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最終章・ノワール、貴女は幸せになれましたか?
第十四話 懐かしき思い出の地
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私達4人は、ついに魔導都市グローディアに到着した。
そして門から中に入ったんだけど…廃墟という話だったんだけど、街中も中央の塔も全てあの時のままだった。
綺麗に修復されていて、廃墟という感じがまるで無かった。
ただ、人が1人もいなかった。
「まるでゴーストタウンね。」
「人が全く居ないわね?」
「周囲に魔物の気配もありません。」
「居っとしたら、中央の建物じゃないきゃ?」
恐らくだけど、魔王アンノウンは中央の塔の最上階にいるだろう。
アルマは塔を見上げて言った。
「随分高いが…何階あるんだ?」
「あそこは確か…23階だったかな?」
「…という事は、あそこまで階段で昇るのか?」
「魔法陣が起動出来れば…階段は上らなくても良いかもね。 ただ…最上階に行った途端に敵に囲まれると思うけど…」
街の中に魔物が居ないというだけで、魔王がいる場所に魔物が居ないという事は無い筈。
私達は面倒だけど、階段を上がっていく方法を選んだ。
「ノワール、案内を頼む!」
「8階の議事堂までなら分かるけど、それ以上の階層は、私でも未知の場所だから…」
「お前はこの国の出身なんだろ?」
「あのねぇ、アルマ…この国の出身だからって全てを把握している訳じゃないわよ! 貴女だって、テスタレディシア王国の王宮までは入った事があっても、王族の寝室やプライベートルームまで入った事はある?」
「ある訳ないだろう! あ、そういう事なのか?」
「そうよ…私は魔女時代では、別に貴族や王族という訳じゃないから、立ち入られる場所は限られていたからね。」
私の今迄の転生の時は、貴族だったのは今回のみ。
魔女時代からメイドまでの転生の時は、平民出身だったから…
「それにしても、滅んだ割には街並みが綺麗ですね?」
「魔王アンノウンが私を招く為に、街を修復したんじゃないかしら? ただ、人も魔物もいないから違和感でしかないけどね。」
「姉様は懐かしさを感じますか?」
「多少はね…私は魔女時代はこの街の出身だったから、多少の思い入れはあるわね。 最も、魔力判定を行った後は、研究室に籠りっきりだったけど…」
街中で暮らしていた時は、両親が最悪で…
私が魔力が高いと解ると、研究者に私の事を売り渡した人だからね。
私を売り渡した後でも、私が研究室で研究をした成果の給料を奪い取って行ったからね…最後は街から追い出されて野垂れ死んだって言う話だけど。
「この街にノワァの生家はあるんか?」
「家が火事で無くなって建て替えたって話だから、私の家はもう無いかも。」
「だとすると…姉様の居た研究室に何かが残っているとか?」
「私の死後に家探しとかされたから、多分何も残ってないかもね。 封印魔法で隠した物とかもあるけど、ここまでの年数が経っていると、残っているかどうかも怪しいわ。」
あの当時は、周りは敵だらけで信用出来なかったから…研究成果を封印魔法を施して隠しておいたんだっけ?
今となっては大した物では無いから、価値なんてほとんどないと思うけど。
「時間があるのなら、姉様の研究室に行ってみたです。」
「行ってみるのも良いかもね。 もしかすると、ダークマターの…魔王アンノウンの作った資料が残っているかも?」
「すると、倒し方も分かるのか?」
「研究資料が残っていればの話だけどね。」
私達は研究室がある中央の塔に向かう事にした。
私の研究室は、魔王アンノウンが居ると思われる中央の塔の地下にある。
なんだけど…中央の塔に近付くにつれて、魔物の気配が濃くなっていく。
私は皆に合図をすると、用心するように注意しながら進んだ。
すると、中央の塔の入り口を守護する様に、ゴーレムのガーディアンが立っているのだった。
「あのガーディアンは…」
私がそう言いかけると同時に、アルマとチヨはガーディアンに攻撃を仕掛けて倒したのだった。
「何だ、見掛け倒しか?」
「手応えが無か!」
「まだよ! あのガーディアンは、倒して破片が散らばると、その破片から再生して増えていくの…」
ガーディアンの破片から新たなガーディアンが増えて再生した。
その数、8体になった。
「増えるのか?」
「そう…破片が飛び散れば飛び散る程にね。 倒し方は、確か…忘れた!」
「忘れるなよ、そんな大事な事!」
「仕方ないでしょ! 400年前の話なんだから!」
「何とか思い出せ! それまで、私達が喰いとめるから‼」
このガーディアンは確か…増えすぎると限界が来て崩れるんだったわよね?
