【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい!

アノマロカリス

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第三章 モテ期到来?の章

第四話 商人の護衛?

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 私は商人の護衛の依頼を受けて、城下町の出入り口に向かった。
 そして商人の馬車を見付けると、商人らしき男に声を掛けた。

 「冒険者ギルドの依頼で参りました! Aランクのノワールと言います。」
 「ほぉ…? Aランクの方も来てくださいましたか! 護衛には他にBランクの方が4人おられます。 あと…」
 
 私は馬車の後ろを見ると、女性4人がそこにいて…リーダーらしき人が手を振って来た。
 私も手を挙げて挨拶した。
 冒険者ギルドで私の立場って、男を片っ端から振っているイケ好かない女というレッテルが貼られていると思っていたけど、少なくとも手を振って来た者達の表情にはそれらしいものは見えなかった。
 
 「今日は宜しくお願いしますね!」
 「あ、はい!」

 後ろから声がしたので振り返ると、金髪碧眼の可愛らしい男の子が立っていた。
 顔立ちも整っていて、将来は立派なイケメンに育つだろうという感じの子だった。
 年齢は…10歳前後かな?

 「あの商人の子供…にしては似てないわね? 髪の色も違うし…母親からの遺伝かな?」
 
 私は商人の元に向かった。
 すると、今日の護衛内容を話されたのだった。

 「私はヴァンデール商会のヴァナと申します。 そしてこれが私の息子のディルです。 皆様、道中を宜しくお願いします。」
 
 私達冒険者は頭を下げて挨拶をすると、他にも3人の騎士が護衛に付くという話だった。
 出発するには騎士の到着を待つというものだった。

 「商隊の護衛で騎士が付くのは分かるけど、馬車1台で冒険者以外に騎士も護衛って…?」
 「ヴァンデール商会だからな…それだけ貴重な荷があるからの事なんだろうよ!」

 私は横を向くと、先程手を振っていた女冒険者が話し掛けて来た。

 「ヴァンデール商会って?」
 「この国で一番大きい商会だよ。 知らないのか?」
 「私は8日前にこの国に来たばかりだから…」
 
 なるほどね…
 だとすると、騎士の護衛も納得だわ!
 暫くすると、騎士が到着した…のだが?

 「ノワール! 貴女も一緒だったのか⁉」
 「アルマ? 何で騎士団の副団長様が?」

 てっきり騎士と言っていたので、男性騎士が来るとばかり思っていたけど…来たのはアルマと他に2人の女性騎士だった。

 「貴様! アルマ様を呼び捨てにするなんて…」
 
 そう言って女騎士は剣を抜いて私に向けて来た。
 だが、アルマが間に入って剣を下げさせた。

 「ノワールは良いのだ! 剣を収めよ!」
 「しかしアルマ様! 立場を判らせる為に…」
 「勝てるのか? ノワールは私に実力で勝った者だぞ!」
 「アルマ様を⁉」

 女騎士は慌てて剣を収めた。
 そして先程の女冒険者が私に小声で尋ねて来た。

 「ノワールは、あのアルマに勝ったのか?」
 「うん、試験会場でね。」
 「騎士副団長のアルマは、この国でも2番目に強い騎士だぞ! それに勝つなんて…」
 「皆様、そろそろ出発をしたいのですが、宜しいかな?」

 馬車の前に騎士が2人、馬車の横に冒険者が4人、馬車の後ろに私とアルマが配置に付くと…馬車は出発した。
 目指す場所は、ジコククーニ王国…って、えぇ?
 あの国から逃げる為に、このテスタレディシア王国に来たのに、また戻る羽目になるなんて…?
 私は小声でアルマに話しかけた。

 「ちょっとアルマ、そろそろ本当の事を話してくれないかな?」
 「ノワール、集中しろ! 今は勤務中だぞ!」
 「大丈夫、私の索敵魔法に敵影は無いから…」
 「索敵魔法って…まぁ良い。 それで何が聞きたい?」
 「この馬車は、ジコククーニ王国の何処に向かっているの? 城下町の中?」
 「いや、王城だ。」
 「なるほどね? という事は、あのディルという子はテスタレディシア王国の王族で、本当の護衛はあの子という訳ね?」
 「何の事だ?」
 「アルマ…嘘が下手なのね。 幾ら王国で一番大きい商会でも、騎士団の副団長が護衛に付いていたら誰だってわかるわよ。」
 
 アルマはおどおどした表情をしていたのですぐに解った。
 そして小声で言って来た。

 「この事は、私とヴァナ殿しか知らないのだから、くれぐれも内密に頼むぞ!」
 「どうしようかなぁ?」
 「おい、ノワール⁉」
 「私の魔法も秘密だと言ったのに、誰かさんは簡単に暴露しちゃうし…」
 「あの時は…済まなかった。」
 「安心して、知らない振りをしておくから! それにしても、ジコククーニ王国かぁ…」
 「ん? 何かあるのか、王国に?」
 「私はあの国出身で、元は貴族で第三王子の婚約者だったのよ。 婚約破棄された挙句、両親に屋敷からも追い出されたので、テスタレディシア王国に来たという訳。」
 「なるほど…それでは気が重いよな?」

 商会の馬車はそのまま進んで行った。
 テスタレディシア王国近辺では、事前に魔物討伐が行われていた為に魔物の類は出て来なかった。
 国境に着くと、その日は国境の宿舎で休む事になった。

 そして翌日…
 私達はジコククーニ王国の領土に足を入れたのだった。
 頼むから何も起こりません様に…そう祈るノワールだった。
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