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本編

第二十三話 激闘? マーテルリアvs聖女ダイア(これ…恋愛小説じゃなかったっけ?)

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 この世界についてのおさらい。

 この世界では魔力持ちは非常に珍しい。

 持っていても発動もせずに生涯を終える者も少なくは無い。

 正しい手順を知っていれば開花されるのが魔力持ちの魔法なのだが、その数も世界の人口中で20分の1くらいしか満たない。

 そして目の前にいる聖女ダイアは、聖女の力を得ることにより魔法を使える訳なのだが…?

 マーテルリアも魔力持ちで魔法が使えるという事に気付いていなかった。

 「聖なる槍よ、かのものを…」

 「詠唱ねぇ…?」

 「リア、防御魔法を…」

 「じょぶじょぶ、多分平気よ。」

 パケットは不安そうな顔をしている反面、私は一切不安は無かった。

 「…貫く光の槍とかせ! ホーリーランス‼︎」

  聖女ダイアが詠唱を終えると、空に光の槍が5本出現し…私目掛けて飛んで来た。

 「さぁ、後悔しなさい!」

 「この魔法…殺る気満々じゃない!」

 …けど?

 私の特性と違って、光の槍は私の方に向かって飛んでは来たけど…全て私の身体に刺さることはなく…あらぬ方向に飛んで行った。

 「何故⁉︎」

 「何故って…」

 魔法には手順があります。

 詠唱を唱え始めたながらその唱える魔法の形を頭の中でイメージをし、魔法の固有名称を唱えて魔法を放つ…んだけど、問題は命中率が必要な訳で…?

 私の様に人に向かって飛んで行く特性は極稀らしく、一般の人は真っ直ぐ目的の場所に飛んで行くことはなかった。

 ホーリーランスという魔法は、聖女の魔法の中でも威力の高い中級魔法の筈?

 魔法の命中率は難易度が高くなる程に命中率が悪くなる為に、繊細さが要求されるので…

 魔法が使える様になったばかりの聖女ダイアが、ちゃんと命中するという事はないと分かっていた。

 「何でよ! 逃げる時はちゃんと出来たのに⁉︎」

 ちゃんと出来た…のは、聖女ダイアが魔法を放った場所は神殿内の建物の中だったから、命中率云々は関係無かったのでしょう。

 「ね、平気だったでしょ?」

 「なるほど…何度も魔法を使っているのならともかく、使い始めたばかりで的に当てられる命中は無いのか。」

 そして聖女ダイアは何が何でも私を殺る気でいるので、大技魔法を連発するが…一切こちらに擦りすらしなかった。

 「あのさぁ、もう良い加減に悪足掻きをしないで諦めたら?」

 「まだよ! まだ‼︎」

 聖女ダイアは今迄の魔法よりも長い魔法を唱え始めた。

 頭の悪そうな聖女ダイアが魔法の詠唱を覚えていた事も驚きだったけど、どう考えても絶対に碌な威力の魔法ではないでしょう。

 あまりにも命中率が悪くて、命中率無視の極大魔法でも使うつもりなのかしら?

 「だとしたら…ここにいる必要はないわね?」

 私とパケットは時間を掛けて目を閉じながら詠唱を唱えている聖女ダイアから200mの距離を取る為に全力で走った。

 そして聖女ダイアは詠唱を終了し、目を見開いてから自信満々に高らかと私に対して宣言を…

 「これでお前は完全に終わ……って、なんでそんな所にいるのよ⁉︎」

 「馬鹿じゃないんだから、その場に留まって魔法なんか喰らう訳無いでしょ? 貴女…頭大丈夫?」

 遠くてよく分からなかったけど、聖女ダイアは顔を真っ赤にして先程まで唱えていた詠唱の魔法を放った!

 だけど、その魔法の効果は命中率無視の極大魔法だったが…私の100mくらいの手前の距離の範囲しか発動せず、いきなりそんな魔法を唱えたものだから魔力を失って地面に倒れ込んだ。

 私とパケットは聖女ダイアに近付くと、聖女ダイアは気を失っていた。

 私はパケットから渡された木の枝で聖女ダイアを突いてみた。

 「つんつん………反応が無いわね?」

 「どうやら、ただの屍になったみたいね。」

 私とパケットはそんな話をしながら笑っていると、聖女ダイアが見開いて怒鳴って来た。

 「まだ生きているわよ、よくも私を散々虚仮にしてくれたわね‼︎」

 口は動いているけど、体は全く動かせずにいた。

 私とパケットはそんな状態でも悪態を吐いて来る聖女ダイアをその場に放置して去ろうとした。

 だけど、聖女ダイアは残っている力を振り絞って立ち上がると…とんでも無い事を仕掛けて来たのでした。

 果たして、そのとんでも無いこととは⁉︎
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