何体だっけ?
かなりの数になると、魔力の供給が追い付かなくなって崩壊すると思ったけど、その正確な数が…?
「記憶がうろ覚えで…確か666匹になるとそれ以上増えずに機能を停止する…だったような気がする。 多分、恐らく…」
「なんなんだ、その曖昧な記憶は⁉」
「仕方ないでしょ! それ位に昔の事だったんだから!」
他にも、音声で解除出来た様な気がするけど?
名前を言えば良かったんだっけ?
『我が名は、研究棟・第二研究所所属のノワール・アルフォンスです。 ガーディアンよ、機能を停止しなさい!』
『該当する登録に名前はありません。 よって、侵入者とみなし殲滅モードに移行します!』
まぁ…当然よね?
私の死後に登録は抹消されている筈だし、いつまでも残っている訳は無いか…
「おい、ノワール! 殲滅モードって何なんだ⁉」
「えっと…今より状況が悪化するという事かな?」
「悪化する事かな?…じゃないぞ! 物騒な攻撃みたいなことを言っているが、何が起きるんだ⁉」
「対象に引っ付いてから…自爆?」
「自爆だと⁉ どうすれば良い?」
「一度私の後ろへ! 守護結界展開! マジックウォール発動!」
私は仲間を守る為の結界と魔法の盾であるマジックウォールを発動し、仲間達を守るバリアを展開した。
するとガーディアンは、バリアに引っ付いてから自爆をすると、次々にバリアに引っ付いて爆発を起こした。
「ファティマ! チヨ! 貴女達も手伝って!」
私はそう言うと、ファティマはマジックシールドの重ね掛けを…チヨは守護結界の強化を行った。
より強固になったバリアは、ガーディアンの自爆攻撃を弾いて行った。
私だけの結界だけだったら、砕けていたかもしれないからだ。
そして最後が自爆すると、ガーディアンは全て消滅しているのだった。
「姉様、経験値が入りませんけど?」
「これは作られた物だから、魔物や魔獣では無いからね。」
「ってことは、ただの無駄骨か。」
「アルマとチヨが勝手に突っ込まなければ、楽に躱せたんだけどね。」
私は溜息交じりで言った。
「どういう事だ?」
「このガーディアンは、侵入者を排除するという役目ではなく、敵対する者を討伐するという目的で起動するの。 だから、いきなり攻撃を仕掛けると反射的に攻撃する仕組みになっている訳。」
「それならそうと、最初に言えよな!」
「言う前に攻撃を仕掛けたのはどっちよ!」
アルマとチヨは思い出したみたいで、申し訳なさそうな顔をした。
まぁ、入り口にこんな物が立っていれば、排除する為に攻撃を仕掛けるのが冒険者だよね。
私達は研究棟の地下にある、以前私が使用していた研究室に入った。
だけど、私の死後に綺麗さっぱり片付けられていたのだった。
「何もありませんね? この部屋が以前は姉様の部屋だったんですよね?」
「がべに何がじがげでもあるんが?」
「うん、壁に封印術を施しているので…まだあるとは思うけど。」
私が壁に手を触れると魔力を流した。
すると…巨大な赤い魔法陣が壁に現れた。
私はそのまま手を触れた状態で、解除のパスワードを…?
