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「お嬢様。リオン・ガボット様が門の方へお着きになったそうです。」

「!!分かったわ、エントランスでお迎えしましょう。」


「……落ち着いてくださいお嬢様。」

「ええ、でも緊張しちゃって!私どこか変なところない??」

「ございません。お嬢様はどんな時でも完璧なお姿でございます。」

「そ、そう?」

そんなことを話していたら、エントランスのドアが開く音がした。
開かれたドアの前には背が190センチはありそうな男性が立っていた。
騎士団の正装を着ていて、顔はフードがあるせいでよく見えない。
彼がリオン・ガボット様であるというのはすぐに分かった。

「お初にお目にかかります。私はフィオーレ・ハッシュベルトと申します。この度は急なお願いを叶えてくださりありがとうございます。」

「…………私の名前はリオン・ガボットです。こちらこそ、ハッシュベルト侯爵家に招かれたこと嬉しく思います。」

リオン・ガボット様の声を聞いた瞬間私は腰が砕けるかと思った。
イケボすぎる……!低めの声でありながら甘い声をしている。喋り方も威圧感などなくとても優しい印象を受けた。

「では客間までご案内いたしますね。」

「………お願いいたします。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

客間へ案内し、私の向かい側のソファーへとリオン・ガボット様が座られた。
さて、まずはどのように婚約者になってほしいと切り出すか……
あ、その前に!

「リオン・ガボット様。」

「ガボットはいりません。」

「ではリオン様、今回はお会いしたいなどと急に言ってしまい申し訳ありませんでした。」

「いいえ。まさか帝国一美しいと言われるフィオーレ嬢に、このような形でお会いできるとは思ってもいませんでした。」

「まあ、帝国一美しいなんて!リオン様はお世辞がお上手ですね。ふふっ」

「え、いや、本当のことなんですが……」

「お世辞でも嬉しいです!あ、そうだわ。リオン様は何か苦手なものとかありますか?」

「いえ?特には。」

「では、私のお気に入りのお菓子屋さんがあって、そこのケーキがとても美味しのですけれど、お食べになりませんか?」

「ぜひいただきたいです。」

あら、甘いものが好きなのかな。食い気味なお返事に笑ってしまいそうになる。
騎士団長様が甘い物好きなんてギャップ萌えしちゃう!



「メアリー。ケーキも準備お願い。」

「かしこまりました。すぐお持ちいたします。」

ガチャ

………それにしてもここにきてから一度もフードをお取りにならない。ギリギリ口元が見えるくらい。

「リオン様はフードをお取りにならないのですか?」

「………フィオーレ嬢を怖がらせてしまうと思うのでこのままで。」

「そのままではケーキは食べにくいと思いますし、お取りになった方がいいかと。あと、私は絶対に怖がったりしません。お約束します。」

「……では」

そういうと渋々リオン様はフードを脱いだ。そして顔が見えた瞬間私は驚愕した。
燃えるような赤髪に、瞳はどこまでも吸い込まれそうな程に黒かった。
鼻筋がスッと通っていて、目は切長で、ありえないくらいのイケメンだった……。
え、この方が醜いなんて言われるの?は?ありえない。

「……やはり怖いですよね。こんな顔。」

「……え!いいえ!思わず見惚れてしまって。」

「え……そんな冗談はおやめください。」

「本当です!私はリオン様のお顔とてもお綺麗だと思います。」

「………ありえない。こんな醜い顔……。」

私のいう言葉が信じられないようだ。ありえないという言葉をずーと呟いている。
それにしても、もしこのような方と婚約できるかもなんて、私ってば役得すぎない?
それに短い会話の中でもリオン様の優しい人柄なのがわかる。

「私の言うことが信じられないのは仕方がないかもしれません。ですが、これだけは言わせてください!
自分の顔を醜いなどと言わないでください!」

「ですが、事実ですし、実際にこの顔で何度令嬢方を怖がらせてしまったか……」

「いいえ!周りがなんと言おうと関係ありません。自分を卑下するようなことは言わないでください。私は、リオン様のスッと通った鼻筋や、切長な目や、筋肉で覆われた体は逞しくてかっこいいと思います。あと、喋り方などで私を怖がらせないようにしようという気持ちが伝わってきて、すごく優しくて素敵な方だと思いました。それn「待ってください!」」

いけないいけない。つい熱弁してしまった……。
ってあれ?リオン様の顔とても赤くなってない?

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