
 『マ…ママーーー!!!』

 勇者ノワールは、コアに集まって来ていた破片を1つ残らず消して行った。
 
 「ノワール…後はあれを破壊するだけか?」
 「いいえ…こうするのよ! モード・ノワール!」

 ノワールは、魔王アンノウンbのコアに近付くと…コアを抱きしめる様に腕で包んだ。
 するとコアは砕けて、無数の光がノワールに吸い込まれて行った。

 「いままで1人にしてごめんね…」

 こうして魔王アンノウンを倒す事が出来たのだった。
 すると、巨大な振動が響いて来て…建物が崩壊し始めたのだった。
 ノワールは3人に触れると、その場から街の門まで移動魔法で移動した。
 そして私達は、魔王アンノウンの魔力で作られていた街が崩壊するのを見たのだった。

 「これが…本来の魔導都市グローディアの姿だったのか。」
 「廃墟…というよりも、ほとんどが崩れていますね。」
 「ノワァ…これからどうする…んだ?」

 私は片膝を地面に付いて荒い呼吸をしていた。
 3人は心配そうに駆け寄って来たが、私は大丈夫と言って皆に気を使った。
 そして私は、帰還魔法でジコククーニ王国に転移して王城に行った。
 王城に行くと、其処には王妃陛下が迎えてくれたのだった。

 「王妃陛下…魔王アンノウンを討伐致しました。」
 「ノワール…貴女、本当にノワールよね⁉」
 「やはり、王妃様も同じ反応をしますよね!」
 「これは、ファティマ王女様…それにチヨ様も…」
 「ひざじぶりなんだな!」
 「王妃陛下、私は…」
 「テスタレディシア王国のヴァルキリーよね?」

 私達は王妃陛下に招かれて、王宮の中に足を踏み入れた。
 王妃陛下は私達に風呂を案内してくれたが、3人は入り、私は王妃陛下と話をした。

 「そんな…貴女はそれで良いの?」
 「はい…これが私がこの世界にいた意味になっているみたいです。」
 「貴女の望む幸せは?」
 「私の幸せは…アルマとファティマとチヨという掛けがいのない仲間に出会えたことです。」
 「そんな事って…」
 「泣かないで下さい、王妃様…これで良いのです。」

 私が王妃様と話していると、扉をノックする音が聞こえた。
 すると3人が風呂から出て部屋に入って来た。

 「ノワール! 王妃様を泣かせるなんて…何をした⁉」
 「アルマ殿…これは何でもないのです。」
 「しかし…」
 「それよりも、ノワールが皆に話があると待っていたので話を聞いてあげて下さい。」

 私は3人を見ると、微笑んだ。
 そして私の体は光りだして、少しずつ光の粒子が体から離れて行ったのだった。

 「ノワール…これは⁉」
 「姉様、なんですかこれは⁉」
 「ノワァ! 貴女は…」
 「ごめんね、そろそろ時間みたいなの。」
 「時間って…どういう意味だよ⁉」
 「魔王アンノウンは、私の血と細胞と魂の欠片で出来ていたの。 魔王アンノウンを完全に消滅させる為には、コアを体内に戻さないと行けなかったのよ。」
 
 でも、それには莫大なリスクを要した。
 魔王アンノウンが今まで生きてきた間の魔力も全て取り込まないといけなかった。
 その魔力はあまりにも膨大で…最終決戦の時でさえ、魔王アンノウンの魔力はほんの数割しか消費出来ていなかった。
 その全てを解放すれば、魔導都市グローディアはおろか、その周辺の諸国にまで影響が及ぼしかねないという物だった。

 「という訳なの…魔王アンノウンの魔力が膨大すぎて、私の体の中で抑え込む器としては足りなくてね、崩壊し始めているの。」
 「そ…そんな、姉様! せっかく理想とする体系を手に入れられたというのに…」
 「言う様になったわねファティマ…悔しいけどその通りよ。 このプロポーションで男にモーションを掛けようと思っていたのに。」
 「もしも姉様が消滅してしまったら…また会えるのは100年後ですか?」
 「今度の転生で最後なの。 もう次はないんだってさ…」
 「ノワァ! ごんなわがれは無いよ‼︎」
 「ごめんねチヨ…最後の時まで一緒にいれなくて。」
 「何とがならないのがぁ? わーの術式で…」
 「アステアでもこの状態は止められないみたいなの…チヨ、今迄ありがとうね!」

 私は最後にアルマを見た。

 「ノワール…お前の人生はまだこれからだろ⁉︎」
 「私も…こんな形で死にたくはなかったわ。 まだ、アルマにオスのゴリラを紹介すると言う話が達成してなかったのにw」
 「お前はこんな時まで…」

 私の体の光が少なくなっていき…私の体は透けてきたのだった。

 「ごめんね、もっと話をしたかったけど…もう時間切れみたい。」
 「ノワール‼︎」「姉様‼︎」「ノワァ‼︎」
 「みんなありがとう…バイバイ!」

 私の体から光は全て飛んで行き、私はこの世界から完全に消滅したのだった。
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