「あれ? 解除のパスワードってなんだっけ?」
「おい、ノワール…そのぱすわーどとかいう言葉を間違えると爆発するとかいう物じゃないだろうな?」
「爆発はしないわよ! そんな術式を施したら、興味本位で試した者が罠を発動して研究室が無くなるでしょ!」
「なら、何が起きるんだ?」
「確かしょうもない罠が発動した様な…」
名前じゃなくて…なんだっけな?
名前で解除出来るなら、他に誰かが試した筈だし…?
私はとりあえず、思い付くパスワードを言ってみた。
「あぁ…彼氏が欲しい!」
『パスワードが違います!』
パスワードを間違えたので、魔法陣から黒い触手が襲って来た。
私はアルマの背後に逃げ込むと、触手がアルマの体に巻き付いて行った。
「こら、ノワール! 私を囮に…って、なんだこの黒いのは⁉ 引き千切れないし…鎧の隙間から入り込んで、どこを触ってい…あぁん♡」
これがパスワードではなかったか…アルマには気の毒な事をしてしまった。
確か解除するには、真のパスワードを言わないと解放されないんだっけ?
それにしても…女騎士に絡み付く黒い触手かぁ。
「くっ…殺せ!」のセリフは流石に無いかw
「アルマ…すぐに開放してあげるから待っていて!」
チヨもファティマもアルマから触手を剥がそうとしているが、ビクともしなかった。
早くアルマを開放してあげないと、開放された時に私が殴られる!
「両親のバッキャローーーー!」
『パスワードが違います!』
また魔法陣から黒い触手が襲ってくると、私はチヨを突き飛ばして触手の餌食になって貰った。
当然…触手はチヨに絡みついて、何だか卑猥な姿になっていた。
「ケモミミに絡みつく黒い触手…なんか、エロいわ!」
「ノワァ! ゆるざないぞ!」
触手はアルマ同様に、服の中に入り込んで身体をまさぐっている。
それ以外にも、尻尾にも絡みついていて…チヨはいつもの力は出せない様な状態だった。
所々で…「ん♡ んんっ♡」という喘ぎ声が色っぽくてイィ!
だけど、早く解放をしてあげないと…アルマに続き、チヨにまで殴られる!
えーっと…? えぇ~っと? 何だっけ、この解除パスワードって…?
「彼氏の話ではなく、両親の悪口でもない…他には?」
「姉様、早く思い出して下さい!」
「焦らせないで! えぇっと…? テクマクマヤコン、テクマクマヤコン…私はあなたを解き放つ!」
『パスワードが違います!』
またも魔法陣から黒い触手が襲ってくると、私はファティマを突き飛ばして身を守った。
まぁ、頭の中に浮かんだ適当な言葉を叫んだだけなので、外れる事は分かっていた。
ファティマにせっつかれて言ったパスワードなので、ファティマにも責任はある。
なので犠牲に…ゴホン、ゲフン!
「姉様~~~!!!」
「ごめんねぇ~私が捕まったら、解除出来る人が居ないから…」
黒い触手は、ファティマに絡みつくと…アルマとチヨ同様に触手が服の中に入って行った。
黒い触手に絡みつかれるエルフ…何か女子高生時代の同人誌に、こんなシーンを見た様な気がするw
そして、艶やかな声に思わず色っぽさを感じてしまった。
…が、開放しないと…ファティマまで加わったら、命に危険が⁉
「誰にも解らない私の事…前世の名前だっけ?」
私は前世の話は魔女時代には誰にも話してない筈…
名前では無いと思っていたけど、それは魔女時代のノワール・アルフォンスでは無いというだけで、女子高生時代の名前なら?
「淵東 黒樹の名において命ずる! 封印よ解除せよ!」
『パスワードを確認しました!』
パスワードが正解し、3人は触手から開放されたのだった。
ただ…3人は触手に服を逃がされて、あられもない姿に…
私は土下座をして謝ったが、3人は物凄い剣幕で怒りだしたのだった。
そして…封印されていた物はというと、確かにダークマターに関する物だったけど…
停止の仕方までは書いていなくて、作り方が載っているだけだった。
一応、目を通したけど…何かに役に立つのかな?
