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第九話 悪夢の時計塔
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女モンク「ついに発表が来たな。勝ち抜き、10対10の団体戦だ」
俺「これのために万全を備えてきたんだ。意地でも優勝するぞ」
女モンク「我々のギルドは期待されているからな。無様な結果を残すわけにはいかない」
女「陣形はCで行きましょう! それなら、ウチが俺さんの横につけるし……」
俺「…………」
女「お、俺さん?」
女モンク「悪いが女、10人制限だとお前を出すことはできない」
女「で、でもウチだって……」
女モンク「我が儘もいい加減にしろ! 男獣戦士や男弓使いを差し置いて、お前を出せるはずがないだろう!」
女モンク「最近お前、様子がおかしいぞ!」
女「……そ、そうっすか。そうっすよね」
女モンク「…………」
◆◆
女「…………」シュン
俺「な、なあ女……」
女「べ、別に落ち込んでないっすよこれくらい!」
女「俺さんのこと、応援してますからね! ウチの分まで頑張ってくださいよ!」
俺「あ、ああ……。そうだ、今から皆に内緒で悪夢の時計塔、潜ってみないか? 低階層なら、二人でもいけると思うし……」
女「本当っすか!」
◆◆
女「ほへー! ここが最難関ダンジョン……」
俺「こら、動くな、今俺がwiki開いてる。ランダム型設置の罠があるんだ」
俺「俺も実際に入ったのは一度だけしかない、不用意に動くな」
女「新鮮な感じがいいんじゃないっすか。ほーら、置いてっちゃうっすよ」
俺「おい! 先々行くんじゃねぇ! こら!」
スカルナイト「ガアアッ!」ザンッ
女「うわっ! 急に出てきた!」
俺「あーもう、だから言ったじゃねーか!」バッ
スカルナイト「ガァッ!」グサッ
俺「ぐっ! うらぁっ!」バシッ
俺「はぁ……はぁ……HP少ないのがまだ救いだな」
女「えへへ、すいませんっす。だって攻略サイト見ながら動いてたら新鮮感がないっすもん」
俺「わかった、wiki開かないから俺の後ろ歩けマジで!」
◆◆
お化け「ケケケケケ……」
女「な、なんすかあの布被ったみたいな奴! 追いかけてきますよ!」
俺「わからん! 前は見なかった! とにかく物理攻撃は通らんみたいだ! 相性が悪い、逃げるぞ!」
女「逃げるって、全然撒けないじゃないっすか! 無理無理無理! なんかアレ気持ち悪いっす!」
俺「仕方ねぇだろ! 試したいことはあるが、不用意に近づいたら即死もあり得る! どっかドアあるところまで行くぞ!」
女「ネット! ネットで調べてください!」
俺「逃げながら調べろってか? 無茶言うんじゃねぇ! そもそも新鮮な気持ちで挑みたいって言ったのはお前だろうが!」
女「それとこれとは話が別っす! ちょっと追い詰められたいってだけで、そのままトドメ刺されるのは嫌なんっす!」
俺「わかる! わかるけど、それをわかった上で最初から調べとくべきだって俺は言ってたんだよ馬鹿野郎!」
◆◆
女「挟み撃ちにしたら良かったんね……いや、倒せてよかったっす」ゼェゼェ
俺「利き腕と逆の手で検索するのが、どれだけしんどかったと……」ゼェゼェ
女「にしてもアレ、本当にソロ殺しの敵っすね」
俺「たぶん、人形でも誤魔化しが効くんじゃないのか」
女「あー……なるほどっす。にしても、意外と経験値、控えめなんっすね」
俺「だから俺も一度しか潜らなかったわけだしな。女騎士も、調整入るだろうからそれまでは行かないって言ってたし」
女「な、なんかがっかりっす……」
俺「掲示板もそんな感じだから、細かい部分には関しては調査組が少ないんだよな」
俺「この布お化けにしても、何がドロップするかとかは不明なんだよ。姿もステも特殊だし、経験値もGも低いからなんかあると睨んでるんだが……」
俺「噂では、○△ギルドが知ってるけど隠してるって話だが」
女「あ、なんかアイテム出てるっすよ」
俺「え?」
俺「『純白の布』……これって、そうか……こいつが持ってやがったのか」
女「そ、それ知ってるっすよ! 新実装された結婚システムに必須なんっすよね!」
俺「まずは少人数に渡して動きを見るため、実験的にレアドロップにしてたみたいだな。その内、課金アイテムとして販売されるんじゃねぇか?」
女「そ、そうかもしれないっすね! 市場にも売りに出してるのはないし、取引履歴も桁おかしいのしか残ってなかったし……ウチも疑問には思ってたんっすよ!」ソワソワ
俺「となると、課金販売される前に値段吊り上げて売っちまうのが一番だな。素材で売るより、錬金でウェディングドレスにしてから売った方がいいのか……」
女「…………」
俺「売った後はギルド総員で布を回収するか……いや、現実的じゃないな。他の大規模ギルドにドロップ情報を売るか?」
