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天空サンダース
1.雷電
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一般人、研究者、軍人。様々な人達が日常的に使う、超常の能力を総称して「魔法」と呼んだ。
物語の舞台となるのはルミク王国。ズチー地方にある世界最大の魔法士育成学校の星陽学園。才能があると認められたものは、数関係なく入学することが可能で、辞めるも続けるも自由な校風。
生まれてから一年で雷系統の魔術を出した。その才能が認められて八つの頃に星陽学園の小学部に入学。それからその才能が偽りであることを知っても、ズルズルと中学部まで続けた。「神童」と呼ばれた彼は、今では「底辺」と呼ばれるようになった。そんな悲しき彼の名前は雷電。
もうすぐ高学部に上がれる頃、この学園を辞める決意をした。
他の人達が様々な術が使えて、彼は手から電気を纏うだけ。これは小学部の子でも出来ること。なんなら、小学部の子が氷の剣が作れるなら、雷電はそれ以下だ。
今までなんとか才能を開花させようとした。だが無い種は花を咲かせない。
退学届を握りしめ、受付へと向かっている最中だった。二人の学生が噂話をしていた。
「この学校の中庭にある謎の銅像。あれに願いを伝えると叶うって」
「何その噂~」
向かう足は中庭に変えた。諦めた学園生活にもしも一縷の希望があるなら。
その銅像は雷電と同じぐらいの歳の見た目をしていた。
「雷魔術纏雷(てんらい)」
バリバリと雷を手に纏って銅像に願いを伝える。
「俺に魔術の才能をあたえてくれ」
その言葉は風の音と共にかき消された。
中庭によって受付が閉まった。仕方なく明日向かうことにした。
その日変な夢を見た。夢の中にはツインテールの幼女が現れた。
「君の願いを聞いたよ」
「…誰だ?」
「うーん。妾は、そうだな、中庭の妖精。名前は焔よ」
「何のようだ」
「君の願い、才能が欲しいんだよね」
「くれるのか?」
「無理よ。才能が無いなら努力しましょう」
「…努力なんて…無意味だ。魔術は所詮才能が全てで、俺には一切の才能がないんだよ」
「一切…一切かい?一欠片は才能があるじゃないのよ。その雷の技よ」
両の手を見つめる。
「これだけじゃ、才能ある奴らには敵わない」
「ダメよ。そのたった一つの才能を、努力で補って才能を凌駕するくらいじゃないと」
「できるってのか?」
ホムラは首を傾げる。
「知らないわよ。先のことなんて。ただ努力する術は知ってるわよ。やり方と、時間だけはチートだけど。苦しいわよ?」
「苦しい思いは散々した。あとは目一杯息して這い上がってやるさ」
一瞬の迷いもなく答えた。
「いい心意気よ。名前は?」
「稲妻雷電。ホムラよろしく」
夢から目覚める。現実の世界。着替えをして歯を磨く。寮の食堂で朝食をとる。
(そんなんで足りるの?)