・・・・・・・・・1時間後・・・・・・・・・
私は3人から許しを貰って、1Fのホールに出ると階段を上って最上階を目指すのだった。
だけど案の定…街の中には魔物は居なかったが、塔の中は魔物だらけで上がるのに苦労するかと思ったのだが、黒い触手に対する攻撃により、まるで憂さを晴らすかのように3人はどんどん魔物を倒して行った。
おかげで…私は随分楽が出来たのだった。
そして20階に辿り着くと…大きなホールに、100体近い騎士の甲冑を付けたゴーレムがいた。
私達は武器を構えると、アルマが先の方を指さした。
「ここは私がやるから、3人はあの扉から上を目指せ!」
「アルマ…いくら何でもこの数は無茶よ!」
「なぁに、階段での戦闘は少しやり難かったが、平らな地面なら問題は無い!」
「分かったわ! アルマ…くれぐれも気を付けてね! 死んだら承知しないからね!」
「誰が死ぬか!」
アルマはシールドバッシュで、騎士のゴーレムの数体を吹っ飛ばすと、私達が通りやすい様に道を作ったのだった。
そして私達はゴーレムの間を駆け抜けて、扉に入ったのだった。
「さてと…お前達! 私に付き合って貰うぞ‼」
アルマは騎士のゴーレムに斬り掛かって行ったのだった。
・・・・・・・・・21階・・・・・・・・・
私達はアルマを心配しつつ、21階に辿り着くと…
そこには100体近い魔法人形が待ち構えていた。
「これは…マジックゴーレム! 物理攻撃が一切効かないから…」
「なら、これは私が引き受けますね! 姉様とチヨ様は上を目指して下さい!」
「ファティマ…1人で平気なの?」
「問題ありませんわ。 城での戦闘訓練を思い出しますから…」
「無茶したら駄目よ! 危なくなったら逃げなさい!」
「御武運を…」
私とチヨは、ファティマの放った魔法で道を作ると、その間を通って奥の扉に入ったのだった。
「猫被りもそろそろ終わりにしたいと思ってました。 来なさい! 木端微塵にして差し上げるわ‼」
ファティマは、数種類の属性魔法を同時に発動して…マジックゴーレム達と戦いを始めたのだった。
・・・・・・・・・22階・・・・・・・・・
私とチヨは部屋に入った瞬間、2体の魔族に襲われたのだった。
攻撃を防ぐと、2体の魔族は距離を取ったのだった。
「ほう? わらわの攻撃を防ぐか…」
「姉様ぁ~この狐娘…獣人ですわね? 虐めたらどんな声で鳴いてくれるのかしら?」
2体の魔族は、チーターとパンサーの獣人だった。
武器はなく、格闘攻撃を主体としたスタイルだった。
するとパンサーの獣人が私を指さして言った。
「貴女は、主様が必要としているお方なので、あの扉から最上階に行ってくれませんか?」
「断ったら?」
「こまりましたねぇ~主様の命令上、貴女に怪我をさせるのは…」
「ノワァ! ここはわーがひぎうげる! ノワァは上さいっでげろ!」
「1人で大丈夫?」
「問題ない!」
私はチヨに「死なないでね…」と伝えると、チヨは笑っていた。
私が扉に入ると同時に、激しい激突音が響いていた。
「チヨなら大丈夫だと思うけど…ううん、今は魔王が先よね!」
私は最上階に向かう階段を上がり…大きな扉の前に来ていた。
そして扉を開けると、そこには…黒いローブを纏った色の黒い人型のイケメンが…
『ママァ! 会いたかったよ~~~~~!!!』
「え? ママ? っていうか、何よ、このノリは…」
いきなりママ呼ばわりされて、緊張していたのが馬鹿らしくなった。
魔王との激しい戦闘が待っているかと思っていたのに拍子抜けだった。
そして私と魔王アンノウンは…死闘が始まる訳でもなく、会話から始まったのだった。
「なんか…緊張感がないわね?」
そして門から中に入ったんだけど…廃墟という話だったんだけど、街中も中央の塔も全てあの時のままだった。
綺麗に修復されていて、廃墟という感じがまるで無かった。
ただ、人が1人もいなかった。
「まるでゴーストタウンね。」
「人が全く居ないわね?」
「周囲に魔物の気配もありません。」
