9 / 63
第一章 婚約破棄の章
第九話 勘付いた王妃陛下
しおりを挟む
騎士人形と王妃陛下以外は誰もいないアクードの部屋…
王妃陛下は部屋の扉を閉めてから鍵を掛けると、騎士人形に話しかけた。
「貴女…ノワールよね?」
「あらら…王妃陛下にはバレてましたか!」
「そりゃあね…タイミングが良すぎる上に、息子の内容がほぼ悪口だったからね。」
「あそこまで言うつもりはなかったんだけど、どうせなら心の中の物を全て吐き出そうと思いましてw」
私は騎士人形の頭を掻くフリをした。
王妃陛下は、騎士人形の顔をまじまじと見ていた。
「これも貴女の魔法なのよね? まだ近くにいるの?」
「近くにはいませんね。 城が薄っすらと見える場所から人形を操作しています。」
「はぁ…とんでもない魔力の持ち主よね。 あの馬鹿息子がまともだったら、貴女の扱いはもっと優遇されていたというのに…」
「それで王妃陛下は…こんな話をする為に私を呼び止めたのですか?」
「違うわ! 貴女は今何処にいるの?」
「居場所を教えて捜索隊を派遣するという話でしたら、私は話しませんよ!」
「そんな事はしません。 この国から離れて幸せな人生を送りなさいと言いたいだけよ。」
騎士人形は、王妃陛下に深々とお辞儀をした。
そして王妃陛下には、婚約破棄をされた後の出来事の前世の話を打ち明けた。
「その話が本当なら、歴史にある魔女ノワールも女騎士ノワールも聖女ノワールも伝説のメイドのノワールも全てあなたの人生だったのですね?」
「はい…今迄の人生では、能力ばかり身に付いていて恋愛が皆無でしたから、今度の人生では幸せになりたくて…」
「なら今は…今迄の能力が全て使えるという訳ね?」
「そうです。 惜しくなりましたか?」
「惜しくないと言ったら噓になりますが、貴女の今迄の悲惨な人生を考えたら引き留めようとは思いません!」
ノワールは、王妃陛下に全てを打ち明けて良かったと思った。
王妃陛下は最後に質問をしてきた。
「貴女は今後はどうするのですか?」
「家から追い出された私は、もう貴族では無く平民ですので…冒険者にでもなろうかと思います。」
「冒険者ですか…貴女の能力を考えたら、その方が似合っているかもしれませんね?」
「王妃陛下…今話した内容はくれぐれも…」
「解っているわ! 安心なさい、私は貴女の味方ですからね。 貴女のこれからの人生が素晴らしい物になる様に祈っています。」
「ありがとうございます、王妃陛下!」
それだけ言うと、騎士人形は崩れていった。
王妃陛下は、崩れた騎士人形を見ながら心で呟いた。
「頑張りなさいね、ノワール!」
王妃陛下は部屋の扉を閉めてから鍵を掛けると、騎士人形に話しかけた。
「貴女…ノワールよね?」
「あらら…王妃陛下にはバレてましたか!」
「そりゃあね…タイミングが良すぎる上に、息子の内容がほぼ悪口だったからね。」
「あそこまで言うつもりはなかったんだけど、どうせなら心の中の物を全て吐き出そうと思いましてw」
私は騎士人形の頭を掻くフリをした。
王妃陛下は、騎士人形の顔をまじまじと見ていた。
「これも貴女の魔法なのよね? まだ近くにいるの?」
「近くにはいませんね。 城が薄っすらと見える場所から人形を操作しています。」
「はぁ…とんでもない魔力の持ち主よね。 あの馬鹿息子がまともだったら、貴女の扱いはもっと優遇されていたというのに…」
「それで王妃陛下は…こんな話をする為に私を呼び止めたのですか?」
「違うわ! 貴女は今何処にいるの?」
「居場所を教えて捜索隊を派遣するという話でしたら、私は話しませんよ!」
「そんな事はしません。 この国から離れて幸せな人生を送りなさいと言いたいだけよ。」
騎士人形は、王妃陛下に深々とお辞儀をした。
そして王妃陛下には、婚約破棄をされた後の出来事の前世の話を打ち明けた。
