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本編

第三十話 聖女としての使命…

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 「私の人生って…本当にツイてない人生だったわ。」

 私はそう話すと、パケットが尋ねて来た。

 「リア、何を言っているの?」

 私はこれから起きる事をパケットに打ち明けた。

 ただし、私が死ぬ事を除いて…

 死ぬ事になる…なんていう話をパケットに話そうものなら絶対に止められるからです。

 パケットはその話を聞いてから移動して、パテットさんやレオナリアさんにその話をした。

 話はこうです。

 私は聖女魔法の最大の魔法を発動させると、グラシャラボレアスを弱体化させる事ができるのでその隙に倒して欲しいというものでした。

 私は聖女魔法最大の終焉の歌を発動しました。

 この終焉の歌は歌そのものが詠唱となっており、当然だけど…邪魔が入れば中断せざる終えません。

 『グォォォォォ…何だ、その不快な音色は‼︎』

 グラシャラボレアスには…というか、魔界の者には不快な歌に聞こえるみたいです。

 私は歌を続けました…っていうか、この詠唱は十小節まであるのでかなり長いです。

 なので当然ですが…不快の原因である私をグラシャラボレアスは見逃してくれる筈もありません。

 グラシャラボレアスからの攻撃は、パテットさん達が防いでくれています。

 この聖女魔法の終焉の歌は、二小節から魔の者を徐々に弱体化させる。

 四小節からは周りの人達の回復、六小節からは周りの者達への祝福…

 《あぁ…ツラいわ! でも、王子妃の訓練に比べれば…》

 そして…歌は九小節に入り始めると、私の体に変化が起き始めました。

 この終焉の歌は発動すると、自身の命を失う…というのは分かっていましたが、実際には何が起きるかまでは把握していませんでした。

 両足を見ると…私の足は木の根の様な姿に変わっておりました。

 そして、私の身体ごと宙に浮かび…ギアスの大穴の真上で留まると、足に生えた木の根の様なものが一斉に伸び始め、その根がギアスの大穴の底に辿り着くと…今度はその根が無数に分かれて世界に広がっていくのを感じました。

 更に、腕は枝に変わり……って、私は樹になるの⁉︎

 そういえば…神殿の聖女のエンブレムって世界樹をモチーフにしてあったわよね?

 何で世界樹なのかが分からなかったけど、これなら納得だわ!

 私は最後の十小節目までを歌い終わると、身体は巨大な大木に変わってギアスの大穴を塞ぎ…

 その場所に巨大な世界樹になっていました。

 …なので、当然ですが話す事ができず…?

 いえ、話す事はできませんでしたが…呆けている皆に木の枝を地面に叩き付けて本来の役割を思い出させてから、皆は弱り切っているグラシャラボレアスを攻撃して倒す事が出来ました。

 何故、グラシャラボレアスが弱体化をしたのかというと?

 ギアスの大穴の底から溢れ出す瘴気が力を与えていたみたいで、それを完全に塞いだ結果…グラシャラボレアスは命の源である瘴気を取り込む事ができずに弱まりました。

 そして私の足の根が世界中に駆け巡ると、他の大陸にある瘴気も塞ぐ事が出来ました…が、何やら瘴気が根に触れるだけで激痛と似た痛みが襲って来ます。

 「まさか…世界樹になる魔法とは思わなかったわ。 それに世界樹になったら命を失って完全な木になるわけじゃないのね…」

 私の発している声は皆には聞こえてはいません。

 それにしても、私はいつになったら意識を失うのかしら?

 まさか…世界樹の命が尽きるまで意識継続とかではないわよね?
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