「居っとしたら、中央の建物じゃないきゃ?」
恐らくだけど、魔王アンノウンは中央の塔の最上階にいるだろう。
アルマは塔を見上げて言った。
「随分高いが…何階あるんだ?」
「あそこは確か…23階だったかな?」
「…という事は、あそこまで階段で昇るのか?」
「魔法陣が起動出来れば…階段は上らなくても良いかもね。 ただ…最上階に行った途端に敵に囲まれると思うけど…」
街の中に魔物が居ないというだけで、魔王がいる場所に魔物が居ないという事は無い筈。
私達は面倒だけど、階段を上がっていく方法を選んだ。
「ノワール、案内を頼む!」
「8階の議事堂までなら分かるけど、それ以上の階層は、私でも未知の場所だから…」
「お前はこの国の出身なんだろ?」
「あのねぇ、アルマ…この国の出身だからって全てを把握している訳じゃないわよ! 貴女だって、テスタレディシア王国の王宮までは入った事があっても、王族の寝室やプライベートルームまで入った事はある?」
「ある訳ないだろう! あ、そういう事なのか?」
「そうよ…私は魔女時代では、別に貴族や王族という訳じゃないから、立ち入られる場所は限られていたからね。」
私の今迄の転生の時は、貴族だったのは今回のみ。
魔女時代からメイドまでの転生の時は、平民出身だったから…
「それにしても、滅んだ割には街並みが綺麗ですね?」
「魔王アンノウンが私を招く為に、街を修復したんじゃないかしら? ただ、人も魔物もいないから違和感でしかないけどね。」
「姉様は懐かしさを感じますか?」
「多少はね…私は魔女時代はこの街の出身だったから、多少の思い入れはあるわね。 最も、魔力判定を行った後は、研究室に籠りっきりだったけど…」
街中で暮らしていた時は、両親が最悪で…
私が魔力が高いと解ると、研究者に私の事を売り渡した人だからね。
私を売り渡した後でも、私が研究室で研究をした成果の給料を奪い取って行ったからね…最後は街から追い出されて野垂れ死んだって言う話だけど。
「この街にノワァの生家はあるんか?」
「家が火事で無くなって建て替えたって話だから、私の家はもう無いかも。」
「だとすると…姉様の居た研究室に何かが残っているとか?」
「私の死後に家探しとかされたから、多分何も残ってないかもね。 封印魔法で隠した物とかもあるけど、ここまでの年数が経っていると、残っているかどうかも怪しいわ。」
あの当時は、周りは敵だらけで信用出来なかったから…研究成果を封印魔法を施して隠しておいたんだっけ?
今となっては大した物では無いから、価値なんてほとんどないと思うけど。
「時間があるのなら、姉様の研究室に行ってみたです。」
「行ってみるのも良いかもね。 もしかすると、ダークマターの…魔王アンノウンの作った資料が残っているかも?」
「すると、倒し方も分かるのか?」
「研究資料が残っていればの話だけどね。」
私達は研究室がある中央の塔に向かう事にした。
私の研究室は、魔王アンノウンが居ると思われる中央の塔の地下にある。
なんだけど…中央の塔に近付くにつれて、魔物の気配が濃くなっていく。
私は皆に合図をすると、用心するように注意しながら進んだ。
すると、中央の塔の入り口を守護する様に、ゴーレムのガーディアンが立っているのだった。
「あのガーディアンは…」
私がそう言いかけると同時に、アルマとチヨはガーディアンに攻撃を仕掛けて倒したのだった。
「何だ、見掛け倒しか?」
「手応えが無か!」
「まだよ! あのガーディアンは、倒して破片が散らばると、その破片から再生して増えていくの…」
ガーディアンの破片から新たなガーディアンが増えて再生した。
その数、8体になった。
「増えるのか?」
「そう…破片が飛び散れば飛び散る程にね。 倒し方は、確か…忘れた!」
「忘れるなよ、そんな大事な事!」
「仕方ないでしょ! 400年前の話なんだから!」
「何とか思い出せ! それまで、私達が喰いとめるから‼」
このガーディアンは確か…増えすぎると限界が来て崩れるんだったわよね?