女「ウ、ウチらで使うって、ダメっすか?」ボソッ
俺「ん? なんか言ったか?」
女「……なんでもないっす」
俺「これのために万全を備えてきたんだ。意地でも優勝するぞ」
女モンク「我々のギルドは期待されているからな。無様な結果を残すわけにはいかない」
女「陣形はCで行きましょう! それなら、ウチが俺さんの横につけるし……」
俺「…………」
女「お、俺さん?」
女モンク「悪いが女、10人制限だとお前を出すことはできない」
女「で、でもウチだって……」
女モンク「我が儘もいい加減にしろ! 男獣戦士や男弓使いを差し置いて、お前を出せるはずがないだろう!」
女モンク「最近お前、様子がおかしいぞ!」
女「……そ、そうっすか。そうっすよね」
女モンク「…………」
◆◆
女「…………」シュン
俺「な、なあ女……」
女「べ、別に落ち込んでないっすよこれくらい!」
女「俺さんのこと、応援してますからね! ウチの分まで頑張ってくださいよ!」
俺「あ、ああ……。そうだ、今から皆に内緒で悪夢の時計塔、潜ってみないか? 低階層なら、二人でもいけると思うし……」
女「本当っすか!」
◆◆
女「ほへー! ここが最難関ダンジョン……」
俺「こら、動くな、今俺がwiki開いてる。ランダム型設置の罠があるんだ」
俺「俺も実際に入ったのは一度だけしかない、不用意に動くな」
女「新鮮な感じがいいんじゃないっすか。ほーら、置いてっちゃうっすよ」
俺「おい! 先々行くんじゃねぇ! こら!」
スカルナイト「ガアアッ!」ザンッ
女「うわっ! 急に出てきた!」
俺「あーもう、だから言ったじゃねーか!」バッ
スカルナイト「ガァッ!」グサッ
俺「ぐっ! うらぁっ!」バシッ
俺「はぁ……はぁ……HP少ないのがまだ救いだな」
女「えへへ、すいませんっす。だって攻略サイト見ながら動いてたら新鮮感がないっすもん」
俺「わかった、wiki開かないから俺の後ろ歩けマジで!」
◆◆
お化け「ケケケケケ……」
女「な、なんすかあの布被ったみたいな奴! 追いかけてきますよ!」
俺「わからん! 前は見なかった! とにかく物理攻撃は通らんみたいだ! 相性が悪い、逃げるぞ!」
女「逃げるって、全然撒けないじゃないっすか! 無理無理無理! なんかアレ気持ち悪いっす!」
俺「仕方ねぇだろ! 試したいことはあるが、不用意に近づいたら即死もあり得る! どっかドアあるところまで行くぞ!」
女「ネット! ネットで調べてください!」
俺「逃げながら調べろってか? 無茶言うんじゃねぇ! そもそも新鮮な気持ちで挑みたいって言ったのはお前だろうが!」
女「それとこれとは話が別っす! ちょっと追い詰められたいってだけで、そのままトドメ刺されるのは嫌なんっす!」
俺「わかる! わかるけど、それをわかった上で最初から調べとくべきだって俺は言ってたんだよ馬鹿野郎!」
◆◆
女「挟み撃ちにしたら良かったんね……いや、倒せてよかったっす」ゼェゼェ
俺「利き腕と逆の手で検索するのが、どれだけしんどかったと……」ゼェゼェ
女「にしてもアレ、本当にソロ殺しの敵っすね」
俺「たぶん、人形でも誤魔化しが効くんじゃないのか」
女「あー……なるほどっす。にしても、意外と経験値、控えめなんっすね」
俺「だから俺も一度しか潜らなかったわけだしな。女騎士も、調整入るだろうからそれまでは行かないって言ってたし」
女「な、なんかがっかりっす……」
俺「掲示板もそんな感じだから、細かい部分には関しては調査組が少ないんだよな」
俺「この布お化けにしても、何がドロップするかとかは不明なんだよ。姿もステも特殊だし、経験値もGも低いからなんかあると睨んでるんだが……」
俺「噂では、○△ギルドが知ってるけど隠してるって話だが」
女「あ、なんかアイテム出てるっすよ」
俺「え?」
俺「『純白の布』……これって、そうか……こいつが持ってやがったのか」
女「そ、それ知ってるっすよ! 新実装された結婚システムに必須なんっすよね!」
俺「まずは少人数に渡して動きを見るため、実験的にレアドロップにしてたみたいだな。その内、課金アイテムとして販売されるんじゃねぇか?」
女「そ、そうかもしれないっすね! 市場にも売りに出してるのはないし、取引履歴も桁おかしいのしか残ってなかったし……ウチも疑問には思ってたんっすよ!」ソワソワ
俺「となると、課金販売される前に値段吊り上げて売っちまうのが一番だな。素材で売るより、錬金でウェディングドレスにしてから売った方がいいのか……」
女「…………」
俺「売った後はギルド総員で布を回収するか……いや、現実的じゃないな。他の大規模ギルドにドロップ情報を売るか?」
女「ウ、ウチらで使うって、ダメっすか?」ボソッ
俺「ん? なんか言ったか?」
女「……なんでもないっす」
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