「足りるよ」
聞き覚えのある声。夢の中で聞いた。目をやるとホムラが幽霊のようにふわふわしていた。
「なんでいる!夢の中だけじゃないのか!」
(しー!あんまり大声出さないことよ。妾は妖精だから見えないし、聞こえないのライデン以外には)
周りから白い目で見られる。
(とりあえず聞いてよ。今のライデンの実力を測るのに、平均的な相手と戦ってほしいのよ)
平均を考えた。星陽学園中学部三年。ニック・ハルペス。雷電の考える同級生の平均値。
戦闘訓練の授業。雷電はニックに対戦を申し込む。
十秒と少しでいわゆる秒殺。
(あはは、すぐ終わっちゃったわね)
「うるさい。才能無しなんだからしょうがないじゃないか。で、どうすればいい」
(纏雷を微力で出し続けて)
言われた通りやる。
(じゃあそのままずっと)
それから五時間後。雷電の魔力は底をついた。
「これが何なの?」
(魔力は使えば使うほど魔力量は増える。まずは誰よりも量を増やそう)
そして夢の中。
「ここでは戦闘訓練と、技術発達訓練をするよ」
「夢の中での訓練は役に立つの?」
「この夢は妾の作った世界だと思って。現実世界にかなり近く、そして時間は一晩を一年に引き伸ばしてるわよ」
「本当ホムラって何者だよ」
そして高学部に上がる。現実では纏雷を発動し続け、半年後には一日余裕で保てるようになる。
月一でニックとの戦闘。
「いくらやったってオレには敵わないよ!早く消えな」
「何度でも挑んでやる!」
夢の中で格闘スキルを磨き、ホムラからとある技を教わる。
「まだ挑むってのか?雑魚は大人しくやられてな」
「雑魚じゃねえ!まだまだ稚魚なだけだ!」
そしてホムラと出会って一年。
(じゃあそろそろ出来るわよね。才能が無いのは、手以外から魔術を出すことが出来ないという欠点。でも魔力は体を流れている。その体内の魔力を電気に変化させ、肉体の枷を解く)
「そんな事ができるのか」
(出来るわよ。その技の名前は)
一年最後の実技授業。
「もういいだろ?一年やっても理解出来てないようだな。これでオレが勝ったら、お前退学しろよ。この学校は欠片の才能があれば入れるが、そこからは残るも去るも自由。雑魚は大海を泳ぐに相応しくない。井の中の蛙に戻れよ」
「蛙でもいいさ。俺は自分の中の空の青さを知ったからよ」
開始の合図が鳴る。肉体の魔力を電気に変化させる。
「何だその速度は」
「若雷肉体解除(リミットオフ)。肉体に電撃を流し、筋力を増幅させる技術だ」
その速度、力は強化魔術と同等。翻弄されるニック。炎魔術、土魔術。影操術。それを身体能力でかわす。
拳を握りしめニックの胸ぐらを掴む。
「歯ぁ食いしばれよ!」
「ま、まって!」
ガツン!と一発KO。床に伏せるニック。ガッツポーズと雄叫びを上げるライデン。
「…勝った。勝ったぞ!」
(おめでとう。頑張ったのよ)
「ありがとう。ホムラのおかげだ」
(何を言ってるのよ。あなたの努力の成果よ)
星陽学園に才能ナシの落雷が落ち、怒涛の嵐が吹き荒れる。
物語の舞台となるのはルミク王国。ズチー地方にある世界最大の魔法士育成学校の星陽学園。才能があると認められたものは、数関係なく入学することが可能で、辞めるも続けるも自由な校風。
生まれてから一年で雷系統の魔術を出した。その才能が認められて八つの頃に星陽学園の小学部に入学。それからその才能が偽りであることを知っても、ズルズルと中学部まで続けた。「神童」と呼ばれた彼は、今では「底辺」と呼ばれるようになった。そんな悲しき彼の名前は雷電。
もうすぐ高学部に上がれる頃、この学園を辞める決意をした。
他の人達が様々な術が使えて、彼は手から電気を纏うだけ。これは小学部の子でも出来ること。なんなら、小学部の子が氷の剣が作れるなら、雷電はそれ以下だ。
今までなんとか才能を開花させようとした。だが無い種は花を咲かせない。
退学届を握りしめ、受付へと向かっている最中だった。二人の学生が噂話をしていた。
「この学校の中庭にある謎の銅像。あれに願いを伝えると叶うって」
「何その噂~」
向かう足は中庭に変えた。諦めた学園生活にもしも一縷の希望があるなら。
その銅像は雷電と同じぐらいの歳の見た目をしていた。
「雷魔術纏雷(てんらい)」
バリバリと雷を手に纏って銅像に願いを伝える。
「俺に魔術の才能をあたえてくれ」
その言葉は風の音と共にかき消された。
中庭によって受付が閉まった。仕方なく明日向かうことにした。
その日変な夢を見た。夢の中にはツインテールの幼女が現れた。
「君の願いを聞いたよ」
「…誰だ?」
「うーん。妾は、そうだな、中庭の妖精。名前は焔よ」
「何のようだ」
「君の願い、才能が欲しいんだよね」
「くれるのか?」
「無理よ。才能が無いなら努力しましょう」
「…努力なんて…無意味だ。魔術は所詮才能が全てで、俺には一切の才能がないんだよ」
「一切…一切かい?一欠片は才能があるじゃないのよ。その雷の技よ」
両の手を見つめる。
「これだけじゃ、才能ある奴らには敵わない」
「ダメよ。そのたった一つの才能を、努力で補って才能を凌駕するくらいじゃないと」
「できるってのか?」
ホムラは首を傾げる。
「知らないわよ。先のことなんて。ただ努力する術は知ってるわよ。やり方と、時間だけはチートだけど。苦しいわよ?」
「苦しい思いは散々した。あとは目一杯息して這い上がってやるさ」
一瞬の迷いもなく答えた。
「いい心意気よ。名前は?」
「稲妻雷電。ホムラよろしく」
夢から目覚める。現実の世界。着替えをして歯を磨く。寮の食堂で朝食をとる。
(そんなんで足りるの?)
「足りるよ」
聞き覚えのある声。夢の中で聞いた。目をやるとホムラが幽霊のようにふわふわしていた。
「なんでいる!夢の中だけじゃないのか!」
(しー!あんまり大声出さないことよ。妾は妖精だから見えないし、聞こえないのライデン以外には)
周りから白い目で見られる。
(とりあえず聞いてよ。今のライデンの実力を測るのに、平均的な相手と戦ってほしいのよ)
平均を考えた。星陽学園中学部三年。ニック・ハルペス。雷電の考える同級生の平均値。
戦闘訓練の授業。雷電はニックに対戦を申し込む。
十秒と少しでいわゆる秒殺。
(あはは、すぐ終わっちゃったわね)
「うるさい。才能無しなんだからしょうがないじゃないか。で、どうすればいい」
(纏雷を微力で出し続けて)
言われた通りやる。
(じゃあそのままずっと)
それから五時間後。雷電の魔力は底をついた。
「これが何なの?」
(魔力は使えば使うほど魔力量は増える。まずは誰よりも量を増やそう)
そして夢の中。
「ここでは戦闘訓練と、技術発達訓練をするよ」
「夢の中での訓練は役に立つの?」
「この夢は妾の作った世界だと思って。現実世界にかなり近く、そして時間は一晩を一年に引き伸ばしてるわよ」
「本当ホムラって何者だよ」
そして高学部に上がる。現実では纏雷を発動し続け、半年後には一日余裕で保てるようになる。
月一でニックとの戦闘。
「いくらやったってオレには敵わないよ!早く消えな」
「何度でも挑んでやる!」
夢の中で格闘スキルを磨き、ホムラからとある技を教わる。
「まだ挑むってのか?雑魚は大人しくやられてな」
「雑魚じゃねえ!まだまだ稚魚なだけだ!」
そしてホムラと出会って一年。
(じゃあそろそろ出来るわよね。才能が無いのは、手以外から魔術を出すことが出来ないという欠点。でも魔力は体を流れている。その体内の魔力を電気に変化させ、肉体の枷を解く)
「そんな事ができるのか」
(出来るわよ。その技の名前は)
一年最後の実技授業。
「もういいだろ?一年やっても理解出来てないようだな。これでオレが勝ったら、お前退学しろよ。この学校は欠片の才能があれば入れるが、そこからは残るも去るも自由。雑魚は大海を泳ぐに相応しくない。井の中の蛙に戻れよ」
「蛙でもいいさ。俺は自分の中の空の青さを知ったからよ」
開始の合図が鳴る。肉体の魔力を電気に変化させる。
「何だその速度は」
「若雷肉体解除(リミットオフ)。肉体に電撃を流し、筋力を増幅させる技術だ」
その速度、力は強化魔術と同等。翻弄されるニック。炎魔術、土魔術。影操術。それを身体能力でかわす。
拳を握りしめニックの胸ぐらを掴む。
「歯ぁ食いしばれよ!」
「ま、まって!」
ガツン!と一発KO。床に伏せるニック。ガッツポーズと雄叫びを上げるライデン。
「…勝った。勝ったぞ!」
(おめでとう。頑張ったのよ)
「ありがとう。ホムラのおかげだ」
(何を言ってるのよ。あなたの努力の成果よ)
星陽学園に才能ナシの落雷が落ち、怒涛の嵐が吹き荒れる。
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