「その話が本当なら、歴史にある魔女ノワールも女騎士ノワールも聖女ノワールも伝説のメイドのノワールも全てあなたの人生だったのですね?」
「はい…今迄の人生では、能力ばかり身に付いていて恋愛が皆無でしたから、今度の人生では幸せになりたくて…」
「なら今は…今迄の能力が全て使えるという訳ね?」
「そうです。 惜しくなりましたか?」
「惜しくないと言ったら噓になりますが、貴女の今迄の悲惨な人生を考えたら引き留めようとは思いません!」
ノワールは、王妃陛下に全てを打ち明けて良かったと思った。
王妃陛下は最後に質問をしてきた。
「貴女は今後はどうするのですか?」
「家から追い出された私は、もう貴族では無く平民ですので…冒険者にでもなろうかと思います。」
「冒険者ですか…貴女の能力を考えたら、その方が似合っているかもしれませんね?」
「王妃陛下…今話した内容はくれぐれも…」
「解っているわ! 安心なさい、私は貴女の味方ですからね。 貴女のこれからの人生が素晴らしい物になる様に祈っています。」
「ありがとうございます、王妃陛下!」
それだけ言うと、騎士人形は崩れていった。
王妃陛下は、崩れた騎士人形を見ながら心で呟いた。
「頑張りなさいね、ノワール!」
11
お気に入りに追加
1,413
あなたにおすすめの小説
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
逆行転生って胎児から!?
章槻雅希
ファンタジー
冤罪によって処刑されたログス公爵令嬢シャンセ。母の命と引き換えに生まれた彼女は冷遇され、その膨大な魔力を国のために有効に利用する目的で王太子の婚約者として王家に縛られていた。家族に冷遇され王家に酷使された彼女は言われるままに動くマリオネットと化していた。
そんな彼女を疎んだ王太子による冤罪で彼女は処刑されたのだが、気づけば時を遡っていた。
そう、胎児にまで。
別の連載ものを書いてる最中にふと思いついて書いた1時間クオリティ。
長編予定にしていたけど、プロローグ的な部分を書いているつもりで、これだけでも短編として成り立つかなと、一先ずショートショートで投稿。長編化するなら、後半の国王・王妃とのあれこれは無くなる予定。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
【完結】王子と結婚するには本人も家族も覚悟が必要です
宇水涼麻
ファンタジー
王城の素晴らしい庭園でお茶をする五人。
若い二人と壮年のおデブ紳士と気品あふれる夫妻は、若い二人の未来について話している。
若い二人のうち一人は王子、一人は男爵令嬢である。
王子に見初められた男爵令嬢はこれから王子妃になるべく勉強していくことになる。
そして、男爵一家は王子妃の家族として振る舞えるようにならなくてはならない。
これまでそのような行動をしてこなかった男爵家の人たちでもできるものなのだろうか。
国王陛下夫妻と王宮総務局が総力を挙げて協力していく。
男爵令嬢の教育はいかに!
中世ヨーロッパ風のお話です。
へぇ。美的感覚が違うんですか。なら私は結婚しなくてすみそうですね。え?求婚ですか?ご遠慮します
如月花恋
ファンタジー
この世界では女性はつり目などのキツい印象の方がいいらしい
全くもって分からない
転生した私にはその美的感覚が分からないよ
王女殿下は家出を計画中
ゆうゆう
ファンタジー
出来損ないと言われる第3王女様は家出して、自由を謳歌するために奮闘する
家出の計画を進めようとするうちに、過去に起きた様々な事の真実があきらかになったり、距離を置いていた家族との繋がりを再確認したりするうちに、自分の気持ちの変化にも気付いていく…
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる