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天空サンダース
5.ガン・ブラックマター
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ある日の夢の中でのこと。
(そういえばライデンは今までは友達いなかったの?)
「なんだよいきなり。そんなことないぞ。一人いるさ」
刃との戦いから一週間。雷電は友を待つ。学園の門から一人入ってくる。雷電は大手を振って迎える。
「ガン!久しぶりだな」
「雷電!会いたかったぜ友よ」
灰色の髪でボサボサ頭。ガンと呼ばれる男子は、雷電より少し大きく大人びて見える。
「自宅謹慎長かったな」
「結構ボコったからな!でも魔法使ってないのに謹慎にすることねぇと思うぜ」
そんな二人を、いやガンを遠巻きに人達が見る。その視線に気づいたガン。相手を睨むと足元に竜巻が発生しひとっ飛び。胸ぐらを掴みかかりぶん投げる。
「おい、また謹慎くらうぞ」
「あ、おお、ムカついたから」
フワフワと雷電の横に来るホムラ。
(あんなに強いのにライデンの友達なの?)
「あいつは弱かった俺に唯一普通に接してくれた友なんだよ」
(なにか裏があるんじゃない?)
「あるわけないだろ。仮に裏の顔があってもガンは友達だ」
そんな雷電の誇らしげな顔を見て、ふーんとガンを見る。
二人はそれから共に昼食を取り、午後の授業に参加する。ヒソヒソと噂話が聞こえるが気にしない。
ガンがトイレに行き2人きりとなった雷電とホムラ。
(なんで友達になったのか聞いてみなよ)
「なんだよもー。いいじゃんか別に」
そこまで食いつく珍しいホムラに少し腹を立てる雷電。するとガンが戻ってきたことですぐに会話は終わる。
雷電はホムラが言っていたことを気にしていた。
なんで友達になったんだっけ?
少しホムラを見ながら、遠回しに会話を始める。
「そういえば~。あ、俺等も友達歴長くなったよな」
「は?なんだいきなり?」
「いや、なんとなくって感じ?」
「まあな。中等部二年くらいからだよな。オレ等がつるむようになったのも」
「そうだよな。三年の冬に家庭の事情とかで家帰って」
「そんで戻ってきて、カス共ボコして謹慎して。一年の間に学校通ったの十日もないかもな」
「…なんで俺達友達になったんだっけ?」
遠回しに聞くのを諦めた。
「そんなの…」
「ん…」
「…。お前は…唯一オレに、普通に接してくれたダチだからだよ…」
顔は見れなかった。照れてるのか分からないが、ガンは「用事」と一言いって飛んでいった。
それから2日後。
「ガンやりすぎだ」
ガンの足元には二人の同級生が転がっていた。
「こいつ等はダチを馬鹿にしたァ」
事情はこうだ。ガンに雷電の悪口を言って仲間に引き入れようとした。それに怒り狂ったガンが手を挙げるのを我慢して口で言い返した。それに腹を立てた同級生が最初に魔法を使い、それを完膚なきまでに叩きのめした。
「ありがとう。でももう弱いままじゃないんだ」
「弱いと思ったことなんて一度もねえよ!お前は優しすぎるから、やり返さないんだ!だからオレが」
尻すぼみに言葉が弱くなる。下を見るガンの肩を掴み上に挙げる。
「弱いから、図星だからやり返せなかったんだ。でも今は違う。強くなりたいから、それ以外は雑音でしかないんだ。それでもやるってんなら」
掴んだ肩に拳を当てる。
「…あ?オレとやるってのか」
「勝てないと思ってるだろ」
「がははは。雷電とはやらない。弱いものいじめだからな」
今度はガンがライデンの肩を叩く。
「弱くねえって」
「違えよ」
「…」
ライデンの背中を押し立ち去り際。
「お前みたいな心の強えやつとやったら、弱いものイジメだろ」
「え、なんて言ったんだよ?」
聞こえなかった雷電は聞き返す。
「悪かった、もう手は出さないって言ったんだよ」
その背中を見送る雷電。雷電が追いかける背中の一つ。
そして弱くも強い男の背中を振り向き、そこに追いつこうとする男。
互いが互いの強さを求める。
(そういえばライデンは今までは友達いなかったの?)
「なんだよいきなり。そんなことないぞ。一人いるさ」
刃との戦いから一週間。雷電は友を待つ。学園の門から一人入ってくる。雷電は大手を振って迎える。
「ガン!久しぶりだな」
「雷電!会いたかったぜ友よ」
灰色の髪でボサボサ頭。ガンと呼ばれる男子は、雷電より少し大きく大人びて見える。
「自宅謹慎長かったな」
「結構ボコったからな!でも魔法使ってないのに謹慎にすることねぇと思うぜ」
そんな二人を、いやガンを遠巻きに人達が見る。その視線に気づいたガン。相手を睨むと足元に竜巻が発生しひとっ飛び。胸ぐらを掴みかかりぶん投げる。
「おい、また謹慎くらうぞ」
「あ、おお、ムカついたから」
フワフワと雷電の横に来るホムラ。
(あんなに強いのにライデンの友達なの?)
「あいつは弱かった俺に唯一普通に接してくれた友なんだよ」
(なにか裏があるんじゃない?)
「あるわけないだろ。仮に裏の顔があってもガンは友達だ」
そんな雷電の誇らしげな顔を見て、ふーんとガンを見る。
二人はそれから共に昼食を取り、午後の授業に参加する。ヒソヒソと噂話が聞こえるが気にしない。
ガンがトイレに行き2人きりとなった雷電とホムラ。
(なんで友達になったのか聞いてみなよ)
「なんだよもー。いいじゃんか別に」
そこまで食いつく珍しいホムラに少し腹を立てる雷電。するとガンが戻ってきたことですぐに会話は終わる。
雷電はホムラが言っていたことを気にしていた。
なんで友達になったんだっけ?
少しホムラを見ながら、遠回しに会話を始める。
「そういえば~。あ、俺等も友達歴長くなったよな」
「は?なんだいきなり?」
「いや、なんとなくって感じ?」
「まあな。中等部二年くらいからだよな。オレ等がつるむようになったのも」
「そうだよな。三年の冬に家庭の事情とかで家帰って」
「そんで戻ってきて、カス共ボコして謹慎して。一年の間に学校通ったの十日もないかもな」
「…なんで俺達友達になったんだっけ?」
遠回しに聞くのを諦めた。
「そんなの…」
「ん…」
「…。お前は…唯一オレに、普通に接してくれたダチだからだよ…」
顔は見れなかった。照れてるのか分からないが、ガンは「用事」と一言いって飛んでいった。
それから2日後。
「ガンやりすぎだ」
ガンの足元には二人の同級生が転がっていた。
「こいつ等はダチを馬鹿にしたァ」
事情はこうだ。ガンに雷電の悪口を言って仲間に引き入れようとした。それに怒り狂ったガンが手を挙げるのを我慢して口で言い返した。それに腹を立てた同級生が最初に魔法を使い、それを完膚なきまでに叩きのめした。
「ありがとう。でももう弱いままじゃないんだ」
「弱いと思ったことなんて一度もねえよ!お前は優しすぎるから、やり返さないんだ!だからオレが」
尻すぼみに言葉が弱くなる。下を見るガンの肩を掴み上に挙げる。
「弱いから、図星だからやり返せなかったんだ。でも今は違う。強くなりたいから、それ以外は雑音でしかないんだ。それでもやるってんなら」
掴んだ肩に拳を当てる。
「…あ?オレとやるってのか」
「勝てないと思ってるだろ」
「がははは。雷電とはやらない。弱いものいじめだからな」
今度はガンがライデンの肩を叩く。
「弱くねえって」
「違えよ」
「…」
ライデンの背中を押し立ち去り際。
「お前みたいな心の強えやつとやったら、弱いものイジメだろ」
「え、なんて言ったんだよ?」
聞こえなかった雷電は聞き返す。
「悪かった、もう手は出さないって言ったんだよ」
その背中を見送る雷電。雷電が追いかける背中の一つ。
そして弱くも強い男の背中を振り向き、そこに追いつこうとする男。
互いが互いの強さを求める。
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