何体だっけ?
かなりの数になると、魔力の供給が追い付かなくなって崩壊すると思ったけど、その正確な数が…?
「記憶がうろ覚えで…確か666匹になるとそれ以上増えずに機能を停止する…だったような気がする。 多分、恐らく…」
「なんなんだ、その曖昧な記憶は⁉」
「仕方ないでしょ! それ位に昔の事だったんだから!」
他にも、音声で解除出来た様な気がするけど?
名前を言えば良かったんだっけ?
『我が名は、研究棟・第二研究所所属のノワール・アルフォンスです。 ガーディアンよ、機能を停止しなさい!』
『該当する登録に名前はありません。 よって、侵入者とみなし殲滅モードに移行します!』
まぁ…当然よね?
私の死後に登録は抹消されている筈だし、いつまでも残っている訳は無いか…
「おい、ノワール! 殲滅モードって何なんだ⁉」
「えっと…今より状況が悪化するという事かな?」
「悪化する事かな?…じゃないぞ! 物騒な攻撃みたいなことを言っているが、何が起きるんだ⁉」
「対象に引っ付いてから…自爆?」
「自爆だと⁉ どうすれば良い?」
「一度私の後ろへ! 守護結界展開! マジックウォール発動!」
私は仲間を守る為の結界と魔法の盾であるマジックウォールを発動し、仲間達を守るバリアを展開した。
するとガーディアンは、バリアに引っ付いてから自爆をすると、次々にバリアに引っ付いて爆発を起こした。
「ファティマ! チヨ! 貴女達も手伝って!」
私はそう言うと、ファティマはマジックシールドの重ね掛けを…チヨは守護結界の強化を行った。
より強固になったバリアは、ガーディアンの自爆攻撃を弾いて行った。
私だけの結界だけだったら、砕けていたかもしれないからだ。
そして最後が自爆すると、ガーディアンは全て消滅しているのだった。
「姉様、経験値が入りませんけど?」
「これは作られた物だから、魔物や魔獣では無いからね。」
「ってことは、ただの無駄骨か。」
「アルマとチヨが勝手に突っ込まなければ、楽に躱せたんだけどね。」
私は溜息交じりで言った。
「どういう事だ?」
「このガーディアンは、侵入者を排除するという役目ではなく、敵対する者を討伐するという目的で起動するの。 だから、いきなり攻撃を仕掛けると反射的に攻撃する仕組みになっている訳。」
「それならそうと、最初に言えよな!」
「言う前に攻撃を仕掛けたのはどっちよ!」
アルマとチヨは思い出したみたいで、申し訳なさそうな顔をした。
まぁ、入り口にこんな物が立っていれば、排除する為に攻撃を仕掛けるのが冒険者だよね。
私達は研究棟の地下にある、以前私が使用していた研究室に入った。
だけど、私の死後に綺麗さっぱり片付けられていたのだった。
「何もありませんね? この部屋が以前は姉様の部屋だったんですよね?」
「がべに何がじがげでもあるんが?」
「うん、壁に封印術を施しているので…まだあるとは思うけど。」
私が壁に手を触れると魔力を流した。
すると…巨大な赤い魔法陣が壁に現れた。
私はそのまま手を触れた状態で、解除のパスワードを…?
