【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい!

アノマロカリス

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第二章 冒険者ギルド加入試験の章

第七話 最終試験は平等みたい…と思っていたのに!

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 「では1番、前に出ろ!」
 「はい!」

 試験官の前に、剣を携えた少年が構えた。
 少年は試験官に斬り掛かってみせるが、試験官は難なく躱して行った。
 それもその筈、少年は明らかに力んでいて動きが遅かった。
 緊張しているのか?
 それとも、これが少年の実力だったのか解らない。
 試験官は少年の剣を叩き落とすと、その場で不合格を言い渡した。
 すると、少年は剣を拾って試験会場を後にして行った。

 それから、2番・3番・4番も1番の少年と似た様な攻撃をして不合格を言い渡されると、試験会場を後にした。
 だが、5番の少女は少し違った。
 少女は剣を構えて試験官に数度撃ち込むと、バックステップで距離を取ってから杖を取り出して試験官に構えた。

 「出でよ炎、そして目の前の敵を焼き尽くせ! ファイアボール!」
 「ほぉ?」

 少女の杖から放たれた拳大の大きさの火球が試験官に放たれたが、試験官は難なく躱した。
 そして次の攻撃を要求したが、少女は膝を付いて荒い呼吸をしていた。

 「ふむ…希少種の魔力持ちがいたか…良かろう、5番は合格だ!」
 「やったぁ!」

 5番の少女は嬉しそうな声を上げると、そのまま倒れた。
 恐らく魔力切れを起こしたのだろう。
 それにしても…ファイアボール初級の火球魔法が威力が弱くて1発しか放てないで合格って…
 現代の魔法技術ってどれだけ衰退しているんだろう?
 私なら1m位の火球を同時に100個出現させられるけど…?
 
 その後の6番の少年は、先程までの少年達と違って剣技が素晴らしく、試験官に合格を貰った。
 そして7番目の少年なのだが…?
 攻撃的には6番と遜色のない戦い方をしていたが…所々で卑怯な手が目立ち、結果…不合格を言い渡された。
 7番はその判定に納得がいかなかったのか、試験官に詰め寄って行き…懐に隠していたナイフを試験官に刺して、試験会場にいた騎士に取り押さえられて連行されて行った。
 試験官も重症では無かったのだが、職員に医務室に連れて行かれたのだった。

 「えっと…? 私の番なんだけど、不戦勝になるのかな?」

 もしかして、戦わずして合格?
 それならどんなに良い事だろう…と思っていたけど、そんなに甘くは無かった。
 試験会場にいた女騎士が試験官の代わりに相手をすると言いだしたのだ。

 「第一試験はマンドラゴラの採取で、第二試験はウォーリアコッコの討伐で…最終試験は騎士と戦うなんて⁉」
 「ほぉ? あのマンドラゴラとウォーリアコッコを提出した者か? ふむ?」
 
 あ…この女騎士のやる気が伝わってくる…
 これは生半可では合格はさせてくれないね?
 どうしようかなぁ…?
 本気で戦う訳にもいかないし…
 だけど女騎士は、「遠慮なく掛かって来い!」と言い出してきた。
 見る限り、決して普通の騎士とは思えない位に強い。
 私は構えると、合格者の5番の少女と6番の少年から応援をされた。

 「オバサン頑張れ~!」
 「オバサン、しっかり!」
 「何で私の事を見る度にオバサンと言われないといけないのよ…私はまだ10代なのに。」
 「私と変わらぬ年齢でオバサンは辛いよね? まぁ、冒険者の受験生の中では最年長みたいだし…」
 
 私は女騎士に同情された。
 私は剣を構えて騎士の礼の構えをした。
 すると、女騎士も同様に礼の構えをする。

 「騎士の礼を知るとは…?」
 「では行きますね…縮地!」
 「え?」

 私は移動スキルの縮地を使用して、一瞬で女騎士の背後に移動して剣を振り下ろした。
 すると、女騎士は素早く対応して後ろに振り向いてから剣で受け止めた。

 「くっ…中々面白い真似をしてくれるじゃないか⁉ やはり、マンドラゴラとウォーリアコッコは実力で捕えて来たのだな?」
 「さぁ? それはどうでしょう…」

 私は5段突きを放つと、女騎士もそれに対応して防いでいた。
 先程まで私を応援してくれていた少年と少女も言葉を失っていた。
 私は更に連撃を追加すると、女騎士はそれを全て防いでいた。
 その時に1つ思った。
 この女騎士は、恐らくは騎士団の中でも上位に位置する者だろうと。
 一般の騎士では、この攻撃に対応が出来ないからだ。
 私は距離を取ると、剣を再び構えた。
 すると女騎士は、私に話し掛けて来た。

 「貴女は一体何者だ?」
 「私は冒険者資格を得る為に来た見習いです。」
 「私と互角に戦える者が見習いの筈がないだろう⁉ 私はテスタレディシア王国・騎士団副団長のアルマ・バレンシアーナだ! 貴女の名も教えてくれ!」
 「副団長だったのね…通りで強い筈だわ! 私の名は…」

 家名は名乗らない方が良いかもしれないわね。
 なら…?

 「私の名はノワールです。」
 「ノワール⁉ 歴史に出て来るレヴナンツディール王国の完全不敗の聖騎士と同じ名か⁉」
 
 レヴナンツディール王国って…3度目の人生で騎士だった時に仕えていた国の話よね?
 あの頃はただの騎士で、聖騎士だった記憶は無かった筈なのに…あと何よ、その二つ名はw?
 私が死んだ後、後世に伝える為に適当な名前を付けたのね…王国の連中がやりそうな事だわ!
 それにしても、完全不敗って…w?
 これ以上、目立ちたくないし…適当な技でも放ってから降参しようかな?

 「貴女の実力は理解した! なら私も本気を出す事で応えよう!」
 「いえ、私はこれ以上戦いたくないので…この技を防いだら私の負けで良いです!」

 私は騎士ノワール時代の様に、刀身にオーラを纏わせた。
 
 「行きます! 剣王真空斬・双牙‼」
 「なんだと⁉」

 私は2つのオーラの刃をアルマに向かって放った。
 アルマは攻撃に対処が出来ずに盾でオーラの刃を受け止めると、そのまま壁まで吹っ飛んだ。

 「あ…あれ? この程度の技、騎士団の隊長クラスなら防げるのに…?」
 「ソニックブーム…それも2連撃何て防げる訳ないだろう⁉」
 
 魔法と同じで、剣技も衰退したみたいね。
 この程度の技は、私の3度目の人生の時には一般の騎士でも使えたのに…
 
 「えーっと? まだやりますか?」
 「無理だ、降参する! 貴女は合格とする!」

 私はアルマの元に駆け寄ると、アルマの体に手を触れて他の者に見えない様にヒールをした。
 アルマは何かを言いたそうにしていたが、私は唇にひとさし指を当てて黙って貰う様にした。
 そしてアルマに手を貸してから立ち上がらせると、アルマはそのまま壁の方に行った。
 色々あったけど、これで試験には全て合格した。
 私を含めた合格者は試験会場を後にして、冒険者ギルドに行くと…それぞれにギルドカードが発行されて手渡された。
 5番の少女はFランクからスタートで6番の少年もFランクからスタートだった。
 私の場合はどうなのか…?
 そう思いながらギルドカードを見ると…?

 「あれ? 私のスタートのランクって…?」
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