「あれ? 解除のパスワードってなんだっけ?」
「おい、ノワール…そのぱすわーどとかいう言葉を間違えると爆発するとかいう物じゃないだろうな?」
「爆発はしないわよ! そんな術式を施したら、興味本位で試した者が罠を発動して研究室が無くなるでしょ!」
「なら、何が起きるんだ?」
「確かしょうもない罠が発動した様な…」
名前じゃなくて…なんだっけな?
名前で解除出来るなら、他に誰かが試した筈だし…?
私はとりあえず、思い付くパスワードを言ってみた。
「あぁ…彼氏が欲しい!」
『パスワードが違います!』
パスワードを間違えたので、魔法陣から黒い触手が襲って来た。
私はアルマの背後に逃げ込むと、触手がアルマの体に巻き付いて行った。
「こら、ノワール! 私を囮に…って、なんだこの黒いのは⁉ 引き千切れないし…鎧の隙間から入り込んで、どこを触ってい…あぁん♡」
これがパスワードではなかったか…アルマには気の毒な事をしてしまった。
確か解除するには、真のパスワードを言わないと解放されないんだっけ?
それにしても…女騎士に絡み付く黒い触手かぁ。
「くっ…殺せ!」のセリフは流石に無いかw
「アルマ…すぐに開放してあげるから待っていて!」
チヨもファティマもアルマから触手を剥がそうとしているが、ビクともしなかった。
早くアルマを開放してあげないと、開放された時に私が殴られる!
「両親のバッキャローーーー!」
『パスワードが違います!』
また魔法陣から黒い触手が襲ってくると、私はチヨを突き飛ばして触手の餌食になって貰った。
当然…触手はチヨに絡みついて、何だか卑猥な姿になっていた。
「ケモミミに絡みつく黒い触手…なんか、エロいわ!」
「ノワァ! ゆるざないぞ!」
触手はアルマ同様に、服の中に入り込んで身体をまさぐっている。
それ以外にも、尻尾にも絡みついていて…チヨはいつもの力は出せない様な状態だった。
所々で…「ん♡ んんっ♡」という喘ぎ声が色っぽくてイィ!
だけど、早く解放をしてあげないと…アルマに続き、チヨにまで殴られる!
えーっと…? えぇ~っと? 何だっけ、この解除パスワードって…?
「彼氏の話ではなく、両親の悪口でもない…他には?」
「姉様、早く思い出して下さい!」
「焦らせないで! えぇっと…? テクマクマヤコン、テクマクマヤコン…私はあなたを解き放つ!」
『パスワードが違います!』
またも魔法陣から黒い触手が襲ってくると、私はファティマを突き飛ばして身を守った。
まぁ、頭の中に浮かんだ適当な言葉を叫んだだけなので、外れる事は分かっていた。
ファティマにせっつかれて言ったパスワードなので、ファティマにも責任はある。
なので犠牲に…ゴホン、ゲフン!
「姉様~~~!!!」
「ごめんねぇ~私が捕まったら、解除出来る人が居ないから…」
黒い触手は、ファティマに絡みつくと…アルマとチヨ同様に触手が服の中に入って行った。
黒い触手に絡みつかれるエルフ…何か女子高生時代の同人誌に、こんなシーンを見た様な気がするw
そして、艶やかな声に思わず色っぽさを感じてしまった。
…が、開放しないと…ファティマまで加わったら、命に危険が⁉
「誰にも解らない私の事…前世の名前だっけ?」
私は前世の話は魔女時代には誰にも話してない筈…
名前では無いと思っていたけど、それは魔女時代のノワール・アルフォンスでは無いというだけで、女子高生時代の名前なら?
「淵東 黒樹の名において命ずる! 封印よ解除せよ!」
『パスワードを確認しました!』
パスワードが正解し、3人は触手から開放されたのだった。
ただ…3人は触手に服を逃がされて、あられもない姿に…
私は土下座をして謝ったが、3人は物凄い剣幕で怒りだしたのだった。
そして…封印されていた物はというと、確かにダークマターに関する物だったけど…
停止の仕方までは書いていなくて、作り方が載っているだけだった。
一応、目を通したけど…何かに役に立つのかな?
・・・・・・・・・1時間後・・・・・・・・・
私は3人から許しを貰って、1Fのホールに出ると階段を上って最上階を目指すのだった。
だけど案の定…街の中には魔物は居なかったが、塔の中は魔物だらけで上がるのに苦労するかと思ったのだが、黒い触手に対する攻撃により、まるで憂さを晴らすかのように3人はどんどん魔物を倒して行った。
おかげで…私は随分楽が出来たのだった。
そして20階に辿り着くと…大きなホールに、100体近い騎士の甲冑を付けたゴーレムがいた。
私達は武器を構えると、アルマが先の方を指さした。
「ここは私がやるから、3人はあの扉から上を目指せ!」
「アルマ…いくら何でもこの数は無茶よ!」
「なぁに、階段での戦闘は少しやり難かったが、平らな地面なら問題は無い!」
「分かったわ! アルマ…くれぐれも気を付けてね! 死んだら承知しないからね!」
「誰が死ぬか!」
アルマはシールドバッシュで、騎士のゴーレムの数体を吹っ飛ばすと、私達が通りやすい様に道を作ったのだった。
そして私達はゴーレムの間を駆け抜けて、扉に入ったのだった。
「さてと…お前達! 私に付き合って貰うぞ‼」
アルマは騎士のゴーレムに斬り掛かって行ったのだった。
・・・・・・・・・21階・・・・・・・・・
私達はアルマを心配しつつ、21階に辿り着くと…
そこには100体近い魔法人形が待ち構えていた。
「これは…マジックゴーレム! 物理攻撃が一切効かないから…」
「なら、これは私が引き受けますね! 姉様とチヨ様は上を目指して下さい!」
「ファティマ…1人で平気なの?」
「問題ありませんわ。 城での戦闘訓練を思い出しますから…」
「無茶したら駄目よ! 危なくなったら逃げなさい!」
「御武運を…」
私とチヨは、ファティマの放った魔法で道を作ると、その間を通って奥の扉に入ったのだった。
「猫被りもそろそろ終わりにしたいと思ってました。 来なさい! 木端微塵にして差し上げるわ‼」
ファティマは、数種類の属性魔法を同時に発動して…マジックゴーレム達と戦いを始めたのだった。
・・・・・・・・・22階・・・・・・・・・
私とチヨは部屋に入った瞬間、2体の魔族に襲われたのだった。
攻撃を防ぐと、2体の魔族は距離を取ったのだった。
「ほう? わらわの攻撃を防ぐか…」
「姉様ぁ~この狐娘…獣人ですわね? 虐めたらどんな声で鳴いてくれるのかしら?」
2体の魔族は、チーターとパンサーの獣人だった。
武器はなく、格闘攻撃を主体としたスタイルだった。
するとパンサーの獣人が私を指さして言った。
「貴女は、主様が必要としているお方なので、あの扉から最上階に行ってくれませんか?」
「断ったら?」
「こまりましたねぇ~主様の命令上、貴女に怪我をさせるのは…」
「ノワァ! ここはわーがひぎうげる! ノワァは上さいっでげろ!」
「1人で大丈夫?」
「問題ない!」
私はチヨに「死なないでね…」と伝えると、チヨは笑っていた。
私が扉に入ると同時に、激しい激突音が響いていた。
「チヨなら大丈夫だと思うけど…ううん、今は魔王が先よね!」
私は最上階に向かう階段を上がり…大きな扉の前に来ていた。
そして扉を開けると、そこには…黒いローブを纏った色の黒い人型のイケメンが…
『ママァ! 会いたかったよ~~~~~!!!』
「え? ママ? っていうか、何よ、このノリは…」
いきなりママ呼ばわりされて、緊張していたのが馬鹿らしくなった。
魔王との激しい戦闘が待っているかと思っていたのに拍子抜けだった。
そして私と魔王アンノウンは…死闘が始まる訳でもなく、会話から始まったのだった。
「なんか…緊張感がないわね?」
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